イベルメクチンの副作用は?
イベルメクチンは、用法用量を守り正しく使用すれば副作用が少なく安全性の高い医薬品です。
ただし、副作用には個人差があります。副作用について正しく理解していれば必要以上に心配になることもありません。
イベルメクチンにはこのような副作用があります。
頻度 | 症状 |
---|---|
0.1~5%未満 | かゆみ、発疹、肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン値上昇、Y-GTP上昇)、BUN上昇、貧血、好酸球数増加、LDH上昇 |
0.1%未満 | 悪心、嘔吐、白血球数減少、リンパ球数増加、単球数減少、血尿 |
頻度不明 | かゆみの一過性の増悪、蕁麻疹、Al-P上昇、下痢、食欲不振、便秘、腹痛、めまい、傾眠、振戦、無力症・疲労、低血圧、気管支喘息の増悪 |
参考サイト
医療用医薬品 : ストロメクトール
イベルメクチンの重大な副作用は?
重大な副作用
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
- 肝機能障害、黄疸
(著しいAST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。) - 血小板減少
- 意識障害
(昏睡、意識レベルの低下、意識変容状態等の意識障害が認められる場合がある。)
いずれも頻度不明ですが、起こりうる可能性があります。
観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うようにしてください。
また、人間用ではなく動物用イベルメクチン製剤(曝露量不明)の使用における偶発的な中毒において、以下の副作用が報告されています。
発疹、接触性皮膚炎、浮腫、頭痛、めまい、無力症、悪心、嘔吐、下痢、発作、運動失調、呼吸困難、腹痛、異常感覚、蕁麻疹
イベルメクチン使用後、このような症状が出た場合はすぐに医師の診察を受けるようにしてください。
用法用量は正しく使用しましょう。
イベルメクチンの副作用発生率
ここまで、イベルメクチンの副作用を紹介してきました、重篤なものもあり心配される方も多いと思います。では、実際に副作用がどれほど発生しているのか見ていきたいと思います。
新しい薬を開発する際は、薬の安全性や効果などを実証するための臨床試験が行われます。
イベルメクチンを使用しての臨床試験の結果においての副作用の発生率を紹介します。
イベルメクチン国内の臨床試験成績
(糞線虫陽性患者50例を対象に、イベルメクチン約200μg/kgを2週間間隔で2回投与した場合の投与4週間後の駆虫率)
- 悪心、嘔吐が50例中各1件(2.0%)
- 臨床検査値の異常変動が50例中4件(8.0%)
- AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン値上昇、白血球数減少、リンパ球数増加、単球数減少及び血尿が各1件、計7件
また、イベルメクチンの駆虫率は98.0%、50例中49件あったと報告がありました。
イベルメクチンの副作用の影響を受けやすい方
合併症・既往歴等のある方
ロア糸状虫による重度感染を併発している方
ロア糸状虫症は、西アフリカと中央アフリカの熱帯雨林地帯でのみ発生しているフィラリア感染症です。線虫の一種であるロア糸状虫による皮膚の下の組織または眼を覆う透明な外膜(結膜)下の感染症です。
抗ミクロフィラリア薬投与後に、又は投薬とは無関係に、まれに重篤又は致命的な脳症が発症することがあり、本剤においても因果関係は確立していないが、発症することがあります。
オンコセルカ症又はロア糸状虫症を併発している方
オンコセルカ症は、回旋糸状虫によって引き起こされるフィラリア感染症です。
中枢精神神経系(脳症、頭痛、昏睡、精神状態変化、起立困難、歩行困難、錯乱、嗜眠、痙攣、昏迷等)、筋骨格系(関節痛等)、その他(発熱、結膜出血、眼充血、尿失禁、便失禁、浮腫、呼吸困難、背部痛、頸部痛等の疼痛等)の重大な副作用及びマゾッティ反応が報告されている。これらの反応は、死んだミクロフィラリアに対するアレルギー性・炎症性反応によると考えられる。
易感染性の方(HIV感染者やHTLV-1感染者等も含む)
通常の投与回数以上の投与が必要になることがあり、また、その場合でも治癒に至らないことがあります。
妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形性が認められています。
授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中に移行することが報告されています。
小児等
体重15kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していません。
高齢者
一般に、肝、腎又は心機能が低下し、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。
イベルメクチンは回旋糸状虫症の治療薬として1981年からこれまでに約150万人の患者に使用されていますが、重篤な副作用は発現していません。
糞線虫症患者110例に対する投与でも軽い便泌が生じているにすぎず。1錠投与後に7.2%、2錠投与後に3.2%の症例に副作用が出現しましたが、
いずれも軽度であり治療を心要とするものはなかったとの報告があります。
イベルメクチンの他の薬との飲み合わせ
病院で医師に処方される処方薬との飲み合わせについて
イベルメクチンは医薬品の説明書において、特に飲み合わせの悪い薬は記載されていませんので他の処方薬と一緒に使用してもよいと考えられます。
市販薬との飲み合わせ
薬局やドラッグストアで購入できる市販薬とイベルメクチンの飲み合わせについては、市販薬は多種多様な形態があるためすべての市販薬について飲み合わせが問題ないと明言することは難しいですが、よく併用される薬として、風邪薬、解熱鎮痛薬、胃薬、整腸剤などについては、特にイベルメクチンとの飲み合わせは問題ないと考えられます。
しかし例えば風邪薬に含まれる抗ヒスタミン薬(鼻水を止める成分)は疥癬の痒みの症状を隠してしまう可能性があるで注意が必要です。
食品との飲み合わせ
イベルメクチンと普段私たちが食べている食品との食べ合わせ・飲み合わせについては、特に問題ないと考えられます。
しかし、高脂肪食を摂った後にイベルメクチンを服用するとその脂溶性から吸収量が増加し副作用が生じるおそれがあります。
そのため、使用方法としては「空腹時(食後2時間)に水で服用する」ことと規定されています。
イベルメクチンを安全に服用するには
イベルメクチンを安全に服用するには、短期間での服用を心がけるようにしましょう。
また、イベルメクチンは飲むヒトの体重に影響されますので、正しい用量を算出し、適正量で使用してください。
医薬品はたとえ正しく使用していても副作用を防げない場合があります。
「副作用被害救済制度」というのがあります。副作用により入院治療が必要になった場合など医療費や年金などの給付を行う制度です。
しかし、イベルメクチンを個人輸入で購入し使用した場合は、副作用被害救済制度の対象外となってしまいます。
個人輸入を利用して使用する場合は、こういう現状もをしっかり理解しておきましょう。
イベルメクチンの副作用に関して紹介してきましたが、それはあくまでも糞線虫症や疥癬の治療に使用した場合の副作用です。
それ以外の使用に関しての安全性は確立されていません。
イベルメクチンは安全?
イベルメクチンは、正しい容量、正しい用法、使用禁忌などをお守りいただければ、安全性も高く、重い副作用は少ないので、比較的安心してご使用いただける薬と言えます。
しかし、どんな薬も使い方や容量を守らなければ毒となりえます。
イベルメクチンは医師の指導のもと正しく服用しましょう。
やむを得ず自己判断で服用する場合は、副作用をしっかりと理解し服用するようにしましょう。