繰り返しやすい脂漏性皮膚炎とは?原因や治療方法、対策方法を解説

病気・症状

脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性皮膚炎とは?画像

脂漏性皮膚炎とは、皮脂が多く分泌される部位に炎症や湿疹ができる疾患です。
特に髪の毛の生え際や、耳の周り、頭皮など皮脂が多く分泌されやすい部位で症状が出やすいとされています。
ふけが落ちてきたり、皮膚がぽろぽろとむけたり、頭皮に炎症が起きたりするため、患者にとっては日常生活に支障をきたすこともあります。
脂漏性皮膚炎の発症に関わる皮脂は、男性ホルモンが多いと活発に分泌されます。そのため、女性より男性で罹患しやすい傾向があります。
発症しやすい年齢は生後3カ月ほどの乳児と30~70歳ほどの成人です。乳児では、生後8カ月ほどで自然に治りますが、成人で発症した場合は慢性的に再発を繰り返すことが特徴です。
脂漏性皮膚炎は人にうつることはありませんが、早めに治療を行わないと炎症が悪化したり、抜け毛につながってしまうので早めの治療が大切です。

脂漏性皮膚炎の原因

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脂漏性皮膚炎の原因は、はっきりとわかっていません。
しかし、マラセチア菌の増殖やストレス、生活習慣の乱れなど様々な因子が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

マラセチア菌の増殖

皮膚に常在している「マラセチア菌」というカビの1種が脂漏性皮膚炎の発症に大きく関わっているとされています。
「マラセチア菌」は皮脂を好物として繁殖するため、皮脂の量が体内で増えるとマラセチア菌も増殖してしまうのです。

生活習慣

ストレスや睡眠不足が重なると症状が悪化しやすいとされています。
また、正しい方法で髪の毛を洗っていなかったり、入浴を怠ったりすると脂漏性皮膚炎の原因となります。
食生活という観点では、ビタミンB不足が指摘されています。ビタミンB2やB6は皮脂の分泌量を減らす効果のある栄養素ですが、体内で不足することで症状の悪化を引き起こします。

年齢

加齢も脂漏性皮膚炎に関係しています。思春期以降、ホルモン量が増えるとともに皮脂量が増えていきます。
特に男性では中年以降男性ホルモンの割合が増加する傾向があり、結果的に皮脂が増加し症状の悪化につながるのです。

脂漏性皮膚炎の症状

脂漏性皮膚炎の症状画像

脂漏性皮膚炎の症状は、ゆっくりと徐々にあらわれます。最初は、頭皮にふけが出てきます。
かゆみを伴うことがありますが、最初から髪の毛が抜けるといったことはありません。
その後悪化していくにつれて、黄色や赤色の鱗屑が耳の周りや、眉毛のあたり、皮膚のしわなどに出てきます。皮膚が大きなふけのように剥がれ落ちることもあります。
生まれて間もない乳児では、頭皮にかさぶたを伴う黄色い発疹ができることがあり、赤い発疹や、なかなか改善しない皮膚炎などもあらわれます。

脂漏性皮膚炎の可能性のある症状

  • 皮がむけて肌がカサカサとしてきた
  • カサカサした肌がふけのようにぽろぽろと落ちることがある
  • 頭皮に大きく硬いかさぶたがみられる

脂漏性皮膚炎の発生しやすい箇所

脂漏性皮膚炎の症状が出やすい部位画像

脂漏性皮膚炎が出やすい場所に、「頭皮」「首周り」「腋の下」などがあげられます。
皮脂は脂腺という部位から出てきますが、脂腺は足の裏と手の裏以外には基本的に存在しています。
特に頭皮や首周りは、脂腺が多い場所であるため症状も出やすい部位となります。
頭のふけは初期症状であり、悪化していくとほかの部位にも症状が出てきます。

脱毛との関係

脂漏性皮膚炎と脱毛との関係画像

脂漏性皮膚炎は、直接的に脱毛に関わることはありません。
しかし、症状が悪化することで脱毛を併発するケースも少なくないとされています。脂漏性皮膚炎は頭皮に炎症やふけができるのでかゆみを生じます。
また、皮脂が溜まっているため頭皮に栄養が届きにくい状態となっています。
結果、特に男性では脂漏性皮膚炎の進行に伴って脱毛を発症してしまうのです。このようなケースでは、通常の「脂漏性皮膚炎」治療では効果が見込めないこともありますので、専門医を受診することが大切です。
女性の場合も、脱毛には至らなくても髪の毛が細くなったり、髪の毛の抜ける量が増えたりする場合がありますので注意してください。

脂漏性皮膚炎の治療法(塗り薬)

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脂漏性皮膚炎の治療は基本的に塗り薬を使用していきます。弱めの薬剤から使用して、軽快しなければ強い薬剤に変更していくのが有効的です。
ステロイドを使用するケースもあれば、マラセチア菌というカビを殺すための抗菌薬を使用するケースもあります。
ステロイドは長い間使用しにくいので、先に抗菌薬を使用してもよいでしょう。
抗菌薬の塗り薬は、ローション剤、クリーム剤、ジェル剤などさまざまなタイプが発売されています。
そのためご自身の生活に合わせて薬剤を使い分けることができる点、塗り忘れが少ない点がメリットとされています。

