免疫力とは
「免疫力」とは、一言で説明すると「体内の防御システム」のことです。
体内の防御システム
- 体内に侵入した病原体(ウイルスや細菌など)を攻撃し除去する能力
- がん細胞などの異常細胞を認識し排除する能力
免疫力が高いと、病原体に対する抵抗力が高まり、感染症にかかりにくくなります。
がん細胞の排除能力も高まるので、がんの発症リスクが下がります。
免疫機能を担う主な細胞には白血球がありますが、白血球を大きく分けると「リンパ球」、「単球」、「顆粒球」の3種類です。これらの免疫細胞はそれぞれに役割分担があります。
以下にその働きについて詳細を示します。
「リンパ球」
免疫細胞 | 働き |
---|---|
ヘルパーT細胞 | 異物が危険なものかを判断、攻撃の司令塔 |
キラーT細胞 | ウイルスに感染した細胞を破壊する |
制御性T細胞 | 免疫異常を起こさないように調整する |
B細胞 | 侵入した異物が危険なものかを判断 |
NK(ナチュラルキラー)細胞 | 細胞の中のウイルスやがん細胞を処理 |
「単球」
免疫細胞 | 働き |
---|---|
マクロファージ | 体内に侵入した細菌やウイルスを食べて死滅させる(食作用) |
樹状細胞 | 異物が体に入った時T細胞に情報を伝える |
「顆粒球」
免疫細胞 | 働き |
---|---|
好酸球 | 呼吸器や腸管に存在、寄生虫の感染に対する貪食細胞 |
好中球 | 白血球の50%以上を占める酵素の働きで食べた細胞を消化・殺菌 |
好塩基球 | 好酸球・好中球の移動を助ける、寄生虫から身体を守る |
免疫力が低下すると、さまざまな疾患にかかりやすくなります。花粉症やアレルギー反応が生じたり、ウイルスに感染したりします。
免疫力は生まれつきの体質によって個人差がありますが、日頃の生活習慣が深く関係していることも知られています。
免疫力は思春期までに形成され、20歳を過ぎると徐々に低下していきます。そのため日頃の健康管理が重要です。
免疫力を上げる方法
免疫力を上げることは、健康な体を維持するために大切なことです。高い免疫力があると、病気に対する抵抗力があり、健康で活力ある生活を送ることができます。
免疫力を上げるコツは様々ですが、特に重要なのが食事・サプリメント・運動です。それぞれの具体的内容について解説していきます。
免疫力を上げる食事
免疫力を高める食事には、バランスの良い栄養素と食物繊維の摂取が重要です。
まず、炭水化物・タンパク質・脂質などの栄養素をバランスよく取ることで、免疫細胞のエネルギー源となり活性化させます。
加えてビタミンA・ビタミンC・ビタミンE・亜鉛などの微量栄養素は、免疫細胞の機能強化や抗体産生に必要不可欠です。これらのビタミンやミネラルを多く含む食品を取り入れましょう。
特に腸内フローラとの関係が深いのが食物繊維です。食物繊維は腸内環境を整え、善玉菌を増やします。また食物繊維そのものにも便秘解消作用があることが知られています。
このように、バランスの良い食事と食物繊維の摂取を心がけることが、免疫力アップに有効です。
具体的に取るべき食材
分類 | 主な食材 |
---|---|
肉・魚・乳製品・大豆類 | 脂身の少ない肉(赤身の牛・豚や鶏肉)、魚(マグロ・かつお・いわし・さば)、卵、牛乳、乳製品(チーズ・ヨーグルト)、大豆、大豆製品(納豆・味噌・豆乳) |
野菜・果物 | 野菜・緑黄色野菜(小松菜・ほうれん草・にんじん・ビタミン・ピーマン)、果物(レモン・グレープフルーツ・いちご・キウイフルーツ) |
キノコ類 | しいたけ、まいたけ、しめじ、エリンギ、えのき |
発酵食品 | 納豆、味噌、しょうゆ、ぬか漬け、甘酒、チーズ、ヨーグルト、キムチ |
