ヒルドイドはアトピー性皮膚炎に効果があるのか?処方される理由や注意点など解説

ヒルドイドはアトピー性皮膚炎に効果があるのか?処方される理由や注意点など解説 皮膚の病気

ヒルドイドの特徴

ヒルドイドの特徴画像

ヒルドイドとは、マルホ株式会社が販売している肌の保湿剤です。
保湿剤はドラックストアで購入できる商品から病院で処方される医療用医薬品まで数多くの種類が発売されていますが、ヒルドイドはその中でも特に有名な医療用医薬品です。
ヒルドイドは、皮膚の水分が逃げないように保ったうえで、水分を細胞に与える作用があるため、肌トラブルが多い皮膚疾患に主に使用されます。
ヒルドイドには「血行促進作用」「豊富な製剤タイプ」という2つの特徴があります。ヒルドイドは有効成分として「ヘパリン類似物質」というものを含んでいます。
ヘパリンは人間の肝臓で作られる成分で、血液が固まること防ぎます。
このヘパリンに似ている成分を薬剤に含むことで、血液の循環を改善し、皮膚の炎症を抑制することができます。ヒルドイドの効果についてより詳しく知りたい方は下記のコラムをお読みください。

また、ヒルドイドにはクリームや軟膏、ローションやフォームなどさまざまな製剤が発売されています。使用する場所や季節に応じて適切な薬剤を使い分けることができます。

アトピー患者にヒルドイドが処方される理由

ヒルドイドそのものにアトピーを治す効果はない

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が症状として出る皮膚疾患です。
皮膚は外の刺激から身体を守るバリア機能を有していますが、何らかの原因で外的刺激の方が強くなり、発症します。
アトピー性皮膚炎の治療は、かゆみや炎症などの症状をコントロールしていくことが大きな柱となっており、ステロイドや抗アレルギー剤を使用していきます。
ただし、薬剤での治療に加えて、日々の生活で保湿を十分にすることが大切です。
この時にヒルドイドが使用されます。バリア機能が低下した皮膚を回復させるためにはヒルドイドでの保湿が効果的であり、アレルゲンなどの外敵の侵入を予防してくれますが、ヒルドイド自体にアトピー性皮膚炎を治す効果はないことに注意が必要です。
あくまで、アトピー性皮膚炎治療におけるサポート的な役割で使用することが望ましいです。

アトピー治療にヒルドイドが用いられる本当の目的

アトピー性皮膚炎の治療にヒルドイドが使用されるのは、「強力な保湿」のためです。
せっかくステロイドや抗アレルギー剤で治療し、症状が抑えられたとしても乾燥が肌への刺激となりかゆみが悪化してしまうケースもあります。
この時、ヘパリン類似物質を含むヒルドイドであれば、血行を改善して炎症やかゆみを抑えてくれます。症状悪化を防ぐためのスキンケアとして活用していくのがよいでしょう。

<関連商品①>
●ヒルドイドクリーム
ヒルドイドクリームはサンタ・ファーマ社が製造している保湿クリームです。
その高い保湿効果から多くのセレブや著名人など、美容クリーム代わりに使用されています。日本で人気のヒルドイドソフト軟膏と同じクリームタイプでしっとりと塗り心地が特徴です。体だけではなく顔にも使える為、ヒルドイドクリームは大変人気です。

商品名ヒルドイドクリーム
画像ヒルドイドクリーム
一般名ムコ多糖体多硫酸エステル (ヘパリン類似物質)0.445%
メーカーSanta Farma(サンタ・ファーマ)
購入ページヒルドイドクリームの購入ページはこちら

<関連商品②>
●ヒルドイドフォルテジェル
ヒルドイドフォルテジェルに含まれる有効成分「ヘパリン類似物質」には高い保湿効果があります。
ヘパリン類似物質にはお肌の角層に水分を与えて、継続して保湿効果を得る事が出来るため、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの治療に用いられます。
また、血液が凝固するのを防ぐ作用があるため、凍瘡やケロイド、肥厚性瘢痕の治療にも効果的です。ヒルドイドは海外セレブが美容に使用し始めた事で国内の有名人も使用し、話題になった薬です。高い保湿力から化粧下地に用いられる事が多いようです。
元々はアトピーの薬でしたが、目のくまや法令線にも保湿効果により改善が見られる美容薬として効果的です。

商品名ヒルドイドフォルテジェル
画像ヒルドイドフォルテジェル
一般名ムコ多糖体多硫酸エステル (ヘパリン類似物質)0.445%
メーカーPharmavision San(ファーマビジョン)
購入ページヒルドイドフォルテジェルの購入ページはこちら

ヒルドイドを使用する上での注意点

ヒルドイドを使用する上での注意点画像

副作用が出たら使用を止める

ヒルドイドは副作用が頻繁に出る薬剤ではありませんが、医療用医薬品ですので人によっては稀に「皮膚のかゆみや発赤」「皮膚の乾燥」「かぶれ」などの皮膚症状が出る場合があります。
皮膚のかゆみや発赤、かぶれはヒルドイドに含まれる成分がアレルギー反応を起こして出るものと考えられます。
使用を中止すれば症状も改善しますが、我慢できないほどのかゆみやかぶれが出ている場合にはすぐにお近くの医療機関を受診してください。
また、ヒルドイドには保湿効果があるものの、稀に皮膚の乾燥が起こることもあります。
このような症状には、市販の保湿クリームを一緒に併用してあげると乾燥も落ち着きます。

