多汗症などに使用されるプロバンサインとは?
プロバンサインとは、多汗症に使用される飲み薬です。
多汗症は汗が出過ぎでしまう疾患ですが、神経伝達物質である「アセチルコリン」が活発化することで発症します。
プロバンサインはアセチルコリンの働きをブロックすることで汗を抑える効果が期待されており、服用1時間で効果が発揮され、4~5時間ほど持続します。
多汗症以外にも消化管のけいれんや胃液の過剰分泌の抑制、夜尿症の改善にも使用されることもあります。
多汗症に使用される薬剤はプロバンサイン以外にも「カタプレス」や「グランダキシン」などもありますが、プロバンサインは唯一「多汗症」に対する飲み薬として保険適用を取得しているため、全身どの部分の多汗症に対しても安心して使用できます。
プロバンサインの適応症状
胃腸は副交感神経の命令によって働きが活発化しており、アセチルコリンが増加すると胃腸の動きも亢進してしまいます。
また、アセチルコリンの増加は汗腺からの発汗を誘発するとも考えられています。
プロバンサインは副交感神経から出る「アセチルコリン」という神経伝達物質を抑制する抗コリン作用が主な機序です。
抗コリン作用によって副交感神経の刺激が弱まり、胃腸などでの異常なけいれん運動や多汗症が改善されます。
「胃」だけではなく、膵炎や十二指腸潰瘍にも使用され、さらに夜尿症や多汗症に適応を取得しています。
プロバンサインの効能効果(下記疾患における分泌・運動亢進ならびに疼痛)
- 胃・十二指腸潰瘍、胃酸過多症、幽門痙攣、胃炎、腸炎、過敏大腸症(イリタブルコロン)、膵炎、胆道ジスキネジー
- 夜尿症または遺尿症
- 多汗症
プロバンサインの主成分はプロパンテリン
プロバンサインの有効成分は、「プロパンテリン」です。プロパンテリン臭化物は、1952年にアメリカのG. D. Searle社で開発されました。
抗コリン作用を持つ物質で、以外にも自律神経節を遮断する作用や消化管運動を抑制する作用、胃液分泌を抑える作用、ペプシン分泌を抑制する作用が認められています。
プロバンサインには、1錠あたりプロパンテリン臭化物として15mgが含まれています。
プロバンサインのよくある副作用
副作用は比較的少ないとされていますが、目の渇きや口の渇きが出るケースがあります。
実際の臨床試験では、37.3%の方で発現しておりました。対処法としては、目薬や水分をこまめに補給することで症状を軽減できます。
また、便秘も16.8%の確率で発現していました。
便秘薬の併用を試すと良いですが、我慢できないほどの症状となった場合にはプロバンサインの服用を中止しましょう。
プロバンサイン服用の注意点や飲み合わせ
プロバンサインを服用するにあたって注意点と飲み合わせについてご紹介します。
プロバンサインの注意(禁忌)
プロバンサインはアセチルコリンの働きを阻害する「抗コリン」作用を有しています。
そのため、抗コリン作用によって症状が悪化する「閉塞隅角緑内障」「排尿障害のある前立腺肥大」などは禁忌となっています。
以下の方は併用しないよう注意してください。
禁忌の方 | 理由 |
---|---|
閉塞隅角緑内障の方 | 抗コリン作用によって眼圧が上昇し、症状が悪化する |
前立腺肥大による排尿障害のある方 | 抗コリン作用によって交感神経が優位になり、膀胱括約筋収縮・排尿筋弛緩を起こし、排尿障害が悪化する |
重篤な心疾患のある方 | 心臓の動悸が亢進してしまう可能性がある |
麻痺性イレウスのある方 | 腸管の運動機能が抑制され、閉そく状態が悪化してしまう |
プロバンサインとほかの薬剤の飲み合わせ
以下のような薬剤を併用すると、プロバンサインの効果が強まり副作用が出てしまう恐れ、逆に効果が弱まり効果を正しく得られなくなる可能性があります。
併用していないか注意しましょう。
プロバンサインとの併用に注意する薬剤
- 三環系抗うつ剤(イミプラミン/アミトリプチリン)
- フェノチアジン系薬剤(プロクロルペラジン/クロルプロマジン等)
抗コリン作用が相加的に増強され、プロバンサインの効果が強まってしまう可能性があります。
用量を調節しながら併用すると良いでしょう。
- モノアミン酸化酵素阻害剤
- ジゴキシン
- メチルジゴキシン
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤は、MAO以外の薬物代謝酵素も抑制することがあるため、一緒に投与されたプロバンサインの作用を増強してしまうおそれがあります。用量を調節しながら併用すると良いでしょう。
プロバンサインの消化管運動の抑制作用により、ジゴキシン、メチルジゴキシンの消化管内の滞留時間を延長し、吸収を高めてしまう可能性があります。
結果、ジゴキシン、メチルジゴキシンの作用が増強されるので、血中濃度の推移や自覚症状に注意しながら慎重に投与をするとよいでしょう。
こんな方にプロバンサインは有効
プロバンサインは、多汗症の患者に対するサポート的な立ち位置の薬剤としてガイドラインで推奨されています。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、塗り薬、イオントフォレーシス、ボトックス治療が無効の時に「プロバンサイン」が推奨されており、軽症ではなく中度~高度の多汗症の方に有効であると考えられます。
また、プロバンサインは全身の多汗症に効果が期待されるため、1度の服用で全身の汗の量を減らしてくれる可能性があります。
塗り薬だと汗の出る部位に塗っていくのは大変ですので、1度の服用で全身の効果を得たい方にも有効と考えられます。
プロバンサインはどこで入手可能?ドラックストアやアマゾンで買えるの?
