抗生物質とは?抗生物質が必要な症状・種類を詳しく解説!│メデマートコラム

抗生物質とは?抗生物質が必要な症状・種類を詳しく解説!│メデマートコラム 抗生物質

抗生物質とは?

抗生物質とは?

抗生物質(Antibiotics)は、微生物によって生産される化合物であり、細菌や一部の真菌などの微生物の増殖を抑制するために使用される薬物です。
抗生物質は、感染症や病原微生物による疾患の治療や予防に広く使用されています。
抗生物質は通常、細菌が引き起こす感染症に対して効果的ですが、ウイルスによる感染症(例:風邪やインフルエンザ)には効果がないと言われています。
これは、ウイルスが細胞内で増殖するため、抗生物質が直接的な効果を持たないためです。
風邪で病院に行った際に抗生物質を処方されるケースがあるかと思いますが、処方する理由としては念のため渡しておくといった意味合いが多いです。
抗生物質は、さまざまなメカニズムによって微生物の増殖を阻害する作用を持っています。
例えば、細菌の細胞壁の合成を妨げることで細菌の成長を停止させたり、細菌のタンパク質合成を阻害して細菌の増殖を抑制します。
ただし、抗生物質の乱用や過剰使用は、耐性菌(抗生物質に対して耐性を持つ細菌)の出現を促すことがあります。
耐性菌は、通常の抗生物質では効果がなくなり、感染症の治療が困難になる場合があります。
また、腸内にある常在菌(善玉菌)も一緒に攻撃してしまうため、下痢を発症したり、かえって風邪にかかりやすいなどリスクもあります。

抗生物質が必要な症状

ウイルスイメージ画像

抗生物質は、細菌感染症の治療に使用されます。
以下に一般的な細菌感染症の症状をいくつか挙げてみたいと思います。

上気道感染症

上気道感染症は、鼻、のど、副鼻腔、喉などの上気道(上部呼吸器)に感染が生じる疾患の総称です。
これには風邪(感冒)、インフルエンザ、咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎、鼻炎などが含まれます。
一般的な症状としては、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、咳、喉の痛みなどの症状がある場合があります。

中耳炎

中耳炎は、中耳に炎症が生じる状態です。
通常、中耳は空気で満たされていますが、感染やアレルギーなどによって中耳に異常が生じると、細菌またはウイルスが繁殖し、炎症が引き起こされます。
一般的な症状としては、耳の痛み、耳鳴り、聴力の低下などの症状がある場合があります。

喉頭炎または扁桃炎

喉頭炎(こうとうえん)と扁桃炎(へんとうえん)は、のどの炎症を指す疾患ですが、それぞれ異なる部位に炎症が生じます。
喉頭炎は、喉頭(こうとう)と呼ばれる器官の炎症を指し、扁桃炎は、扁桃(へんとう)と呼ばれる喉の奥にある組織の炎症を指します。
一般的に、喉の痛み、発熱、声のかすれや声の変化、咳や喉のかゆみ、嚥下(のみこむこと)の困難や飲み込むときの痛みなどの症状がある場合があります。

尿路感染症

尿路感染症は、尿路に細菌の感染が生じる状態を指します。
尿路は膀胱、尿管、腎臓などから成り、尿の排泄と体内の老廃物の除去に関与しています。
尿路感染症は一般的に細菌によって引き起こされますが、時には真菌やウイルスによる感染もあります。
主な症状は、頻尿、尿の痛みや刺激感、尿の異常な臭い、下腹部の痛み、尿の濁りなどの症状がある場合があります。

皮膚感染症

皮膚感染症は、皮膚の表面または深部に細菌、ウイルス、真菌などの病原体が侵入し、炎症や症状を引き起こす疾患の総称です。

一般的な皮膚感染症

  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
  • びらん性口唇炎(びらんせいこうしんえん)
  • 水虫(すいむし)
  • 膿疱(のうほう)
  • さめ疱疹(さめびょうしん)

