梅毒とは?世界と日本の現状

梅毒とは、トレポネーマ・パリダムという細菌が原因で起こる性感染症です。
初期は性器や口の周りに痛みのないしこり(硬性下疳)や潰瘍が出ますが、症状に気づかず放置すると、全身の発疹、リンパ節の腫れ、さらには心臓や脳・神経系に影響を及ぼすこともあります。

予防薬「Doxy-PEP」とは

Doxy-PEP(ドキシサイクリン曝露後予防)は、性行為などで梅毒やクラミジアに触れたあとに、抗生物質のドキシサイクリンを飲むことで感染を防ぐ方法です。
どのように働くの?
- ドキシサイクリンは、細菌のタンパク質合成を阻害し、増殖を防ぐ抗生物質です
- 感染直後に服用することで、細菌が体内で定着する前に排除することができます
予防できる感染症
- 梅毒
- クラミジア
- 淋病 ※効果は限定的

効果と最新研究結果
Doxy-PEPは海外の複数の研究で高い効果が確認されています。
特に梅毒とクラミジアにたいしては、感染リスクを大きく減らせることが分かっています。
主な研究
▼DoxyPEP Trial(2022年)
MSM(男性間性交渉者)やTGW(トランス女性)を対象に、性行為後72時間以内にドキシサイクリン200mg(24時間最大200mgまで)を服用
観察期間:約1年間
※いずれも過去12か月以内に細菌性STI(梅毒・クラミジア・淋病)に感染した既往がある人
| 梅毒 | 大幅に減少(概ね80%以上の低下) |
|---|---|
| クラミジア | 大幅に減少(概ね80%以上の低下) |
| 淋病 | 効果は限定的(薬剤耐性菌の影響) |
| 3菌種(梅毒・クラミジア・淋病)を合算した新規感染が約65%減少(対照群比) | |
安全性:一部で軽度の胃腸症状や皮膚症状があったが、重篤な副作用は少ない
DoxyPEP Trial研究結果まとめ
- Doxy-PEPは高リスク集団における梅毒・クラミジア予防に非常に有効であることを示した
- 淋病に関しては耐性のため効果が安定しない
- CDC(米国疾病対策センター)が2024年にMSM(男性間性交渉者)/TGW(トランス女性)で過去12か月以内にSTI既往のある人へのDoxy-PEP使用を提案する根拠の1つになった
参考
Postexposure Doxycycline to Prevent Bacterial Sexually Transmitted Infections
▼IPERGAY Doxy-PEP Substudy(2017)
HIV PrEPを使用しているMSM(男性間性交渉者)を対象に、性行為後性行為後72時間以内にドキシサイクリン200mg(24時間最大200mgまで)を服用
観察期間:中央値約8.7か月
※いずれも過去12か月以内に細菌性STI(梅毒・クラミジア・淋病)に感染した既往がある人
| 梅毒 | 大幅に減少(概ね73%以上の低下) |
|---|---|
| クラミジア | 大幅に減少(概ね70%以上の低下) |
| 淋病 | 統計的に有意差なし(薬剤耐性菌の影響) |
| 3菌種(梅毒・クラミジア・淋病)を合算した新規感染が約50%減少(対照群比) | |
安全性:一部で軽度の胃腸症状や皮膚症状があったが、重篤な副作用は少ない
IPERGAY Doxy-PEP Substudy研究結果まとめ
- Doxy-PEPはHIV PrEP使用者における梅毒・クラミジア予防に非常に有効であると示した
- 淋病については薬剤耐性菌の影響で予防効果が安定しない
- IPERGAY Doxy-PEP Substudyは、米国DoxyPEP Trialなど後続ガイドライン作成に先立つ初期RCTデータとして重要
参考
Post-exposure prophylaxis with doxycycline to prevent sexually transmitted infections in men who have sex with men: an open-label randomised substudy of the ANRS IPERGAY trial
Doxy-PEPは誰にでも効くの?
▼研究対象は?
上記2件の研究はMSM(男性間性交渉者)やTGW(トランス女性)が中心。
理由:この集団で梅毒やクラミジアの感染率が高く、公衆衛生的に優先度が高かったため
▼薬の効き方はひとによって変わらない
・ドキシサイクリンは 細菌の増殖を止める抗生物質
・特に効果が強いのは、梅毒/クラミジア
・性別や性的指向に関係なく、誰の体内でも同じように効く
使用方法

基本の飲み方
- 性行為のあと、できるだけ早く(理想は24時間以内、最大72時間以内)にドキシサイクリン200mgを1回服用します。
- 1日あたり200mgが上限です。複数回性行為があっても追加で服用しないようにしましょう。
注意点
- 服用後は最低1時間は横にならないようにしましょう。(食道への刺激を防ぐため)
- 乳製品やサプリメント(カルシウム・鉄・マグネシウム)は、服用の前後2時間は避けてください。
- 長期使用が、腸内フローラの変化や耐性菌リスクがあるため注意してください
副作用と耐性リスク
よくある副作用

