パキロビッド

成分名

パキロビッド

適応症状

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) など

簡易説明

「パキロビッド」はアメリカのファイザー社が開発した抗ウイルス剤で、ニルマトレルビルおよびリトナビルを併用した新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の治療薬として使用されます。
「パキロビッド」は新型コロナウイルスに見られる主要なタンパク質をより小さなポリペプチドや単一のアミノ酸への分解を触媒とする経口活性のある加水分解酵素で、酵素の触媒であるチオセリン残基に直接結合する電子対の共有をともなう化学結合型の阻害剤です。

処方可能な診療科目

健康保険適応外
*保険外併用療養費制度において「保険診療との併用」が認められます。

健康保険の適応

内科/感染症内科など

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
*病院によって差が有り。初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2022年2月10日(特例承認)

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

パキロビッドパック

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

「パキロビッド」はアメリカのファイザー社が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の治療薬として開発した抗ウイルス剤で、抗ウイルス剤であるニルマトレルビルと、抗HIV薬のリトナビルを合わせて服用する薬です。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の発症から5日以内に投与することで、重症化を抑える効果が期待されます。
ただし、薬が他の薬の濃度を変動させる相互作用を起こす可能性があり、医療機関に対しては「パキロビッド」を使用した治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には事前に相談するよう指導したり、投与前に服薬中のすべての薬剤を確認することを求めています。
「パキロビッド」は薬が他の薬の濃度を変動させる相互作用により、薬剤の血中濃度が上昇して、不整脈、血液障害、血管攣縮などを起こるおそれあるため、腎機能や肝機能に障害ある患者に対しては、投与量等に留意が必要となっています。
「パキロビッド」は新型コロナウイルスのアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、ラムダ株、オミクロン株に対して抗ウイルス活性が確認されていますが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の無症状の患者に対しては臨床試験は行っておらず、有効性や安全性が確認されていません。

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

効果・作用」を参照

使用方法

成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mgおよびリトナビルとして1回100mgを、同時に1日2回、5日間経口投与します。

副作用

重大な副作用には以下のものがあげられます。(いずれも頻度不明)
 ・肝機能障害
 ・中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
 ・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)

また、その他の副作用として以下のものがあげられます。
 ・味覚不全
 ・浮動性めまい
 ・高血圧
 ・下痢、軟便
 ・悪心、嘔吐、消化不良、胃食道逆流性疾患
 ・ALT上昇、AST上昇
 ・発疹
 ・筋肉痛

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

・HIV感染患者はHIVプロテアーゼ阻害剤に対する耐性が生じる可能性があるため留意が必要です。
・腎機能障害患者はコルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがあるため投与できません。
・肝機能障害患者はコルヒチンの血中濃度が上昇するおそれがあるため投与できません。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
・小児等を対象とした臨床試験は実施していません。

上記にあてはまる方は、パキロビッドを使用する事が出来ない可能性があります。
パキロビッドを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

競合的作用で以下薬剤の血中濃度が大幅に上昇して、不整脈や血液障害、血管攣縮などの重篤または生命に危険を及ぼすような事象が起こるおそれがあります。
・アンピロキシカム(肩関節周囲炎などの消炎鎮痛に用いられるフルカムカプセル)
・ピロキシカム(肩関節周囲炎などの消炎鎮痛に用いられるパキソカプセルほか)
・エレトリプタン臭化水素酸塩(片頭痛治療薬レルパックス錠ほか)
・アゼルニジピン(高血圧症治療薬カルブロック錠ほか)
・オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(高血圧症治療薬レザルタス配合錠)
・アミオダロン塩酸塩(心室細動などの治療に用いられるアンカロン錠ほか)
・ベプリジル塩酸塩水和物(心室細動などの治療に用いられるベプリコール錠)
・フレカイニド酢酸塩(不整脈治療に用いられるタンボコール錠ほか)
・プロパフェノン塩酸塩(不整脈治療に用いられるプロノン錠ほか)
・キニジン硫酸塩水和物(心房粗動等の治療に用いられるキニジン硫酸塩錠100mg「ファイザー」ほか)
・リバーロキサバン(静脈血栓塞栓症などの治療に用いられるイグザレルト錠ほか)
・リファブチン(抗菌剤ミコブティンカプセル)
・ブロナンセリン(統合失調症治療に用いられるロナセン錠ほか)
・ルラシドン塩酸塩(統合失調症治療などに用いられるラツーダ錠)
・ピモジド(統合失調症治療などに用いられるオーラップ(販売中止)ほか)
・エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(片頭痛などの治療に用いられるクリアミン配合錠)
・エルゴメトリンマレイン酸塩(子宮収縮促進等に用いられるエルゴメトリンマレイン酸塩注0.2mg「F」)
・ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩(起立性低血圧等の治療に用いられるジヒドロエルゴタミンメシル酸塩錠1mg「イセイ」)
・メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(子宮収縮促進等に用いられるパルタンM錠ほか)
・シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ)(勃起不全治療に用いられるレバチオ錠ほか)
・タダラフィル(アドシルカ)(肺動脈性肺高血圧症の治療に用いりアドシルカ錠)
・バルデナフィル塩酸塩水和物(勃起不全治療に用いられるレビトラ錠ほか)
・ロミタピドメシル酸塩(ホモ接合体家族性高コレステロール血症の治療に用いられるジャクスタピッドカプセル)

腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがあります。
・ベネトクラクス〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉(ベネクレクスタ錠)

過度の鎮静や呼吸抑制等が起こるおそれがあります。
・ジアゼパム(うつ病治療等に用いられるセルシン錠ほか)
・クロラゼプ酸二カリウム(抗不安剤メンドンカプセル)
・エスタゾラム(不眠症治療などに用いられるユーロジン錠ほか)
・フルラゼパム塩酸塩(不眠症治療などに用いられるダルメートカプセル)
・トリアゾラム(不眠症治療などに用いられるハルシオンほか)
・ミダゾラム(てんかん重積状態の治療に用いられるブコラムほか)

以下の薬剤の血中濃度が低下するおそれがあります。
・リオシグアト(肺動脈性肺高血圧症等の治療に用いられるアデムパス錠)

以下の薬剤の血中濃度が低下するおそれがあります。
・ボリコナゾール(抗菌剤のブイフェンド錠ほか)

以下の薬剤の血中濃度が上昇して副作用が増強されるおそれ、本剤の血中濃度減少によってコロナウイルス作用が消失する、耐性が出現するおそれがあります。
・アパルタミド(前立腺がんの治療に用いられるアーリーダ錠)

以下の薬剤の作用によって血中濃度が上昇するおそれ、本剤の血中濃度減少によってコロナウイルス作用が消失する、耐性が出現するおそれがあります。
・カルバマゼピン(てんかん治療等に用いられるテグレトール錠ほか)

以下の薬剤の作用によってコロナウイルス作用が消失する、耐性が出現するおそれがあります。
・フェノバルビタール(不眠症治療等に用いられるフェノバール錠ほか)
・フェニトイン(てんかん治療等に用いられるアレビアチン錠ほか)
・ホスフェニトインナトリウム水和物(てんかん重積状態の治療に用いられるホストイン)
・リファンピシン(抗菌剤のリファジンカプセルほか)
・セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort(セント・ジョーンズ・ワート))を含有する食品(各種ハーブなど)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「パキロビッド」は日本でも治療が受けられますか?

厚生労働省は2022年2月10日に「パキロビッド」を特例承認しています。

新型コロナウイルスに感染したが無症状の場合は「パキロビッド」を使えますか?

使えません。「パキロビッド」は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の重症化リスクのある患者に使用する薬です。

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