紙巻たばこと加熱式たばこを比較・体へのリスクや違いを解説

紙巻たばこと加熱式たばこを比較・体へのリスクや違いを解説 禁煙

「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」とは

「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」とは

たばこを吸っている人であれば良く知っていることですが、実は一言で「たばこ」と言っても、従来の「紙巻たばこ」から始まり、「加熱式たばこ」「電子たばこ」などがあります。
今回は「紙巻たばこ」「加熱式たばこ」に着目して解説していきます。

「紙巻たばこ」

私たちがよく見かける最もメジャーなたばこです。読んで字のごとく細かく刻んだたばこの葉っぱを紙で細長く巻き上げたものであり、マッチやライターなどで直接先端に火をつけることで使用することができます。
紙巻たばこの構造をもっと詳しく知りたい方は下記リンクを見てみましょう。

紙巻たばこ(シガレット) | JTウェブサイト
私たちが普段よく見かける最もメジャーなたばこ「紙巻たばこ(シガレット)」についてのご紹介です。「紙巻たばこ(シガレット)」の発祥や構造をご紹介しています。

紙巻たばこを一部紹介しますと、メビウス、セブンスター、キャメル、ピース、ウィンストン、ピアニッシモ、ホープ、ナチュラルアメリカンスピリット、ハイライトなどが販売されています。

「加熱式たばこ」

たばこの葉っぱを使用すること自体は同じですが、たばこの葉を燃焼させず、代わりに電子デバイスを用いて電気で加熱する事で煙を発生させるものを言います。日本国内では平成26年から順次発売が開始されました。
加熱式たばこの構造をもっと詳しく知りたい方は下記リンクを見てみましょう。

加熱式たばこ | JTウェブサイト
たばこ葉を燃焼ではなく、直接又は間接的に加熱させ、発生する蒸気(たばこベイパー)を楽しむ製品「加熱式たばこ」についてご紹介します

日本では、「アイコス IQOS (PMI)」「プルームテック Ploom TECH (JT)」「グロー glo (BAT)」などの商品名で販売されています。

喫煙による体へのリスク

喫煙による体へのリスク

喫煙が体に悪いんだということは誰もが知っている事ですよね。
ではたばこの最も有害な物質は何でしょうか。それは「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」になります。
その他にも70種類以上の発がん性物質が含まれていますが代表格はこの3物質なんです。それではこれら物質は我々の体にどのようなリスクを与えるのでしょう。

成分作用
ニコチン末梢血管を収縮させ、心拍数を増やし、血圧を上昇
(強い依存性がありたばこをやめられなくなる原因物質)
タール多くの発がん物質
一酸化炭素血液が運ぶ酸素の量を減少、動脈硬化の進行

たばこを吸うことで最低でもこれら3成分の作用を体に取り込むこととなります。
もっと詳しいリスクについて次のリンク先を参照ください。

以上を踏まえた上で「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」の体に与えるリスクを比較して見ていきましょう。

「紙巻たばこ」による体へのリスク

本人が吸っている煙である主流煙と、たばこの燃焼部から出る周囲の人が吸い込む可能性のある煙「副流煙」があり、この煙に多くの有害物質が含まれています。
主流煙には吸い口にフィルターが設置されており、これにより煙をろ過してタールやニコチンを減らすことができます。
副流煙にはフィルターがありませんので100%有害物質を垂れ流しています。
つまり紙巻たばこを吸っている本人よりも周りにいる喫煙者の煙を吸っている人の方がフィルターでろ過されていない純度100%の有害物質を体内に取り込む可能性があり、呼吸器系や心血管系による影響や、肺がんや気管支炎、動脈硬化などのリスクが増加します。
ただし喫煙者もフィルターで煙をろ過しているからと言ってこれらリスクがゼロではありません

「加熱式たばこ」による体へのリスク

葉を燃焼させず、加熱する事で発生する蒸気を楽しむ製品です。
そのため従来の紙巻たばこと比較して発がん性物質やタールの生成が低減されると言った特徴があります。
また火を使用していないため先端から煙が発生しないことから、副流煙による周囲の人へのリスクがありません。しかし周囲の人には気化したニコチンや喫煙者が吸って吐いた息に含まれている有害物質を取りこむことによるリスクが発生する可能性もまたゼロではありません