プロバンサインは医療用医薬品のため、購入できる方法は「処方箋をもらい、医療機関で購入する」、「個人輸入の通販で購入する」のどちらかとなります。
ドラッグストアやアマゾンなどで購入することはできませんし、販売されていた場合は正規品ではない可能性があるので注意しましょう。
医療機関で購入する方法
医療機関を受診し医師から「多汗症」の診断を受けることで、薬剤を購入することができます。
医療機関では、診断もつけてくれるメリットがある一方、受診費用や交通費用、薬剤費用などが追加でかかってきます。
多汗症と診断を付けてもらいたい方やほかの治療方法(飲み薬や注射等)も含めて医師に相談しながら決めていきたい方は医療機関での購入がおすすめです。
個人輸入の通販で購入する方法
認められた医薬品であれば通販でも購入することができます。
通販では、交通費用や受診料がかからないため、費用負担を抑えたうえで治療を継続したい方におすすめの方法です。
また、移動時間や待ち時間も少なくなるため、仕事の調整がつきにくい方も通販での購入がよいでしょう。
また、自分が多汗症で通院していることを知られずに治療を継続したい方にとっても、個人輸入はおすすめの方法となっています。
<関連商品①>
●プロバンサイン
プロバンサインは、汗を止める効果があり汗の嫌な臭いを抑制する医薬品です。
プロバンサインは多汗症治療薬として日本で唯一認められている医薬品です。
商品名 | プロバンサイン |
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画像 | |
有効成分 | プロパンテリン15mg |
価格 | 15mg: 56錠あたり62円~ |
メーカー | Aspen Pharmacare Pty Ltd |
購入ページ | プロバンサインの購入はこちら |
<関連商品②>
●プロスパス【プロバンサインジェネリック】
プロスパスは、日本で唯一『多汗症治療薬』として承認されているプロバンサインのジェネリック薬です。多汗症、胃・十二指腸潰瘍、夜尿症、遺尿症に有効な治療薬です。
プロスパスの有効成分は「プロパンテリン」で、多汗による体臭やワキガを改善します。
商品名 | プロスパス |
---|---|
画像 | |
有効成分 | プロパンテリン15mg |
価格 | 15mg: 56錠あたり54円~ |
メーカー | ロイドラボラトリーズ社 |
購入ページ | プロバンサインの購入はこちら |
プロバンサインに関するよくある質問
- Qワキガにも有効なのでしょうか?
- A
ワキガの方は多汗症を合併していることも多く、汗の量を減らすことで臭いの軽減にもつながることがあります。
- Q服用タイミングはいつがよいでしょうか?
- A
服用タイミングについては明確に決められておらず1回1錠を1日3~4回に分けて服用することとなっています。
食後に内服しても効果を実感できない場合には、空腹時に飲むと効果が強く出る可能性があります。
最後に
プロバンサインは、多汗症に使用される薬剤です。
内服で全身の汗を抑制することができるため、汗が多すぎて見た目が気になる方や、体臭が気になる方にはおすすめの薬剤です。
夏になると、汗が気になる方も少なくありませんが、多汗症の方は我慢しすぎずに治療を検討していきましょう。
出典
*1 kegg.jp 医療用医薬品:プロバンサイン
くすりのしおり プロ・バンサイン錠15mg