トー横で流行の「オーバードーズ」とは?症状や危険性について詳しく解説!

トー横で流行の「オーバードーズ」とは?症状や危険性について詳しく解説! 薬・漢方薬・市販薬

オーバードーズ(過剰摂取)とは

オーバードーズ(過剰摂取)とは、薬を決められた用量以上に過剰に摂取することです。
「over dose」を略して「OD」と呼ばれる場合もあります。
今「トー横」を中心に若い人たちの間でオーバードーズの急速な拡大が社会問題となっています。
医薬品は、国の承認を得て目安となる使用量が決められていますが、個人の判断で過剰に服用すると、徐々に薬物に依存していき、薬物なしではいられない身体になっていきます。
また、最悪の場合、呼吸困難や心臓停止を引き起こす場合があります。
病院で処方される薬だけではなく、一般的にドラックストアで販売している「風邪薬」や「睡眠導入剤」でも、過剰に摂取すると呼吸困難や心肺停止などの症状を引き起こすため注意が必要です。

ニュース 「私たちがオーバードーズする理由」 - きょうの健康
「きょうもオーバードーズしてしまった」「かぜ薬を100錠のんだ」。こうした書き込みが今、SNSにあふれている。咳止めやかぜ薬といった市販薬の過剰摂取や依存が若者の間で急増している。これらの薬にはごく少量ではあるが、精神を高揚させる成分などが...

オーバードーズ(過剰摂取)による主な症状

オーバードーズでは、使用した薬にもよりますがさまざまな症状が出てきます。
例えば、昏睡状態やけいれん発作、呼吸困難や心肺停止などです。市販薬の中でも「コデイン」を含む「ブロン」という薬剤はオーバードーズに使用される頻度が高い薬剤となっています。
※薬剤を過剰摂取した時に出現する主な症状

薬剤の種類代表的な市販薬主な症状
咳止め薬
(コデイン系)
「ブロン」 「メジコン」立ち眩みやめまい、けいれん発作、吐き気や嘔吐、便秘、心肺停止、呼吸困難
睡眠導入剤「ドリエル」昏睡状態、けいれん発作、錯乱状態、心肺停止、呼吸困難

オーバードーズ(過剰摂取)に使用されやすい成分

オーバードーズ(過剰摂取)に使用されやすい成分

現在「トー横」を若い方のオーバードーズでは、簡単に手に入りやすい「市販薬」を使用するケースが増えています。
以下のような乱用の恐れがある成分が含まれる薬が特に使用されやすい傾向にあります。
市販薬(咳止め薬、睡眠導入剤、解熱鎮痛薬)には以下の成分が少しずつ含まれているケースが多いため、市販薬を購入する際には今一度乱用の恐れがある成分が含まれていないか注意が必要です。
例えば、ジヒドロコデインは市販薬に多く含まれている成分で、大量に服用することで多幸感を得ることができます。また、ジフェンヒドラミンは、気分の安定や不安を取り除く効果があります。

乱用等のおそれのある医薬品成分

  • エフェドリン
  • コデイン
  • ジヒドロコデイン
  • ブロモバレリル尿素
  • プソイドエフェドリン
  • メチルエフェドリン

オーバードーズ(過剰摂取)の背景

オーバードーズ(過剰摂取)の背景

オーバードーズの原因は、家庭や学校などで感じるストレスが大きいとされています。
辛い気持ちを友人や家族に話すことができず、薬の服用に頼ってしまうのです。
そのため、オーバードーズは比較的真面目に見える女性で多い傾向があります。
また、オーバードーズの原因は個人によって異なり、「親との関係性の悪化」「学校での孤立」「勉強についていけない」など画一的な方法では解決が難しいことが特徴として挙げられます。
1人1人に寄り添った方法で、解決をしていく必要があります。

オーバードーズ(過剰摂取)の問題点と危険性

オーバードーズ(過剰摂取)の問題点と危険性

オーバードーズに使用される市販薬には、過剰に摂取すると麻薬のような多幸感や幻覚をもたらすものもあります。
その気持ち良さが癖になり、どんどん薬物の量が増えていき、薬物なしではいられない身体となっていきます。
一度依存症になると、薬を服用しなかった時に吐き気やけいれん、幻覚といった「退薬症状」が起こり、やめにくくなります。
このように薬物の服用を繰り返す悪循環に陥り、最悪の場合、心肺停止を引き起こし死に至ることがあります。

