ジスロマック(アジスロマイシン)とは
ジスロマック(一般名:アジスロマイシン)は、細菌の増殖を防ぐ働きのある抗生物質です。
抗生物質は作用の仕方から「ペニシリン系」「セフェム系」「カルバペネム系」「マクロライド系」「テトラサイクリン系」「アミノグリコシド系」「ニューキノロン系」に分類されています。
その中で、ジスロマックの有効成分である「アジスロマイシン」はマクロライド系に該当する抗生物質になります。
ジスロマックの特徴
- 従来のマクロライド系抗生物質より強い抗菌力があります。
- 体内での濃度が長く持続するため、1日1回の服用で済みます。
- 細菌が潜んでいる体の組織にも移行しやすいため、効果的に働きます。
ジスロマックは細菌が新しいタンパク質を作る働きを阻害することで、細菌の増殖を止めます。人間の細胞とは異なる形の細菌のタンパク質合成装置(リボソーム)だけを選択的に狙うため、人体に害を与えにくいのが特徴です。
日本で発売されているアジスロマイシンの剤形は、通常は錠剤やカプセル剤、小児用の細粒がありますが、点眼薬や注射薬もあります。
①ジスロマック細粒小児用10%
②ジスロマック錠250mg/600mg (アジスロマイシン錠500mg)
③ジスロマックカプセル小児用100mg (アジスロマイシン小児用錠100mg「タカタ」)
④ジスロマック点滴静注用500mg
⑤アジマイシン点眼液1%
これらはすべて症状や年齢に合わせて使い分けられています。
ジスロマックは効果が長続きし、1日1回の服用で済むため、患者の服薬負担が軽くなるメリットがあります。
耐性菌に注意
ジスロマックは強力な抗菌力を持つ抗生物質ですが、必ずしもすべての細菌に対して効果があるわけではありません。細菌の種類によっては、ジスロマックに対して耐性を持つ菌株が存在します。
耐性菌とは、その抗生物質が本来効くはずの細菌でも、何らかのメカニズムでその薬の効果を打ち消してしまう細菌のことを指します。耐性菌に対してはその抗生物質を使用しても効果がありません。
ジスロマックを数日間使用しても症状の改善が見られない場合には、その細菌がジスロマックに耐性を持っている可能性があります。
このような場合、医師の判断で別の抗生物質に切り替えることがあります。ただし、患者個人の判断で勝手に使用を中止してしまうと、かえって残りの菌を強くして増やしてしまう恐れがあります。
抗生物質を乱用し続けると、さらに耐性菌が増えてしまうリスクがあります。そのため、医師の指示に従って、規定の期間しっかりと服用を続けることが大切です。早めに症状が改善しても、自己判断で使用を中止せず、必ず医師に相談しましょう。
また、不要な抗生物質の使用は耐性菌を生み出す一因でもあります。かぜやインフルエンザなどでウイルス性の場合は、抗生物質は効かないため、使用を控えましょう。医療従事者の適切な判断と、患者の方の協力が、耐性菌の蔓延を防ぐ鍵となります。
ジスロマック(アジスロマイシン)の効果・効能
ジスロマックは細菌による様々な感染症の治療に使用される抗生物質です。細菌の種類によっては非常に強力な効果を発揮しますが、一方で効きにくい細菌もあります。
ジスロマックが効果的な感染症
呼吸器感染症
肺炎、気管支炎、咽頭・喉頭炎(いんとう・こうとうえん)、扁桃炎、副鼻腔炎など
皮膚・軟部組織感染症
でき物、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、リンパ管・リンパ節炎など
性器感染症
クラミジア感染による尿道炎、子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)、尿道炎
骨盤内感染症
子宮内膜炎(しきゅうないまくえん)、卵管炎(らんかんえん)など
中耳炎、顎炎(がくえん)
歯科領域
歯周組織炎(ししゅうそしきえん)、歯冠周囲炎(しかんしゅういえん)
眼領域
結膜炎、眼瞼炎(がんけんえん)、涙嚢炎(るいのうえん)
ジスロマックは、次の細菌に感染した場合に特に効果的です。
ジスロマックが効果的な細菌
- ブドウ球菌属(アジスロマイシンに感性)
- レンサ球菌属
- 肺炎球菌
- 淋菌
- インフルエンザ菌
- クラミジア属
- マイコプラズマ属
- クラミジア属
- レジオネラなど
ただし、緑膿菌などの一部の細菌に対しては効果が期待できません。
投与方法は、通常は経口で錠剤や細粒を服用しますが、重症な場合は点滴による静脈内投与もあります。
クラミジア感染の場合は、1回高用量(1,000mg)を服用すると高い陰性化率が得られます。
クラミジア感染症とは?
