処方薬と市販薬の違い・病院と薬局・医師の処方箋など薬の基本を解説

処方薬と市販薬の違い・病院と薬局・医師の処方箋など薬の基本を解説 薬・漢方薬・市販薬

処方薬(医療用医薬品)と市販薬(OTC)の違い

処方薬(医療用医薬品)と市販薬(OTC)の違い

具合が悪いとき、例えば頭痛がする、咳が出る、熱があるなどの時皆さんは病院を受診しますか?それとも薬局に行きますか?両者とも薬を求めるという点では共通しています。ではどのような違いがあるのでしょうか。

「処方薬(医療用医薬品)」は処方箋医薬品ともよばれ医師の処方箋が必要で薬剤師の調剤によって入手できる医薬品です。医療用医薬品は「医療用医薬品とは、医師若しくは歯科医師によって使用され又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用されることを目的として供給される医薬品をいい、主に新医薬品と後発医薬品で手続きが異なります。」と定義されています。

反対に「市販薬(OTC)」処方箋を必要とせずドラッグストアなどで自分で選択して購入できる医薬品になります。
どちらの薬を入手するにもメリット・デメリットが存在します。

病院を受診する場合、一番のメリットは医師の診断という安心感を受けることができます。
デメリットは病院と薬局に行くため待ち時間と手間がかかるという点です。もしかしたらよけいな病気に感染するリスクもゼロではありません。

一方、ドラッグストアもしくは薬局に行った場合、メリットとして市販薬(OTC)購入までに時間がかからないという点です。たくさん陳列している商品の中から自分の症状に合った薬を購入することができます。もし迷ったりよくわからなかった時には薬剤師や登録販売者に聞くことで薬の選択をする手伝いをしてもらえます。また短時間の滞在で済むためよけいな病気をもらわずに帰宅することができます。
デメリットとしては病院ではないため検査をしてもらえないこと。例えば肺炎で入院が必要な人にたいして検査(血液検査やレントゲンなど)ができないため適切な薬の選択ができないと言うことになります。またドラッグストアなど薬剤師のいない店舗の場合作用の強い薬を購入する事ができないことがあげられます。

※「OTC」とは(over the counter)の略で店頭を意味します。

市販薬(OTC)の分類

市販薬(OTC)の分類

市販薬(OTC)はその薬の作用や副作用などを考慮した上で以下の4通りに分類されます。

要指導医薬品

正しい使用方法や注意事項などについて薬剤師の指導を受けることが求められている医薬品です。需要者が自分で選択して使用できますが、薬剤師から適切な情報提供と指導を受けることで、初めて安全に使用できるという位置付けの医薬品です。

(商品例)

・バップフォーレディ
・ユリレス
・ガラナボーン
・ハンビロンなど

一般用医薬品

第1類医薬品

副作用リスクが高くて注意が必要な医薬品の中でも、特に使用上の注意が必要とされる新規医薬品です。

(商品例)

・ガスター10
・リアッププラス
・ニコチネルパッチ20など

第2類医薬品

「第1類医薬品」ほど注意が必要ではないものの、ある程度の副作用リスクがあり、使用上の注意が必要な医薬品です。

(商品例)

・バファリンA
・新ジキナエース
・ロート防風通聖散錠など

第3類医薬品

「第1類医薬品」及び「第2類医薬品」以外のでリスクが比較的低い一般用医薬品です。

(商品例)

・ハイチオールC
・ザ・ガードコーワ整腸錠
・エアーサロンパスEXなど

この分類の中で一般用医薬品と呼ばれる第1類医薬品から第3類医薬品までの医薬品については全てインターネットでの販売が許可されています。また、第2類医薬品についてはその中でも特に注意を要する成分を含むものについては「指定第2類医薬品」として指定されています。

処方薬(医療用医薬品)に必ず必要な処方箋について

処方薬(医療用医薬品)に必ず必要な処方箋について

処方薬を入手する為には医師の「処方」が必要となります。病院から受け取った処方箋を調剤薬局へ持っていく事でようやく処方薬を購入できます。ここで注意しなければならないのは、この処方箋には使用期限があります。処方された日から4日以内に調剤薬局へ持参しなければ期限切れとなり、再度病院を受診しなければなりません。処方薬はできるだけ早めに受け取りに行くようにしましょう。

実はこの処方箋ですが、なくても調剤薬局で処方薬が購入できる場合があるのをご存じでしょうか?

医療用医薬品のなかには「処方箋医薬品」「処方箋医薬品以外の医薬品」の2つが存在します。前者は必ず処方箋が必要な医薬品ですが、後者であれば、例えば次の病院の予約までの不足分が欲しいとか、短期間でしっかりとした理由がある場合に限り調剤薬局で処方箋がなくとも販売する事が出来るのです。

例えば解熱鎮痛剤のロキソニンや胃粘膜保護剤のムコスタ、総合感冒剤のPL配合顆粒、内服薬だけではなく外用薬でも、湿布であればモーラステープなどがそれに該当します。他にも「処方箋医薬品以外の医薬品」は多く存在します。自分の服用している薬が該当するかどうかは調剤薬局で確認してみると良いでしょう。

市販薬(OTC)は処方薬(医療用医薬品)に比べて効果が弱い?

市販薬(OTC)は処方薬(医療用医薬品)に比べて効果が弱い?