出血リスクに注意

ヒルドイドに含まれるヘパリン類似物質には、血液を固めることを防ぐ作用(抗凝固作用)があります。
そのため、出血リスクが高い血友病や血小板減少症などの疾患を持つ方が使用すると、血液がサラサラになってしまい出血を悪化させてしまうリスクがあります。
実際にヒルドイドの添付文書には出血性血液疾患にかかっている患者さんと、出血した場合に重大なリスクのある患者さんは使用してはいけないこととなっています。

※ヒルドイドの禁忌

  • 出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)の患者
    →血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがあるため
  • 僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者
    →血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがあるため

眼や傷口には使用しない

ヒルドイドは皮膚がただれているところや眼には使用することができません。
治療のために眼の周りにクリームを塗らないといけないことがあるかもしれませんが、眼に薬剤が入ると炎症を起こしてしまうリスクがあります。
もし、眼の中に入ってしまった場合はすぐに水でゆすぎ、お近くの医療機関を受診してください。

ヒルドイド以外のアトピー治療に使用される保湿剤

保湿剤には大きく分けて2種類あります。1つが「モイスチャライザー」で、皮膚の角層に直接水分を与えて保湿をはかります。
ヒルドイドはこのモイスチャライザーに分類され、他にも尿素やヒアルロン酸、アミノ酸、水溶性コラーゲン、尿素などの成分が該当します。
もう1つの「エモリエント」は油性成分が入っており、角質表面に皮膜を作ることで水分の蒸散を抑制します。ワセリンやオリーブ油、ツバキ油やスクワランなどが該当します。

モイスチャライザーとエモリエントの違い画像

モイスチャライザー

代表的な保湿剤はマルホ株式会社の「ヒルドイド」ですが、「ヘパリン類似物質」という名前でジェネリック医薬品も発売されています。
ヒルドイドと含まれている成分が同じであるため、効果が同一となります。
費用が先発医薬品のヒルドイドよりも安価なため、費用面が気になる方はジェネリック医薬品のヘパリン類似物質もおすすめです。

<代表的な製品>
●ヘパリン類似物質
ヒルドイドのジェネリック医薬品です。

商品名ヘパリン類似物質
有効成分ヘパリン類似物質
効果保湿剤
用法用量1日1回患部に塗る
メーカー佐藤製薬、ニプロ、日医工など

エモリエント

エモリエントの中でも保湿剤としてよく使用されるのがワセリンとなります。
ユニリーバ社の「Vaseline(ヴァセリン)」が登録商標を取得しているため、医療用であれば白色ワセリンと呼ばれることが多いです。
安全性が高く、かぶれを起こす心配も少ないのでアトピー性皮膚炎患者のスキンケアとして使用されます。

<代表的な製品>
●ヴァセリン
顔や唇、手足などの保湿に使用できます。デリケートな赤ちゃんの肌から大人まで使える、ピュアな天然保湿スキンオイルとなっています。

商品名ユニリーバ・ジャパン ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー 40g VS40
有効成分ワセリン(無香料・無着色・無添加)
効果保湿剤
使い方乾燥しやすい部分に塗る
メーカーユニリーバ

ヒルドイドに関するよくある質問

ヒルドイドに関するよくある質問画像
Q
ヒルドイドの製剤タイプの使い分けはどのようにしたらよいでしょうか?
A

夏など湿度が高い時期にはべたべたしにくいローションタイプやスプレーで塗れるものがおすすめです。また、忙しい方にもローションタイプがオススメで、塗った後短時間で乾きます。一方で入浴後の乾燥しやすいタイミングや時間があるときには保湿力が高い軟膏やクリームなど油分を多く含むものがおすすめです。クリーム剤は特に保湿力が高いので一年中使用しやすいです。季節による使い分けが大変だという方は基本的にクリームを使用し続けるのがよいでしょう。

Q
妊婦に使用できますか?
A

妊娠中の患者さんに対しては、投与を控えるのが望ましいです。投与した時の安全性は確立されておらず、安全だという証明がまだまだ足りていません。しかし、症状がひどいケースなどは、患者さんに応じて処方されることもありますので、自己判断せず医療機関を受診し、医師に相談してください。

最後に

ヒルドイドは、マルホ株式会社が販売している保湿剤です。
持続性の高い保湿力と血行促進作用を持つため、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患における治療に役立っています。
ヒルドイドは、「ヘパリン類似物質」という名前でジェネリック医薬品が販売されており、費用を安く抑えながら保湿をしたい方には、ジェネリック医薬品の活用がおすすめです。

出典

マルホ 医療関係者向けサイト ヒルドイドの特徴
医療用医薬品:ヒルドイド kegg
皮膚を知り、セルフケアが分かる。ヒフシルワカル
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