睡眠時無呼吸症候群とは?症状や原因・治療法などを解説

睡眠時無呼吸症候群とは?症状や原因・治療法などを解説 睡眠

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは

友人や知り合い、親兄弟などで、寝ているときに呼吸が止まっている人はいませんか?
例えば、夜中一緒に寝ているとき、いびきがうるさくて眠れないと思っていたら、突然いびきと一緒に呼吸が止まって、あれ?と思っているうちに呼吸といびきが再開する。そんな体験をしたことのある人はその方に一刻も早く病院を受診するよう伝えてあげましょう。なぜなら「睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)」の可能性があるからです。
あまり聞きなれない病名ですが、「睡眠時無呼吸症候群」とは眠りだすと呼吸が止まってしまう病気です。それだけでも大変な疾患ですが、睡眠時無呼吸症候群になると過眠や高血圧なども引き起こします。

では睡眠時無呼吸症候群を放置していたらどのようなリスクがあるのでしょうか?
まず日常生活において、日中の眠気から自動車事故にあう確率が跳ね上がります。また抑うつや不眠、勃起障害などが発生します。合併症として、心筋梗塞や脳卒中が発症する確率がグンとあがります。その他糖尿病を悪化させたり、高血圧や不整脈、狭心症の原因となることもあります。また糖代謝の悪化から糖尿病や脂質異常症の原因となることもあります。最悪の場合突然死を起こす事もあるため、非常に危険な疾患であると言えます。

睡眠時無呼吸症候群の原因と症状

睡眠時無呼吸症候群の原因

それでは睡眠時無呼吸症候群の原因と症状について状態別に解説していきます。
なぜ無呼吸になるのか、それは肥満、小さな顎、舌根沈下(ぜっこんちんか)、飲酒、睡眠薬の使用などが原因となり空気の通り道である気道がふさがってしまうためです。

睡眠時無呼吸症候群の症状

①「寝ているとき」

睡眠時無呼吸症候群の主な原因は気道が狭くなることです。

  • 肥満によりのど周りの脂肪が増え気道が狭くなる。
  • 下あごが小さく後退している体質、扁桃腺が大きいなどで気道が狭い
  • 高齢者や閉経後の女性は気道の筋肉が弱くなり狭くなりやすい

気道が狭くなると、大きないびきとなる呼吸が起こります。さらに気道が完全にふさがると、一時的に呼吸が止まる無呼吸状態に陥ります。これが繰り返されると睡眠時無呼吸症候群です。

②「起きたとき」

睡眠時無呼吸症候群の症状は主に起床時に現れます。

  • 頭が重い、眠気が取れない
  • 口が渇く、のどがかわく
  • 頭痛がする
  • 集中力がない

これは睡眠中に何度も無呼吸状態になることで、質の悪い睡眠になるためです。

③「日中」

睡眠時無呼吸症候群の日中の症状は、疲労と眠気です。

  • 仕事中に眠くなる
  • 運転中にうとうとする
  • 疲れがとれない
  • 活動量が低下する

無呼吸による睡眠の質の低下が原因です。治療しないと交通事故のリスクも高まります。

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

睡眠時無呼吸症候群の検査には、大まかに分けて以下の3つの段階があります。

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

【第1段階:問診・睡眠尺度評価】

医師がいびきや無呼吸の有無、日中の眠気などの症状について質問します。これが問診です。また、自覚症状がなくても睡眠時無呼吸が疑われるケースもあるので、病歴も確認します。
次に、自分の眠気の程度を0-3点で自分で評価する睡眠尺度評価を行います。これにより病的な眠気があるかを判断します。

【第2段階:スクリーニング検査】

自宅でできる簡易的な検査です。無呼吸時に下がる酸素濃度を測定するパルスオキシメータを付けて寝ます。
これにより睡眠時無呼吸の可能性を見極めます。

【第3段階:精密検査】

無呼吸の程度を詳細に調べるため、二つの方法があります。

簡易無呼吸検査

自宅でも受けられる、呼吸センサーを付けての検査。酸素の低下状態を測定します。

ポリソムノグラフィ検査(精密検査)

複数のセンサーを装着し、詳細な睡眠データが得られます。ただし1泊または2泊の入院が必要です。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療法には、代表的に以下の3つがあります。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

