AGA(男性型脱毛症)の基本
AGA(男性型脱毛症)は、男性の多くが直面する問題です。遺伝的要因やホルモンバランスの変化によって髪の毛が徐々に薄くなっていく状態を指しますが、AGAは自尊心や心理的なストレスに影響を与えることも少なくないため、可能な限り早い段階で対策、治療を行うことが非常に大切です。
AGA(男性型脱毛症)とは
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で、男性型脱毛症とも呼ばれています。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」よると、AGA(男性型脱毛症)は以下のように説明されています。
男性型脱毛症とは、毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなることを病態の基盤とし、臨床的には前頭部や頭頂部の頭髪が、軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が皮表に現れなくなる現象である。
【上記引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版】
少し難しい表現ですが、俗に言う「ハゲ」とは異なるのでしょうか。
AGAとハゲのちがい
ハゲという言葉に明確な定義はありませんが、おもに遺伝や男性ホルモンが原因で起こる「AGA(男性型脱毛症)」、免疫機能異常やアトピー、ストレスなどが原因で起こる「円形脱毛症」、ポニーテールや編み込みなど一定のへスタイルを続けることが原因で起こる「牽引性脱毛症」などを総称してハゲと呼ぶケースが多いと考えられます。割合としては、成人男性にみられるいわゆるハゲは、AGAであるケースが大多数を占めています。
AGAは進行性の病気
いわゆるハゲに関しては病気というイメージは無いかもしれませんが、AGAは進行性の病気と考えるのが適切でしょう。進行スピードは速く、以下のグラフの通りAGAを5年放置すると直径1㎝の頭皮から約250本の毛髪が抜け落ちると言われています。しかもその250本がもしももう生えてこないと考えると…少しゾッとしますよね。
AGAの患者数・年齢
「日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査」によると、日本人成人男性の約30%が薄毛に悩んでいると回答しています。これを2023年の20歳以上の日本人成人男性に当てはめると約1500万人の男性が薄毛に悩んでいることになります。
年齢別に見ると、薄毛で悩んでいる割合は20代で約10人に1人、30代で約10人に2人も悩んでいることが分かっており、若年層にとってAGAは身近な疾患のひとつと言えます。
一度失われた髪の毛を生やすのは難しいため、AGAの進行を食い止めるには可能な限り早い段階での予防、対策が重要です。しかしながら、一度AGAが進行してしまったら髪の毛が絶対に生えなくなるわけではないので、まずはご自身のAGAの分類や進行具合をしっかりと把握したうえで諦めずに対策を練っていきましょう。
AGA(男性型脱毛症)の分類
AGAは進行性の病気であり、進行レベルに合わせた治療を選択することが重要です。そのAGA進行度を評価するための分類方法をご紹介します。
ハミルトン・ノーウッド分類
AGAには大きく7段階の進行度があり、ハミルトン・ノーウッド分類と呼ばれています。かなり細かい分類となっていますが、この分類表のそれぞれの症状と自身の症状とを照らし合わせてAGAの進行度を把握し、自身にあった適切な治療を選択していくとよいでしょう。治療方法については「AGAの治療」の項目で詳しく解説します。
Ⅰ型
おでこの生え際が徐々に後退して薄毛が見られる状態ですが、自覚症状として意識することのない状態です。
Ⅱ型
Ⅰ型が進行し、おでこの生え際が後退、そり込みが深くなり始めて自覚症状も伴ってくるが見た目に大きく影響がない状態です。
Ⅲ型
Ⅱ型がさらに進行し、おでこの生え際が切れ込むように深くなってきます。髪の毛全体のボリュームが無くなって見た目にも影響が出てくる状態です。
Ⅳ型
Ⅲ型がさらに進行し、おでこの生え際が大きく後退していて頭頂部には薄毛が残る程度の状態です。
Ⅴ型
Ⅳ型がさらに進行し、頭頂部における薄毛の進行とつむじ回りにおける薄毛が広がっている状態です。
