抗生物質の種類と使い方・細菌へ効果や耐性菌を防ぐ注意点など解説

抗生物質の種類と使い方・細菌へ効果や耐性菌を防ぐ注意点など解説 抗生物質

抗生物質とは

抗生物質とは画像

抗生物質とは、細菌などの微生物の成長を阻止する物質のことです。
1929年に初めて「ペニシリン」という物質が見つかり、感染症の原因となるブドウ球菌の成長を抑えることが分かったことから抗生物質の歴史は始まっています。人間の体調が悪くなる原因には、さまざまありますが、感染症では大きくウイルスと細菌によるものに分類されます。抗生物質は、ウイルスには効果がなく、細菌にのみ強い効果を発揮します。このような抗生物質が含まれている医薬品を抗生剤と呼ぶこともあります。
抗生物質は様々な種類が発売されており、代表的なものはペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、ニューキノロン系、ぺネム系、テトラサイクリン系などです。
抗生物質について詳しく知りたい方は、以下のページからからもご覧いただけます。

抗生物質の代表的な使い方

抗生物質の代表的な使い方画像

抗生物質は、幅広いタイミングで使用されますが、主に「中耳炎」「細菌性髄膜炎」「細菌性肺炎」などがあります。
風邪はウイルスが原因になっていることがほとんどであるため、抗生剤はあまり使用されませんが、ウイルス感染から2次感染で細菌感染を起こしていた場合、鼻水や痰の症状改善のため、抗生物質が処方されていたこともありました。
抗生物質は多くの種類があり、それぞれ得意とする細菌や注意点などが異なります。違いを知って、正しく服用していくことが重要です。

マクロライド系抗生物質

<マクロライド系抗生物質関連商品①>
●アジー【ジスロマックジェネリック】

アジーは、マクロライド系抗生物質のジスロマックのジェネリック医薬品です。治療期間が短い一方、効果が長続きすることが特徴です。クラミジア感染症・淋病などの性感染症治療、歯周病、膀胱炎、喉の炎症などに使用されます。副作用として、腹痛や嘔吐、かゆみなどがありますので、異常があった場合には医療機関を受診してください。

商品名アジー【ジスロマックジェネリック】
画像アジー【ジスロマックジェネリック】
有効成分アジスロマイシン水和物
価格500mg:1錠あたり566円~
1000mg:1錠あたり585円~
250mg:6錠あたり1700円~
メーカー・ブランドCipla(シプラ)
URLアジー【ジスロマックジェネリック】の購入はこちら

ニューキノロン系抗生物質

<ニューキノロン系抗生物質関連商品①>
●エルクイン

エルクインは、クラビットという抗生物質のジェネリック医薬品です。濃度に依存して効果が発揮されるとされています。ニューキノロン系に分類され、性感染症の中でもクラミジアや淋病に効果が期待されています。
服用も1日1回で簡便なことも特徴の1つです。

商品名エルクイン【クラビットジェネリック】
画像エルクイン【クラビットジェネリック】
有効成分レボフロキサシン【250mg/500mg/750mg】
価格250mg:1錠あたり85円~
500mg:1錠あたり162円~
750mg:1錠あたり324円~
メーカー・ブランドCipla(シプラ)
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ペニシリン系抗生物質

<ペニシリン系抗生物質関連商品①>
●キャンピシリン

キャンピシリンは、アンピシリンを有効成分として含んだペニシリン系抗菌薬です。ビクシリンのジェネリック医薬品です。細胞壁の合成を阻害することで、細菌を殺菌します。梅毒にも効果がありますが、梅毒以外にも中耳炎扁桃炎などにも期待されています。症状によって服用量が異なります。副作用として頭痛や発熱などが報告されていますので、異常があった場合には医療機関を受診してください。

商品名キャンピシリン
画像キャンピシリン
有効成分アンピシリン
価格250mg:1錠あたり48円~
500mg:1錠あたり64円~
メーカー・ブランドカディラファーマ社
URLキャンピシリンの購入はこちら

