早漏の基準
早漏とは射精のコントロールができない状態であり、性機能障害の中でも、ED(勃起障害)の次に患者数が多いと言われています。早漏になるとパートナーとの性生活を避けてしまうことで人間関係、日常生活、心理状態にまで悪影響をもたらす可能性があり早期に治療することが望まれます。この章では、まず早漏について解説します。
早漏とは
早漏とは何かを考えるとき、その時々の状態や個性などと捉える方も少なくないでしょう。しかしながら、医療業界において早漏はパートナーとの性生活に悪影響を及ぼす「疾患(病気)」であると考えられています。国際性機能学会は、早漏については以下のように定義づけしています(意訳)。
- 膣へ挿入する前、または挿入後1分以内にいつも射精が起こる
- 射精のタイミングを遅らせることが全くできない、またはほとんどできない
- 射精が早いことに対して悩みや苦痛、不満があり、性行為に消極的になっている
上記のポイントを見てみると、たとえ1分以上射精せずにコントロールできていたとしても、自分自身のことを早漏と思い込んでいて性行為に対して恐怖や苦痛を感じて消極的になっているケースも早漏であるといえます。
つまり早漏は病気ではあるものの、極めて「主観的な病気」と言えます。それゆえ他人に打ち明けたり相談したりすることができず、自分ひとりで抱えこんで悩んでしまう方も少なくありません。この後で紹介しますが、悩んだりストレスを感じたりすることは早漏をさらに悪化させる要因のひとつなので、これらを避けることは非常に重要です。
「それができたら苦労しない・・・」という声が聞こえてきそうですが「早漏で悩んでいるのは自分だけではない」と分かれば少し安心を感じませんか?早漏という病気の特性からあまり知られていませんが、実は、早漏は多くの男性が悩んでいる病気なのです。
早漏の患者数
早漏の方は世界、日本にどのくらいいると思いますか?自身が早漏の方は、その不安から「早漏に悩んでいるのは自分だけ・・・」と思いがちですが実はそんなことはありません。米国泌尿器科学会早漏治療ガイドラインや日本におけるインターネットアンケートによると、早漏の患者数は以下の割合で存在することが分かりました。
日本の調査は主観的なアンケートなのでアメリカの調査と単純に比較できませんが、10人に2~4人は早漏であるというデータに関して、「想像よりも多い!」と思った方も多いのではないでしょうか?
実際、「性機能障害」という病気の分類の中でも、ED(勃起障害)の次に早漏の患者数が多く、早漏で悩んでいる方が多いことはアンケート以外でも明らかになっています。
また、早漏というと挿入から射精までの時間の短さだけで判断する方も多いですが、「射精が早いことに対して悩みや苦痛、不満があり、性行為に消極的になっている」状態も早漏の定義であると知ってもらった上でアンケートをとると、もう少し早漏の割合が増えるかもしれません。
ここまで、早漏は主観的要素の多い病気であると紹介してきましたが、射精まで早さは自身だけでなくパートナーの感覚も重要になってきます。なぜなら自身が、射精までの時間が早いと感じていてもパートナーがそう思っていなければ何も問題ないからです。女性の求める理想の挿入時間はどのくらいなのでしょうか?
