プールに入らなくても感染する?夏に流行るプール熱の感染経路や症状・予防方法を解説

プールに入らなくても感染する?夏に流行るプール熱の感染経路や症状・予防方法を解説 病気・症状

プール熱とは

プール熱とは

プール熱とは別名「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」と呼ばれるウイルス性の感染症を言います。原因となるウイルスはアデノウイルスと呼ばれる非常に感染力の強い病原体であり、小児を中心に流行していく感染症です。
名前の由来は、「プール熱」から想像できる通り、夏場のプールでの感染者が多かったことからこのように名付けられました。しかし現在はタオルの共用が減り、プールの塩素濃度の管理がしっかりしたこと、さらには予防・対策の周知が徹底されたことからプール利用における集団感染は見られなくなりました。
しかし、プール熱は夏場のプールのみならず1年を通じて感染する疾患です。稀に冬場でも小流行する場合があります。名前がプール熱のため夏場プールに入らなければ感染しないのではと思われがちですが、実際にはプールに入らなくても対策を怠れば感染してしまいます。今回はプール熱について詳しく解説していきます。

①子供の三大夏風邪

夏になると子供を中心として広がる感染症があり、「三大夏風邪」と呼ばれているのをご存じでしょうか。その原因となる疾患は、1つが「手足口病」、2つ目に「ヘルパンギーナ」そして3つ目に「咽頭結膜熱(プール熱)」があります。いずれも夏季の6月から8月に流行のピークを迎えるため三大夏風邪と呼ばれています。いずれの疾患もウイルスによる感染症であり、手足口病とヘルパンギーナはエンテロウイルス属コクサッキーウイルス等が原因となるウイルスになります。また咽頭結膜熱は冒頭でも解説した通りアデノウイルスが原因のウイルスになります。

②アデノウイルスとは?

アデノウイルスとは強力な感染力を持つノンエンベロープウイルスになります。まず、ウイルスはその構造から、エンベロープウイルス(脂質性の膜があるウイルス)ノンエンベロープウイルス(脂質性の膜のないウイルス)に分類することができます。ノンエンベロープウイルスは膜がないから一見弱そうに見えますが実は逆で、一般的なアルコール製剤が効きにくい厄介なウイルスになります。この厄介なウイルスはアデノウイルス以外ではノロウイルスやロタウイルスがノンエンベロープウイルスになります。
アデノウイルスは感染症分類では新型コロナウイルスと同じ5類感染症になります。新型コロナウイルスと異なる点としては、現時点においてワクチンが存在しないと言うことです。
またアデノウイルスにはおよそ50種類の型が存在します。これが意味することは、一度プール熱にかかったからと言って免疫ができるわけではないと言うことです。つまり一度プール熱に感染したからもう安心と思って生活していると別の型のアデノウイルスに感染してしまうことが稀にあるため注意が必要です。生涯免疫ができない点は新型コロナウイルスに似ています。

③感染場所は?

プール熱は水泳をしている子供だけが感染する疾患ではありません。たしかに子供が感染しやすい疾患であることは間違いありません。しかし、実際には大人でも感染する可能性があることもまた真実なのです。特に集団生活(学校・保育園・職場など)をする場において感染が広がりやすいのは他のウイルスと同様と言えます。

プール熱の特徴

プール熱の代表的な3つの症状

1つ目の特徴として、プール熱には最も有名で代表的な3つの症状があります。それは「発熱」「のどの痛み」「結膜炎」です。

①発熱

発熱については通常の風邪と異なり38度から40度の高熱が急激に現れ4、5日間続くという特徴があります。
解熱剤を使用しても一時的に熱が下がるだけですぐ再び熱が上がることも珍しくありません。

②のどの痛み

咽頭炎を発症し、咽頭から扁桃の腫れが酷く真っ赤になります。食事もとれないほどのどの痛みが激しく、飲み込むことが困難になり食欲が落ちます。溶連菌感染症によく似た症状ですが、プール熱のほうが広範囲に炎症が及ぶことがあります。

③結膜炎

眼の症状としては結膜炎が発症します。目が赤く充血し、痛みやかゆみを伴います。また目ヤニが出るようになることが特徴の一つと言えます。症状としては一般的に片方の目から発症し、その後反対の目にも同様の症状が発症します。