Ⅵ型
おでこの生え際から頭頂部にかけてかなり薄毛が進行している状態です。AGAは頭の横側で進行しにくいので、薄毛の部分とのコントラストがはっきりしてきます。
Ⅶ型
全体的にかなり薄毛が進行し、おでこから頭頂部、後頭部にかけて髪の毛が無くなっている状態です。
Ⅱa型
Ⅰ型が進行し、M字のそり込みだけでなく、おでこの中心も後退し始めている状態です。
Ⅲa型
Ⅱa型がさらに進行し、おでこから頭頂部にかけて薄毛が広がっている状態です。
Ⅳa型
Ⅲa型がさらに進行し、前頭部は全体的に薄毛になっている状態です。
Ⅴa型
Ⅳa型がさらに進行し、後頭部にも薄毛が広がっている状態です。
ⅡVertex型
Ⅰ型でおでこのそり込みが進行することと並行し、頭頂部にも薄毛が見られ始めている状態です。
ⅢVertex型
ⅡVertex型がさらに進行し、おでこのそり込みと頭頂部の薄毛が顕著にみられている状態です。
M字型・U字型・O字型
ハミルトン・ノーウッド分類はAGAの進行に合わせた細かい分類のため、自身の状態をより適切に把握するのに向いています。しかし中にはざっくりとした分類を把握したい方もいるでしょう。そういった方にはよりシンプルな「M字型・U字型・O字型」の分類がおすすめです。
▼ハミルトン・ノーウッド分類
Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型
▼進行パターン
おでこの左右の毛が抜け始める
▼状態
お風呂等で髪をかきあげた時に、おでこの左右が後退していることに気づき、意識し始めることが多いと言われています。
AGAとしては初期段階であり、見た目への影響が小さいうちは放置しがちですがU字型へと進行する可能性があるので早めの対策が望まれます。
▼ハミルトン・ノーウッド分類
Ⅱa型、Ⅲa型、Ⅳa型など
▼進行パターン
頭頂部全体の毛が抜け始める
▼状態
M字型の進行と合わせ、頭頂部におけるAGAが進行し薄毛が目立つ状態です。
さらにO字型も合わせて進行することも多いので、可能な限り早い段階で治療を始めることが望まれます。
▼ハミルトン・ノーウッド分類
Ⅱ型vertex、Ⅲ型vertex、Ⅳ型、とそれ以降の型
▼進行パターン
頭頂部の毛が抜ける
▼状態
AGAの初期段階にはもちろん、かなり進行した状態でもみられます。頭頂部はおでこと比べて気付きにくいため、ある程度進行してから気付くこともあります。
もし早期に気づけたら早めの治療が望まれます。
AGA(男性型脱毛症)の原因
AGAの原因は遺伝的要素やホルモンバランスの変化が主な要因と言われていますが明確なメカニズムは解明されていません。しかしDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの一種が影響していることは分かっています。
DHT(ジヒドロテストステロン)
DHTは、男性ホルモンのテストステロンが5α還元酵素という還元酵素と結合することで生成されます。つまり、テストステロンの量が多かったり、5α還元酵素の活性が高かったりすると、DHTの量も増えることになります。
DHTは以下の作用を持っているため、身体にとってなくてはならない成分です。
・男性らしい身体づくり
・男性器の発育
・筋肉量の増加
・骨密度の向上
・健康な毛髪の保持
一方で多くの方がご存じの通り、DHTは、AGAのおもな原因であると考えられています。DHTは特定の条件において、頭皮の毛包に影響を与え、毛根の縮小や毛髪の細化を引き起こします。これによって髪の毛が徐々に薄くなり、最終的には脱毛が進行することがあります。DHTが正常なヘアサイクルに与える影響を次に紹介します。
正常のヘアサイクル
髪の毛は「ヘアサイクル」と呼ばれる一定の周期に沿って成長していきます。通常のヘアサイクルは約1000〜2000日かけて1周し、大きく3つのステージで構成されています。
成長期(2〜6年) | 毛母細胞が分裂・増殖し、髪の毛が最も活発に育まれます。ヘアサイクルのほとんどの期間はこの成長期にあたります。 |
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退行期(2〜3週間) | 髪の毛の成長が止まり細胞のアポトーシスによって毛包が退縮していきます。 |
休止期(3〜4ヶ月) | 毛包の活動が停止します。 |
