どうしてお腹がすくの?空腹の理由と原因、空腹感を抑える方法を解説

病気・症状

お腹が空く理由と原因

皆さんは、突然おなかがすいてくる理由について考えたことがありますか?食事を摂っていないから、というのが一般的な認識ですが、実はお腹がすく理由はさまざまな要因が絡み合っています。その要因を理解することは、健康的な生活を送る上で重要なポイントです。
お腹がすく大きな理由の1つとして、「血糖」が関係しています。
血糖は人間が生きていくためのエネルギー源、いわば「ガソリン」のような存在です。この血糖量が低下すると、体内のエネルギーが減少し、お腹がすいたと感じるようになります。
そのほかにも、お腹が空いてしまう要因としては以下のようなものがあげられます。

お腹が空く原因

偽空腹感とは

体内の血糖量が低下することで感じる空腹ですが、その中でも「偽空腹感」には注意が必要です。偽空腹感とは「空胃感」と呼ばれることもあり、胃の内圧が下がることで飢餓のような錯覚を感じてしまうことです。
人間は、食事をした後2~3時間ほどで胃の中が空になりますが、この時、正常に消化できているためエネルギーは十分足りています。しかし、血糖値が急に高くなった反動で急降下すると、食欲を調整しているホルモンバランスが乱れ、偽の空腹感を生じてしまうのです。肥満気味の人だと、朝ご飯を食べて2時間しかたっていないのに、「お腹がすいた」という偽空腹感に耐えられず、ご飯を食べてしまい、体重がどんどん増加していくという悪循環に陥ります。
血糖値をあげる炭水化物の摂取割合が多い人や、高GI値の食品を頻繁に食べる人は血糖値が上がりやすいので、急降下した際に偽空腹感を感じやすくなります。

糖尿病の人は空腹を感じやすい?

糖尿病の人では、偽の空腹感を感じやすい身体になっています。
理由としては「インスリンの作用不足」と「食欲コントロールホルモンの乱れ」があげられます。

インスリンの作用不足

インスリンは、血糖値を低下させるホルモンで食事の後に分泌されます。
インスリンが正常に分泌されることで、食後血糖値が急激に上昇するのを抑制しています。
しかし、糖尿病の方は、インスリンの分泌が不足していたり、インスリンに身体が抵抗性を示すため、食後の血糖値が高い状態になっています。
その後急激に血糖が下がる「血糖値スパイク」が起こるため、空腹感を感じやすくなるのです。

食欲コントロールホルモンの乱れ

人間の身体には、食欲をコントロールするホルモンがあります。食欲を抑制する「レプチン」と食欲を促進する「グレリン」です。
糖尿病の方では、レプチンの機能が低下するため、グレリンとのバランスが崩れ、食欲が促進される状態となっています。そのため、空腹感を生じると考えられています。

空腹感の原因 血糖コントロール方法

空腹感の原因となっている血糖値をコントロールすることで、空腹を感じにくくなり食べ過ぎを抑制することができます。
血糖値をコントロールする方法は食事療法」「運動療法」「薬物療法の3つがあります。

食事療法

血糖をコントロールする上で毎日の食生活を見直すことは大切です。1日3食、バランスよい食事を心がけましょう。
若い方では朝食を抜いている方も多いかもしれません。しかし、朝ご飯は前の食事時間から12時間ほど経過しているため、抜いてしまうとお昼や夕ご飯の血糖値が急激に上昇してしまう可能性があります。そのため、血糖値の上昇を緩やかにするためにも朝ご飯は食べましょう。
また、主食のみを食べている方も、血糖値が上昇しやすくなります。朝ご飯では、焼き魚や納豆、果物や牛乳などを一緒に食べると良いでしょう。
ご飯をよく噛んで食べることも大切です。早食いをすると血糖値が上昇しやすくなります。いつも食事で嚙む量よりも5回ほど多めに噛んでから飲み込むようにしましょう。

運動療法

運動を習慣化させることも血糖コントロールの上では大切です。
運動を行うと血糖値の減少効果がすぐにみられます。さらに運動を継続していくと、筋肉が作られ、インスリン抵抗性の改善が期待されます。
体重の増加を抑制できたり、血行が良くなったりと長期的なメリットが豊富に含まれる点は運動療法の特徴です。
運動はウォーキングや水泳などの有酸素運動と、腹筋やスクワットなどのレジスタンス運動が有効とされています。
また、運動を継続する時間がなかったとしても日常で活動量を増やす意識することで、日中の消費カロリーは上昇します。階段を使ったり、1駅分歩くなど試してみると良いでしょう。