また、これら以外の症状として吐き気、嘔吐、食欲不振、げり、腹痛、頭痛、全身倦怠感、また頚部、特に後頚部のリンパ節の主張と圧痛が出ることがあります。場合によっては肺炎を引き起こし重症化することもあるため注意が必要です。

2つめの特徴として感染力の強さが挙げられます。
症状が治まった後もウイルスを排出し続けるため油断できません。具体的には症状が消えてから1~2週間は喉から、1ヶ月程度は便からウイルスを排出する可能性があります。つまり、症状が治まったからと言ってウイルスの感染力がなくなるわけではないため、注意が必要になります。

3つ目の特徴として生涯免疫ができないという点が挙げられます。
プール熱は一度かかっても完全な免疫は獲得できません。これは、アデノウイルスには50種類以上の型があることが原因になります。例えば一つの型に対する免疫を獲得できたとしても、別の型のウイルスに感染すれば再び発症する可能性があります。このため、繰り返し感染することがあることから、年中注意をしなければならない感染症と言えます。

以上のことから、プール熱は発熱、喉の痛み、結膜炎という特徴的な症状がでること、アデノウイルスの強い感染力、症状消失後も続くウイルスの排出、そして再感染の可能性があるなど、多くの特徴を持つ感染症です。

プール熱の感染経路

プール熱の感染経路

プール熱の原因となるアデノウイルスは、非常に感染力が強く、様々な経路により人から人へと感染していきます。

飛沫感染(ひまつかんせん)

まず、最も一般的な感染経路は飛沫感染になります。感染した人が咳やくしゃみをすることにより、ウイルスが一緒に空気中に飛び散ります。これらの飛沫を他人が吸い込むことによって感染してしまいす。特に、密閉された空間や人が密集している場所では、この飛沫感染のリスクが高まります。例えば、学校においては教室、また満員電車の中、会社においてはオフィスなどの環境では注意が必要です。その為に三密を回避することが重要と言われています。

接触感染

次に重要な感染経路として接触感染があります。これは、感染者の目やにや唾液などが付着した物に触れ、その後自分の目や口、鼻を触ることで感染が起こります。アデノウイルスは人体を離れて環境中に存在してもしばらく生きているため、ドアノブやおもちゃ、タオルなどの共用物を介して感染が広がっていきます。特に、「目やに」には多くのウイルスが含まれているため、感染者が何気なしに目をこすった後に共用の物に触れることで、そこからさらに感染が広がっていきます。

プールの水を介した感染

プール熱という名前の由来のとおりプールを介した感染も、プール熱の特徴的な感染経路の一つになります。プールの塩素消毒が不十分な場合に感染が広がりやすくなります。また、プールサイドでの接触感染も原因の一つと言えます。とくに共用で使用するもの、例えばゴーグルや浮き輪、ビート板などを介することで感染が広がる可能性があります。

便を介した感染

便から排出されるウイルスは1か月程度続きます。その間は便を介した感染が起きやすいと言えます。特に、子供のおむつ交換している際に感染が広がる可能性が考えられます。

アデノウイルスの侵入経路は主に口、鼻、目から侵入してきます。これらの部位を守ることが対策としては大切になるでしょう。
また潜伏期間についても気を付けなければならない事項と言えます。プール熱においては、感染して症状が現れるまでの期間は通常5~7日間と言われています。この期間中は無症状のため感染者は自分が感染していることに気づいていません。その為最も感染を拡大する可能性のある時期と言えます。感染者が無症状であったとしても他人にウイルスを広げる可能性があるからです。

以上のように、プール熱の感染経路は多岐にわたります。
感染経路を正しく理解し、適切な予防策を講じることで、プール熱の感染リスクを大幅に減らすことができます。

プール熱の予防方法

プール熱の予防方法

プール熱にかからないためにも予防が最も大切になります。基本的な予防方法として5選ご紹介いたします。
この予防方法をしたから絶対プール熱にかからないという訳ではありませんが感染拡大を大幅に減少することは可能です。まずは自分の意識改革から始めて行きましょう。

石鹸で手を洗う

最も基本的で重要な予防法は石鹸による手洗いです。よく泡立てた石鹸で15~30秒間、指の間やつめの裏まで丁寧に洗うことが大切です。外から帰ったら、食事をする前に、トイレ使用後には必ず手を洗うようにしましょう。また便への排出もあるため、おむつ交換後の手洗いも忘れてはいけません。流水を使用してきれいに洗い流しましょう。