人間の髪の毛は1本1本のヘアサイクルの期間や時期が異なるため、基本的に髪の毛が一度にまとめて休止期を迎えて抜けてしまうということはありません。シャワーを浴びる際、お風呂場に落ちる髪の毛が多く心配になることもあるかもしれませんが、シャワーだけではなく元々抜けていた髪の毛も一緒に洗い流されるので一度に抜け落ちているように感じます。
また、髪の毛は通常1日で50~100本程度抜けると言われおり、夏~秋にかけては抜け毛の本数が増える傾向にあるため1日あたり200本前後抜けることも珍しくありません。
AGAのヘアサイクル
通常のヘアサイクルが約1000〜2000日かけて1周するのに対し、AGAにおいてはDHTの影響を受けてヘアサイクルの成長期が最短100日程度に短縮されてしまいます。つまり通常のヘアサイクルの10~20倍というとんでもない速度で髪の毛が抜けていくことになるので、いかに早い段階で対策を打つかが重要になります。
DHTは男性ホルモンの一種であるテストステロンが5α還元酵素という酵素と結合することで生成され、アンドロゲンレセプターと結合することで、体毛に対しては毛を太く成長させる作用を持ちますが、髪の毛に対してはヘアサイクルにおける成長期を大幅に短縮させる作用をもっておりAGAを進行させてしまいます。これにより髪の毛が十分に育たないまま細く短い髪の毛が増えていくので、AGAでは髪全体のボリュームも減ってしまうことが少なくありません。髪の毛の抜ける数だけでなく、抜けた髪の毛の細さにも注目しておくとAGAの進行具合の目安になるでしょう。
その他の原因
AGAのおもな原因はDHTですが、以下のような原因もあるのではないかと言われています。
遺伝
AGA進行に影響すると考えられている「アンドロゲンレセプターに関わる遺伝情報」は母親から受け継がれるX染色体にのみ含まれています。アンドロゲンレセプターの感受性が強い遺伝子情報を受け継いだ場合には薄毛のリスクが高まる可能性がありますが、必ずしもAGAが発症するわけではありません。
生活習慣の乱れ
肥満、偏った食事、運動不足、睡眠不足、ストレスなどもAGA進行に関わっていると言われています。とくに肥満についてはAGAの発症時期や進行具合に影響を与えると考えられています。
AGA(男性型脱毛症)の治療
AGAの治療には、医薬品、漢方、サプリメント、日用品、運動、植毛術などさまざまなアプローチがあります。AGAの進行レベルや個人の好みに応じて、最適な治療方法を選ぶことが重要です。以下では、それぞれの治療方法について詳しく紹介します。
医薬品によるアプローチ(5α還元酵素阻害薬)
男性ホルモンの一種であるテストステロンが「5α還元酵素」という還元酵素と結合することでDHT(ジヒドロテストステロン)が生成され、それによってAGAが進行してしまいます。すなわちDHTを生成させる過程の5α還元酵素をブロックすることでAGAの進行を抑制できると考えられています。
5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、医薬品の種類によってアプローチの仕方が異なります。日本の医療用医薬品先発品ではデュタステリド(ザガーロ)、フィナステリド(プロペシア)の2種類の5α還元酵素阻害薬が承認されていますがそれぞれ特徴が異なるため比較してみましょう。
成分名 | デュタステリド | フィナステリド |
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商品名 | ザガーロ | プロペシア |
製造販売(医療用医薬品先発品の場合) | グラクソ・スミスクライン株式会社 | オルガノン株式会社 |
用量 | 0.1mg/0.5mg | 0.2mg/1mg |
5α還元酵素Ⅰ型への効果 | 〇 | × |
5α還元酵素Ⅱ型への効果 | 〇 | 〇 |
24週後の効果(頭頂部における直径2.54cmの円中にどのくらい髪の毛が増えたか) | ・0.02mg使用の場合:+17.1本 ・0.1mg使用の場合:+63.0本 ・0.5mg使用の場合:+89.6本 |
・1mg使用の場合:+56.5本増加 |
半減期(体内における成分が半分になるまでの時間) | 約3~4週間 | 約4時間 |
副作用(頻度1%以上) | 性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害) | リビドー減退 |