女性の求める理想の挿入時間
女性がどのくらいの挿入時間を理想としているのかを知っておくことは精神衛生上とても役立ちます。理想の挿入時間に関する複数の調査、アンケートをみてみると「10分~15分」と回答している女性が多い印象です。もちろん、理想の挿入時間について個人差はあるかと思いますが自身の性行為の際の挿入時間と比較してみるとよいでしょう。
なお、「早漏とは?」で紹介したとおり、早漏の定義は、膣へ挿入する前、または挿入後1分以内にいつも射精が起こる状態です。早漏の場合、射精までの時間が1分だと仮定すると、女性が望む挿入時間の約15分の1~10分の1しか満足させていないという事になります。あくまで射精までの時間という観点での満足度にはなりますが、早漏の治療を行うことで射精までの時間を延ばす努力をしてみる価値は大きいと言えます。
早漏のタイプ
早漏の治療方法を知る前に、早漏のさまざまなタイプを理解することは非常に重要です。なぜならタイプによって有効な治療方法が異なる可能性があるからです。明確な分類はありませんが、臨床でよく用いられるタイプを以下で3つ紹介します。
心因性早漏
心因性早漏は、さまざまな心理的な要因によって引き起こされる早漏の一種です。
具体的には以下のような原因が考えられます。
- 性的なストレス
性的なパフォーマンスに対する不安や恐怖、過度の期待やプレッシャーなどがストレスとなり、早漏を引き起こす可能性があります。性行為の経験が少なかったり、長期間性行為を行っていなかったりする場合もストレスになることがあります。 - 心理的なトラウマ
過去の性的なトラウマや不安だった経験が、現在の性行為においてのパフォーマンスに対して不安や恐怖を引き起こし、早漏を引き起こす可能性があります。過去のパートナーと早漏が原因でトラブルになった経験などはトラウマになりやすいです。 - パートナーとの関係
パートナーとのコミュニケーション不足、性に対する嗜好のちがい、日頃の不満などが問題となり、早漏を引き起こす可能性があります。コミュニケーションで解決できるような小さな嗜好性のちがいも、会話をして解決していかないと大きな不満となります。
心因性早漏には神経伝達物質である「セロトニン」がかかわっていると言われており、医薬品によるアプローチでの改善が期待できます。詳細は「医薬品によるアプローチ(SSRI・SNRI)」で解説します。
過敏性早漏
過敏性早漏は性的刺激に非常に敏感な状態となっていて、小さな刺激でも射精してしまう早漏の一種です。具体的には以下のような原因が考えられます。
- 若年層において性欲が強く、性的刺激に対する感受性が高い
- 性行為の経験が少なく、性的刺激に対する感受性が高い
- 包茎、仮性包茎のため、亀頭において性的刺激に対する感受性が高い
性欲が強い10~20代に多いと言われています。上記のとおり性行為の経験が要因のひとつになっているので、経験を重ねていくと自然に過敏性早漏を改善できることがあります。しかし、過敏性早漏によるトラウマによって性行為そのものへの不安、恐怖を感じるようになると心因性早漏に発展してしまうケースもありません。
過敏性早漏においては、性的刺激を鈍らせるために「局所麻酔成分」が有効と言われており医薬品によるアプローチで改善が期待できます。詳細は「医薬品によるアプローチ(その他)」で解説します。心理的要因が絡む場合は、もちろん「医薬品によるアプローチ(SSRI・SNRI)」も選択肢のひとつになります。
衰弱性早漏
- 筋力が衰えている
- 栄養バランスが乱れている
- ホルモンバランスが乱れている
40~60代になってくると男性ホルモンの分泌量が減り、射精管閉鎖筋という筋肉が衰弱しやすく、射精のコントロールが難しくなると言われています。もちろん加齢だけではなく、運動不足による筋力低下、栄養バランスの乱れによるホルモンバランスの乱れなど、生活習慣が乱れてくると年齢に関係なく衰弱性早漏になる可能性があります。
衰弱性早漏においては、生活習慣の改善が有効と言われており、おもに運動や食事によるアプローチで改善が期待できます。詳細は「栄養素によるアプローチ」「運動によるアプローチ」で解説します。心理的要因が絡む場合は、もちろん「医薬品によるアプローチ(SSRI・SNRI)」も選択肢のひとつになります。
早漏のリスクファクター
早漏のタイプとして、心因性早漏、過敏性早漏、衰弱性早漏の3つを紹介しましたが、このタイプに関わらず共通して原因となるリスクファクターがあります。2022年に発表された最新の論文からリスクファクターと、そのリスクファクターが早漏を引き起こす影響力を紹介します。
上記から、「不安」「抑うつ」「ED(勃起障害)」「前立腺症状」「睡眠の質低下」といった心因的な要素が早漏のリスクファクターになっていることが分かります。
ここまで早漏について解説してきたので、不安やうつ状態が早漏を引き起こすことは、多くの方にとって予想どおりだったかと思います。
