低用量ピル「トリキュラー」とは?

ピルは配合されているホルモン量・種類によって「超低用量ピル」「低用量ピル」「中用量ピル」「アフターピル」にわかれていますが、トリキュラーはこの中でも「低用量」に分類される薬剤です。
卵胞ホルモン「エチニルエストラジオール」と黄体ホルモン「レボノルゲストレル」が成分として含まれており、避妊や生理痛の改善に使用されます。
さらに低用量ピルの中で、ホルモンの量がずっと同じである1相性と3段階に変化する3相性がありますが、トリキュラーは3相性に含まれます。
【先発薬】
商品名 | トリキュラー |
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一般名 | エチニルエストラジオール0.03mg レボノルゲストレル0.05mg |
価格 | 1箱あたり1055円~ |
メーカー | Bayer(バイエル) |
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【後発薬】
●トリフリー【トリキュラージェネリック】
トリフリーは、SAVA社が製造販売している低用量ピル「トリキュラー」のジェネリック医薬品です。
商品名 | トリフリー |
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一般名 | エチニルエストラジオール0.03mg レボノルゲストレル0.05mg |
価格 | 1箱あたり916円~ |
メーカー | SAVA |
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●ロジノンED【トリキュラー海外版】
ロジノンEDはトリキュラーの海外市場版で、同一メーカーによる別名商品です。
商品名 | ロジノンED |
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一般名 | エチニルエストラジオール0.03mg レボノルゲストレル0.05mg |
価格 | 1箱あたり4400円~ |
メーカー | Bayer(バイエル) |
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ピルにある超低用量・低用量・中用量の比較

ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類のホルモンが含まれていますが、「超低用量ピル」「低用量ピル」「中用量ピル」の順に卵胞ホルモン量が多くなります。
中用量ピルは生理日の移動を目的に、アフターピルは緊急的な避妊を目的に使用されます。卵胞ホルモンの量が少ないほど副作用は少なくなるので、超低用量ピルが最も副作用発現リスクは少ないと考えられています。
低用量ピルは、含まれている黄体ホルモンの種類によって第1世代~第4世代に分かれます。
第1世代~第4世代までそれぞれ特徴がありますので、目的や体質によってピルを選ぶと良いでしょう。
第1世代は「ノルエチステロン」が含まれており、出血量が減少しやすい特徴があります。さらに、月経困難症のコントロール、ニキビ改善やPMS軽減にも効果的です。
第2世代は「レボノルゲストレル」が含まれるものです。トリキュラーは第2世代に該当しますが、不正出血を起こしにくいという特徴があります。
第3世代は「デソゲストレル」が含まれています。男性ホルモンの作用を抑える特徴があるため、ニキビ改善や多毛症改善に期待されています。
第4世代は「ドロスピレノン」が含まれており商品名としてはヤーズが該当します。ほかの世代と比べて副作用が起こりにくい傾向があります。
トリキュラーの効果

トリキュラーを服用することで、「避妊」「生理痛・PMSの改善」効果が期待できます。
トリキュラーは、妊娠しているときと同じ子宮内膜の状態を引き起こすことで避妊効果を発揮します。
エイズや性感染症の予防効果はないため注意が必要です。
避妊効果
低用量ピルは毎日正しく服用すると、99%の確率で避妊が期待できるといわれています。
低用量ピルに含まれる黄体ホルモンと卵胞ホルモンが脳の視床下部に作用し、排卵を起こすためのホルモン分泌を抑制します。
結果、排卵が起こらず、避妊効果が高まるのです。加えて、トリキュラーは子宮頚管の粘液の性質を変化させます。
粘液が多いと精子が子宮頚管の中を通過しやすくなり、着床の可能性が高まりますが、トリキュラーは粘液を少なくします。
正しくコンドームやピルを服用しない場合、避妊できる率は15%といわれていますので、妊娠のリスクをできるだけ低くしたいときはトリキュラーの服用がおすすめです。
生理痛・PMS改善効果
トリキュラーを服用すると、生理痛が軽減します。子宮内膜からプロスタグランジンという物質が分泌され、子宮が収縮すると、生理痛が起こります。
しかし、トリキュラーを服用すると子宮内膜が薄い状態で維持され、プロスタグランジンの分泌を抑制することができます。結果、生理痛も緩和されるのです。
また、月経開始前に精神的な不快な症状(PMS)があらわれることがありますが、ホルモンのバランスが乱れているためです。
ピルを服用し続けるとホルモンバランスがコントロールされますので、PMSの症状改善効果も期待できます。
トリキュラーの特徴