また、以下のとおり5α還元酵素Ⅰ型とⅡ型は頭皮において発現している場所が異なっているため上記比較表のような特徴の差がでていると考えられます。その点も踏まえてそれぞれの特徴を具体的に見ていきましょう。
デュタステリド
デュタステリドの最大の特徴は5α還元酵素Ⅰ型、Ⅱ型どちらに対しても効果を発揮することです。つまりAGAが特に進行しやすい前頭部、頭頂部だけでなく側頭部、後頭部にも効果が期待できます。
また半減期が長くデュタステリドの血中濃度が一定に保たれやすいため安定した効果が期待できます。効果に関しては、デュタステリド0.02mg、0.1mgを24週投与した時はフィナステリド1mgと比較して増毛効果が低かったですが、デュタステリド0.5mgを投与したときはフィナステリド1mgと比較して約1.6倍の増毛効果が確認されています。
5α還元酵素Ⅰ型、Ⅱ型どちらもブロックするので副作用を不安に思われるかもしれませんが、医療用医薬品先発品であるザガーロの添付文書によると、頻度1%以上の副作用は性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)のみとなっています。
<デュタステリドを含む関連商品>
商品名 | デュタストロン |
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有効成分 | デュタステリド |
価格 | 1錠あたり81円~ |
メーカー・ブランド | Asle pharmaceuticals(アスレ) |
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フィナステリド
フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型のみに効果を発揮する成分なので、AGAが特に進行しやすい前頭部、頭頂部に対して効果が期待できます。
またフィナステリド半減期は約4時間なので、デュタステリドと比較すると体内から排泄されやすい成分と言えます。理論上、約16~20時間で完全に体内から排泄される計算となります。
副作用に関しては、医療用医薬品先発品であるプロペシアの添付文書によると、頻度1%以上の副作用はリビドー減退のみとなっています。
<フィナステリドを含む関連商品>
商品名 | フィンペシア |
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有効成分 | フィナステリド |
価格 | 1錠あたり40円~ |
メーカー・ブランド | Cipla(シプラ) |
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医薬品によるアプローチ(その他)
AGAは5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)が生成されることで進行しますが、そのプロセス以外で治療するアプローチもあります。5α還元酵素阻害薬以外の医薬品として、ここでは2つのアプローチを紹介します。
ミノキシジル
ミノキシジルの作用としては以下のような「発毛」と「抜け毛の進行予防」が挙げられます。
発毛
インスリン様成長因子1や血管内皮細胞増殖因子といった発毛因子によって毛髪における毛母細胞が刺激されることで、細胞分裂が活発になり頭頂部や前頭部の薄毛に対して効果を発揮することが認められています。
抜け毛の進行予防
ヘアサイクルの「休止期」に作用し休止期から成長期への移行を促進する効果を持つとともに、「成長期」にも作用して成長期を延長させる効果も持っています。つまり新たな髪の毛が生え、その後しっかりと成長できるような準備を整えてヘアサイクルを正常化させます。
また、ミノキシジルには外用薬と内服薬があり、それぞれ以下のような特徴があります。
外用薬
AGAの治療ではミノキシジルが用いられる際のほとんどが外用薬です。AGAの患部に直接ぬられたミノキシジルが、頭皮で硫酸ミノキシジルというより活性の高い成分に代謝され、毛母細胞や毛乳頭細胞に対して効果を発揮します。患部にのみ作用するため全身的な副作用はほぼ起こらないとされています。
内服薬