加熱式たばこは体に良いは間違い

加熱式たばこは、煙が出ないため副流煙はなく、葉を燃焼しないため主流煙には低減された有害物質が発生すると言われています。
しかし有害物質は少ないが健康被害が少ないということではありません

加熱式たばこはたばこ葉を燃焼させず、加熱してエアロゾルを生成します。
これにより、従来の紙巻たばこよりも発がん性物質や有害物質の生成が減少すると言われています。

しかし、これらエアロゾル中にも減少したとは言え依然としてニコチンや有害な物質が含まれていることは事実です。その成分の全てが安全であるという証拠もありません。
つまり加熱式たばこの有害性について正しく理解をすることが大切です。
加熱式たばこは、紙巻たばこと同様に主流煙にはニコチンや他の有害物質を含んでいるため健康に悪影響を与える可能性は十分ありえます。
加熱により有害成分が減るとされていますが、それでもニコチンはそのまま残るため依存性は変わらず、安全なレベルの有害性はないと考えられています。
加熱式たばこの蒸気や呼気にも目に見えない有害物質が含まれており、周囲の人への健康影響が指摘されています。特に喘息や化学物質過敏症の人は注意が必要です。
したがって、加熱式たばこは、「体に良い」という効能はなく、むしろ有害性があることを正しく理解する必要があります。

「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」のシェア率

「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」のシェア率

紙巻たばこと加熱式たばこはどちらが人気なのでしょうか。
双方のシェア率を見てみると、2020年時点において「紙巻たばこ」の割合が男性79.0%女性77.8%であり、「加熱式たばこ」の割合が男性27.2%女性25.2%であると報告されています。

この結果を見るとまだ紙巻たばこの割合が多く市場を押さえています。
「紙巻たばこ」は伝統的で歴史のある喫煙形態であり、世界中で幅広く消費されています。
しかし、近年では喫煙者の健康意識の向上や禁煙キャンペーンの影響などにより、紙巻たばこのシェア率が減少しているという傾向も見られます。各国の厳格なたばこ規制や禁煙施策も、紙巻たばこ市場に影響を与えています
加熱式たばこは、紙巻たばことは異なる喫煙体験を提供することから、近年急速に普及しています。
この新しい技術を用いたたばこ製品は、一部の喫煙者にとって従来の紙巻たばこに代わる選択肢となっています。
この新しい喫煙形態が市場に登場したことで、紙巻たばこのシェア率に変動が生じています。喫煙者の中には健康意識の向上や社会的な制約を受け、より安全とされる「加熱式たばこ」に切り替える人が今後も増えて来ることでしょう。

悩むくらいなら禁煙しましょう

悩むくらいなら禁煙しましょう

喫煙者にとって、紙巻たばこを続けるか、それとも健康を考えて加熱式たばこに変更するかという選択は、なかなか難しいものです。
しかし、私たちの健康と未来のために、悩むくらいなら禁煙を選ぶことが賢明な選択ではないでしょうか。
喫煙は、数多くの健康リスクを伴います。心臓病、がん、呼吸器疾患などがその代表例です。長年の研究がこれらのリスクを明らかにしていますが、その中でも悩む要因となるのが、「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」の違いです。

加熱式たばこが登場して以降、喫煙者は新しい選択肢を手に入れました。
しかしこの選択が健康にどれほど影響を与えるのかはまだ不透明な部分があります。確かに、紙巻たばこよりも少ない有害物質が含まれていると言われていますが、それが無害であるかどうかはまだ十分に検証されていません。そして健康被害が少ないとは一言も言っていません。
そこで私たちにとってのベストな選択は、悩むことなく禁煙に踏み切ることです。
若年者であれ高齢者であれどんな年齢であっても、禁煙により健康の向上にはつながります。

