帯状疱疹について
水ぶくれの帯状の発疹が突然体の一部に現れ、激しい痛みに見舞われる。
原因不明の突然現れるチクチクとした痛み、それが帯状疱疹(たいじょうほうしん)という病気です。
この帯状疱疹と言う疾患は誰もが一生のうちに一度は体験する可能性がある、ちょっと怖い病気なのです。今回は帯状疱疹の症状や原因、治療法などを詳しく解説します。
水痘(すいとう)や風疹(ふうしん)にかかったことがある人は、ぜひ知っておきたい病気の特性です。
もしかかった際には合併症を防ぐためにも、痛みに我慢せず、早めに受診することをおすすめします。
帯状疱疹は誰にでも起こりうる身近な病気です。 知識を持ち、上手に付き合っていくことが大切になります。
帯状疱疹の特徴
帯状疱疹は、小児期に一度水疱瘡(みずぼうそう)にかかると、その際に感染したウイルスが神経節に眠り続けていることが原因となります。
大人になりある特定の要因により免疫力が低下することにより、一度退治したはずのウイルスが目を覚まして再び活動するようになります。
神経を通じて皮膚に到達し、痛みを伴う発疹を起こしてしまいます。
帯状疱疹の発疹は、再活性化したウイルスが通った神経の支配領域だけに限局していることが特徴です。したがって、発疹は体の左右どちらかの半分だけに現れることになります。
帯状疱疹では発疹に先立って神経痛が生じ、発疹消退後も痛みが長引くことがあります。
痛みのため日常生活に支障をきたす場合もあります。
以上の点が、帯状疱疹の大きな特徴といえるでしょう。水痘の経験がある人は要注意です。
帯状疱疹かな?と思われる症状が出た場合は、直ちに病院を受診してください。
症状と診断方法
帯状疱疹では、発疹(ほっしん)に先立って数日間、神経痛のような強い痛みが生じます。
発疹出現後も痛みは続き、日常生活に支障をきたすこともあります。その後、痛みを訴える側の体の神経に沿って帯状の赤い発疹が出現します。
中央に水疱(水ぶくれ)ができるのが特徴です。もし仮に顔面に発症した場合には角膜炎や耳鳴りが、また下腹部に発症した場合には便秘や排尿困難など、発症部位によって症状が異なります。
診断は、症状の推移と特徴的な発疹の有無から臨床的に行われます。疑わしい場合は水疱液の細胞診断で、ウイルスを特定します。
帯状疱疹は早期発見と適切な治療が大切です。発症後早期に治療しなければ重症化する可能性があるため帯状の発疹や水疱が出来ていなくても神経痛などの痛みがあればまずは主治医の判断を仰ぐようにしましょう。
水疱瘡・ヘルペスとの違い
多くの人が混同しがちな3つの皮膚病――それが帯状疱疹とヘルペスと水疱瘡です。
よく似た名称と症状から、誤解されることも少なくありません。
しかし、実のところ蓋を開けてみると中身はまったくの別物です。何が一体どのように異なるのでしょうか?まっさきに思いつくのは原因となるウイルスですね。
まずヘルペスは「HSVウイルス」による感染症である一方、帯状疱疹と水ぼうそうは「水痘帯状疱疹ウイルス」が原因の感染症になります。
それでもウイルスによる感染症ならばどれもほとんど同じなのでは?と思われるかもしれませんね。その点も踏まえた上で違いを見ていきましょう。
水疱瘡
まずは水疱瘡と帯状疱疹の違いについて見ていきましょう。 水疱瘡は「水痘・帯状疱疹ウイルス」の初感染によって起こる疾患です。
一方、帯状疱疹は、一度水ぼうそうにかかった経験のある人が、後にストレスなどで免疫力が低下することで、体内に潜伏していた同じウイルスが再び活性化して発症するものです。
次に症状の違いをみて見ましょう。
帯状疱疹では、神経の線に沿って集まった疱疹(水ぶくれ)が出現するのが特徴です。発疹部位は胸から腹部にかけての腹側に多く、強い痛みを伴います。
一方、水ぼうそうの場合は全身に発疹が広がり、発熱や咳などの全身症状が主体となります。
更に発症年代を見ていきましょう。
帯状疱疹は免疫力の低下した高齢者に多く、合併症を起こしやすいのが危険です。
脳炎や肺炎など重篤な合併症を起こすと死亡することもあるため、早期の抗ウイルス薬治療が重要です。
一方、水疱瘡は小児の感染症と位置づけられ、重症化はまれです。
成人の水ぼうそう予防には、帯状疱疹ワクチンの接種が有効です。未感染の医療従事者など対象者への接種率を高め、重症化を防ぐことが課題です。
水疱瘡や帯状疱疹ともに、発熱や発疹が出たらすぐに受診し、適切な治療を受けることが大切です。
ヘルペス
帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因の疾患であり、ヘルペスは「ヘルペスウイルス」が原因の疾患となり、ウイルスの種類と発症部位に違いがあります。