オーバードーズ(過剰摂取)の治療方法

応急処置が必要な場合

オーバードーズでけいれん発作や昏睡状態に陥っている場合は、すぐに病院で治療を実施します。
基本的には胃の洗浄を実施し、水を飲ませて体の中にある薬物を吐き出し、除去します。

応急処置後

応急処置を実施し、急性の症状がおさまり、様態が安定したら精神科にみてもらうケースが多いです。
精神科で、日々の悩みや、辛い気持ちを吐き出しながら少しずつ薬物依存の症状を改善していきます。

厚生労働省による市販薬の販売規制について

厚生労働省は、昨今のオーバードーズ急増を受けて、2023年12月に「乱用の恐れがある咳止め薬や風邪薬などの販売規制を強化する」方針を発表しました。
20歳未満には、市販薬を複数個販売することは認めず、大容量の製品販売も規制されます。加えて、対面での販売(場所によっては音声や映像の可能性もあり)が原則必要となり、年齢や名前の確認も必須となります。
現状の案では、コデインなどの6つの成分を含む市販薬が規制対象となる予定です。

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まわりの人がオーバードーズを防ぐ工夫を

オーバードーズをしてしまう若い子には、「学校が楽しくない」「家族との関係が悪い」といった辛い思いを一人で抱え込んでいるケースが多い傾向にあります。
周りの子がいつもと違う様子だったり、薬を過剰に摂取しているような兆候が見えた場合には、早めに声をかけてあげることが大切です。
現在、オーバードーズに悩む人やそのご家族のための相談窓口が各市町村に数多く設置されています。
不安な気持ちを抱えている方は、最悪の事態が起こる前に、以下の機関に相談してみるのもよいでしょう。

薬物乱用防止相談窓口一覧|厚生労働省
薬物乱用防止相談窓口一覧について紹介しています。

オーバードーズに関するよくある質問

よくある質問
Q
オーバードーズで得られる多幸感はずっと続くのでしょうか?
A

いえ、オーバードーズで得られる不安感の除去や多幸感は一時的なものです。
そのため、薬の効果がきれると再び安心感が欲しくなり、薬物の服用を繰り返すという悪循環に陥ります。
どんどん薬物の量も増えていき、ある日けいれん発作や昏睡状態などの症状が出現し、救急搬送されるケースも少なくありません。

Q
オーバードーズは昔から行われているのですか?
A

オーバードーズ自体は昔からありましたが、過去はシンナーやコカインなどの危険ドラッグでのオーバードーズが基本でした。
しかし、最近では危険ドラッグによるオーバードーズは減少傾向で、代わりに風邪薬や咳止め薬などの一般的な市販薬でのオーバードーズが増加しているという特徴があります。

Q
市販薬のオーバードーズを行うと、その後の生活に影響は出るのでしょうか?
A

*1 厚生労働省の報告によると、市販薬や覚せい剤、抗不安薬、睡眠薬など5種類の薬剤で乱用を起こした患者の特徴をまとめた結果、覚せい剤や大麻を乱用する患者では精神病性障害が後遺症として残っている割合が多く、市販薬を乱用する患者では薬をやめることができない依存症が後遺症として残る患者が多かった結果でした。
依存症から脱せず、日常生活でもイライラの頻度が増えたり、薬を購入するために生活を犠牲にしてしまうケースもありますので、オーバードーズは行わないようにしましょう。

最後に

現在、「トー横」を中心に若い方でのオーバードーズが蔓延しています。
しかし、オーバードーズ(過剰摂取)は、依存症を引き起こすだけではなく最悪の場合心肺停止や呼吸困難が出現し、死に至る場合もあります。
医薬品の適正使用を守らない行為は、法律違反です。周りの方に迷惑をかけないよう、オーバードーズは行わないようにしましょう。
また、友人や家族でオーバードーズをしようとしている人がいたら、話を聞き、とめてあげることがその方のためにもなります。

出典

東京ドクターズ 社会現象化しているオーバードーズとは?
東京都保健医療局 市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)について
※1 濫用等のおそれのある市販薬の適正使用について
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