しかし、「不安」「中等度前立腺症状」よりも「睡眠の質の低下」の方が早漏のリスクが高いということは意外だったのではないでしょうか。睡眠の質の改善に関しては誰でも取り組める対策のひとつなので早漏に悩んでいる方にとっては嬉しい情報かもしれません。
また、「不安」「抑うつ」よりも「ED(勃起障害)」の方が早漏のリスクが高いということも興味深い結果です。過去にEDが原因でトラウマやストレスを感じ、心因性早漏を発症してしまったり、加齢や身体的衰えによってEDと共に衰弱性早漏を併発してしまったりと、EDと早漏は密接な関係にあると言えます。これらには、根本原因のEDを治療するためのED治療薬や、ED治療薬と早漏治療薬が1つになった合剤によるアプローチで改善が期待できます。詳細は「医薬品によるアプローチ(SSRI・SNRI)」で解説します。
早漏の治療
ここまで早漏の基準や3つのタイプ、リスクファクターについて解説してきました。さまざまな要因が複合して早漏が発症・進行する可能性があるので、可能な限り早い段階で初期治療を行って早漏の進行を防ぐことは自分自身にとってもパートナーにとっても非常に有益なことです。この章では具体的な早漏の治療方法をご紹介します。
医薬品によるアプローチ(SSRI・SNRI)
早漏は脳の病気と言われることがあるほど、脳内における神経伝達物質のバランスが大きく影響していると言われています。具体的には、「ノルアドレナリン」と「セロトニン」のバランスが関与していると言われています。
- ノルアドレナリン:脳に興奮をもたらす作用を持ち、射精時に大量に分泌されます。
- セロトニン:ノルアドレナリンのはたらきを抑えて、リラックス効果をもたらします。
上記の通り、ノルアドレナリンが優位の状態では射精が近づき、セロトニンが優位の状態では射精が遠ざかります。早漏ではセロトニンよりもノルアドレナリンが有意になり、バランスが著しく崩れているため、これらのバランスを整える医薬品が有効です。
具体的に、セロトニンのバランスに特化した医薬品はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とよばれ、ダポキセチンやフルオキセチンという成分が挙げられます。また、セロトニンとノルアドレナリンのバランスに関与する医薬品はSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)とよばれ、デュロキセチンという成分が挙げられます。それぞれ特徴が異なるので比較してみましょう。
成分名 | ダポキセチン | フルオキセチン | デュロキセチン |
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商品名 | プリリジ― | プロザック | サインバルタ |
製造販売(医療用医薬品先発品の場合) | Janssen-Cilag社 | イーライリリー社 | イーライリリー社 |
用量 | 30mg/60mg | 20mg | 20mg/30mg |
セロトニン再取り込み阻害作用 | 〇 | 〇 | 〇 |
ノルアドレナリン再取り込み阻害作用 | × | × | 〇 |
効果がでるまでの時間 | 早い | 長い | 長い |
持続時間 | 短い | 長い | 長い |
副作用(頻度1%以上) | 頭痛、めまい、吐き気など | 睡眠障害、頭痛、動悸など | 眠気、悪心、口渇など |
ダポキセチン
ダポキセチンはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類され、脳内のセロトニン濃度を高めることで射精までの時間を遅らせることが期待されています。
効果が現れるまでの時間が早いことが特徴で、服用から60分くらいで効果が出る方もいます。その分、効果の持続時間は短く5~6時間と言われています。早く効いて早く身体から抜けていくことから、はじめての早漏治療で使用される方も少なくありません。
早漏のリスクファクターでも紹介しましたが、早漏とEDは併発すると言われているため、ダポキセチンとEDの治療薬を併用したり、それらの成分が1つになった合剤を服用したりする治療方法もあります。
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商品名 | ポゼット | スーパーシアスマ |
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一般名 | ダポキセチン | タダラフィル・ダポキセチン |
価格 | 一錠あたり176円 | 一錠あたり500円 |
メーカー | Sunrise Remedies(サンライズレメディーズ) | Asle pharmaceuticals(アスレ) |
