殺精子剤・ノノキシノール-9とは?効果や正しい使用方法など解説

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殺精子剤とは

殺精子剤とは

殺精子剤とは、膣の中に入った精子を殺傷する薬です。現在「コンドーム」や「低用量ピル」「アフターピル」など多様な避妊方法が存在していますが、その中でも「殺精子剤」は他にはない機序を持っています。膣の中に侵入してきた精子を捕らえて、損傷を与えます。これによって、精子と卵子の授精を防ぐことができます。ゼリータイプやクリームタイプ、坐薬タイプがあり、性行為前に膣に入れて使用します。非常に簡単に使うことができるため、非侵襲的に避妊をしたい方に活用されています。日本ではあまり普及していませんが、アメリカでは一般的な避妊方法として知られています。
また、本日はご紹介しませんが、アフターピルによる避妊効果や副作用について詳しく知りたい方は以下のコラムをご覧ください。

避妊効果と副作用の強さ

殺精子剤の効果

殺精子剤の効果

殺精子剤の効果について紹介します。殺精子剤は挿入後5分から効果を発揮し、約1時間持続します。この時間内に射精されれば効果は期待できます。避妊確率は75%とほどとされています。そのため、より高い避妊を望む場合はコンドームやペッサリー(腟内に挿入するリング状の器具)と併用するとよいでしょう。
また、1回の性行為で1錠使用する必要があるため、毎回使用しない場合は避妊が失敗する確率が高まります。そのほか、「膣錠が奥まで挿入されていない」「性行為が特別な体位で行われ、薬剤の液が流れ出てしまった場合」失敗の可能性が高まってしまいます。避妊が失敗、つまり中出しした場合の妊娠確率については、以下のコラムで詳しく解説していますのでご覧ください。

殺精子剤はどんなものがある?

代表的な殺精子剤

代表的な殺精子剤として「マイルーラ」「VCF膣用避妊ジェル」があります。どちらの殺精子剤も効果としては大きく変わらないですが、ジェルや錠剤のように剤形が異なります。ご自身の生活スタイルや用途に合わせた薬剤を選択することがおすすめです。

マイルーラ

マイルーラはフィルムタイプの薬剤になり、女性の膣内に挿入するとフィルムが溶けて薬剤が膣内に広がります。膣の中に入ってきた精子の動きを抑制しますので、ピルが体に合わなかった方におすすめの薬剤となります。
マイルーラVCFフィルムの臨床実験では「94%」の高い殺精子効果が認められていますので、他の避妊用具との併用でより高い効果が見込めます。また、本剤は挿入後2~3時間ほど効果が持続しますが、薬剤を使用している違和感が少ないことが特徴です。使用後も洗い落とす必要がありませんので、利便性に優れています。副作用として、膣の炎症、膣の痒みが出ることがありますので違和感を感じたらすぐにお近くの医療機関にご連絡ください。

<関連商品①>
●マイルーラVCF

商品名マイルーラVCF
画像マイルーラVCF
有効成分ノノキシノール-9(28%)
メーカーApothecus Pharmaceutical Corp(アポテカス社)
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VCF膣用避妊ジェル

VCF膣用避妊ジェルは、名前の通りジェルタイプの殺精子剤で、有効成分・ノノキシノール-9を配合しています。容器内に薬液が充填されているプレフィルドアプリケーター式で、どなたでも簡単に使うことができる点が特徴です。効果持続時間は挿入後約1時間です。
ラテックスアレルギーなどでコンドームが使用できない方、ホルモンに影響を及ぼすピルを服用できない方にもお使いいただけます。併用禁止薬はありませんが副作用として膣の不快感やパートナーの陰茎に違和感を与えることがあります。症状が出た場合はお近くの医療機関を受診してください。

<関連商品②>
●VCF膣用避妊ジェル

商品名VCF膣用避妊ジェル
画像VCF膣用避妊ジェル
有効成分ノノキシノール-9(4%)
その他の成分:乳酸/パラオキシ安息香酸メチル/ソルビン酸K/PG/精製水/PVP/シメチコン/安息香酸Na/カルボキシメチルセルロースナトリウム/ソルビトール液/EDTA-3Na
メーカーApothecus Pharmaceutical Corp(アポテカス社)
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殺精子剤の正しい使用方法

殺精子剤は正しく使用することで効果が高まります。以下の手順や注意点を守り、ご使用ください。

①性行為の5分前に薬剤を取り出します

②人差し指と中指で錠剤をはさみ、膣の中に挿入します。
もし膣が十分濡れていない場合には唾液で軽く濡らすと良いです

③人差し指で薬剤を押し込み、可能な限り奥深くまで挿入します
※薬剤を浅い部分でとめてしまうと、膣内の違和感につながったり、溶けるスピードが遅くなる可能性があります。

ノノキシノール-9に関するよくある質問

よくある質問
Q
時間内に射精できなかった時にはもう1回薬剤を入れるべきでしょうか?
A

「性行為が1時間以上持続した際」「連続して2回以上射精された際」「薬剤の液が膣の外に流れ出た際」もう1錠膣に追加することがおすすめです。ただし、1日に何度も薬剤を使用すると膣の刺激感や膣粘液が損傷を受けるケースがあります。結果、性感染症にかかりやすくなるため、使用しすぎには注意をしましょう。

Q
殺精子剤の長所と短所はなんでしょうか?
A

長所としては、非常に簡単に使用でき、副作用が少ないことです。ピルの場合は、人によって倦怠感や頭痛が起こることもありますが、殺精子剤では起こりにくいとされています。一方短所としては、効果発現までに5分ほどの時間を要する点、射精を薬剤の効果持続時間内に行わなければならない点、体位によっては薬剤の液が流れ出てしまうことがある点があげられます。

Q
男性が主に行う避妊方法はコンドームですが、女性が自分の意思でできる避妊方法としては何がありますか?
A

本日紹介した殺精子剤は女性自身で挿入するものなので、自分の意思で可能です。そのほか、毎日服用する「低用量ピル」や子宮の中に装置をつける「IUD(子宮内避妊具)」「ペッサリー」などがあります。

Q
殺精子剤は性感染症予防効果はありますか?
A

殺精子剤に性感染症を予防する効果はありません。むしろ、正しく使用しないと膣のかぶれを引き起こしバリア機能が低下、性感染症にかかりやすくなりますので、殺精子剤を使用する際は必ず正しい使用方法を守ってください。

最後に

殺精子剤は、膣の中に入ってきた精子を損傷させ、卵子との結合を防ぐ薬剤です。以前ピルを服用した際に副作用が出てしまったが避妊をしたい方、パートナーがラテックスアレルギーでコンドームが使用しにくい方におすすめです。日本ではまだ浸透していませんが、アメリカでは一般的な避妊方法として地位を確立しつつあります。正しい使用方法を意識すれば75%の確率で避妊が可能であり、他の避妊用具と併用すればさらに高い確率となります。性行為の5分前に挿入しなければなりませんが、慣れてしまえば非常に簡便で副作用も少ないため、気になる方はぜひ一度お試しください。

出典

MSDマニュアル家庭版 バリア法による避妊
医療法人社団 村口きよ女性クリニック 避妊について

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