トリキュラーは第2世代の黄体ホルモン「レボノルゲストレル」が含まれている3相性の低用量ピルです。3相性は1相性よりも副作用が起こりにくいといわれています。
また、レボノルゲストレルは不正出血が起こりにくい特徴を持っているため、他のピルで出血に悩まされた方はトリキュラーがおすすめです。
しかし、副作用が軽減されたとはいえ全くないということはなく、悪心や嘔吐、血栓症の発現は報告されているため、注意が必要です。
トリキュラーのメリット
●副作用が軽い
女性の体内では、月経周期にあわせてホルモン量が変化していきます。トリキュラーはホルモン量が3段階にわかれて変化する3相性に分類されますが、3相性は人間のホルモン分泌により近いため、低用量ピルの副作用として出やすい不正出血が少ないというメリットがあります。
トリキュラーのデメリット
●血栓症リスクがある
トリキュラーの中で気を付けなければならない副作用に「血栓症」があります。数万人に1人程度の確率ではあるものの、発症すると脳梗塞や心筋梗塞につながってしまいます。
激しい胸の痛みや頭痛、片足だけ痛いといった症状は血栓症の可能性がありますのですぐに医療機関を受診しましょう。
血栓症を起こしやすい要因として、「タバコ」「高血圧」「糖尿病」「肥満」があります。
特にタバコは血栓症リスクを10倍に上昇させるとも言われているため、注意が必要です。
1日15本以上タバコを吸う人はトリキュラーを服用することができません。
血栓症の特徴
- 突然手足がしびれる・痛む・腫れる
- 激しい頭痛が起こる
- 喋りにくくなったと感じる
トリキュラーの正しい服用方法

トリキュラーには「トリキュラー21」と「トリキュラー28」があります。それぞれ錠数をあらわしています。
トリキュラー21
トリキュラー21は1シートに21錠の薬剤が入っています。
生理が開始した日を起点に飲み始め、1日1回1錠服用します。シートに記載された順番で飲むようにしましょう。
赤色が6錠、白が5錠、黄色が10錠入っていますのですべて飲んだら、7日間休薬します。その後次のシートを開始します。
毎日同じ時間に服用する習慣をつけると、飲み忘れなく継続することができます。
トリキュラー28
トリキュラー28は1シートに21錠の実薬と7錠の偽薬が入っています。実薬は薬の成分が含まれているもので効果を発揮します。
一方で偽薬はプラセボとも呼ばれるものでホルモンが配合されていません。偽薬は大きい白色の錠剤となっています。
シートに記載されている順番で服用する点は「トリキュラー21」と同じですが、偽薬が含まれているので飲み忘れのリスクが少ない点が特徴です。
トリキュラーの副作用

トリキュラーの副作用として最も注意するべきは「血栓症」です。
血栓で血管が詰まってしまう病気で、発現率としては数万人に1人程度の確率ですが、発症すると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。
下肢が急激に痛くなる、胸の痛み、四肢の脱力などは血栓症の可能性がありますので、すぐに投与を中止してください。
また、喫煙は血栓症の原因となるため、薬を飲んでいる期間は可能な限り控えることが推奨されています。
その他出やすい副作用としては悪心が最も多く約30%で発現します。
嘔吐や頭痛、下腹部痛、不正出血なども報告されていますが、一定期間服用を続けると落ち着いてくるケースが多いとされています。
低用量ピルに関するよくある質問

- Qトリキュラーは第2世代の薬剤ですが、第1世代との違いは何でしょうか。
- A
低用量ピルと超低用量ピルは開発された順番で第1世代~第4世代まで分類されます。それぞれ卵胞ホルモンの種類は同じで異なるのは黄体ホルモンの種類です。
第2世代のトリキュラーは「レボノルゲストレル」という成分が含まれていますが、第1世代は「ノルエチステロン」が配合されています。
第2世代の黄体ホルモンは第1世代より作用が強まっており、一方でニキビや多毛といった副作用の発現率も少し高くなっています。
- Qトリキュラーを飲み忘れてしまった場合にはどうしたらよいでしょうか。
- A
飲み忘れが1日分であれば、気づいた段階で前日分を早めに服用し、その後も通常通りに服用してください。
ただし、白い大きい錠剤は偽薬なので、飲み忘れても問題ありません。
2日以上飲み忘れてしまった場合は、服用を中止して次の月経後新しいシートからはじめてください。
飲んでいない期間は妊娠の可能性が高くなるので、どうしても避妊を希望する場合は低用量ピル以外の方法を行うと良いでしょう。
- Q生活していくうえで気を付けることはありますか?
- A
長い期間ピルを服用する場合は、定期的に検査を行うことが推奨されています。
目安としては6カ月ごとに問診と検診(血圧測定、乳房・腹部の検査、臨床検査など)を行うと良いでしょう。
また、異常があったらすぐに医療機関に相談しましょう。
例えば、血栓症と思われる症状がみられた場合や、休薬機関に2回連続して月経が来ない場合です。
- Qピルを飲むと太るのでしょうか?
- A
低用量ピルが直接的に体重を増加させることはありません。低用量ピルの副作用の1つにむくみがありますが、身体がむくむことで体重が増加したと思う方がいらっしゃります。
また、黄体ホルモンは食欲増進作用を持っています。食欲が増し、食べ過ぎてしまうことで体重増加につながる可能性もあります。
最後に
トリキュラーは日本で最も処方されている低用量ピルになります。服用を続けることで、避妊効果だけではなく生理痛の改善やPMSの症状軽減なども見込めます。
副作用は飲み続けていると落ち着くケースが多いですが、血栓症には注意が必要です。
異常が見られた場合にはすぐに医療機関に相談しましょう。
トリキュラーのような薬剤は服用し続けるため、費用負担が気になる方も多いかもしれません。
しかし、後発品もございますので、治療費用が気になる方は後発品の服用を検討してみてもよいかもしれません。
出典
くすりのしおり トリキュラー錠28
kegg.jp 医療用医薬品:トリキュラー