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フルオキセチン
フルオキセチンはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類され、脳内のセロトニン濃度を高めることで射精までの時間を遅らせることが期待されています。
効果が現れるまでに時間がかかることが特徴で、服用から2~4週間ほどで効果が出ると言われています。その分、効果の持続時間も長く継続服用によりさらに血液中濃度が安定していきます。これらの特徴から、緊急性がなく時間的に比較的余裕のある方の早漏治療で使用されるケースが少なくありません。
早漏のリスクファクターでも紹介しましたが、早漏とEDは併発すると言われているため、フルオキセチンとEDの治療薬を併用したり、それらの成分が1つになった合剤を服用したりする治療方法もあります。
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商品名 | プロザック | マレグラFXT |
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一般名 | フルオキセチン | シルデナフィル・フルオキセチン |
価格 | 一錠あたり154円 | 一錠あたり290円 |
メーカー | Eli Lilly(イーライリリー) | Sunrise Remedies(サンライズレメディーズ) |
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デュロキセチン
デュロキセチンはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類され、脳内のセロトニンとノルアドレナリンの濃度を高め、それぞれのバランスを調節することで射精までの時間を遅らせることが期待されています。
ノルアドレナリンは脳に興奮をもたらすから射精を早めてしまうのでは?と思われるかもしれませんが、射精はノルアドレナリンだけでなくセロトニンとのバランスでコントロールされています。したがってノルアドレナリンにもセロトニンにも作用するデュロキセチンは射精のコントロールに向いていると言えるでしょう。
効果が現れるまでに時間がかかることが特徴で、服用から1週間ほどで効果が出ると言われています。その分、効果の持続時間も長く継続服用によりさらに血液中濃度が安定していきます。これらの特徴から、緊急性がなく時間的に比較的余裕のある方の早漏治療で使用されるケースが少なくありません。
早漏のリスクファクターでも紹介しましたが、早漏とEDは併発すると言われているため、デュロキセチンとEDの治療薬を併用したり、それらの成分が1つになった合剤を服用したりする治療方法もあります。
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商品名 | サインバルタ | マレグラDXTプラス |
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一般名 | デュロキセチン | シルデナフィル・デュロキセチン |
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メーカー | Lilly | Sunrise Remedies(サンライズレメディーズ) |
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医薬品によるアプローチ(その他)
神経伝達物質に対する作用を持つSSRI、SNRIによる早漏治療が主流ではありますが、それ以外の医薬品を組み合わせたり、切り替えたりするケースもあります。ここではSSRI、SNRI以外の医薬品によるアプローチを紹介します。
ED治療薬
早漏のリスクファクターでも紹介しましたが、EDと早漏は互いに影響し合っており、その他の原因である不安や抑うつ、睡眠の質の低下、中等度前立腺症状よりもその影響力は大きいというデータがあります。
このことからED治療薬によって挿入時間がどのくらい延長するのかという実験も多数行われており、実際にバルデナフィル(レビトラ)、シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス)といった医薬品で、早漏改善がみられた研究も存在しています。
しかしながら、ED治療薬が早漏を改善させる詳しいメカニズムは現状わかっていません。考えられている作用は以下の2点です。
- 勃起が持続するという精神的な安心感
- 硬度増加によって陰茎における神経に刺激が伝わりづらくなる