本来は高血圧の治療薬として海外で処方されています。しかし、内服薬にも発毛効果があると考えられているため、一部のクリニックや海外からの個人輸入と通してAGA治療薬としてミノキシジル内服薬を使用するケースもあります。ミノキシジルの内服薬は、小腸などから吸収された後、肝臓で硫酸ミノキシジルに代謝され、血液にのって頭皮まで運ばれて、毛母細胞や毛乳頭細胞に作用すると考えられています。外用剤と異なり全身性の副作用が起こる可能性もあるため注意して服用する必要があります。
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商品名 | ツゲイン | ノキシジル |
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有効成分 | ミノキシジル | ミノキシジル |
価格 | 1本あたり2,026円~ | 1錠あたり40円~ |
メーカー・ブランド | Cipla(シプラ) | T.O. MED |
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AGAの関連コラム
漢方
AGA(男性型脱毛症)の治療には、漢方薬も一つの選択肢として考えられます。漢方は、中国伝統医学の一環であり、自然由来の植物やハーブを組み合わせて体のバランスを整える方法です。漢方の治療は個々の症状や体質に基づいて行われ、総合的なアプローチで健康な髪の成長を促進することを目指します。以下ではAGAに対して用いられることのある漢方を3つ紹介します。
当帰芍薬散
おもに婦人科系の疾患に用いられる漢方薬の1つで、血液の循環を促したり、不足した血液を補ったりする効果が期待されます。東洋医学に、髪の毛は「血のあまり」という考え方があるため、当帰芍薬散によって血を補う目的でAGAに用いられることがあります。
補中益気湯
胃腸の機能を正常化して、いわゆる元気を取り戻す目的で用いられる漢方薬です。疲労やストレス等で身体の元気が失われたAGAに対して用いられることがあります。
黄連解毒湯
身体にこもった熱を取り除いて冷ましつつ、体内の毒素を体外へと排出する目的で用いられることがあります。
栄養素によるアプローチ
栄養素は健康な髪の成長に不可欠です。AGA(男性型脱毛症)の治療においても、もちろん適切な栄養摂取は重要です。特定の栄養素は毛髪の成長や健康に影響を与え、薄毛の進行を遅らせる可能性があります。食事やサプリメントを通じて、髪の毛に必要な栄養素を補給することで、毛包の健康をサポートし、AGAの改善に役立つことが期待されます。以下では、栄養素によるAGAの治療について解説します。
食事で摂るべき栄養素
バランスの取れた栄養素を摂取することをベースとして、さらに意識すると良い栄養素は大きく分けて「タンパク質」「ミネラル」「ビタミン」の3つが挙げられます。中でも三大栄養素のひとつであるタンパク質はある程度の分量を摂取する必要があるため、サプリメントではなく食事かプロテインで摂取すると効率的です。
また、タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質があり、それぞれバランスよく摂取することが重要です。AGA治療においてとくにおすすめの食材をそれぞれ3つずつ紹介します。
動物性タンパク質のオススメ食材
鶏むね肉 | 低脂肪で高タンパク質な食品であり必須アミノ酸を豊富に含んでいます。 |
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魚(サーモン) | オメガ3系脂肪酸が豊富であり頭皮の炎症トラブルを抑たり、血流を改善したりします。また、魚に含まれるビタミンDは髪の毛の成長に重要です。 |
卵 | 完全栄養食と呼ばれておりビタミンCと食物繊維以外の栄養成分をすべて含んでいます。 |
植物性タンパク質のオススメ食材
大豆製品(豆腐、豆乳、納豆) | 良質な植物性タンパク源であり、イソフラボンが頭皮の健康を促進し、髪の毛の成長をサポートします。コストパフォーマンスもよく日常の食卓に取り入れやすい食材が多いです。 |
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ひまわりの種 | 亜鉛が豊富に含まれており、頭皮の健康や毛髪の成長に重要な役割を果たします。亜鉛にはAGAを進行させるDHTの抑制効果があると考えられています。 |
レンズ豆 | 良質な植物性タンパク源でありながら、鉄やビタミンB群も含んでいます |
