トシリズマブ

成分名

トシリズマブ

適応症状

関節リウマチ/全身型若年性特発性関節炎/視神経脊髄炎/キャッスルマン病/など

簡易説明

「トシリズマブ」はヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体で、炎症を抑えて関節の腫れや痛みなどを改善して骨などの損傷を防ぐ薬です。
関節リウマチや多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎及び全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病に伴う諸症の治療に用いられます。

処方可能な診療科目

内科/整形外科/眼科/リウマチ科/など

健康保険の適応

健康保険適応 *新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対する保険適応は認められていません。

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
アクテムラ点滴静注用80mg 14919円/瓶(薬価)
アクテムラ点滴静注用200mg 36572円/瓶(薬価)
アクテムラ点滴静注用400mg 73298円/瓶(薬価)
※病院によって差が有り、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2005年6月認可

国内のジェネリック認可

関連製品(先発薬)

アクテムラ

関連製品(ジェネリック)

効果・作用

「トシリズマブ」は炎症をおこす要因となるIL-6の働きを抑える作用があり、炎症を抑えて関節の腫れや痛みなどを改善して骨などの損傷を防ぐことで、関節リウマチや若年性特発性関節炎といった関節や骨に対する損傷を防ぎ、関節の腫れや痛みなどの症状を緩和します。
「トシリズマブ」はインターロイキン-6 (IL-6) の作用を抑制し免疫抑制効果を示す分子標的治療薬であり、関節の構造的損傷の防止を含む関節リウマチや若年性特発性関節炎以外にも、成人スチル病の治療に用いられます。
また、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限定されますが、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性タンパク高値、フィブリノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感)の改善、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)に効果があります。
「トシリズマブ」は中等度から重症の関節リウマチの治療では「メトトレキサート」と併用されますが、「メトトレキサート」の副作用が認められる場合は単剤での投与も可能となっています。
「トシリズマブ」は疾患の進行速度を遅くして身体機能を改善する効果があり、通常、「トシリズマブ」を1回8mg/kgを4週間隔で点滴静注し、皮下注射は2週間間隔が基本となっています。
「トシリズマブ」は日本でもキャッスルマン病の治療薬としても承認されており、治療抵抗性視神経脊髄炎(NMO、通称:Devic病)に対する有効例が報告されています。

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

厚労省は2022年1月に、酸素投与が必要な新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 患者の肺炎の新治療薬として「トシリズマブ」を特例承認しました。
ただし「トシリズマブ」の使用は、酸素投与や人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者に限られており、入院下で投与を行うとしています。
海外の医師が主導して実施された臨床試験では室内気SpO2が92%未満、また酸素投与中でCRP値7.5mg/dL以上の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)による肺炎患者に対し、副腎皮質ステロイド薬併用下で「トシリズマブ」の有効性が確認されました。
こうしたことを踏まえ、「トシリズマブ」の有効性や安全性を理解したうえで適応患者の治療に使われています。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 治療では、副腎皮質ステロイド薬と併用する場合、「トシリズマブ」は1回体重1kgあたり8mgを点滴静注します。
もし症状が改善しない場合には、初回の投与終了から8時間以上の間隔をあけて、体重1kgあたり8mgを1回追加投与できます。
ただ、海外医師主導の臨床試験では、副腎皮質ステロイド薬を併用していない患者について、「トシリズマブ」の投与で死亡割合が高まる傾向が確認されたことや、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 治療薬として特例承認されている「バリシチニブ」との併用について有効性や安全性が確立していません。
その他、低出生体重児、新生児、乳児、小児などを対象とした臨床試験は行われておらず、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を除く感染症患者には、特別注意を払う必要があります。

使用方法

【関節リウマチ及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎】
通常、トシリズマブとして1回8mg/kgを4週間隔で点滴静注します。
【全身型若年性特発性関節炎、成人スチル病及びキャッスルマン病】
通常、トシリズマブとして1回8mg/kgを2週間隔で点滴静注します。なお、症状により1週間まで投与間隔を短縮できます。
【サイトカイン放出症候群】
通常、トシリズマブとして体重30kg以上は1回8mg/kg、体重30kg未満は1回12mg/kgを点滴静注します。
【新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)による肺炎】
通常、成人には副腎皮質ステロイド薬と併用する場合において、トシリズマブとして1回8mg/kgを点滴静注します。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブとして8mg/kgを1回追加投与できます。

副作用

重大な副作用とされているものは以下になります。

・アナフィラキシーショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(0.1%)
・肺炎(3.3%)、帯状疱疹(2.0%)、感染性胃腸炎(0.8%)、蜂巣炎(1.4%)、感染性関節炎(0.5%)、敗血症(0.5%)、非結核性抗酸菌症(0.4%)、結核(0.1%)、ニューモシスチス肺炎(0.3%)等の日和見感染を含む重篤な感染症
・間質性肺炎(0.5%)、心不全(0.2%)、腸管穿孔(0.2%)
・無顆粒球症(0.1%未満)、白血球減少(4.8%)、好中球減少(1.9%)、血小板減少(2.1%)

多く見られる副作用として、上気道感染症(10%以上)、風邪、頭痛、血圧上昇(5%以上)があります。
また、コレステロール値の上昇も多いことや、頻度の少ない副作用としては、眩暈、多彩な感染症、皮膚・粘膜の発疹、胃炎、口内炎があります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

・ 間質性肺炎の既往歴のある患者には注意が必要です。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
・治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
・心疾患を合併している患者には定期的に心電図検査を行いその変化に注意すること。

上記にあてはまる方は、トシリズマブを使用する事が出来ない可能性があります。
トシリズマブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

調査中

他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
副作用の症状が出た場合どうすれば良いですか?

使用においては必ず医師に相談して、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

新型コロナウイルス感染症の治療についてなにか制限がありますか?

厚労省によると、治療は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の肺炎とし、「酸素投与、人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者で、入院下で投与を行う」としています。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。