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症し、胸腹部の神経線に沿って集った水ぶくれが特徴です。強い痛みを伴い、免疫力の低下した高齢者に多く見られると先ほども述べました。
しかし一方、ヘルペスには口唇ヘルペスと性器ヘルペスがあり、前者は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、後者は2型(HSV-2)によるものです。
口唇ヘルペスは口唇に、性器ヘルペスは性器にそれぞれ症状が現れます。
帯状疱疹は全身症状が少なく、局所的な神経痛と水ぶくれが主体です。
ヘルペスは発熱など全身症状を伴い、性器ヘルペスは特に排尿時の強い痛みが特徴となります。
帯状疱疹では合併症予防のために早期の抗ウイルス薬治療が重要視されます。
ヘルペスも抗ウイルス薬の使用が標準的ですが、再発しやすい特性があるため、清潔保持と生活管理が予防には欠かせません。
いずれも原因ウイルスは脳などの神経に潜伏する可能性があるため、再発に注意が必要です。
ストレスが再発のトリガーとなる点も共通しています。
帯状疱疹はワクチンによる予防が可能ですが、ヘルペスは予防法が確立されていません。
性器ヘルペスではコンドームが予防策の一つと考えられていますが、完全に防ぐことは困難なのが現状です。 感染症の特徴を理解し、日頃の健康管理が大切です。
症状には早めに対処し、パートナーへの感染予防も心がける必要があります。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹の原因は、子供の頃に感染した水疱のウイルスが体内に残っていることにあります。
水疱瘡が治ってもウイルスは神経節に潜伏したままなのです。
ウイルスは免疫力によって抑えられていますが、ある特定の要因により免疫力が低下すると活動・増殖を再開します。そして神経を通って皮膚に現れ、帯状疱疹を引き起こす原因となります。
治ってもウイルスは体内に残るため、何らかの要因によって免疫力が低下してしまうと何度でも繰り返し再発することもあります。
一生涯に一度だけ、というわけにはいかないのが厄介な所ですね。
帯状疱疹は“過去の水痘”が原因なのです。つまり水疱瘡と同じウイルス「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因の病気であり免疫力の保持がカギとなります。
多くの方が誤解している事ですが、帯状疱疹を発症している人は、赤ちゃんなど水疱瘡になったことのない人に対して接触する事で水疱瘡として感染する可能性があるため注意が必要な疾患なのです。
リスク要因
加齢が最大の危険因子と言われています。特に50歳以上の高齢者は帯状疱疹にかかりやすいです。
その原因には免疫力の低下が最も影響していると考えられています。
またストレスに対しても注意が必要です。長期的なストレスは免疫力を低下させるため、帯状疱疹の誘因になりえます。その為にも日々のストレス解消が大切となります。
さらに基礎疾患や治療歴にも注意が必要となります。特に免疫抑帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって発症する疾患です。
このウイルスに対する免疫を持っていない人が、帯状疱疹の水ぶくれから漏れ出したウイルスに接触すると、水ぼうそうとして発症する可能性があります。
ただし、帯状疱疹自体が周囲の人にうつるわけではありません。既に一度水ぼうそうにかかったことのある人で、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得している場合は、帯状疱疹患者との接触から水ぼうそうを発症するリスクはほぼありません。
帯状疱疹の患者は、発疹部位を保護ドレッシングで覆い、手洗いを励行するなど、感染の拡大防止に努める必要があります。特に、抵抗力のない妊婦や新生児、血液疾患患者などは注意が必要です。
一方で、帯状疱疹に対する誤解や偏見も根強く、患者は精神的苦痛を抱えがちです。
正しい知識の共有と理解ある対応が求められています。 制剤の使用歴や慢性疾患がある場合、発症リスクが高くなる傾向にあります。
また皮膚の損傷なども危険因子とされています。皮膚の傷や火傷などがある場合、その部位に帯状疱疹が発症しやすくなります。
いづれの場合においてもリスク要因をしっかりと把握し、適宜適切な対策を講じることが大切です。
予防方法
帯状疱疹を予防するには免疫力の維持が基本になります。ストレスをためない生活習慣が大切です。
例えばバランスの良い食事、適度な運動、充分な睡眠でストレスを解消し、免疫力を高めることができます。