皮膚の赤み、腫れ、熱感、痛み、膿などの症状があり、細菌が原因となる感染症で、抗生物質や抗真菌薬、抗ウイルス薬などが使用されます。

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主な抗生物質の種類

以下に、一般的な抗生物質のいくつかを挙げます。
これは一部の代表的なものであり、すべての抗生物質を網羅しているわけではありませんのでご注意ください。

ペニシリン(Penicillin)

ペニシリン(Penicillin)は、最初に発見された抗生物質であり、細菌感染症の治療に広く使用されます。
1930年代にアレクサンダー・フレミングによって偶然発見され、その後、エルンスト・チェーンやハワード・フローリーによって研究が進められました。
ペニシリンは細菌の細胞壁の合成を妨げることで細菌の成長を抑制します。
具体的には、細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの形成を阻害し、細菌が増殖することができなくなります。
ペニシリンは広範な細菌感染症に有効であり、咽頭炎、肺炎、膿瘍、皮膚感染症、尿路感染症などの治療に使用されます。
ただし、一部の細菌はペニシリンに対して耐性を持っており、効果が期待できない場合もあります。
また、ペニシリンにはさまざまな種類があります。
例えば、
アンピシリン(Ampicillin)、アモキシシリン(Amoxicillin)、クロキサシリン(Cloxacillin)などがあります。
これらの異なるタイプのペニシリンは、特定の細菌に対してより効果的であったり、特定の感染症に対して推奨される場合があります。
ペニシリンは一般的には安全であり、多くの場合、副作用は軽度です。
ただし、アレルギー反応が起こる可能性があるため、過去にペニシリンに対してアレルギー反応を経験した人は使用できないとされています。

アンピシリン(Ampicillin)関連商品

商品名キャンピシリン
画像キャンピシリン
価格1錠あたり52円~
メーカーCadila Pharmaceuticals(カディラファーマスーティカル)
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アモキシシリン(Amoxicillin)関連商品

商品名ノバモックス
【アモキシシリンシロップ】
ワイモックス
【アモキシシリン】
アモキシヒール-CV
画像ノバモックスワイモックスアモキシヒール-CV
価格1本あたり1,250円~1錠あたり47円~1錠あたり140円~
メーカーCipla(シプラ)Abbott(アボット)Healing Pharma(ヒーリングファーマ)
購入ページノバモックス【アモキシシリンシロップ】の購入ページはこちらワイモックス【アモキシシリン】の購入ページはこちらアモキシヒール-CVの購入ページはこちら

セフトリアキソン(Ceftriaxone)

セフトリアキソン(Ceftriaxone)は、セフェム系と呼ばれる抗生物質の一種です。
広範な細菌感染症の治療に使用され、強力な抗菌作用を持っています。
セフトリアキソンは、細菌の細胞壁合成を妨げることによって細菌の成長を阻害します。
細菌の細胞壁は重要な構造であり、細胞壁の合成を妨害することで細菌を殺菌または増殖阻害します。
一般的な適応症には、細菌性髄膜炎、肺炎、尿路感染症、皮膚感染症、骨や関節の感染症などが含まれます。
また、淋病やクラミジア感染症の治療にも使用されることがあります。
セフトリアキソンは通常、注射(筋肉内または静脈内)によって投与されますが、投与方法や投与量は、感染の種類や重症度、患者の年齢や体重に基づいて医師によって決定されます。
セフトリアキソンは一般的に安全な抗生物質ですが、一部の人ではアレルギー反応や副作用が起こることがあります。
重大な副作用はまれですが、注意が必要です。

エリスロマイシン(Erythromycin)