禁煙による健康効果は早ければ早いほど大きいと言われています。
たとえば、禁煙後1ヵ月で呼吸器症状の改善が見られ、1年後には肺機能が向上します。
心臓発作のリスクが24時間で低下し、数年後には心血管疾患や脳梗塞のリスクも減少します。
また、禁煙は単なる健康改善だけでなく、日常生活においても変化をもたらします。それは家族や周囲の人々からの支持や喜び、ストレスの軽減などが挙げられます。禁煙はあなたの人生において、より良い未来への第一歩となります。
悩むくらいなら、自分の健康と未来のために、禁煙に踏み切りましょう。そうする事により健康的で充実した人生が待っているのですから。

紙巻たばこ・加熱式たばこに関するよくある質問

紙巻たばこ・加熱式たばこに関するよくある質問
Q
加熱式たばこで禁煙にチャレンジできますか?
A

加熱式たばこを使用して禁煙にチャレンジすることは、国立がん研究センターの調査研究によれば、通常の禁煙方法よりも成功率が37%低下する可能性があると報告されています。
さらに、加熱式たばこの使用が逆にニコチン依存を助長する可能性があります。
加熱式たばこは、通常のたばこに比べ発癌性物質を減らした製品ですが、依然としてニコチンを含んでいるため、ニコチン依存からの脱却を妨げる可能性が指摘されています。
したがって、加熱式たばこを使用しながらの禁煙はおすすめできません。加熱式たばこはあくまでも害緩和型のたばこ製品であり、禁煙補助薬のような効果は期待できません。
禁煙したい場合には、ニコチンパッチや禁煙外来などの本格的な禁煙治療を受けることを強くおすすめします。加熱式たばこではなく確実な禁煙法を使うことで、たばこのニコチン依存から脱却できる可能性が高まります。

Q
加熱式たばこは煙がないから、周囲への受動喫煙は発生しませんか?
A

加熱式たばこは、紙巻たばこと比べて有害な物質の含有量が少ないとされていますが、完全に無害とは言えません。
加熱式たばこでは、室温でニコチンなどが気化しており、目に見えない形で使用者が吸入しています。そのため、煙が見えず、周囲への影響が少ないように感じることがあります。
ただし、使用者が吐き出す息の中には、ニコチンや他の化学物質が含まれており、これらは周囲の空気と混ざり合い、他人が吸入することで受動喫煙のリスクが生じます。
特に室内などの密閉空間では、こうした物質の濃度が高くなる可能性があるため、加熱式たばこからの受動喫煙による健康影響を完全に否定できるわけではありません。
よって、加熱式たばこは紙巻たばこほどではないにせよ、ある程度の受動喫煙リスクが存在すると考えられます。屋内では吸わないなど、配慮する必要があるでしょう。科学的根拠はまだ十分とは言えず、今後も研究が必要だと思われます。

Q
紙巻たばこから加熱式タバコに替えると、健康の心配は無くなりますか?
A

大きな間違いです。
加熱式タバコに切り替えることが、健康上の心配を完全になくすものではありません。加熱式タバコは紙巻タバコと同程度の量のニコチンを体に取り込みます。心筋梗塞や脳梗塞のリスクについても、これまでの研究では有害性が変わらない可能性が示唆されています。
また、現時点では加熱式タバコの長期的な影響についてはまだ確認されていない部分があります。研究が進むにつれて新たな知見が得られる可能性がありますが、現時点では安全と断言することは難しいです。
以上を踏まえ、タバコの摂取は健康に対する悪影響をもたらす可能性が高く、喫煙を減らすか完全にやめることが最も健康的な選択であるとされています。