これらのことから、「EDかも?」と思っている方の中で早漏に悩んでいる方、またはSSRI、SNRIを服用しても早漏が改善されず心理的に不安になっているという方は一度ED治療薬を試してみるのも良いかもしれません。EDについては「ED(勃起不全)とは?EDの症状・原因・治療法など詳しく解説!」のコラムで詳しく解説しています。
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一般名 | シルデナフィルクエン酸塩 | バルデナフィル塩酸塩水和物 | タダラフィル |
価格 | 一錠あたり1,350円 | 一錠あたり1,745円 | 一錠あたり1,612円 |
メーカー | Pfizer(ファイザー) | Bayer(バイエル) | Eli Lilly(イーライリリー) |
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ED治療薬の関連コラム
局所麻酔薬(外用薬)
早漏の中でも、過敏性早漏は性的刺激に過敏に反応してしまうことで発症します。この場合、局所麻酔薬を使用することで神経の興奮を一時的にブロックし、陰茎の感覚を鈍らせることができます。結果として、射精をコントロールするための時間が延び、早漏の症状の改善が期待できるとされています。
剤形としては、クリームやジェル、スプレータイプなどが販売されています。商品により異なりますが、性行為の20~30分前に使用すると1時間ほど効果が持続することが多いようです。効果が出るまでの時間の早さから、急に使用する必要性が出た時や、SSRIやSNRIを服用したにも関わらず精神的な不安がある場合などに一時的に使用することが少なくありません。
ただし、以下のような注意点もあります。
- 大量に使用して逆効果:一度の使用において大量に使用すると、むしろ性的刺激をまったく感じなくなってしまう可能性があります。
- 女性にも付着してしまう:自身の陰茎に使用した局所麻酔薬が女性側にも付着してしまい、女性側の性的刺激にも影響が出る可能性があります。
- 洗い流さずに副作用が起こる:使用後にシャワー等でしっかり洗い流さないと副作用が起こる可能性があります。
注意点を守れば非常に心強い医薬品なので、早漏の方はもしものためにカバンに忍ばせておくとお守り代わりになるかもしれません。
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商品名 | メガマックススプレー |
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一般名 | リドカイン |
価格 | 1本あたり2,450円 |
メーカー | Samson Pharmaceuticals Inc. |
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漢方
漢方薬は病気に対して処方されるものではなく、今起きている症状や体質に対して処方されるものになります。したがって早漏に効果のある漢方薬というものは存在しないことになりますが、早漏を発症している方の症状や体質を考えると以下のような漢方薬が早漏治療の候補に挙がってきます。実際に漢方薬局等においては、早漏治療として用いられるケースがあります。
- 八味地黄丸:加齢による早漏やEDで悩んでいる方に向いている漢方薬です。精神的原因ではなく身体的原因のケースでより効果的と考えられます。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯:不安や不眠などの症状がある早漏やEDで悩んでいる方に向いている漢方薬です。過去のトラウマやプレッシャーなどの精神的な原因のケースでより効果的と考えられます。
栄養素によるアプローチ
栄養素は正常な性機能維持のために必要不可欠です。もちろん早漏の治療においてもバランスのとれた栄養摂取は重要ですが、ある特定の栄養素は早漏に対して予防または改善の期待が寄せられています。以下では、栄養素による早漏の治療について解説します。
オススメの栄養素
バランスの取れた栄養素を摂取することをベースとして、さらに意識すると良い栄養素は「トリプトファン」「ビタミンB6」「食物繊維」の3つが挙げられます。なぜなら早漏のタイプの章で紹介した通り、早漏の原因には「セロトニン」という神経伝達物質が密接に関係していて、上記3つの栄養素はセロトニンの生合成に非常に重要な役割を担っているからです。それぞれの栄養素が早漏にもたらす効果と、おすすめの摂取方法(食材)を以下に紹介します。
栄養素 | 役割 | おすすめの食材 |
---|---|---|
トリプトファン | 射精コントロールに重要なセロトニンの材料となる | 豆腐、納豆、バナナ、チーズ、ヨーグルトなど |
ビタミンB6 | 射精コントロールに重要なセロトニンの合成に使われる | ニンニク、ピスタチオ、マグロ、ささみ、レバーなど |
