イベルメクチンは動物用の薬?人間用との違いや適応症について解説

イベルメクチンは動物用の薬?人間用との違いや適応症について解説 薬・漢方薬・市販薬

イベルメクチンとは

イベルメクチンのイメージ画像

イベルメクチンは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智特別栄誉教授と米国のメルク社のウィリアム・C・キャンベル博士により開発された医薬品です。
静岡県の土壌から得られた放線菌からアベルメクチンという化合物を分離し、イベルメクチンが合成されました。
この発見により、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
イベルメクチンの詳しい説明はコチラのコラムご覧ください。

動物用のイベルメクチン

動物用イベルメクチンのイメージ画像

イベルメクチンは、元々は家畜の寄生虫感染症の治療薬として開発されました。
牛・羊・馬・犬・猫など、多くの動物に対する寄生虫感染症の予防および治療に使用されています。
動物用のイベルメクチンは、「内服薬」「注射薬」「外用薬」などさまざまな形態で利用されています。

犬・猫

犬や猫に対してもイベルメクチンは使用されます。
特に犬のフィラリア(心臓虫)予防薬として一般的です。
フィラリアは、犬糸状虫と呼ばれる寄生虫のことで、フィラリアが感染した状態をフィラリア症と呼びます。
また、疥癬や耳ダニの治療にも使用されます。

家畜

牛や羊などの家畜においては、胃腸の線虫や肺虫、外部寄生虫(例えばダニやシラミ)に対する治療および予防に使用されます。

馬に対して、寄生虫感染症による健康問題を防ぐためにイベルメクチンが定期的に投与されます。
馬の内部および外部寄生虫に対する高い効果が認められています。

人間用のイベルメクチン

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寄生虫感染症の治療

イベルメクチンは、1980年代に人間用の薬剤としても承認され、寄生虫感染症の治療に広く使用されています。主な適応症としては、疥癬・腸管糞線虫症で使用されます。

疥癬

ダニの一種であるヒトヒゼンダニという微小な寄生虫によって引き起こされる皮膚感染症です。
ダニが皮膚の角質層に穴を掘り、卵を産むことで激しいかゆみと赤い発疹が生じます。
かゆみは特に夜間に強くなり、手首、指の間、肘、膝、腹部などに好発します。

腸管糞線虫症

寄生虫である糞線虫によって引き起こされる感染症で主に熱帯および亜熱帯地域で見られます。
世界中に広がっています。感染は、汚染された土壌との接触を通じて皮膚から侵入する幼虫によって引き起こされます。症状は無症状から重篤なものまで様々で、腹痛、下痢、皮膚のかゆみ、呼吸器症状が含まれます。免疫力が低下している人では、感染が全身に広がる危険性があります。

商品名イベルヒール
画像イベルヒール
有効成分イベルメクチン
価格1錠270円~
メーカーHealing Pharma(ヒーリングファーマ)
購入ページイベルヒールの購入はこちら

イベルメクチンの動物用と人間用の違い

動物用と人間用の違いのイメージ画像

動物用のイベルメクチンと人間用のイベルメクチンは、基本的な有効成分は同じですが、配合成分や用量、形態が異なることがあります。
動物用の製品には、特定の動物種に適した補助成分が含まれている場合があります。
人間に使用すると予期しない副作用を引き起こす可能性があります。
また、用量が異なるため、動物用の製品を人間が誤用すると過剰投与による中毒のリスクがあります。

新型コロナウイルスへの期待と誤解

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新型コロナウイルスのパンデミックが発生すると、数種類の既存の医薬品で新型コロナウイルスの治療薬として有効か治験が行われました。
その中でもイベルメクチンも大きな注目を集めました。

初期の研究や臨床試験で、イベルメクチンが新型コロナウイルスの複製を抑制する可能性が示唆されました。
2022/9/30に治験を行った北里大学が「イベルメクチン単回投与群(200 μg/kg)とプラセボ投与群との間に統計学的有意差を認めなかった」と治験結果を公表しました。
そのため、新型コロナウイルスの治療薬としてのイベルメクチンの使用を推奨していません。

また、一部のメディアやインターネット上では、「イベルメクチンは動物用の薬であり、人間に対して使用するのは危険」という誤解が広まりました。
確かに、動物用の製品を人間が使用することはリスクがありますが、イベルメクチン自体は人間用としても承認され、安全に使用されています。
重要なのは、適切な用量と服用方法で使用することであり、医師の指導のもとで使用することが推奨されます。

参考

興和/新型コロナウイルス感染症患者を対象とした「K-237」(イベルメクチン)の第III相臨床試験結果に関するお知らせ|北里大学病院
北里大学イベルメクチン医師主導治験結果に関するお知らせ|北里大学病院

動物用製品の誤用によるリスク

イベルメクチン誤用のイメージ画像

動物用のイベルメクチンを人間が誤用するケースが報告されています。特に、COVID-19に対する効果が期待されたことから、一部の人々が動物用の製品を使用するという誤った選択をしたことが問題となりました。

過剰投与

動物用の製品は人間に比べて用量が高く設定されていることが多く、人間が誤用すると過剰投与となり、中毒症状を引き起こす可能性があります。

不純物

動物用の製品には、人間用に比べて純度が低い場合があり、不純物が含まれている可能性があります。これが健康に悪影響を及ぼすことがあります。

誤った適応症

動物用のイベルメクチンは、特定の動物種に対して特化した配合成分が含まれていることがあり、人間に使用することは安全性が確立されていない場合があります。

まとめ

イベルメクチンは、動物用としても人間用としても重要な医薬品です。
その発見と利用は多くの寄生虫感染症の治療において多くの人が使用しています。
しかし、動物用の医薬品としてのイベルメクチンと人間用の医薬品としてのイベルメクチンには違いがあり、誤用によるリスクも存在します。
新型コロナウイルスのパンデミックを通じて、イベルメクチンに関する誤解が広がりましたが、正確な情報を基にした適切な使用をすることが大切です。

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