玄米・発芽米 | 玄米、胚芽米、そば、ひえ・あわ、全粒粉パン、ライ麦パン |
免疫力を上げるサプリメント
免疫力を高めるサプリメント選びでは、単体の栄養素だけでなく、複数の栄養素のバランスを考えることが大切です。
免疫力に深く関わるビタミンCや亜鉛などはもちろん大事ですが、それだけでは不十分です。免疫細胞は体の複雑な栄養バランスの上で初めて最高の働きができるのです。
そこでおすすめなのが、総合ビタミンやマルチミネラルと呼ばれるサプリメントです。
これらにはビタミンやミネラルが多種類含まれており、体の免疫機能に必要な栄養を網羅的に補給できます。
中でも食事からカバーしづらいビタミンD、亜鉛、セレンなどは重点的に確認しましょう。
こうした「栄養の協奏」こそが、免疫力アップに大切なポイントといえます。以下のページにてお勧めサプリメントの購入が可能です。
免疫力を上げる運動
免疫力を高める運動として、以下のポイントを押さえておきましょう。
免疫力を高める運動のポイント
- 有酸素運動を基本とする
ウォーキング、ジョギング、水泳など、全身持久力の向上につながる有酸素運動がおすすめです。 - 適度な負荷で行う
運動量は徐々に増やしていき、無理のない範囲で行います。特に高齢者はほどほどが大切です。 - ストレスが少ないものを選ぶ
散歩やゆっくりストレッチなど、リラックス効果もある運動が理想的です。 - 規則的に行う
運動を生活の一部として定着させることが免疫力アップには欠かせません。
適度な運動で身体を温め、新陳代謝も高めながらストレス解消できるライフスタイルが理想的です。
無理のない範囲で続けられる運動こそが大切です。
免疫力が下がる原因
免疫力を下げてしまう代表的な原因と対策は以下の通りです。
免疫力を下げてしまう代表的な原因と対策
- 栄養バランスの乱れや暴飲暴食
腸内の免疫細胞の力が落ちてしまうため、1日3食バランスのよい食事を心がけることが大切です。 - 睡眠不足や不規則な生活リズム
睡眠中に分泌される成長ホルモンが十分でないと免疫細胞が減少します。
体内時計を整えるために早寝早起きを心がけましょう。 - ストレス
自律神経の乱れで「IgA抗体」の分泌低下により免疫力が弱まります。
その結果病原体侵入を許すことになります。適度な運動や趣味によるリフレッシュが必要です。 - 過剰な運動
過剰な運動負荷によるストレスが自律神経に影響し免疫機能が抑制されてしまいます。
適度な運動を心がけるようにしましょう。 - 体の冷え
血流が悪化し免疫細胞の行き届きが悪くなり免疫力が低下します。
運動や入浴で体温を上げるようにしましょう。 - 喫煙
血流悪化や免疫細胞の減少などで免疫力が下がるため、禁煙が必要です。 - 高齢者や乳幼児
免疫細胞の減少や抵抗力の未発達で免疫力が低い。
食事などで補う必要があります。 - 妊娠時
妊娠中は免疫が低下するので、栄養や運動で下支えが必要です。
免疫力セルフチェック
免疫力の低下を確認するためのセルフチェックでは、以下の項目についてご自身の生活習慣を確認します。
免疫力の低下を確認の項目
- 風邪をひきやすい
- 睡眠時間の不足
- 高齢者である
- 食生活の偏り
- ストレスの蓄積
- 喫煙量が多い
- 運動不足
- 肌トラブルの多発
- 飲酒量が多い
これらの生活習慣の乱れや環境要因が、免疫力低下のリスク要因となります。
当てはまる項目が多いほど、免疫力が低下している可能性が高いです。
また、がん治療の化学療法、糖尿病、HIVなどの病気そのものや、先天性の免疫不全症候群なども免疫力低下の原因となります。
自覚症状や生活習慣の確認に加え、必要に応じて血液検査などの医学的検査を受けることも大切です。
免疫力に関するよくある質問
- Q免疫力を維持するのに「温めたほうがいい」って本当ですか?
