ストロメクトールとは?各種イベルメクチンジェネリック医薬品との違いを解説

ストロメクトールとは?各種イベルメクチンジェネリック医薬品との違いを解説 薬・漢方薬・市販薬

ストロメクトールとは

ストロメクトールとは

ストロメクトールは、イベルメクチンを有効成分とする駆虫薬です。
先発薬で、商品名は「ストロメクトール」です。
腸管糞線虫症および疥癬などに対する、国内唯一の経口治療薬です。
市販薬はありません。病院に受診して医師に処方してもらう必要があります。
大村智により発見された放線菌ストレプトマイセス・アベルミティリスが産生する物質を元に、アメリカの製薬会社、メルク社(MSD)が開発しました。この成果が評価され、2015年にはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

・先発薬

商品名ストロメクトール【イベルメクチン】
画像ストロメクトール【イベルメクチン】
有効成分イベルメクチン3㎎
メーカーMSD(メルク・アンド・カンパニー)
購入サイトストロメクトール【イベルメクチン】の購入ページ

ストロメクトールの適応症

腸管糞線虫症(Strongyloidiasis)

糞線虫による腸管感染症。

オンコセルカ症(Onchocerciasis)

オンコセルカフィラリアによる皮膚および目の感染症。

疥癬(Scabies)

ヒゼンダニによる皮膚感染症。

フィラリア症(Lymphatic filariasis)

リンパ系に寄生するフィラリアによる感染症。

頭部シラミ症(Head lice infestation)

頭部に寄生するシラミによる感染症。

ストロメクトール作用機序

イベルメクチンは、広域スペクトル抗寄生虫薬であるアベルメクチン群に含まれ、独特な作用機序を持っている。
イベルメクチンは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl-チャンネルに選択的かつ高い親和性を持って結合する。
これにより、Cl-に対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極が生じ、その結果、寄生虫が麻痺を起こし、死に至る。
イベルメクチンは、特に、神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)によって活性化される他のリガンド作動性Cl-チャンネルとも弱いながらも相互作用するものと思われる。
このクラスの化合物が持つヒトでの安全域は、哺乳類ではグルタミン酸作動性Cl-チャンネルの存在が報告されていないこと、哺乳類の脳の特異的な結合部位に対するイベルメクチンの親和性が線虫に比べ約100倍低いこと、またラット等の哺乳類ではアベルメクチン類が血液-脳関門を容易には通過することができないという事実から確保されているものと考えられる。

参考(kegg)

ストロメクトール

ストロメクトールの用法用量

腸管糞線虫症

通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを2週間間隔で2回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。

疥癬

通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。

患者体重毎の1回当たりの投与量

体重(kg) 3mg錠数
15-24 1錠
25-35 2錠
36-50 3錠
51-65 4錠
66-79 5錠
≧80 約200μg/kg

参考(kegg)

ストロメクトール

ストロメクトールの特徴

安全性が高いので、安心して使用することが可能です。
重い副作用が少ないです。

ストロメクトールの副作用

主な副作用:吐き気、カユミ、めまいなど
重い副作用:中毒性表皮壊死融解症、Toxic Epidermal Necrolysis、TEN、皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、肝機能障害、黄疸、著しいAST上昇、著しいALT上昇、血小板減少、意識障害、昏睡、意識レベル低下、意識変容状態など
他の副作用:過敏症、そう痒の一過性増悪、蕁麻疹、Al-P上昇、下痢、食欲不振、便秘、腹痛、めまい、傾眠、振戦、無力症、疲労、低血圧、気管支喘息増悪、悪心、嘔吐、白血球数減少、リンパ球数増加、単球数減少、血尿