<ペニシリン系抗生物質関連商品②>
●ワイモックスディスタブ【アモキシシリン】

ワイモックスディスタブ【アモキシシリン】は、殺菌効果がつよいペニシリン系の抗菌薬です。効果が強いため、梅毒淋病だけではなく、咽頭炎・扁桃炎・急性気管支炎・中耳炎・歯周組織炎・膀胱炎・大腸菌・インフルエンザ・ピロリ菌の除去などの感染症治療薬として使われています。アモキシシリンを有効成分として含んでおり、ペニシリン系の抗菌薬の中でも使用頻度が高い薬剤となっています。年齢や症状によって服用方法や服用量が異なりますので、症状に合わせて変更してください。

商品名ワイモックス【アモキシシリン】
画像ワイモックス【アモキシシリン】
有効成分アモキシシリン250mg
価格250mg:150錠あたり43円~
メーカー・ブランドAbbott
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アシクロビル系

<アシクロビル系関連商品①>
●バルシビル【バルトレックスジェネリック】

バルシビルは、バルトレックスというアシクロビル系のジェネリック医薬品です。1日辺りの値段が304円~と安価なため、症状を改善したいが、治療費用は安く抑えたい場合はおすすめの医薬品です。

商品名バルシビル【バルトレックスジェネリック】
画像バルシビル【バルトレックスジェネリック】
有効成分バラシクロビル
価格500:1錠あたり318円~
メーカー・ブランドCipla(シプラ)
URLバルシビル【バルトレックスジェネリック】の購入はこちら

その症状ウイルス性?細菌性?

その症状ウイルス性?細菌性?画像

体調が悪化した時、医療機関で検査してもらうのが一番ですが、すぐに医療機関に行けない方もいるかもしれません。医療機関を受診する前に、自身で原因を知りたいという方には、一般的な目安をご紹介します。
鼻のみ・咳のみといったように一部分だけ症状が出ている場合は、細菌による感染が高い可能性があります。ウイルスは部位を選ばずに全体に増殖するため症状も全体に出ますが、細菌は一部分で増殖するため、症状も限定的になります。ほかにも以下のような症状はウイルス性や細菌性を疑ってください。

ウイルス性

ウイルス性の症状

  • 発熱が1~3日続く
  • 鼻水・体のだるさ・のどの痛みなど様々な部位に症状が出現

細菌性

細菌性の症状

  • 発熱が4日以上続く
  • 熱が上がるときに、強い寒気がする
  • 急激に症状が悪化した

ウイルス性の症状だと抗生物質は効かない?

ウイルス性の症状だと抗生物質は効かない?画像

冒頭でも記載したように、抗生物質はウイルスには効果がありません。細菌にのみ効果があるのですが、体調不良の原因がウイルスなのか、風邪なのかは検査しないとわかりません。そのため、自分の症状に抗生剤を服用してよいか迷う時は、一度医療機関の受診をお勧めします。
このような中で、風邪はほとんどがウイルス感染です。以前は、風邪の症状の後、2次感染(細菌感染)を予防するために抗生剤が処方されていましたが、抗生物質を飲んでも症状はよくならないことがわかってきました。現在は風邪に抗生剤が処方されることはあまりありません
しかし、実は風邪の症状だと思っていても実は細菌が原因だったということもあります。それが「マイコプラズマ肺炎」です。マイコプラズマ肺炎は風邪のような症状が出ますが、「マイコプラズマ」という細菌が肺で増加することで起こる疾患ですので、注意が必要です。