食物繊維 | 射精コントロールに重要なセロトニンがつくられる場所(腸)の環境を整える | ゆできくらげ、納豆、ごぼう、オクラ、生しいたけなど |
とくに食物繊維はサプリメントでは摂取が難しいので食事から積極的に摂取しましょう。食物繊維と聞くと腸活での効果の印象が強く、脳内のセロトニン量と関係があるか疑問に思うかもしれませんが、実はセロトニンの約90%は腸内で腸内細菌によって作られます。
具体的には、腸内でトリプトファンというアミノ酸からセロトニンが合成されます。さらにセロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニン量を増やし睡眠の質を高める効果があります。早漏のリスクファクターで紹介した通り、睡眠の質の低下は早漏発症リスクに大きく影響していますので、腸内環境を整えることはセロトニン、メラトニンに対してのダブルの効果を発揮します。
サプリメント等(食事以外)で補うべき栄養素
さきほど紹介したおすすめの栄養素「トリプトファン」「ビタミンB6」「食物繊維」のうち、「トリプトファン」と「ビタミンB6」は食事以外のサプリメント等で補うのがおすすめです。理由は以下の通りです。
理由①:トリプトファン単体では効果が発揮されないから
「ドべネックの桶理論」を知っていますか?なかなか聞きなれない単語ですが、早漏を食事の面から治療するには絶対に抑えておきたいポイントです。この理論によれば、体内のアミノ酸バランスは、桶の水漏れのようなものであり、最も不足しているアミノ酸に合わせる形でその他のアミノ酸のはたらきが制限されるとされています。つまり、全ての必須アミノ酸を適切なバランスで摂取することが重要であり、どのアミノ酸も欠乏しない状態を保つことが理想とされています。
上記の通り早漏治療のためにセロトニンを増やすことだけ考えても意味がなく、トリプトファンを含むアミノ酸をバランスよく摂取する必要があり、それは食事のみだと非常に厳しいと言えます。さまざまなアミノ酸をバランスよく摂取するのであればプロテインが最も効率的と言えます。
プロテインの種類としては、ソイ、ホエイ、カゼイン等の種類があります。タンパク質の摂取という観点からはどのプロテインを選んでも問題はありませんが、動物性タンパク質は普段の食事で無意識的に摂取することも多いため、特にこだわりがないのであればソイプロテインを摂取すると良いでしょう。
理由②:ビタミンB6は微量栄養素だから
ビタミンやミネラルは「微量栄養素」とよばれ、ごく微量であっても生命維持に重要な役割を担います。ちなみにビタミンB6の1日の摂取推奨量は、18歳以上の男性で1.4mg、18歳以上の女性で1.1mgなっていて、いかにごく微量の摂取で十分であるかが分かります。
しかし、この約1mgを食事のみから摂取することは非常に難しいです。またビタミンB6に限らずすべてのビタミン、ミネラルで同じことが言えますので、いっそのことマルチビタミンミネラルのようなサプリメントを使用して、一度に多種多様なビタミン、ミネラルを摂取するほうが効率的でおすすめです。
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運動によるアプローチ
早漏の治療には、これまで紹介してきたようなさまざまなアプローチがありますが、運動も有効なアプローチです。適切な運動によって、射精コントロールの調節や持続力の向上が期待できます。この章では代表的な3つの運動をご紹介します。
ケーゲル体操
ケーゲル体操とは骨盤底筋群を鍛えるアプローチです。骨盤底筋群は、骨盤の底に位置している筋肉で直腸やさまざまな臓器を支えるとともに、勃起の維持の役割も担う筋肉です。骨盤底筋群は陰茎に流れ込む血流をコントロールする役割を持つので、骨盤底筋群の衰えは早漏の原因のひとつになり得ます。
1.仰向けに寝て膝を曲げ、足は肩幅くらい開きます
2.そのまま5秒間、肛門や尿道あたりを締めつづけます
3.5秒間力を抜いてリラックスします
4.これらを1分間×10セット行います
骨盤底筋群以外の筋肉を使わないように、骨盤底筋群にのみ集中して行ってください。また骨盤底筋群に力を入れている時も呼吸は止めず、しっかりと呼吸を続けましょう。
スクイーズ法
ケーゲル体操は骨盤底筋群を鍛えるアプローチでしたが、スクイーズ法は自身で陰茎を直接刺激するアプローチです。早漏は亀頭への刺激に敏感であるケースが多いです。特に過敏性早漏では亀頭が敏感になっているので、スクイーズ法でしっかり亀頭の刺激に慣れることが重要です。
1.マスターベーションを行い、射精の直前で寸止めします
2.ゆっくりと呼吸を整え、落ち着いたらマスターベーションを再開します
3.これらを5回程度繰り返します
できるだけ長い時間マスターベーションを行うようにしてください。また、陰茎の皮ではなく亀頭を刺激するようにし、陰茎握る際は力が強くなりすぎないように注意してください。強すぎると神経を傷つけてしまいます。