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真菌を殺菌するための薬剤で、カンジダ症、水虫などに有効な医薬品です。
塗り薬になりますので、基本的には皮膚に感染する真菌に対して抗菌力があります。

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脂漏性皮膚炎の予防方法

脂漏性皮膚炎の予防方法画像

脂漏性皮膚炎は日常生活の見直しで予防ができる疾患です。

ストレスをためない生活を送る

睡眠が不足すると皮膚の抵抗力を低下させてしまいます。夜更かしが習慣化されている人は、免疫力が弱まり「マラセチア菌」が増殖しやすい可能性があります。7~8時間は寝るようにし、睡眠の2時間前からはスマホやパソコンから離れるようにしましょう。
過労もストレスが溜まり皮脂分泌が増加してしまう可能性があります。
人間関係や職場にストレスを感じている人は自分なりのストレス解消方法を見つけると良いでしょう。お風呂に入ってリラックスするのもおすすめです。

食事内容を見直す

食生活を見直すことも大切です。
ビタミンB群は皮脂を減少させる効果が期待されています。ビタミンBを多く含む食品として、レバーやホウレンソウ、トマトやキャベツがありますので意識して多く摂取するようにしましょう。
また、皮脂の分泌を活発にしてしまう脂肪分の多い食事やアルコールはなるべく控え、野菜中心の食事をとるようにしましょう。

肌を清潔に保つ(洗顔・シャンプー)

最も大切なのは、脂漏部位を清潔に保つことです。
洗顔は朝と夜の1日2回、シャンプーやリンスは毎日行うようにしましょう。
シャンプーも、市販のものではなく、抗真菌剤が含まれたものを使用すると一層高い予防効果が期待できます。

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ニゾラルシャンプーは、男女どちらにも使用できるシャンプーで、成分としてケトコナゾールが2%含まれています。
頭皮の余分な皮脂を洗い流すことでふけやかゆみなどの症状を抑制します。
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脂漏性皮膚炎に関するよくある質問

脂漏性皮膚炎に関するよくある質問画像
Q
治療薬を使用してもなかなか治らない場合は?
A

脂漏性皮膚炎は、他の皮膚疾患と比較して薬剤が効きやすいという特徴があります。
そのため、長い間塗っても薬剤の効果がみられないときは、「アトピー性皮膚炎」や「尋常性乾癬」、鼠径部あたりに皮膚症状が生じる「カンジダ性間擦疹」の可能性があります。
皮膚科医でもしっかりと診療をしないと判別が難しい疾患になりますので、長期間薬剤を塗っても治らない場合はすぐに皮膚科医に相談しましょう。

Q
脂漏性皮膚炎は完治しますか?
A

成人以降の発症であってもしっかりと治療をすれば完治します。
抗真菌薬と炎症を抑える薬剤をしっかりと続けることが大切です。
ただし、頭を洗いすぎたり、脂っこい食事を続けたり、ストレスをためすぎたりした場合再発を繰り返してしまうリスクもあります。

Q
シャンプーで気を付けることはありますか?
A

ゴシゴシと強く洗うのは避けてください。
シャンプーリンスは十分にすすいでください。リンスやコンディショナーは頭皮には付着させないよう注意し、毛先のみにつけてください。
髪の毛を洗った後はそのまま放置して乾かさずに、すぐにしっかりと乾かしてください。

Q
入浴や洗髪は毎日行ってもよいのでしょうか?
A

皮脂が溜まると脂漏性皮膚炎は悪化しやすいです。
そのため、入浴や洗顔は毎日可能な限り行ってください。強く肌や頭皮をこすらないよう注意して、すすいだ後は優しくタオルで拭きとってあげましょう。
その後、保湿も忘れずに行うと効果的です。

Q
整髪料や帽子は着用してもよいでしょうか?
A

ヘアワックスやムースを頭皮につけると症状が悪化してしまう可能性があります。
毛先につけるのみであれば問題ないですが、症状が悪化する場合はすぐに控えるようにしましょう。
帽子は通気性がよいものを選ぶと、症状が悪化しにくいのでおすすめです。

最後に

脂漏性皮膚炎は、頭皮や首周りに皮脂が溜まることで炎症やふけなどの症状が出てしまう疾患です。
乳児期に発症した脂漏性皮膚炎は治りやすいですが、成人以降で発症した場合、再発を繰り返すことがあります。
脂漏性皮膚炎を放置していると炎症の悪化や抜け毛にもつながってしまうので、我慢しすぎずに治療を早めから開始することが大切です。
予防が可能な疾患ですので、まだ脂漏性皮膚炎ではない方であっても、日常から食生活や生活習慣を見直していきましょう。

出典

オムロン vol.96 脂漏性皮膚炎とは – 頭皮の湿疹などの症状と治療・予防方法
MSDマニュアル家庭版 脂漏性皮膚炎
マルホ 脂漏性皮膚炎はなぜ起こる?
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