クラミジアは性行為を通じて感染する細菌による性感染症(STD)の一つです。世界的に非常に多くの人が感染していると推定されています。
感染経路
主な感染経路は性行為です。また、出産の際に母体から新生児へ感染する場合もあります。
症状
男性では、尿道炎(排尿時の痛みや熱っぽさ)や精巣上体炎などの症状が出る場合があります。 女性の場合は、無症状のことが多く、放置すると子宮頸管炎や骨盤内炎症性疾患(不妊症の原因にもなる)などを引き起こすリスクがあります。
予防
コンドームの着用が最も確実な予防法です。パートナーと信頼関係があっても、性行為の度に使用することが大切です。
感染後
一度感染が確認された場合は、パートナーも一緒に検査を受ける必要があります。クラミジア感染症の治療は抗生物質が効果的で、ジスロマックがよく使われます。治療中は性行為を控えましょう。
感染後に適切な治療を行わないと、再発や合併症のリスクが高くなります。また、パートナーへの感染を防げないので、早期発見と治療が何より重要です。
症状がなくても性行為で感染するリスクがあるため、定期的な検査を受けることをおすすめします。自覚症状がない無症候性感染者が感染を広げてしまう原因になっているためです。
ジスロマック(アジスロマイシン)の副作用
ジスロマックは、効果が強力で服用期間が短いのが特徴ですが、副作用も起こりやすいお薬の一つとされています。主な副作用は以下の通りです。
胃腸症状
下痢、腹痛、悪心・嘔吐、腹部膨満感
ジスロマックが腸内の細菌にも影響を及ぼすため、胃腸症状が最も多く見られる副作用です。
特に下痢が起こりやすく、お子さんの場合はよく気をつける必要があります。
アレルギー症状
発疹、蕁麻疹、呼吸困難
マクロライド系の抗生物質にアレルギーがある方は、ジスロマックでも同様の症状が出る可能性が高くなります。
その他
頭痛、めまい、肝機能障害
重篤な副作用も極めてまれに起こる可能性があります。高熱、皮膚の異常、意識障害などの症状があれば、すぐに医師に相談しましょう。
ジスロマック(アジスロマイシン)の重大な副作用
ショック・アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、喘鳴、血管浮腫等を起こす事があります。また冷や汗、意識を失う、じんましんなどのアレルギー反応が出る可能性があります。
皮膚障害(頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症(ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう)、スティーブンス・ジョンソン症候群、急性汎発性発疹性膿疱症(きゅうせいはんぱつせいほっしんせいのうほうしょう)など、重篤な皮膚症状を引き起こすことがあります。
薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
発熱、皮膚発疹、リンパ節の腫れなどの全身的な過敏反応が出ることがあります。
肝機能障害・肝炎・肝不全・黄疸(頻度不明)
肝臓に障害が出て、黄疸、吐き気、食欲不振などの症状が現れる可能性があります。
腎障害(頻度不明)
急性腎障害を引き起こし、むくみ、倦怠感、意識障害などが出ることがあります。
偽膜性大腸炎(ぎまくせいだいちょうえん)・出血性大腸炎(頻度不明)
下痢、血便、激しい腹痛などの重篤な大腸の障害が生じる可能性があります。
間質性肺疾患・好酸球性肺炎(頻度不明)
咳、息切れ、発熱などの呼吸器系の症状を引き起こすことがあります。
心疾患(頻度不明)
心電図の異常(QT延長)、息切れや動悸、脈が早くなる、意識がなくなる(心室性頻拍)などの症状を引き起こす事があります。
白血球減少・顆粒球減量・血小板減少(頻度不明)
発熱や喉の痛み、鼻血や歯肉からの出血、青あざができやすくなるなどの症状が現れます。
横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感等の症状が出る場合があります。特に急性腎障害の発症には注意が必要です。
これらの症状が現れた場合は、直ちに医師に受診し、適切な治療を受ける必要があります。特に過去にマクロライド系薬でアレルギー症状が出たことがある方は、重大な副作用が出る危険性が高くなりますので、必ず医師に確認しましょう。
ジスロマック(アジスロマイシン)の副作用対策
ジスロマックの副作用対策
- 整腸剤の併用で下痢をコントロールする
- 医師に副作用リスクを確認し、観察を怠らない
- 症状が気になる場合は、すぐに受診する
ジスロマックは強力な薬ですが、しっかりとした副作用対策と自己管理で安全に服用できます。気になる点は必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
ジスロマック(アジスロマイシン)飲み方と注意点