CPAP療法

鼻のマスクから空気を送り込み、気道を開けたままに保つ治療法です。これにより、睡眠中も呼吸を止めることなく、酸素欠乏を防ぐことができます。
現在最も有効性が高く実績のある治療法で、欧米をはじめ日本でも幅広く使われています。
はじめはマスクに慣れることが難しい人もいますが、医療機関の指導によりじょじょに慣れていきます。

マウスピース(口腔内装置)

個人に合わせて作製したマウスピースを就寝時に装着し、下あごの位置を調整して気道を広げる効果があります。
歯科医の指導が必要不可欠です。中等症程度までは効果を発揮しやすい一方、重症例では効果が限定的な場合があります。

外科的手術

扁桃やアデノイドを切除することで気道スペースを広げる手術療法ですが、効果の限界があることが指摘されています。
米国を中心に骨格改変手術も研究されていますが、技術的な難易度が高く日本ではほとんど実施されていません。

このほか、肥満の場合は減量も重要です。鼻づまりなど鼻症状がある場合は、鼻症状の改善も必要です。
生活習慣改善と並行して、症状の重症度などに応じて上記の治療法を選択することが大切です。

一緒に治療できれば良い疾患

さらに、ここでは一緒に治療できれば良い疾患についても合わせて紹介いたします。

肥満

肥満治療においては下記サイトにてダイエット商品の購入が可能です。
原因の一つとされる肥満を改善することは同時に睡眠時無呼吸症候群の改善にもつながる為積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ED

日常生活では、勃起障害の発生も問題視されており睡眠時無呼吸症候群の治療と並行してED治療薬などの内服による治療が必要となる場合もあります。
ED治療薬に関しては下記サイトで購入することができます。

合併症:糖尿病・高血圧・脂質異常症

合併症では、糖尿病、高血圧や脂質異常症の改善が重要です。
高血圧症はサイレントキラーと呼ばれており自覚症状なく襲ってきます。下記サイトでは高血圧治療薬の購入が可能です。

糖尿病

糖尿病では症状の悪化が原因とされる三台合併症、「末梢神経障害」・「網膜症」・「腎症」だけは避けなければならない疾患です。
下記サイトでは糖尿病治療薬の購入が可能です。

脂質異常

体重の増加、肥満体型ではおよそ脂質異常症を伴うことがあります。脂質異常症は将来的に動脈硬化へとつながっていきます。早めの治療開始が肝腎です。
下記サイトにて脂質異常症治療薬の購入が可能です。

こんな人は睡眠時無呼吸症候群に要注意

こんな人は睡眠時無呼吸症候群に要注意

睡眠時無呼吸症候群になる人には一定の基準があります。ここでは、睡眠時無呼吸症候群にかかりやすい特徴や症状をわかりやすく解説します。

まず、生活習慣から注意が必要なポイントを見ていきましょう。
タバコがやめられない、お酒が好き、太り気味(肥満)、生活習慣病の病歴があるなどがリスクとなります。なぜならば喫煙は上気道の炎症を引き起こしやすく、飲酒は筋弛緩作用で気道を細くしてしまいます。肥満は脂肪がのどまわりを圧迫します。いずれの場合においてもリスクを高めることにつながります。

次に見た目ですが、痩せていても首回りに脂肪がついていたり、小顔だったりと発症しやすい形態的特徴があります。 とくに男性は加齢と共に首回りへの脂肪蓄積が進みます。女性は更年期以降のホルモンバランス変化で同様の変化がおこります。小顔の場合には舌の容量が大きい傾向にあり、睡眠時に後方へ崩れて気道閉塞を招きやすいです。
鏡の前で口を大きく開けて確認する「口蓋垂チェック」がおすすめです。
年齢と性別では、働き盛りの30〜60代の男性に多い疾患です。女性では閉経後に要注意です。

症状では、寝ている間の息苦しさや眠りの浅さ、朝の疲労感や頭痛などが典型的です。日中の眠気や集中力低下にもつながります。これらはすべて睡眠の質の低下が原因であり、それは睡眠中の低酸素状態が深い眠りを妨げることに他なりません。