よく触る場所の清掃

ドアノブやテーブル、電気のスイッチやおもちゃなど頻繁に触れる場所や物はこまめに消毒しましょう。アデノウイルスは消毒用エタノールが効きにくいウイルスです。消毒するためには次亜塩素酸ナトリウム溶液による消毒が効果的です。ハイターなどは手に触れることができません。安全な次亜塩素酸ナトリウムには商品名:アイポッシュなどがありますので薬局などで聞いてみるとよいでしょう。

タオルなど共有避ける

タオルや食器、おもちゃなどの共有は避けるようにしましょう。アデノウイルスはモノを介して人から人に感染していきます。感染者がいる家庭では、タオルや食器などは一人ひとり専用のものを準備しておくとよいでしょう。感染者の飛沫、目ヤニ、涙などから感染していきます。目に見えないためどこで接触するかわかりません。少しでも感染する可能性を下げるためにも日ごろから自分専用のものを準備しておくことが大切です。

プール後は体や目を洗う

プール熱は結膜炎の症状が発症することから、眼を触った後は必ず手を洗い、また眼をこすらないよう注意が必要です。水を介しての感染を避けるため、プールを利用した後はシャワーを浴びて体をしっかり洗い、同時に眼も洗うようにしましょう。

規則正しい生活を心がける

適度な運動、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事で、免疫力を高めることも大切です。体調不良を感じたら、無理をせず早めに休養を取りましょう。また人混みに出る場合はマスクの着用を忘れてはいけません。学校や職場などの閉鎖空間においてもマスクは外さず着用し定期的に換気を行うようにしましょう。

以上が基本的な予防方法5選になります。また予防方法はこれですべてという訳ではありません。例えばプールでの感染予防では適切な塩素消毒を行ったり、病院では接触制限措置などをとることもあります。予防措置にはこれで完璧ということはありません。早期発見早期治療を行い一人一人がしっかり予防を行うことで感染リスクを低減することが可能になるのです。

プール熱の治療方法

プール熱の治療方法

プール熱の根本的な治療方法は今のところ存在せず、残念ながら特別な治療薬はありません。では放置するしか手はないのかと言われればそうでもなく、しっかりとした対症療法を行いながら症状を和らげ回復を支援し、自然に治るのを待つことはできます。
そもそもプール熱は個人差はあれど発症から5日前後で治ることがほとんどです。しかし、プール熱は「学校保健安全法」において第二種感染症に指定されており、主要症状が消失した後2日を経過するまでは出席停止と定められています。その為子供たちは治ったとしてもその後2日間は幼稚園・保育園や小学校はお休みしなければなりません。
それではどのような対症療法があるのか主要症状ごとに解説していきます。

高熱

体温が38.5度を越えるような高熱になる場合解熱剤を使用した方が良いでしょう。病院受診すれば医師が処方してくれますし、またドラッグストアなどでも今やたくさんの解熱鎮痛剤が陳列しています。
ただし解熱剤は一時的に熱を下げるだけで原因となる病気そのものの治療をしているわけではありません。従って薬が切れればまた熱が上がってくるため少し続けて服薬する必要があります。

のどの痛み

のどの痛みが強い場合には鎮痛剤を使用したほうが良いでそう。こちらも鎮痛剤同様病院受診すれば医師が処方してくれますし、ドラッグストアでも簡単に入手することができます。喉が痛くて食事がとれない場合、状態によっては病院で点滴をしてもらった方が良い場合もあります。そうでなくてものどの痛みは食事を摂ったり水分を摂ったりする度に痛みで苦痛を生じる事から鎮痛剤は早いうちから使用しておく方が良いでしょう。

当サイトメデマートでも解熱鎮痛剤の取扱いがありますのでご紹介いたします。通販と言った形で入手することができるのが特徴です。具合が悪くて外出することができない場合に使用すると良いでしょう。

商品名サラ【カロナール・ジェネリック】ロキソニンジクロフェナクAL50【ボルタレンジェネリック】
画像サラ【カロナール・ジェネリック】ロキソニンジクロフェナクAL50【ボルタレンジェネリック】
有効成分アセトアミノフェン500mgロキソプロフェンナトリウム水和物60mgジクロフェナクナトリウム50㎎
メーカーThai Nakorn patana Co.,Ltd(タイナコーンパトナ)第一三共Aliud Pharma
購入ページサラの購入ページはこちらロキソニンの購入ページはこちらジクロフェナクAL50の購入ページはこちら