ジスロマックの飲み方
ジスロマックは抗生物質の一種で、1回の投与量と服用日数が決められています。適切に服用しないと効果が得られないだけでなく、副作用が強く出る可能性もあるため注意しましょう。
●深在性皮膚感染症、呼吸器感染症など
成人の場合、1回500mgを1日1回、3日間服用します。合計1,500mgになります。
●性器感染症(尿道炎、子宮頸管炎)
成人の場合、1回1,000mgを1日1回だけ服用します。2~4週間は経過観察が必要です。
●骨盤内炎症性疾患
点滴で治療した後、1日1回250mgを経口投与します。総投与期間は合計で7日間実施します。
このように、病気の種類によって用法・用量が変わります。必ず医師の指示通りに服用しましょう。
ジスロマックを服用できない人(禁忌)
●過去にジスロマックに含まれる成分で過敏症(アレルギー)があった人
ジスロマックを服用すると、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が起こる可能性があります。
ジスロマックの服用に注意が必要な人
●他のマクロライド系又はケトライド系薬剤で過敏症があった人
●心疾患のある人
●高度な肝機能障害のある人
●妊婦または妊娠している可能性のある人
●授乳中の人
●小児または高齢者
これらの人は、ジスロマックの服用によって持病が悪化したり、胎児や乳児に影響が出る可能性があるため、主治医と相談の上で慎重に検討する必要があります。
ジスロマックの併用注意薬
●制酸剤(胃酸を中和する薬):水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム
●ワルファリン(抗凝固剤)
●シクロスポリン(免疫抑制剤)
●ネルフィナビル(HIV治療薬)
●ジゴキシン(不整脈治療薬)
●ベネトクラクス(抗がん剤)
これらの薬との併用は、ジスロマックまたは併用薬の効果や代謝に影響を与える可能性があるため、併用する場合は慎重に経過観察する必要があります。
ジスロマックの併用禁忌薬
●現時点では特に報告されていません。
ジスロマックは強力な抗生物質ですので、医師の指示に従い、注意深く服用する必要があります。副作用が気になる場合は速やかに医師に相談しましょう。
ジスロマック(アジスロマイシン)はAmazonや楽天では買えません
ジスロマックはインターネット通販では買えない理由
ジスロマック(一般名:アジスロマイシン)は、医師の診断のもと処方される医薬品です。
これら医薬品はamazonや楽天などの通販サイトでは一般に購入することができません。その理由は主に以下の2点からです。
①「医療用医薬品」のため処方箋が必要
ジスロマックは病院や薬局で医師の処方箋を受けて購入する「医療用医薬品」に指定されています。体調や症状を正確に診断し、安全性を確認した上で適切な使用ができるよう、法的に医師の処方が義務付けられています。
②強力な薬理作用と重大な副作用リスク
ジスロマックは強力な抗菌作用を持つ反面、重大な副作用が出る可能性も高い薬剤です。下痢などの消化器症状に加え、まれにアナフィラキシーショックや肝機能障害、腎障害などの重篤な症状を引き起こすリスクがあります。
自己判断での使用は症状の悪化や新たな健康被害をまねく危険性が高いため、amazonや楽天などでの購入を防ぐ目的で、インターネット通販での販売は認められていません。
また、偽造品や未承認の薬品が出回るリスクを防ぐ意味合いもあります。
ジスロマックは強力な効果を持つ優れた抗生物質ですが、一方で副作用リスクも高い薬剤です。
感染症治療に欠かせない重要な存在ですが、健康被害を防ぐため、あくまでも医師の管理下での適正使用が義務付けられているということになります。
セルフメディケーションによる被害を防ぎ、安全で適切な薬の使用を促すために、インターネット通販での個人販売は法的に認められていないのが現状です。
個人輸入で買えるジスロマック(アジスロマイシン)のジェネリック医薬品一覧
①新薬
商品名 | ジスロマック |
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メーカー | Pfizer(ファイザー) |
価格 | 250mg 6錠:4,500円 18錠:12.820円 30錠:20,300円 |
特徴 | 日本で発売されている先発医薬品と同等品のジスロマック錠250mgです。1錠単価750円になります。クラミジア売れ筋ランキング第9位、淋病売れ筋ランキング第7位となっています。 |
認知度 | ★:4.6(30件レビュー) |
購入サイト | ジスロマックの購入はこちら |
②ジェネリック医薬品
商品名 | アジー【ジスロマックジェネリック】 | アジシップ【ジスロマックジェネリック】 | ジスリン【ジスロマックジェネリック】 |