このような傾向に当てはまる場合は、一度専門医の診断を受けることをおすすめします。早期発見と早期治療が大切な病気なのです。

今からできる予防法

今からできる予防法

睡眠時無呼吸症候群を予防するには、今からできる生活習慣の改善が大切です。どの様なことに気を付ければよいか詳しく解説していきます。

第一に、適正体重の維持です。太り過ぎは喉の周りの脂肪を増やし、気道を圧迫します。少しずつでもやせるよう心がけましょう。そのために必要なことは、適度な運動とバランスの取れた食事です。
まず運動ですが、有酸素運動を中心としたウォーキングやジョギング、水泳などがおすすめです。
週に3回、1回30分程度の中強度の有酸素運動を心がけましょう。運動で基礎代謝を高め、脂肪燃焼と適正体重の維持につなげます。
次に食事では野菜・海藻・きのこを中心とした食物繊維の多い食事を基本とします。肉や揚げ物などの脂肪分は控えめにしましょう。食塩摂取量も1日6グラム程度を目安として塩分を抑えます。
肥満は睡眠時無呼吸症候群の大きな危険因子となります。この2つは特に意識しましょう。

第二に、寝酒は控えめにしましょう。アルコールはのどの筋肉を弛緩させる作用があり、のどがゆるんで呼吸しにくくなります。つまり、普段はさほどいびきのない人でも、飲酒後はいびきが悪化する可能性があります。
社交性やストレス解消面ではお酒が大切な役割を果たしていることは確かです。しかし睡眠時無呼吸症候群予防の観点からは、過度の飲酒はリスクを高めてしまいます。
適量を心がけ、深酒は避けることが大切です。体質にもよりますが、ほどほどに嗜むことをおすすめします。

第三に、鼻炎など鼻の病気がある人は治療しましょう。鼻呼吸のできる鼻の通り良い状態を保つことが大切です。口呼吸は気道を狭くし睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすくします。鼻づまりの改善も重要です。鼻通りを良くするテープや鼻腔拡張用器具を使用し、鼻呼吸状態を整えることがポイントです。
次に、鼻の乾燥予防が大切です。乾燥すると空気の気流が乱れて「いびき」が生じます。加湿器の使用や点鼻スプレーなどで鼻腔内を湿った状態に保つようにしましょう。鼻呼吸重視の生活を実践することが、予防に大きく貢献します。

第四に、眠りを良くする薬の使用には注意が必要です。睡眠薬には筋肉を弛緩させる作用があるため、のどの筋肉まで緩み、気道が詰まりやすくなってしまいます。
良い睡眠は大切ですが、睡眠薬が睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めてしまうというジレンマがあります。
したがって、睡眠時無呼吸症候群の予防を優先する場合は、睡眠薬をなるべく控えめにすることが望ましいです。
どうしても必要な場合は医師とよく相談し、副作用の少ない薬を選ぶ等の注意が必要です。

第五に、横向きの寝姿で寝るのがおすすめです。枕などで工夫してみてください。
分かりやすいポイントを解説します。まず枕や布団は、寝返りしやすい程度の適度な硬さがおすすめです。ふかふかした敷布団では体が沈み込み寝返りできず、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。
次に枕の高さです。高すぎるとあごが引けてのどが圧迫され、呼吸を妨げます。
加えて、寝姿勢も関係します。仰向けより横向き・うつ伏せが望ましい体勢です。必要に応じてクッションや抱き枕を活用し、体勢を安定させましょう。
このような寝具・寝姿勢の工夫が、睡眠時無呼吸症候群の予防に効果的とされています。

第六に、禁煙を行いましょう。喫煙は気管支への炎症や気道の腫れを引き起こします。すると普段よりも気道が細くなり、睡眠時には呼吸困難につながります。
加えて、タバコ自体が血液中の酸素濃度を下げる作用があります。低酸素状態は睡眠時無呼吸症候群の症状をさらに悪化させてしまいます。
そのため、予防にはまず禁煙が大切です。禁煙により呼吸器系の炎症が改善し、気道も開くため、症状の改善が期待できます。
煙自体が気道を狭め、低酸素状態にしてしまうタバコは避けるべきです。禁煙から始める生活習慣改善が大切です。

このような生活習慣の改善が、睡眠時無呼吸症候群の予防につながります。思い当たる節がある場合には早めに対策を行いましょう。

睡眠時無呼吸症候群に関するQ&A

睡眠時無呼吸症候群に関するQ&A
Q
睡眠中に呼吸が止まっていると言われた場合、何科を受診したらよいですか?
A

睡眠中に呼吸が止まっていると言われた場合、 理想的なのは睡眠呼吸器科や睡眠外来といった専門の科を受診することです。
これらの専門科がなければ、次の科を受診することをおすすめします。
・内科
・呼吸器科
・耳鼻咽喉科
・循環器科
・精神科
これらの科では睡眠時無呼吸症候群に詳しい医師が治療を担当することが多いです。
専門科が身近にない場合は、かかりつけの医師に相談し、適切な医療機関を紹介してもらいましょう。インターネットで「睡眠時無呼吸 クリニック」などで検索して、自分の住んでいる地域の医療機関を調べることも大切です。