また50歳以上の年齢の方はワクチンと言う選択肢もあります。50歳以上は帯状疱疹ワクチンの接種ができ、摂取する事で予防に最も効果的とされています。
ワクチンの接種は発症と重症化を防げます。ウイルスは眠ることはあっても死滅することはしません。一旦感染してしまうとウイルスは生涯体内に残ります。免疫力こそが再発を防ぐ一番の決め手です。
その為、発症しないことが最大の予防方法であり、日々免疫力の維持を怠らないことが最も大切な予防方法と言えます。
後遺症
帯状疱疹の後遺症として最も頻度が高い症状として「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる疾患があります。
またその他にも注意しなければならない後遺症はたくさん存在します。
帯状疱疹の発症部位により後遺症の症状は異なってきます。例えば、顔面や目の周囲に発症した場合では、角膜炎や視力障害を生じることもあります。
また耳介(じかい)に発症すると難聴(なんちょう)の後遺症が残る場合もあります。
いづれの場合においても後遺症を防ぐには早期治療が最も重要です。
発症後の早期治療で皮膚症状を抑えることが、後遺症発生を予防する近道となります。
帯状疱疹の後遺症はQOL(生活の質)に影響を及ぼすため、早めの対応が大切となります。
特に発症後3日以内に対応ができるかいなかでその後の症状が左右されます。
健康への影響健康への影響として最も危惧される症状はやはり「帯状疱疹後神経痛」になります。
帯状疱疹後神経痛は持続的な痛みが特徴的です。
これは帯状疱疹が治っても痛みが長期的に残ることがあり、焼けるような痛みやズキンズキンとする痛みが特徴的な症状となります。
痛みのため日常生活に支障を来すこともあります。痛みで睡眠が阻害されたり、顔を洗うのも困難になることがよくあります。
軽く触れるだけでも痛むためシャツを着るだけでも擦れて痛むなど大変な思いをする人もいます。
帯状疱疹後神経痛はQOLを著しく低下することから、早期の対処が必要不可欠と言えます。
治療薬
帯状疱疹に効果的な治療薬とは抗ウイルス薬が第一選択となります。
帯状疱疹の標準的な治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。飲み薬や点滴を使用します。使用法は症状によって異なります。
軽症なら内服薬で対応できますが、重症時は入院して抗ウイルス薬の点滴が必要となります。
早期治療が効果最大化のカギとなります。抗ウイルス薬はウイルスの増殖抑制が目的なので、早期治療が結果を左右します。
帯状疱疹に対しては、早期発見と抗ウイルス薬による迅速な治療が重要と言えます。
では現在どの様な医薬品が使用され治療に用いられているのかご紹介いたします。
- バルトレックス錠500(グラクソ・スミスクライン株式会社)
- バルトレックス顆粒50%(グラクソ・スミスクライン株式会社)
- バラシクロビル粒状錠500mg「モチダ」(持田製薬販売株式会社)
- バラシクロビル顆粒50%「トーワ」(東和薬品株式会社)、「日医工」(日医工株式会社)、「SPKK」(サンドファーマ株式会社)
- バラシクロビル錠500「トーワ」(東和薬品株式会社)、「アメル」(共和薬品工業株式会社)、「イワキ」(岩城製薬株式会社)、「杏林」(キョーリンリメディオ株式会社)、「ケミファ」(日本ケミファ株式会社)、「サトウ」(佐藤製薬株式会社)、「サワイ」(沢井製薬株式会社)など
【個人輸入で購入の出来る医薬品】(成分名:バラシクロビル)
商品名 | バルトレックス | バルシビル【バルトレックスジェネリック】 | バルクロビル【バルトレックスジェネリック】 |
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有効成分 | バラシクロビル塩酸塩500mg/1000mg | バラシクロビル塩酸塩500mg | バラシクロビル塩酸塩500mg |
価格 | 500mg:1錠あたり142円~ 1000mg:1錠あたり229円~ | 500mg:1錠あたり283円~ | 500mg:1錠あたり134円~ |
メーカー | GSK(グラクソ・スミスクライン) | Cipla(シプラ) | Centurion Laboratories Pvt Ltd(センチュリオン・ラボラトリーズ) |
購入ページ | バルトレックスの購入ページはこちら | バルシビル【バルトレックスジェネリック】の購入ページはこちら | バルクロビル【バルトレックスジェネリック】の購入ページはこちら |
- ゾビラックス錠200/400(グラクソ・スミスクライン株式会社)
- ゾビラックス顆粒40%(グラクソ・スミスクライン株式会社)