サプリメントで補うべき栄養素
先ほど紹介した「タンパク質」「ミネラル」「ビタミン」のうち、ビタミンとミネラルは微量栄養素のため食事からバランスよく摂取することは非常に難しいでしょう。またビタミンとミネラルはそれぞれがネットワークのように作用し合ってはたらくため、どれかひとつの成分が欠けるだけでもAGAに対する効果は小さくなることが考えられます。
上記の理由から、ビタミンとミネラルに関してはサプリメントに頼ることが最も効率的かつ効果的と言えます。
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商品名 | マルチビタミン | ジンク | ビオチンマキシマムストレングス10000mcg |
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有効成分 | ビタミンA・C・D・E・B6・B12・マグネシウム・ミネラル・鉄分・イノシトールなど | 亜鉛、カルシウム | ビオチンなど |
価格 | 1錠あたり63円 | 1本単価3,800円~ | 1錠あたり23円~ |
メーカー・ブランド | バイタルミー | Source Naturals | NATROL |
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運動によるアプローチ
AGA(男性型脱毛症)の治療には、「有酸素運動」も有効なアプローチのひとつです。有酸素運動のおもなメリットは以下の項目が挙げられます。
- DHT(ジヒドロテストステロン)を排出できる
- 血行がよくなる
- 代謝が良くなる
- ストレス発散や自律神経が整う
- 生活習慣病が解消される
具体的な有酸素運動としてはウォーキング、ランニング、サイクリング、スイミング、ヨガなどを、数十分くらいの目安で行ってみるとよいでしょう。
なお、激しすぎる運動はAGAに対して逆効果と言われているので身体に負担をかけすぎない程度で行い、運動後はしっかりとシャンプーを泡立てて優しく頭皮を洗って清潔に保ちましょう。濡れた髪の毛を放置すると雑菌が繁殖する原因にもなるため、優しくタオルドライをした後にドライヤーを用いてしっかりと乾かしてください。
植毛術
植毛術とは、気になる薄毛部分に、髪の毛や髪の毛の代替品を植えつける施術のことです。植毛術には、自分の後頭部の髪の毛を頭皮組織ごと切り取って移植する「自毛植毛」と、自分の髪の毛でない人工毛を植える「人工植毛」の2タイプがあります。
AGAの原因であるDHTに直接はたらきかけるアプローチではないため、ある程度AGAが進行してきた際に用いられるケースが多いです。
その他
AGA(男性型脱毛症)の治療とまでは言えませんが、対策のひとつとして日用品にこだわることも大切です。とくに髪の毛に毎日触れるシャンプーにはこだわっておきたいですよね。AGA対策としてシャンプーを選ぶ際のポイントは以下の2つが挙げられます。
優しい(強すぎない)洗浄力
シャンプーをする際、皮脂やホコリなどは洗い流した方がよいですが、洗浄力が強すぎると必要な皮脂まで落としてしまい頭皮の乾燥トラブルを引き起こす可能性があります。そのようなトラブルによってAGAを進行させないため、優しい洗浄力のシャンプーを選ぶと良いでしょう。
オススメ成分
ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルグリシンK、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタインなど
頭皮ケア成分を配合
乾燥やかゆみなどの頭皮トラブルによってAGAが進行するのを防ぐため、頭皮ケア成分配合シャンプーを使用することで頭皮環境を改善させると良いでしょう。
<オススメ成分>
①フケ防止 | ミコナゾール硝酸塩、ジンクピリチオンなど |
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②かゆみ・炎症防止 | グリチルリチン、アラントイン、ジフェンヒドラミンなど |
③保湿 | ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリンなど |
商品名 | BAKUシャンプートリートメントセット |