ドラッグストアでも入手できる医薬品です。
「ロキソニン」はテレビCMでもやっている位有名な医薬品で、誰でも一度は耳にしたことはあると思います。また病院受診されている方の多くの方は整形などではロキソニンが処方されているのではないでしょうか。その位処方頻度の高い医薬品です。但し胃腸障害などの副作用もありますので胃が弱い人などは避けた方が良いでしょう。
カロナールなどは胃腸障害などの副作用が弱いため、胃の弱い方などにお勧めの医薬品となっています。こちらもロキソニン同様使用頻度の高い医薬品です。但し錠剤が大きい為飲み込みにくいかもしれません。

結膜炎

目の充血や赤みが強い場合は眼科を受診し適切な医薬品を処方してもらうと良いでしょう。基本的には抗炎症作用のある目薬がよく使用されます。調剤薬局やドラッグストアでも抗炎症作用のある目薬は販売しております。選択に迷う場合は薬剤師又は登録販売者に聞いてみると良いでしょう。

当サイトメデマートでも点眼薬の販売がありますのでご紹介いたします。どちらも抗炎症作用のある点眼薬になります。

商品名ニフラン点眼液アフラレックス点眼液【フルメトロンジェネリック】
画像ニフラン点眼液アフラレックス点眼液【フルメトロンジェネリック】
有効成分プラノプロフェン1mgフルオロメトロン 0.1%
メーカーアルコン社千寿製薬社
購入ページニフラン点眼液の購入ページはこちらアフラレックス点眼液の購入ページはこちら

使用方法

目薬の先端は目やまつ毛に触れないよう注意しながら使用しましょう。点眼は1滴で十分効果的です。点眼後はパチパチせずに目頭を1分程度押さえておくこと。その後あふれた分に関してはティッシュ等でよくふき取っておきましょう。決められた用法を守って使用することで十分な効果を得ることができます。

最も早く治すためにはとにかく安静にして過ごすことが大切です。十分な睡眠を確保することで体力が回復してきます。また脱水症状を避ける為にもこまめな水分補給が大切です。発熱による脱水が酷い場合には「OS-1」が、そこまで酷くない場合は「アミノバイタル」「アクエリアス」などを摂取すると良いでしょう。また喉への刺激が少ないやわらかい食事をとることも大切です。うどんやお粥など消化の良いものまたプリンなど高カロリー高たんぱく食など食べられるものを少しずつとると良いでしょう。

プール熱の治療はほとんどが対症療法になります。特に子どもの場合は、症状が急激に変化することもあるため、普段から注意深く観察し、状態によっては医療機関を受診する様にしましょう。

まとめ

プール熱はアデノウイルスが原因によって引き起こされる感染症です。感染力がとても強く簡単に感染拡大する特徴があります。名前からプールでのみ感染すると誤解されていますが、実はそうではなく年中通して感染する可能性のある疾患です。最も恐ろしいのは一度感染したからと言って生涯免疫ができないという点です。つまり何度でもプール熱に感染する可能性があると言うことです。
主な特徴として高熱、のどの痛み、結膜炎の症状があります。感染経路としては飛沫感染、接触感染、またプールの水を介した感染などがあげられます。目ヤニや唾液などの体液を介して感染が拡大しやすい為、日常生活において共有するものの見直しが必要とされます。
予防方法にはこまめな手洗いやタオルなどの共有を避ける事、そして感染者と密な接触を控えることが大切です。またプール利用後はシャワーを浴びて体と眼をしっかり洗う様にしましょう。
治療方法には特効薬やワクチンなどはありません。したがって対症療法が重要になります。例えば熱が出れば解熱剤を、喉が痛ければ鎮痛剤を、結膜炎などには点眼薬の使用が推奨されます。その他脱水症状を避けるために水分補給をしっかり行ったり、安静にすることが必要です。
プール熱は症状が治まった後も、喉からは1~2週間程度、便からは1ヶ月程度もウイルスを排出しています。その為症状がないからと言って安心せず予防方法の徹底を行うことが感染を抑えるために最も重要なことです。
マスクを着用する事、三密を回避する事、十分な換気を行う事を徹底することで感染から身を守ることができます。まずは毎日こまめに手を洗うことから始めてみましょう。

出典

咽頭結膜熱について(厚生労働省)
アデノウイルス解説ページ(国立感染症研究所)
咽頭結膜熱とは(国立感染症研究所)
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