広範な細菌感染症の治療に使用され、特にペニシリンに対するアレルギーのある患者さんに選択肢として使われることがあります。
エリスロマイシンは、細菌のタンパク質合成を阻害することによって細菌の成長を抑制しますが、具体的には細菌のリボソームに結合し、タンパク質の合成を妨げます。
エリスロマイシンは、上気道感染症(鼻やのどの感染症)、皮膚感染症、耳感染症、肺炎、淋病やクラミジア感染症などのさまざまな感染症の治療に使用され、経口薬として服用することが一般的です。
また、外用薬としても使用されることがあり、皮膚感染症や目の感染症の治療に使われます。
一般的には安全な抗生物質ですが、一部の人ではアレルギー反応や副作用が起こることがあります。
消化器系の副作用(吐き気、嘔吐、下痢など)が比較的よく知られています。
他の副作用として、腹痛、頭痛、めまい、皮膚のかゆみや発疹などが報告されています。
重篤な副作用はまれですが、注意が必要です。

エリスロマイシン(Erythromycin)関連商品

商品名エリスロマイシンTC
画像エリスロマイシンTC
価格1錠あたり122円~
メーカーPolfa Tarchomin S.A.(ポルファタルコミン)
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テトラサイクリン(Tetracycline)

テトラサイクリン(Tetracycline)は、幅広い細菌感染症の治療に使用される抗生物質です。
テトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質の一種であり、細菌の増殖を抑制する効果があります。
テトラサイクリンは、エリスロマイシンと同じく細菌のタンパク質合成を妨げることによって細菌の成長を抑制します。
主ににきびやローズフェバーなどの皮膚感染症、呼吸器感染症(肺炎、気管支炎)、尿路感染症、性感染症(クラミジア、淋病)、歯科感染症など、さまざまな感染症の治療に使用されることがあります。
一般的には、テトラサイクリンは経口薬として服用されますが、食物や乳製品と一緒に摂ると吸収が妨げられるため、空腹時に服用することが推奨されることがあります。
テトラサイクリンには、他の抗生物質と比較して広範な細菌に対する耐性が発生しやすいという特徴があります。
また、テトラサイクリンは妊娠中や授乳中の女性、および8歳未満の子供には適さない場合があります。
副作用としては、消化器系の問題(吐き気、嘔吐、下痢など)や、光過敏症(日光過敏症)が報告されることがあります。

テトラサイクリン(Tetracycline)関連商品

商品名モノドックス
【ビブラマイシンジェネリック】
画像モノドックス
価格1錠あたり171円~
メーカーDeva Holding A.S.(デヴァ・ホールディング)
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アジスロマイシン(Azithromycin)

アジスロマイシン(Azithromycin)は、マクロライド系抗生物質の一種です。
幅広い細菌感染症の治療に使用され、特に上気道感染症や性感染症の治療によく用いられます。
アジスロマイシンも細菌のタンパク質合成を阻害することにより細菌の成長を抑制します。
慢性気管支炎、副鼻腔炎、扁桃炎などの上気道感染症、肺炎、性感染症(クラミジア、淋病)、皮膚感染症、中耳炎など、さまざまな感染症の治療に使用されます。
一般的に経口薬として服用され、通常は1日に1回または2回服用します。
アジスロマイシンは長時間体内に留まる性質を持つため、短期間で効果が持続し、通常3日間から5日間の治療期間が一般的です。
一般的には比較的安全な抗生物質ですが、稀に副作用が発生することがあります。
主な副作用には、消化器系の症状(吐き気、嘔吐、下痢など)、頭痛、めまい、皮膚のかゆみや発疹が含まれます。
また、まれに重篤な副作用(心リズム異常など)が発生することもありますが、そのリスクは非常に低いです。

アジスロマイシン(Azithromycin)関連商品

商品名アジージスロマックアジードライシロップ
画像アジージスロマックアジードライシロップ
価格1錠あたり253円~1錠あたり676円~1本あたり416円~
メーカーCipla(シプラ)Abbott(アボット)Healing Pharma(ヒーリングファーマ)
購入ページアジーの購入ページはこちらジスロマックの購入ページはこちらアジードライシロップの購入ページはこちら

フルオロキノロン系(Fluoroquinolones)