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メーカー | Cipla(シプラ) | Cipla(シプラ) | Asle pharmaceuticals(アスレ) |
価格 | 500mg 5錠:3,150円 15錠:8,500円 30錠:17,000円 1000mg 6錠:3,900円 18錠:10,530円 36錠:21,060円 | 250mg 6錠:1,700円 12錠:3,300円 18錠:4,800円 30錠:7,400円 60錠:14,500円 | 250mg 5錠1,400円 10錠:2,530円 500mg 5錠:3,000円 10錠:5,800円 1000mg 5錠:5,800円 10錠:9,000円 |
特徴 | ジスロマックのジェネリック医薬品です。日本にはない1000mg規格が販売されています。1錠単価630円になります。 性病・性感染症・クラミジア・淋病ともにランキング第1位です。 | ジスロマックのジェネリック医薬品です。用量250mgのみの販売です。1錠単価は283円になります。 | ジスロマックのジェネリック医薬品です。用量は250mg/500mg/1000mgとフルラインナップが揃っています。250mg1錠単価は282円です。 |
認知度 | ★:4.7(68件レビュー) | ★:4.6(16件レビュー) | ★:0(0件レビュー) |
購入サイト | アジー【ジスロマックジェネリック】の購入はこちら | アジシップ【ジスロマックジェネリック】の購入はこちら | ジスリン【ジスロマックジェネリック】の購入はこちら |
③シロップタイプ
商品名 | アジードライシロップ |
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メーカー | Cipla(シプラ) |
価格 | 200mg 2本:1,080円 4本:1,950円 6本:2,600円 12本:5,200円 24本:10,400円 36本:15,000円 48本:20,000円 60本:25,000円 |
特徴 | ジスロマックのジェネリック医薬品のドライシロップです。シロップタイプなので錠剤が苦手な人でも服用しやすい剤形です。200mg1本単価は540円です。 |
認知度 | ★:4.6(5件レビュー) |
購入サイト | アジードライシロップの購入はこちら |
ジスロマック(先発品) | ジスロマックジェネリック | |
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効能・効果 | 同等 | |
価格 | 高い | 安い |
有効成分 | アジスロマイシン水和物 | |
品質・安全性 | 同等 |
ジスロマックもそのジェネリックも有効成分は同一であり効き目に変わりはありません。特にクラミジアには高い治療効果を示します。
しかし自分がクラミジアかどうかわからずにジスロマックを服用することは避けるようにしましょう。クラミジア検査キットも販売されています。
感染の有無を確認後、治療を行うようにしましょう。
まとめ
ジスロマック(一般名アジスロマイシン)は、マクロライド系の強力な抗生物質です。様々な感染症の治療に広く使用されていますが、正しい使い方を守らないと重大な副作用が起こるリスクがあります。
ジスロマックは細菌感染症の治療に使用されます。主な効能は、気管支炎や副鼻腔炎、皮膚感染症、性感染症など様々な疾患に対して処方されます。抗菌スペクトルが広く、1日1回の投与で効果が持続するのが特徴です。
副作用には吐き気や下痢、腹痛などがありますが、一般的には軽度であり、重篤な副作用はまれです。しかし、過去にジスロマックでアレルギー反応があった人は絶対に服用できません。
ジスロマックは空腹時でも食後でも服用できますが、一定の時間間隔を空けて正確に服用することが重要です。医師の指示に従って正確に服用し、治療期間を守ることが大切です。
また、ジスロマックは医療用医薬品に指定されている為、処方箋が必要な医薬品になります。Amazonや楽天などの通販サイトでは購入できません。必ず病院で診察を受け、処方箋を書いてもらう必要があります。人に知られたくない性行為感染症などでどうしてもジスロマックが必要な場合は個人輸入により購入することが可能です。
強力な効果がある反面、リスクの高い薬剤でもあるジスロマック。適切な使用と医師の管理下であれば、感染症の確実な治療につながります。副作用が気になる場合は早めに相談し、指示に従って服用しましょう。
ジスロマックにはジェネリック医薬品も存在しますが、先発医薬品と同等の有効性と安全性があると承認されたものだけが販売されています。いずれの場合も専門家に相談して選択することが重要です。
出典
ジスロマック錠250mg添付文書
新規15員環マクロライド系抗菌薬アジスロマイシン(ジスロマック)の薬理学的および薬物動態学的特性