市販薬と処方薬の効果に差はあるのでしょうか?主な医薬品について比較してみてみましょう。

市販薬
販売名成分量
ガスター10ファモチジン錠10mg
ロキソニンSロキソプロフェンナトリイウム水和物60mg
タイレノールAアセトアミノフェン錠300mg
パイロンPL顆粒Proサリチルアミド:270mg
アセトアミノフェン:150mg
無水カフェイン:60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:13.5mg
トラベルミンジフェンヒドラミンサリチル酸塩:40mg
ジプロフィリン:26mg
処方薬
販売名成分量
ガスター錠10mgファモチジン錠10mg
ロキソニン錠60mgロキソプロフェンナトリイウム水和物60mg
カロナール錠300mgアセトアミノフェン錠300mg
PL配合顆粒サリチルアミド:270mg
アセトアミノフェン:150mg
無水カフェイン:60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:13.5mg
トラベルミン配合錠ジフェンヒドラミンサリチル酸塩:40mg
ジプロフィリン:26mg

意外にも市販薬と処方薬の内容量が同じものが存在します。成分が同一である以上効能効果についても同一です。市販薬だからと言って決して効果が弱い薬であると言う訳ではありません

紹介した医薬品は一部であり、確かに処方薬よりも成分量の低い、効果の弱い市販薬も多く販売しているのは事実です。とくに要指導医薬品や第1類医薬品は処方薬と同一成分同一用量の市販薬が多いです。

市販薬

市販薬
販売名成分量
シナールEX顆粒eアスコルビン酸:500mg
処方薬
販売名成分量
シナール配合顆粒アスコルビン酸:200mg

また第3類医薬品にはビタミン剤が該当しますが、上記で示すように市販薬の方が処方薬よりも成分量の多いものも存在します。よって必ずしも市販薬は弱いとは言えず、弱いものから強いものまで多種類存在するのが市販薬なのです。

処方薬(医療用医薬品)と市販薬(OTC)共に重大な副作用がある

処方薬(医療用医薬品)と市販薬(OTC)共に重大な副作用がある

前項で示した通り市販薬と処方薬が同成分同量のものがあることは説明しました。つまりこれら医薬品については効能・効果が同一であると同時に重大な副作用も同一の確率で発生すると言えます。
例えばロキソニンを例に挙げれば、重大な副作用として消化性潰瘍や、肝機能障害間質性肺炎皮膚粘膜眼症候群などがありますが、これらは市販薬も処方薬もどちらの添付文書にも記載され注意を促されています。成分量が同じなので発生頻度も同一と言わざるを得ません。しかし発生頻度は決して同量だから出るわけではなく量が異なっていても、つまり処方薬より市販薬の方が成分量が少ない商品があったとしても基本的な成分が同一であれば重大な副作用は発生する可能性はあります。
市販薬だから副作用は軽いと言うことはありません。どの医薬品であっても薬である以上副作用は必ずつきものです。種類によって重い軽いはありますが注意をしなければならないという点では共通の項目と言えます。

処方薬と市販薬に関するよくある質問

よくある質問
Q
要指導医薬品と第1類医薬品は何が違いますか?
A

長期間使用された医療用医薬品が安全性が高いと認められたものは要指導医薬品に移行されます。要指導医薬品が原則3年経過し安全性が確認できれば第1類医薬品に移行されます。一番の違いは第1類医薬品はインターネットでの販売が許可されているという点、要指導医薬品は本人が一人1個しか購入できないという点になります。

Q
処方薬と市販薬は一緒に飲んでも良いですか?
A

処方薬も市販薬も併用禁忌や併用注意が存在します。例えば処方薬で血圧の薬を服用している方が市販薬で胃薬を飲むなどの場合であれば問題ありません。一般的に飲んでよい場合の方が多いですが市販薬購入前に薬剤師に相談してみると良いでしょう。

Q
処方薬と市販薬は何が違うのですか?
A

一番の違いは処方薬は病院を受診しなければならず、また医師が発行する処方箋が必要になります。また市販薬は自分でほしいものを選択することができますが、処方薬は医師が診断した上で医療用医薬品を選択するため自分で選ぶ事はできません。処方薬は保険を使用するため負担割合の違いによって金額が変わってきます。市販薬は誰が買っても同じ値段です。

まとめ

まとめ

具合が悪くなった時、どうしても抜けることができない仕事があるときは市販薬で対処して乗り切ることでしょう。市販薬は処方薬とほぼ近い効果を持っている為緊急時には非常に役に立つ代物です。しかし血圧が高いとか糖尿病だとかは市販薬ではさすがに対応することはできません。病院受診しなければならない疾患に関しては必ず医師の診断を受け処方薬を指示通り服薬する事が大切です。市販薬でも処方薬との飲み合わせが悪いものも数多く存在します。全てを自分で管理することはなかなか難しいです。自分が飲んでいる薬はお薬手帳に記載する事で医師や薬剤師に飲み合わせをチェックしてもらうことができます。簡単に購入できる市販薬だから安易に考えがちですが重大な副作用も薬である限り存在します。便利であるからこそ処方薬と上手に使用していくことが大切です。

出典

一般用医薬品のリスク区分(厚生労働省)

要指導医薬品、一般用医薬品販売の手引き(日本薬剤師会)

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