DoxyPEP試験では、ドキシサイクリンの副作用は軽度で一時的なものがほとんどであり、重篤な副作用はほとんど報告されていません。
| 副作用 | 対処法 |
|---|---|
| 胃腸症状 (吐き気、胃もたれ、下痢) | 食後に水と一緒に服用 空腹時は避ける |
| 皮膚の発疹・かゆみ | 抗ヒスタミン薬で緩和 症状がひどい場合は服用を中止し医療機関を受診 |
| 光過敏 | 長時間日光をさけ、日焼け止めや長袖で日焼け対策 |
| 軽度の頭痛・倦怠感 | 水分補給をし安静にする |
| 重篤な症状 (強いアレルギー反応など) | 直ちに服用を中止し医療機関を受診 |
- 長期・頻繁な使用は避け、医師の指導を受けること
- 副作用がでた場合は、対処法を試し改善が見られない場合は必要に応じて医療機関を受診してください
耐性リスク
ドキシサイクリンは、長期使用や頻繁な使用など不適切な使用をすることにより、細菌が薬に慣れてしまい、薬が効きにくくなることがあります。
| 梅毒・クラミジア | 現時点では耐性は少なく、予防効果は比較的安定しています |
|---|---|
| 淋病 | ドキシサイクリンに耐性を持つ株が多く、予防効果が安定しません |
| 腸内細菌 | 長期使用で腸内フローラのバランスが変化することがあります |
耐性菌リスクを減らすポイント
- 性行為後の1回使用にとどめる
- 長期使用、頻繁な使用は避ける
- 定期的にSTI検査を受ける
ドキシサイクリンの商品一覧
国内処方薬
| 商品名 | ビブラマイシン |
|---|---|
| 成分量 | 50mg/100mg |
| 金額 | 薬価:50mg23.5円 100mg22円 |
- 医師の診察受けてから薬を処方してもらう必要があり
- 日本では、「感染症の治療目的」でのみ処方
- 一部医療機関では、予防目的で処方されることもありますが保険適用されず全額自己負担
- 副作用や飲み合わせも医師に相談し服用できるので安心
メデマート取り扱い商品
| 商品名 | モノドックス | ドキシサイクリン「STADA」 | ドキシサイクリン「OMEGA」 |
|---|---|---|---|
| 画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
| 成分量 | ドキシサイクリン塩酸塩水和物100mg | ドキシサイクリン塩酸塩水和物100mg | ドキシサイクリン塩酸塩水和物100mg |
| 価格 | 1錠単価:171円~ | 1錠単価:166円~ | 1錠単価:20円~ |
| メーカー | Deva Holding A.S.(デヴァ・ホールディング) | STADA(スタダ) | Omega Pharma(オメガファーマ) |
| 購入ページ | モノドックスの購入はこちら | ドキシサイクリン「STADA」の購入はこちら | ドキシサイクリン「OMEGA」の購入はこちら |
- 医師の診察なしで購入可能
- 海外ジェネリックは比較的に値段が安い
- 業者によって偽造品や品質不良のリスクあり
- 副作用など薬の影響で身体が不調になった場合は自己責任
梅毒予防に関するよくある質問

- QDoxy-PEPは性別関係なく男女どちらにも効果がありますか?
- A
ドキシサイクリンは、細菌が体に定着し増殖を抑える薬なので、性別や性的指向に関係なく男女どちらにも効果があります。
- Q長期間使用しても大丈夫?
- A
長期間・頻繁に使用を続けると、耐性菌が増えるリスクや腸内細菌のバランスが崩れる可能性があります。
そのため、期間などは医師の指導のもとで必要なときのみ使用することが推奨されています。
- Q妊娠中や授乳中に使用しても大丈夫ですか?
- A
ドキシサイクリンは妊娠中や授乳中には推奨されません。
胎児や乳児への影響が懸念されるためです。
使用する場合は必ず医師に相談してください。
まとめ
- Doxy-PEP(ドキシサイクリン予防内服)は、性行為後にドキシサイクリン(抗生物質)を服用することで梅毒やクラミジアの感染リスクを大幅に減らせる新しい予防方法です。
- これまでの大規模試験では、強い効果が確認されました。
ただし、薬の仕組みは誰にでも普遍的に作用するため、性別や性的指向に問わず効果が期待できます。 - 副作用は、軽度の胃腸症状や光線過敏症が中心で、重い副作用はまれです。
- 耐性菌のリスクや長期使用の安全性には、課題があり安易な乱用は避けるべきです。
- 日本では「予防目的」での正式承認はまだありませんが、一部のクリニックでは自由診療される場合もあります。
出典
Postexposure Doxycycline to Prevent Bacterial Sexually Transmitted Infections
Post-exposure prophylaxis with doxycycline to prevent sexually transmitted infections in men who have sex with men: an open-label randomised substudy of the ANRS IPERGAY trial