薬物療法

高すぎる血糖値をコントロールするためには、糖尿病治療薬が使用されます。
運動療法や食事療法は日々の継続が大切ですが、これだけでは改善が難しいケースに薬物療法を組み合わせることがあります。
経口血糖降下薬では、血糖値を安定化させる作用のほかに食欲を抑える作用を持つものもあり、経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス」が最近話題となっています。

経口血糖降下薬

経口血糖降下薬には多くの種類が存在しています。ご自身の身体の状態に合わせて、薬を選ぶことができます。

【SU(スルホニル)薬】
SU薬は、膵臓からのインスリン分泌を増やし血糖を下げる飲み薬です。
インスリンを作る働きが少しでもある患者さんで効果が期待できます。歴史の長い薬剤で、最近は少なめの量を使用する傾向があります。

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●アマリール

アマリールは、サノフィが開発した薬剤です。
有効成分であるグリメピリドはインスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島に作用し、インスリン分泌を高める働きをします。歴史の長い薬剤であり、比較的安価です。

商品名アマリール
画像アマリール
有効成分グリメピリド 1mg 2mg 4mg
価格1mg:1錠あたり38円~
2mg:1錠あたり40円~
4mg:1錠あたり66円~
メーカー・ブランドサノフィ社
URLアマリールの購入はこちら

【ビグアナイド薬】
血糖コントロールを改善する薬剤で、体重を増やしにくいという特徴があります。歴史の長い薬剤で、肥満の人でなくても効果が期待できます。ビグアナイド薬は糖新生を抑えることで血糖を下げます。

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●ゾメット【メトホルミン】

ゾメット【メトホルミン】は、日本でも処方されている2型糖尿病の治療薬であるメトグルコのジェネリック医薬品ゾメットです。
糖の生成を抑制し、血糖値を減少させる効果があります。加えて、筋肉への糖の吸収を促進させて、腸管での糖の吸収を抑制します。

商品名ゾメット【メトホルミン】
画像ゾメット【メトホルミン】
有効成分メトホルミン500mg
価格500mg:1錠あたり27円~
メーカー・ブランドIntas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
URLゾメット【メトホルミン】の購入はこちら

【DPP-4阻害薬】
食事摂取の後の、インスリン分泌を調整して血糖を下げる薬剤です。ほかの薬剤と併用しなければ、低血糖のリスクは低く、体重を増やしにくいという特徴があります。
比較的新しい薬剤で2型糖尿病の患者さんの最初に選択されるケースが増えてきています。

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●ジャヌビア

ジャヌビアは、MSD社が開発したDPP-4阻害薬です。血糖値が高い時にのみ作用するので、体への負担や低血糖が生じるリスクが少ないのも特徴の一つです。
また、生活習慣病治療薬との併用も比較的に安全です。

商品名ジャヌビア
画像ジャヌビア
有効成分シタグリプチン25mg/50mg/100mg
価格25mg:1錠あたり232円~
50mg:1錠あたり246円~
100mg:1錠あたり400円~
メーカー・ブランドMSD(メルク・アンド・カンパニー)
URLジャヌビアの購入はこちら

【チアゾリジン薬】
チアゾリジン薬はインスリンの働きをよくすることで血糖を下げる飲み薬です。
ほかの薬と併用しなければ低血糖を起こす危険性が低いことも特徴です。脂肪細胞へ作用して、インスリン抵抗性を改善します。

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●アクトス

アクトスはは、1991年から発売されている歴史の長い薬剤となります。
主に2型糖尿病の治療に使用されます。インスリンの効き目をよくする効果があり、糖質の消化、吸収を遅らせる作用があります。

商品名アクトス
画像アクトス
有効成分ピオグリタゾン15mg/30mg
価格15mg:1錠あたり173円~
30mg:1錠あたり231円~
メーカー・ブランドタケダ
URLアクトスの購入はこちら