フルオロキノロン系(Fluoroquinolones)は、広範な細菌感染症の治療に使用される抗生物質の一群で、細菌のDNA複製を阻害することによって細菌の成長を抑制します。
フルオロキノロン系の抗生物質には、シプロフロキサシン(Ciprofloxacin)、レボフロキサシン(Levofloxacin)、モキシフロキサシン(Moxifloxacin)などがあり、これらの薬剤は、細菌がDNAを複製するために必要な酵素であるDNAジャイレースを阻害することで細菌の増殖を阻止します。
主に尿路感染症、呼吸器感染症(肺炎、気管支炎)、皮膚感染症、腹部感染症、骨や関節の感染症、性感染症など、さまざまな感染症の治療に使用されますが、感染予防のための予防投与にも使用されることがあります。
フルオロキノロン系の抗生物質は通常、経口薬として服用されますが、重症な感染症の場合や経口投与が困難な場合には静脈内投与も行われます。
フルオロキノロン系は一般的に効果的であり、多くの細菌に対して広範な活性を持っていますが、長期間の使用や不適切な使用により、耐性菌の発生が懸念されることがあります。
また、フルオロキノロン系の使用には副作用や注意事項が存在します。
例えば、消化器系の副作用(吐き気、下痢)、神経系の副作用(頭痛、めまい、神経障害)、腱断裂のリスクの増加などが報告されています。

シプロフロキサシン(Ciprofloxacin)関連商品

商品名シプロックス
画像シプロックス
価格1錠あたり49円~
メーカーCipla(シプラ)
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レボフロキサシン(Levofloxacin)関連商品

商品名エルクインレボクインレボフロックス
画像エルクインレボクインレボフロックス
価格1錠あたり94円~1錠あたり94円~1本あたり55円~
メーカーCipla(シプラ)Cipla(シプラ)Cipla(シプラ)
購入ページエルクインの購入ページはこちらレボクインの購入ページはこちらレボフロックスの購入ページはこちら

サルファ剤(Sulfonamides)

サルファ剤(Sulfonamides)は、広範な細菌感染症の治療に使用される抗生物質の一群で、細菌の成長を抑制するために代謝過程に干渉します。
サルファ剤は、プテロイルグルタミン酸(folate)というビタミンB群の成分を細菌が合成する過程を妨げますが、細菌はプテロイルグルタミン酸を必要としており、サルファ剤がこの過程を阻害することで、細菌の成長を抑制します。
適応疾患としては、尿路感染症、呼吸器感染症、皮膚感染症、腸管感染症、耳感染症など、さまざまな感染症の治療に使用されます。
また、結核やマラリアなどの一部の疾患にも使用されることもあります。
サルファ剤は一般的に経口薬として服用されますが、重症な感染症の場合には静脈内投与も行われることがあります。
一般的な副作用には、消化器系の症状(吐き気、嘔吐、下痢)、アレルギー反応、皮膚の発疹などが含まれます。
サルファ剤は特定の患者には適さない場合があり、サルファ剤に対するアレルギー反応の既往歴がある場合や、妊娠中の女性や授乳中の女性、新生児に使用する場合は注意が必要です。

これらは一般的な抗生物質の例ですが、実際にはさらに多くの種類が存在します。

抗生物質まとめ

抗生物質まとめ

抗生物質は、細菌や一部の微生物に対して効果を持つ薬剤で、感染症を引き起こす細菌や微生物の成長を阻害するか、その増殖を阻害する働きを持ちます。
薬剤に様々な種類があり、異なるメカニズムで細菌に作用します。

  • 細菌の細胞壁の合成を阻害する
  • 細菌のタンパク質合成を妨げる
  • 細菌のDNA複製を阻害する

などが挙げられ、上手く使用することで様々な疾患に使用することができます。
ただし、抗生物質はウイルス感染症には効果がないため注意が必要です。
使用をする際は必ず自己判断することなく必ず医師の指導の元適切な治療に役立てるようにしましょう。

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