ストロメクトールの病気や症状に応じた注意事項

禁止:過敏症、爪疥癬
注意:易感染性、HIV感染、HTLVー1感染、オンコセルカ症、ロア糸状虫による重度感染、ロア糸状虫症

ストロメクトールの患者の属性に応じた注意事項

相対禁止:妊婦
注意:授乳婦、幼児、小児、高齢者

ストロメクトールと新型コロナウイルス

新型コロナウイルスに対する有効性を示す論文が、ユタ大学などの、海外研究チームにより公表されましたが、十分な裏づけがとれず疑義が指摘されたため取り下げられています。
また、北里大学イベルメクチン医師主導治験結果に関するお知らせでは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象として2020年8月から2021年10月まで実施した多施設共同プラセボ対象無作為化二重盲検医師主導治験(CORVETTE-1)の主要評価項目において、イベルメクチン単回投与群(200 μg/kg)とプラセボ投与群との間に統計学的有意差を認めなかったことをお知らせいたします。本試験の詳細な結果につきましては、現在論文投稿中であることを併せてお知らせいたします。本試験にご協力いただきました患者様と医療関係者をはじめとした関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。」
との報告があります。

参考

北里大学

イベルメクチンジェネリック医薬品の種類

イベルメクチンジェネリック医薬品の種類

有効成分は新薬と同じイベルメクチンで、その効き目や安全性は、厳しい試験により同等であると認められています。作用や相互作用のおこる頻度も新薬と同じです。
副作用、重い副作用も同じです。

イベルメクトール

商品名イベルメクトール【イベルメクチン】
画像イベルメクトール【イベルメクチン】
有効成分イベルメクチン12㎎
メーカーSun Pharma
購入サイトイベルメクトール【イベルメクチン】の購入ページ

イベルヒール

商品名イベルヒール【イベルメクチン】
画像イベルヒール【イベルメクチン】
有効成分イベルメクチン3mg、6mg、12mg
メーカーHealing Pharma(ヒーリングファーマ)
購入サイトイベルヒール【イベルメクチン】の購入ページ

イベルジョン

商品名イベルジョン【イベルメクチン】
画像イベルジョン【イベルメクチン】
有効成分イベルメクチン3mg、6mg、12mg
メーカーJohnlee Pharmaceutical Pvt Ltd
購入サイトイベルジョン【イベルメクチン】の購入ページ

ストロメクトールとジェネリック医薬品の違い

ストロメクトールとジェネリック医薬品の違い

ストロメクトールとジェネリック医薬品は、同一の有効成分、同一量含有しているので、効能・効果や用法用量も基本的には変わりません。安全性についても違いはありません。
※治療学的に同等ではあるものの、全く同じであるわけではなく、先発薬が製剤特許を有している場合には、異なる添加剤を使用してジェネリック医薬品が製造されることもあります。

参考

厚生労働省『ジェネリック医薬品への疑問に答えます』

ストロメクトールとジェネリック医薬品の薬価の違い

ジェネリック医薬品は、研究開発費が少なく、開発年数も3年から5年ほどでできるため、新薬よりも価格が安く設定されます。
ジェネリック医薬品がはじめて収載される場合、先発薬として収載された薬価に0.5(内用薬で銘柄数が10を超える場合は0.4)を乗じた額を薬価とすることが規定されています。
値段が安いから効果がないというのは、間違いです。

ストロメクトールとジェネリック医薬品の製造元とブランド

ストロメクトール:メルク社(MSD)
その他ジェネリック医薬品:様々な製薬会社によって製造・販売されてます。製造元により商品名が異なります。

ストロメクトールとジェネリック医薬品の添加物と製剤

ストロメクトール:特定の添加物や製造方法が使用されることがあります。
その他ジェネリック医薬品:製造元によって異なる添加物や製剤方法が使用されることがありますが、有効成分とその量は同じです。

ストロメクトールとジェネリック医薬品のパッケージと外観

ストロメクトール:パッケージデザインや錠剤の形状・色は一定です。
その他ジェネリック医薬品:製造元によってパッケージデザインや錠剤の形状・色が異なることがあります。

また。下記コラムでもイベルメクチンについて解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ

まとめ

  • ストロメクトールとジェネリック医薬品は、同じ有効成分「イベルメクチン」で、腸管糞線虫症および疥癬などに対する、国内唯一の経口治療薬です。
  • ストロメクトールとジェネリック医薬品では、薬価、添加物、パッケージデザインや形状・色が異なることがありますが、有効性や安全性について基本的に違いはありません。
  • ストロメクトールとジェネリック医薬品が、新型コロナウイルスに有効性があると、一部報道でありますが、北里大学やメーカーからの発表の通り、効果は認められていません。
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