Q
壁や人から臭ってくる「たばこの臭い」も、からだに悪影響ですか?
A

壁や人から臭ってくる「たばこの臭い」も、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
この臭いは、たばこの煙に含まれる有害物質が残留しているため、それを吸い込むことで健康被害が発生することが考えられます。これは一般に「残留受動喫煙」または「三次喫煙」と呼ばれます。
たばこの煙には発がん性物質や有害物質が含まれており、これらの物質が壁や家具、衣服などに吸着して残留することが知られています。たとえ部屋が禁煙であっても、喫煙者がその部屋で喫煙していた場合、部屋の中の表面や物体にこれらの有害物質が付着することがあります。
これらの物質が吸い込まれると、呼吸器系や皮膚などに影響を与える可能性があります。特に小さな子どもや妊娠中の女性、高齢者などが影響を受けやすいとされています。呼吸器疾患やアレルギーの悪化、発がんリスクの増加などが考えられます。
そのため、たばこの臭いが残留している環境での長時間の滞在は避け、禁煙環境を保つことが重要です。喫煙者と非喫煙者の健康を守るためには、禁煙が望ましい選択とされています。

Q
加熱式たばこであっても禁煙したほうが良いの?
A

一般的には禁煙が最も健康的な選択です。加熱式たばこは通常、紙巻たばこの代替品として位置づけられていますが、それでも喫煙に伴う健康リスクを完全に排除するものではありません。以下はその理由です:
①加熱式たばこも通常、ニコチンを含んでいます。ニコチンは中毒性があり、依存症を引き起こす可能性があります。禁煙によって、これらの依存から解放されることができます。

②加熱式たばこは比較的新しい製品であり、その長期的な健康影響についてはまだ研究が進行中です。新しい製品であるため、未知の有害物質やリスクがある可能性があります。


③加熱式たばこには、通常のたばこのよりも少ない有害物質が含まれているとされていますが、その具体的な効果や利点については確定的な情報がまだ十分でないことがあります。


④禁煙は速やかな健康改善をもたらします。心臓発作のリスクの低下、呼吸器症状の改善、免疫機能の回復などが早い段階から見られます。


⑤健康を向上させるためには、単にたばこを変えるだけでなく、禁煙といった包括的なアプローチが重要です。禁煙は生活全体にポジティブな変化をもたらします。
したがって、健康を最優先に考えるのであれば、喫煙をやめることが最良の選択とされています。医療の専門家や禁煙プログラムを利用して、喫煙から解放され、健康な生活に向けて一歩を踏み出すことを検討してください。

まとめ

喫煙がもたらす健康へのリスクは、科学的に十分実証されています。「紙巻たばこ」と「加熱式たばこ」についての研究が進む中、その違いや影響について洞察を深めることはとても重要です。
紙巻たばこの喫煙は、心臓病、がん、呼吸器疾患などの多くの疾患のリスクを高めることが確認されています。これらの病気は生涯にわたり喫煙によって引き起こされる可能性があります。

一方で、加熱式たばこは新しい技術であり、まだ健康への影響が十分に研究されていません。現時点ではたばこの葉を燃焼しないため有害物質が少ないとされていますが健康被害が少ないと言っているわけではありません。
いずれも中毒性があり、ニコチンによる依存症のリスクが伴います。この中毒性が禁煙を難しくし、健康被害を継続させる原因となっています。
仮に喫煙者が健康被害を最小限に抑えるためには、たばこから完全に手を引く禁煙が最も効果的な方法となります。
禁煙することにより、体への有害物質の摂取が停止され、確実に健康が向上します。禁煙は決して手遅れと言うことはありません。
年齢に関係なく、禁煙によって健康のメリットが期待できます。早ければ早いほど効果が大きいですが、どの段階でも健康へのプラスの影響が見込めます。
したがって喫煙で悩むくらいなら、禁煙への挑戦こそが自分の健康を守る最善の選択となります。禁煙は未来の自分へのプレゼントであり、健康な人生の第一歩です。

たばこの使用と健康の関連性において、「紙巻たばこ」も「加熱式たばこ」も健康に対するリスクを伴うことは理解できたのではないでしょうか。
科学的な知見から導き出される結論は明確で、細かいことに悩むくらいなら禁煙への積極的な取り組みこそが、健康を守り、より豊かな生活を築く一歩となるでしょう。

出典

一般社団法人日本呼吸器学会「加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解と提言」(2019)
禁煙支援マニュアル(第二版)増補改訂版
厚生労働省「国民健康・栄養調査」
JT「紙巻たばこ」
JT「加熱式たばこ」
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