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有効成分 (シャンプー) |
ピディオキシジル、ココイルグルタミン酸TEA、コカミドプロピルベタイン、コカミドDEA、ラウロイルメチルアラニンNaなど |
有効成分 (トリートメント) |
ピディオキシジル、セテアリルアルコールなど |
価格 | セット単価4,780円 |
メーカー・ブランド | ドクターズファーマシー |
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AGA治療のながれ
AGA(男性型脱毛症)は進行性の病気のため可能な限り早期に治療を始めることが重要です。これまで紹介してきた治療方法を試す際は、「医療機関・クリニック」を受診する方法、「セルフメディケーション」の一環としてご自身で治療方法を選択する方法の大きく2パターンがあります。
まずは医療機関やクリニックを受診してみるというケースも多かったですが、コロナ禍の影響でクリニック等の受診控えが進んだことや、できるだけ手間と時間をかけたくないという若年層が増えてきておりAGAのセルフメディケーションも進んできています。それぞれの特徴を知ったうえで自身にあった方法を選択するとよいでしょう。
医療機関・クリニック
医師の診断を受け、医師の処方に基づいた治療を受けていく流れです。医薬品を用いる際は、デュタステリド(商品名:ザガーロ)、フィナステリド(商品名:プロペシア)、またはそのジェネリックを用いて治療をするケースが多いです。デュタステリドとフィナステリドの比較は「医薬品によるアプローチ(5α還元酵素阻害薬)」の項目を参照してください。
前述の通り、医療機関やクリニックでは医師の診察が必須になるので以下のような流れを想定しておきましょう。
1.医療機関にて受付、問診票の記入をする
2.医師による問診、診察、カウンセリング、検査を受ける
3.必要に応じてAGA治療薬の処方せんをもらう
4.調剤薬局にて処方せんを提出する
5.薬剤師から処方薬の交付を受ける
※医療機関内で処方薬をもらう場合は「4,5」はありません
セルフメディケーション
自身でセルフチェックをし、自身で治療方法を選択します。「AGA(男性型脱毛症)の治療」でたくさんの治療方法を紹介しましたが、いくつかの治療方法を組み合わせることが可能です。
日本の医療機関やクリニックで処方されるデュタステリド、フィナステリドは海外から個人輸入することも可能なので手軽に手に入れることができます。手軽さがゆえに海外からの個人輸入を不安に思われる方もいるかもしれませんが、当メデマートでは安心の正規品個人輸入代行を行っておりますのでご安心ください。
また、個人輸入ではミノキシジルの内服薬を試してみることもできます。日本の医療機関、クリニックで処方されることはないので、AGA治療薬でなかなか効果がでない場合は選択肢のひとつになるのではないでしょうか。ご自身でお好みの治療方法を試すことができるのはセルフメディケーションの醍醐味のひとつです。
商品名 | デュタストロン | フィンペシア | ノキシジル |
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有効成分 | デュタステリド | フィナステリド | ミノキシジル |
価格 | 1錠あたり81円~ | 1錠あたり40円~ | 1錠あたり40円~ |
メーカー・ブランド | Asle pharmaceuticals(アスレ) | ブランド:Cipla(シプラ) | T.O. MED |
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AGA(男性型脱毛症)のQ&A
まとめ
AGA(男性型脱毛症)まとめ
- AGAは進行性の病気なので可能な限り早い治療介入が重要です。
- AGAの進行にはDHTの生成を抑制することがとくに有効です。
- DHT抑制には5α還元酵素阻害薬が有効であり、デュタステリドやフィナステリドがそれに該当します。
- AGA治療は5α還元酵素阻害薬などを個人輸入して、セルフメディケーションすることが可能です。
- 医薬品だけでなく生活習慣を改善しつつ6ヶ月程度は治療を継続することが重要です。
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