セマンズ法
スクイーズ法は自身で陰茎を直接刺激するアプローチですが、セマンズ法はパートナーに陰茎を刺激してもらう方法です。セマンズ法はパートナーの協力が必須なので、パートナーとよく話し合い負担をかけないようにしましょう。
1.パートナーの手による刺激に慣れます
2.パートナーの手に慣れてきたらローションを使用して刺激します
3.パートナーとの性行為の刺激に慣れます
スクイーズ法と同様、陰茎に力をかけすぎないように注意しましょう。パートナーは陰茎にどのくらい力がかかっているのかが分かりません。やや難しいですが、密なコミュニケーションを取りながら、射精までのコントロールができるようリラックスして行いましょう。
包茎手術
包茎は普段から亀頭が皮で覆われているため、物理的な刺激に慣れていません。亀頭が普段から露出している人と比較すると、亀頭や陰茎が敏感になっているので、少しの刺激でも射精につながりやすくなります。少しの刺激でも射精してしまうくらいなので性行為による性的刺激を受けると、かなり過敏に反応して過敏性早漏になりやすいと考えられています。
そこで亀頭を物理的な刺激に慣れさせるため包茎手術をすることで早漏改善を試みるケースがあります。先ほどの説明のとおり過敏性早漏には効果があるかもしれませんが、心因性早漏や衰弱性早漏に対しては大きな効果が得られない可能性があります。包茎手術は医師が行うので、自身の早漏のタイプをよく相談したうえで手術の検討をするのがよいでしょう。
早漏治療のながれ
早漏の基準で解説した通り、世界の10人に2~4人が早漏に悩んでいると言われているので、恥ずかしがらず可能な限り早い段階で対策、治療を行うとよいでしょう。これまで紹介してきた治療方法を試す際は、「医療機関・クリニック」を受診する方法、「セルフメディケーション」の一環としてご自身で治療方法を選択する方法の大きく2パターンがあります。
包茎手術などの処置は医療機関やクリニックを受診しないと治療を受けることができません。一方で、ケーゲル体操などの運動によるアプローチや、SSRIやSNRI、ED治療薬などの医薬品によるアプローチは医療機関受診の手間や時間をかけたくないという方にとってはメリットであるため、早漏のセルフメディケーションも進んできています。それぞれの特徴を知ったうえで自身にあった方法を選択するとよいでしょう。
医療機関・クリニック
医師の診断を受け、医師の処方に基づいた治療を受けていく流れです。医薬品を用いる際は、SSRIやSNRI(ダポキセチン、フルオキセチン、デュロキセチンなど)、またはそのジェネリックを用いて治療をするケースが多いです。ダポキセチン、フルオキセチン、デュロキセチンの比較は「医薬品によるアプローチ(SSRI・SNRI)」の項目を参照してください。
また、EDを併発しているケースではED治療薬が処方されることがあります。自分ではEDの症状を感じていなくでももしかしたら影響している可能性があります。早漏治療のために医療機関を受診する際は、念のためEDに関するカウンセリングも同時に受けておくと手間が省けて効率的でしょう。EDについては「ED(勃起不全)とは?EDの症状・原因・治療法など詳しく解説!」のコラムで詳しく解説していますのでぜひ予習に活用してみて下さい。
医療機関やクリニックでは医師の診察が必須になるので以下のような流れを想定しておきましょう。
1.医療機関にて受付、問診票の記入をする
2.医師による問診、診察、カウンセリング、検査を受ける
3.必要に応じて早漏治療薬の処方せんをもらう
4.調剤薬局にて処方せんを提出する
5.薬剤師から処方薬の交付を受ける
※医療機関内で処方薬をもらう場合は「4,5」はありません
セルフメディケーション
自身で早漏のタイプをセルフチェックし、自身で治療方法を選択します。「心因性早漏」「過敏性早漏」「衰弱性早漏」では適切なアプローチが異なるので、早漏のタイプでの解説をしっかり理解したうえでアプローチ方法を検討してください。
日本の医療機関やクリニックで処方されるダポキセチン、フルオキセチン、デュロキセチンやそのジェネリックは海外から個人輸入することも可能なので手軽に手に入れることができます。手軽さがゆえに海外からの個人輸入を不安に思われる方もいるかもしれませんが、弊社メデマートでは安心の正規品個人輸入代行を行っておりますのでどうぞご安心くださいませ。
とくにダポキセチン、フルオキセチンは海外では広く流通しているものの、日本国内では医療用医薬品として認可されていません。そのため、いろいろなアプローチを試しても早漏に効果がなかったケースでは上記SSRIでの治療は選択肢のひとつになるのではないでしょうか。ご自身でお好みの治療方法を試すことができるのはセルフメディケーションの醍醐味のひとつです。
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