- A
「体を温める」ことは免疫力維持に効果的です。
温めることで血行がよくなり、免疫細胞や栄養素の全身への行き渡りが良くなります。特に手足の末端部位は血行が悪くなりがちで、冷えは免疫力低下につながります。
温め方として、ぬるめのお風呂につかること、暖房を使うこと、温めた飲み物をとることなどがおすすめです。
寒さは血管を収縮させて血行不良を引き起こしますが、温かくすることで逆に血管を拡張して血行をよくします。
ただし、サウナのような高温も身体への負担が大きいので注意が必要です。ぬるま湯にゆっくりつかるのが理想的といえます。温めることと併せ、食事・睡眠・運動といった生活習慣の改善も大切です。
- Q何時に食事をするか。時間は免疫力に関係しますか?
- A
食事の時間は免疫力と深く関係しています。
時計遺伝子の働きにより、体の機能は朝から夜にかけて変化します。これに合わせて食事の時間も調整することが大切です。
特に夜遅くの食事は、体の休息モードに反するので問題です。
睡眠の質が低下し、消化吸収を司る腸内環境が乱れます。免疫細胞の働きも抑制されがちです。
一方で朝食は、体の活動モードに適合します。代謝が上がり、腸の働きも活発になるので、免疫力の源となる栄養分もしっかり吸収されます。
よって、規則正しい生活リズムを保つためにも、朝食を大切にし、夕食は早めに済ませることをおすすめします。食事のタイミングと免疫力は切っても切れない関係にあるのです。
- Q免疫力を強くするにはどうしたらいいですか?
- A
免疫力を強くするには、以下の点に注意しつつ生活習慣を見直すことが大切です。
1適度な運動を心がける
有酸素運動など、ほどよい負荷の運動で免疫細胞の活性化を図る。
2からだを温める
寒さは血行を悪化させるので、保温に努める。温浴もおすすめ。
3ストレスを軽減する
瞑想や趣味活動でストレス解消。笑顔も心がける。
4バランスのよい食事をとる
タンパク質、ビタミン、食物繊維をバランスよく取る。
5腸内フローラを整える
乳酸菌飲料や発酵食品を取り入れる。
免疫力の大部分は腸で作られることを知り、上記の生活改善を通じて腸内環境を整えることが根幹です。食事・運動・睡眠の習慣に注意しつつ、ストレス解消と温まり方にも気を配りましょう。
まとめ
免疫力とは体内の防御システムであり、その強化は健康な体作りに欠かせません。
免疫力アップの鍵となるのは、①食事、②サプリメント、③生活習慣の3つです。
食事面では、タンパク質を中心とした栄養バランスを重視します。
抗酸化作用のあるビタミンやミネラルも大切なマイクロ栄養素です。中でも免疫との関係が深いのが腸内環境。善玉菌を増やす食物繊維や発酵食品が効果的です。
サプリメントでは、総合ビタミン剤やマルチミネラルの摂取がおすすめ。単体だけでなく複数の栄養バランスを補完し免疫機能の維持に寄与します。
そして生活面では、適度な運動と睡眠の確保が大切です。運動で免疫細胞を活性化させ、睡眠中には自律神経と免疫力回復のためのホルモンが分泌されるからです。ストレス解消も忘れずに。
以上の食事・サプリメント・生活の3点を同時に改善していくことが、免疫力アップに有効なアプローチといえます。
食生活の見直しを基本に置きつつ、他の習慣も併せて改める習慣づけが大切です。
出典
免疫力を高める生活習慣(大塚製薬)
免疫力を高める食べ物は?食べ方も工夫しよう!(大正製薬)