- アシクロビルシロップ8%「タカタ」(高田製薬株式会社)
- アシクロビル内服ゼリー200mg/800mg「日医工」(日医工株式会社)
- アシクロビル錠200mg/400mg「サワイ」(沢井製薬株式会社)、「トーワ」(東和薬品株式会社)、「日医工」(日医工株式会社)、「CH」(長生堂製薬株式会社)、「VTRS」(ヴィアトリス・ヘルスケア合同会社)
- アシクロビル顆粒40%「タカタ」(高田製薬株式会社)、「サワイ」(沢井製薬株式会社)、「テバ」(武田テバ薬品株式会社)、「トーワ」(東和薬品株式会社)、「日医工」(日医工株式会社)、「CH」(長生堂製薬株式会社)
- アシクロビルDS80%「サワイ」(沢井製薬株式会社)、「NK」(日本化薬株式会社)
【個人輸入で購入の出来る医薬品】(成分名:アシクロビル)
商品名 | アシビル【ゾビラックスジェネリック】 | ゾビラックス【アシクロビル】 | ゾビラックス5%クリーム【アシクロビル】 | アシビルクリーム |
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画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
有効成分 | アシクロビル | アシクロビル | アシクロビル5% | アシクロビル5% |
価格 | 200mg:1錠あたり72円~ 400mg:1錠あたり140円~ 800mg:1錠あたり233円~ | 200mg:1錠あたり107円~ 400mg:1錠あたり124円~ 800mg:1錠あたり249円~ | 2g:1本あたり2,823円~ | 10g:1本あたり1,336円~ |
メーカー | Cipla(シプラ) | GSK(グラクソ・スミスクライン) | GSKファーマ(グラクソ・スミスクライン社) | Cipla(シプラ) |
購入ページ | アシビル【ゾビラックスジェネリック】の購入ページはこちら | ゾビラックス【アシクロビル】の購入ページはこちら | ゾビラックス5%クリーム【アシクロビル】の購入ページはこちら | アシビルクリームの購入ページはこちら |
【個人輸入で購入の出来る医薬品】(成分名:ファムシクロビル)
商品名 | ファムシマック |
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有効成分 | ファムシクロビル |
価格 | 1錠あたり342円~ |
メーカー | Macleods Pharmaceuticals Ltd(マクレオーズ) |
購入ページ | ファムシマックの購入ページはこちら |
帯状疱疹に関するよくある質問

- Q帯状疱疹やヘルペスはどの様にして感染するのですか?
- A
HSVは主に接触感染します。具体的には、感染者の唾液や発疹などの病変部位との直接接触で感染が広がります。
また、感染者がくしゃみや咳をした際に発生する小さな飛沫(飛沫感染)を近くで浴びることでも感染します。
特にHSV-1は以前幼少期に感染するケースが多かったのですが、最近は成人になってから初感染する人が増えています。
一方HSV-2は性交渉を通じた感染が主で、コンドーム使用の減少なども影響しているようです。
またHSV-1に感染していても、HSV-2にも感染する可能性があり、この場合無症状のケースが多いという特徴があります。
以上のように、HSVは主に唾液や病変部位との接触、性行為を通じて感染が広がっていきます。
予防するには感染者との接触を避けることや、性行為の際はコンドームを使用することが重要です。
- Q帯状疱疹になった場合主な症状はどの様なものですか?
- A
まず、一側の神経支配領域に合わせて、神経痛や知覚異常、痒みなどの症状が数日から1週間程度続きます。
その後、その部位に虫刺されような発疹が出現しはじめます。
この時期に発熱やリンパ節腫脹、頭痛などの全身症状も見られることがあります。
次第に発疹は浮腫性の紅斑となり、その上に小さな水疱が多数発生していきます。
水疱は中央が窪んだ形状で、中身は初め透明ですが、徐々に膿疱となり黄色くなっていきます。
6-8日程で水疱は破れてびらんや潰瘍に移行します。発疹出現から1週間程度の間は、新しい紅斑(こうはん)や水疱が続々と発生し皮疹が拡大していきます。
その後は治癒に向かい、およそ2週間程度でかさぶたとなり、3週間程度で脱落して治癒に至ります。
このように、帯状疱疹では一側性の神経症状に始まり、典型的な経過をたどる発疹が特徴的です。きちんと治療すれば自然に治癒していきます。
- Q帯状疱疹の合併症にはどの様なものがありますか?