不要な抗生物質は飲まない

不要な抗生物質は飲まない画像

世界中で「薬剤耐性菌」というものが問題になっています。抗生物質は、適切な服用方法で飲まないと、中途半端な効果となり、薬に抵抗性を持つ細菌が生まれてしまいます。例えば、MRSAと略されている「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」は代表的な薬剤耐性菌で、皮膚や咽喉などに存在している常在菌です。通常の人間に対して悪さをすることはありませんが、例えば病院などで体の弱い方に感染してしまうと症状が重篤化することもあります。
薬剤耐性菌が増えると、抗生剤での治療が追い付かなくなり、効果のある薬剤がなくなってしまうことにもつながります。
そのため、「風邪だからと言って安易に抗生物質を飲まない」「複数の抗生物質を飲まない」「症状が治ったからと言って自己判断で途中で飲むのをやめない」「飲み忘れない」ことが大切です。


※薬剤耐性菌が問題となる細菌名

細菌名特徴
バンコマイシン耐性腸球菌
(VRE)
腸管内に存在する常在菌です。
重篤な症状として敗血症があるが通常の人間には無害です。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
(MRSA)
黄色ブドウ球菌は、皮膚や鼻腔、咽喉、腸管に存在する常在菌です。
通常は無害ですが、重篤な症状に表皮感染症、食中毒などがあげられます。
多剤耐性アシネトバクターアシネトバクターは自然界に存在する菌です。重篤な症状に敗血症、髄膜炎などがあります。
多剤耐性緑膿菌
(MDRP)
緑膿菌は自然の中に存在する菌です。健康な人への感染はまれとされていますが、重篤な症状に敗血症、心内膜炎などがあります。

耐性菌の発生を防ぐため医師の指示通りに服用

耐性菌の発生を防ぐため医師の指示通りに服用画像

抗生物質は、正しく飲まないと薬剤耐性菌を生み出してしまう可能性があります。
私たちができることは、「抗生剤をきちんとした用法用量で服用する」ことです。
例えば途中で飲み切らずにやめてしまうと、まだ殺し切っていない細菌が復活し、強い細菌へと変化します。また、家に余っている抗生剤を服用すると通常よりも少ない量のため、耐性菌を生み出すきっかけにもなります。抗生剤は、自己判断の服用方法をしないよう注意しましょう。

抗生物質に関するよくある質問

抗生物質に関するよくある質問画像
Q
抗生物質はかなり強い薬剤なのですか?
A

細菌を殺すので、きつい薬剤というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、人間に対して悪い影響などはもたらしません
しかし稀に副作用として消化器障害などが出る場合もあります。

Q
薬剤耐性菌の発生状況で特徴などはありますか?
A

薬剤耐性菌の出現は世界各国で報告されています。抗生物質を多く使用している国ほど、薬剤耐性菌の出現は多いとされています。
そのため、入院患者の渡航歴や既往歴を確認する行為は、薬剤耐性菌の感染を疑うきっかけとなります。

Q
多剤耐性菌とはなんでしょうか?
A

1つの抗生物質に対して耐性を持つのではなく、複数の抗生物質に対して耐性を付けた菌のことです。
このような菌たちは有効な薬剤が少なくなるため、治療が難しくなってしまうことが予想されます。

Q
抗生物質を飲み忘れた時はどうしたらよいでしょうか?
A

気づいたらできるだけ早く飲んでください
しかし、次の服用まで時間があいていないときは、服用した後6時間あけて次の薬剤を服用してください。自己判断で飲まない・途中でやめることは避けてください。

最後に

抗生物質は、細菌に対して効果を発揮する医薬品です。ただし、正しく使用しないと薬の効果がなくなる薬剤耐性菌を出現させてしまうこともあり、注意しながら服用を続けることが大切です。自分でやめたり、中途半端な量だけを飲んでしまうと、治療できる薬がなくなり、自身の症状がより一層悪化してしまうことにもつながりかねません。抗生物質は正しい用量用法を守って服用しましょう。

出典

一般の方へ 市民のための薬と病気のお話 抗生物質が効かない事が有る。ほんと?
東京都感染症情報センター 抗菌薬と薬剤耐性菌 Q&A
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