Q
睡眠中に呼吸が止まっていると言われたが、忙しくて病院に行く時間が取れない場合はどうしたら良いですか?
A

忙しくて病院に行く時間が取れない場合でも、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けられる方法はあります。
簡易検査であれば自宅でもできるので、病院で検査などに時間を取る必要がありません。
・自宅でできる質問票や機器を用いた検査がある
・機器を取り付けて普段どおりに睡眠をとるだけ
・問診は必要だが外来で済むので時間はそうかからない
交通事故のリスクがあるため、睡眠時無呼吸症候群は放置できません。特に運転をする人であればなおさら検査を受けて状態をつかんでおきましょう。時間に余裕がない人でも簡易検査なら受けられます。大事になる前に検査を心がけてください。

Q
睡眠時無呼吸症候群は治りますか?
A

睡眠時無呼吸症候群は完全に治ることはまれですが、適切な治療によって症状をコントロールすることができます。
無呼吸の原因やタイプ、重症度によって根治療法と対症療法があり、これらによって症状を改善することが可能です。
たとえば、
・中等症までならマウスピースで改善できる
・扁桃肥大が原因なら手術で気道を広げられる
・CPAP療法で無呼吸を防ぐことができる
などがあげられます。
一方で、体質的な要因や加齢に伴う変化など根本的な原因を取り除くことが難しい場合もあるため、完治は稀です。しかし適切な治療により日中の眠気や疲労感などの症状を改善し、生活の質を高めていくことは可能です。定期的な検査と治療が大切です。

Q
睡眠時無呼吸症候群の治療をする際、日常生活で気を付けることはありますか?
A

睡眠時無呼吸症候群の治療をする際、日常生活で気をつけるべきポイントがあります。
・適正体重の維持が大切です。肥満は症状を悪化させる要因になります。
・過度の飲酒は控えましょう。特に就寝前の飲酒は習慣化しないことが重要です。
・睡眠薬の服用には注意が必要です。必要性と副作用のバランスを医師とよく相談しましょう。
上記のように、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病と深い関連があります。適切な食事、運動、休養を心がけることが症状改善につながります。
併せて定期的な検査で病状をチェックし、必要に応じて治療法を调整していくことが大切です。

Q
いびきをかくことは体にとって悪い事ですか?
A

いびきをかくことは体にとって好ましくないことです。
いびきは鼻やのどの気道が狭くなっている証拠です。この狭くなった気道で呼吸をすると、体に必要な酸素が十分に取り込めません。
酸素不足は脳や心臓、全身の臓器に負担がかかるため、さまざまな病気を招く危険性があります。
また、いびきのかき方によっては、呼吸が一時的に止まる睡眠時無呼吸につながることもあります。これにより深い睡眠を妨げ、日中の眠気や疲労感をもたらします。
したがって、いびきは放置せず、鼻やのどの治療をすることが体に良いと言えます。睡眠の質を上げ、病気を予防するためにも重要です。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に起きる呼吸障害によって低酸素血症や睡眠の質の低下をもたらす病気です。
代表的な症状はいびきや睡眠中の呼吸停止ですが、日中の眠気や疲労感など生活の質にも影響を及ぼします。肥満などがリスクファクターで、男性に多い傾向があります。
検査では睡眠ポリグラフ検査が行われ、治療法としてCPAP療法をはじめとする装具の使用や口腔内装置の適用があります。
予防には禁煙・適度な運動・食事改善などの生活習慣の見直しが重要です。また睡眠時無呼吸症候群の治療法は、紹介した通りいくつもあります。睡眠時無呼吸症候群の重さや、普段の生活の様子に合わせて、患者さんにあった治療法を選択することが必要です。
睡眠時無呼吸症候群は自分一人では気づくことは大変難しいです。日常生活で少しでも異変に気付くことができるのであれば直ちに病院受診し治療を開始するようにしましょう。何事も早期発見早期治療が大切です。

出典

睡眠時無呼吸症候群(厚生労働省)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
一般社団法人日本呼吸器学会(睡眠時無呼吸症候群)
タイトルとURLをコピーしました