- A
顔面や頭頸部に発症した場合、三叉神経支配領域に合わせて同側の顔面神経麻痺、味覚障害、内耳障害などを伴うことがあります(ラムゼイ・ハント症候群)。
この場合はステロイド全身投与が必要となります。まれに炎症が高度で脊髄前角まで及ぶと、上肢の運動麻痺や筋力低下を来すことがあります。
腹部に発症した場合、腹筋麻痺により腹部膨隆を来したり、便秘を伴うことがあります。
外陰部に発症した場合、膀胱直腸障害や尿閉を来す可能性があります。カテーテルが必要となることも。
このように、帯状疱疹では発疹部位によって、臓器麻痺や神経障害などさまざまな合併症を来す可能性があります。
特に顔面や腹部、外陰部への発症では重篤な合併症のリスクが高く、入院による集中的な治療が必要となることがあります。発症部位に応じた適切な対応が大切です。
- Q帯状疱疹はどの様に治療しますか?
- A
抗ウイルス薬の内服が基本となります。発症から治療開始が早いほど効果は高く、1日1回の内服で済む薬もあります。
痛みや炎症に応じて、鎮痛薬を併用します。全身症状が強い場合や合併症がある場合は、点滴による入院治療を行うこともあります。
帯状疱疹後神経痛が残る場合は、神経障害性疼痛の治療薬や、抗うつ薬、抗けいれん薬、神経ブロックなどで痛みを和らげます。
このように、抗ウイルス薬による早期治療が基本となりますが、個々の症状に応じて鎮痛薬や入院治療を適宜行い、後遺症の神経痛には種々の治療する必要があります。
発症初期からの適切な治療が重要です。
- Q帯状疱疹発症のきっかけはどんなものがありますか?
- A
過労やストレスなどによる免疫力の低下、加齢に伴う免疫力の低下、がんなどの疾患による免疫力の低下、糖尿病など免疫力が低下しやすい疾患、免疫抑制剤などを使用している場合があげられます。
特に夏から秋にかけての発症が多く、年齢とともにリスクは高くなる傾向にあります。50歳代以降から急増します。
高齢者や免疫抑制剤使用者では一旦治っても再発を繰り返すことがあり、注意が必要です。
このように、帯状疱疹の発症には免疫力の低下が大きく関係しています。
日頃からストレスコントロールや適度な運動、バランスの取れた食事などで免疫力を高めることが予防に重要です。
- Q帯状疱疹は他人に感染しますか?
- A
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって発症する疾患です。
このウイルスに対する免疫を持っていない人が、帯状疱疹の水ぶくれから漏れ出したウイルスに接触すると、水ぼうそうとして発症する可能性があります。
ただし、帯状疱疹自体が周囲の人にうつるわけではありません。既に一度水ぼうそうにかかったことのある人で、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得している場合は、帯状疱疹患者との接触から水ぼうそうを発症するリスクはほぼありません。
帯状疱疹の患者は、発疹部位を保護ドレッシングで覆い、手洗いを励行するなど、感染の拡大防止に努める必要があります。
特に、抵抗力のない妊婦や新生児、血液疾患患者などは注意が必要です。
一方で、帯状疱疹に対する誤解や偏見も根強く、患者は精神的苦痛を抱えがちです。正しい知識の共有と理解ある対応が求められています。
まとめ
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に潜伏し、再活性化することで発症する疾患です。
特徴としては、片側の神経支配領域に沿って痛みや発疹が発生することです。
発疹は小水疱が典型的で、数日で治癒します。
原因はウイルスの再活性化ですが、ストレスや免疫力低下が引き金となります。予防には健康管理が重要です。合併症として顔面麻痺や神経痛などの後遺症が残ることがあります。
治療としては抗ウイルス薬の早期投与が基本となります。
帯状疱疹は一般的な疾患ですが、症状や合併症に個人差があることから、発症時の適切な対応が大切になってきます。日頃から健康管理に心がけることが予防につながります。
出典
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構