【SGLT2阻害薬】
尿に糖を出すことで血糖を下げる薬剤です。体重の減少効果も期待されています。
単剤で使用すると低血糖を起こす可能性も低いです。2014年から使用されるようになった比較的新しい薬剤です。

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●フォシーガ

フォシーガは、SGLT2阻害薬の1種です。糖尿病治療のほかにも慢性心不全などの治療にも適しています。
食事から摂取した糖分を尿として排出してくれる作用があるため、腎臓から吸収される糖のカット効果が期待されています。
血糖コントロールの作用時間は8~12時間、作用時間自体は24時間とされています。

商品名フォシーガ
画像フォシーガ
有効成分ダパグリフロジン
価格10mg:1錠あたり267円~
5mg: 56錠あたり15000円~
メーカー・ブランドAstraZeneca
URLフォシーガの購入はこちら

【GLP-1受容体作動薬】
GLP-1はもともと人間の体にあるホルモンです。
GLP-1を投与することで、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進し、血糖を上昇するホルモン、グルカゴンの分泌を抑制して血糖値を低下させます。

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●リベルサス

リベルサスは、話題の経口GLP-1受容体作動薬で、2型糖尿病に使用されます。血糖値を下げる効果に加えて、食欲を抑制する作用も期待されています。
これまでGLP-1受容体作動薬は注射薬しかありませんでしたが、リベルサスが承認されたことで経口で投与することが可能となりました。

商品名リベルサス
画像リベルサス
有効成分セマグルチド
価格3mg:1錠あたり1100円~
7mg:1錠あたり1100円~
14mg:1錠あたり1166円~
メーカー・ブランドノボノルディスク社
URLリベルサスの購入はこちら

血糖が上昇していると太りやすくなり、生活習慣病などの発症リスクも高まっていきます。
現在血糖値が高い人は食事や運動の習慣を見直し、ダイエットにチャレンジしてみることとよいでしょう。
ダイエットの基本や方法について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

血糖値に関するよくある質問

Q
血糖値をコントロールするために食生活を見直したいと思いますが、おやつや甘いものはとってはいけないのでしょうか?
A

お菓子や甘い飲み物にはお砂糖が多く含まれているため、できるだけとりすぎないほうがよいでしょう。しかし、全くとってはいけないというわけではありません。
逆に甘いものをやめた結果ストレスが溜まり、他の食事を多くとってしまっていては意味がないからです。
おやつを食べるときには15時ごろまでに食べるようにし、夜摂取するのは避けましょう。また、1日200kcalまでに抑えるとよいです。

Q
血糖コントロールのための運動療法において気を付けるべきことはありますか?
A

血糖管理の改善を目的として、運動療法は有効ですが、骨や関節の病気を合併している方や心肺機能が低下している方、腎不全や心筋梗塞を患っている方などは運動療法を制限した方がよいでしょう。
ハードな運動が逆効果となってしまわないよう、自分の体調に合わせた方法で血糖管理をしていきましょう。

Q
血糖管理を目的に食事療法をする場合、脂肪は避けた方がよいのでしょうか?
A

脂肪分は腹持ちがよく、消化が遅くなるという特徴があります。
そのため、満腹感が持続しやすくドカ食いを防ぐことができます。
しかし、脂肪分が多く含まれている食品はカロリーも高くなるので注意が必要です。
血糖が高い方が脂肪分をとる際、「不飽和脂肪酸」が多く含まれている食品を選ぶとよいです。
例えば、オリーブオイルやくるみ、サーモンやアボカドがおすすめです。

最後に

空腹は、身体のエネルギー源である血糖が低下することで起こります。
しかし、血糖が低下していないのに、空腹を感じてしまう偽空腹感には注意が必要です。
おなかがすいたとき、我慢をしすぎるのはよくありませんが、食後2時間程度でお腹がすいてしまう人は、本当の空腹感かどうか一度疑ってみることが大切です。
空腹を感じすぎないよう、食生活や運動習慣を見直し、食べ過ぎないよう心がけていきましょう。

出典

大腸内視鏡.jp どうしてお腹が空くのだろう?
Thomas H. Meek. The role of leptin in diabetes: metabolic effects. Diabetologia(2016). 59:928–932
MSDマニュアルプロフェッショナル版 糖尿病の薬物療法
茅ヶ崎市 血糖値改善!血糖コントロールの食事のポイント
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