医薬品の形状やホルモン補充療法形状のメリット・デメリットを解説

医薬品の形状やホルモン補充療法形状のメリット・デメリットを解説 ホルモン

一般的な医薬品の形状について

医薬品には、錠剤やシロップ剤、シップ、クリーム剤などさまざまな形状があります。
このようにさまざまな種類があることで、子供から高齢者までその方にあった方法で薬を使用することができます。
また、それぞれの人にあった方法で効果を発揮しやすくすることも目的になっています。
医薬品の形状によって、メリット・デメリット・特徴がありますので、ご紹介します。

飲み薬のメリット・デメリット

飲み薬は、錠剤や粉薬、カプセル剤やシロップ剤などが含まれており、口から飲むタイプの薬剤です。飲み薬のメリットは、服用しやすい点です。
例えば、塗り薬では、どのくらい塗ったかわからなくなってしまうことがありますが、飲み薬は決められた量を服用すれば良く、飲み込むだけなので一般的に広く使用されています。
飲み薬は飲み込んだ後に段階的に溶けて、体の中に吸収されていくため、副作用の軽減効果も期待されています。
また、錠剤ではコーティングと呼ばれる工夫をしやすいのもメリットで、苦みを隠したり、胃の中で溶けやすいように作ることができます。
一方で、飲み薬のデメリットとしては、多くが水と一緒に服用しなければならない点、効果発揮まで時間がかかる点です。だんだんと吸収されていくため、注射剤のような即効性は期待できません。
そのため、緊急的な疾患ではなく、生活習慣病や更年期障害など毎日悩まされる症状に使用されます。

飲み薬のメリット

  • 服用量が分かりやすく、飲み込みやすい
  • 段階的に溶けるため、副作用の軽減が期待できる

飲み薬のデメリット

  • 多くの飲み薬が水がないと服用しにくい
  • 効果が出るまで時間がかかる

塗り薬のメリット・デメリット

塗り薬は、軟膏剤やクリーム剤、ジェルなどが含まれます。多くはチューブ型になっていて、自分で必要な量を取り出して患部に塗るため、量を調節しやすく、直接病変部に作用させることができるというメリットがあります。
また、錠剤などでは、さまざまな部位へ副作用が出てしまう可能性がありますが、塗り薬では塗った以外の部位への影響は少ないとされていることもメリットの1つです。
一方デメリットとしては、肌が弱い方は使用しにくいこと、べたつきやすいため、夏や運動する際など汗をかくタイミングには適していないこと、衣服につきやすく、塗った薬がとれやすいなどが考えられます。
ただし、べたつきやすさに関しては、塗り薬のタイプにも異なっており、さらっとしたタイプの塗り薬(ジェル剤など)は比較的のびもよく、べたつきにくいとされています。

塗り薬のメリット

  • 量を調節しやすい
  • 直接患部に作用させられる
  • 塗った部分以外への副作用などの影響が少ない

塗り薬のデメリット

  • 衣服につきやすく、夏はとれやすい
  • 肌が弱い方は使用しにくい

貼り薬のメリット・デメリット

貼り薬はシップやテープ剤などがあります。肩こりや、ケガをしたときによく使用されます。
貼り薬のメリットとしては、体に貼るだけなので、錠剤で起こりやすい飲み忘れが起こりにくくなります。
また、飲み込む力が弱い(嚥下障害)高齢者などでは、貼り薬は使用しやすいという特徴もあります。
一方で貼り薬のデメリットとしては、剝がれやすいということがあります。
日常生活していると、どうしても動きが多くなるため、定期的に剥がれていないか気にする必要があるでしょう。
また、副作用としてのかぶれも多くなります。皮膚が弱いと、薬の成分が直接肌に触れるため、悪化しやすいということと、貼り薬をはがすときに一緒に皮膚がはがれてしまうリスクもあります。
自分の皮膚が弱めなのか、強めなのかは知ったうえで使用することが大切です。

貼り薬のメリット

  • 飲み忘れることが少ない
  • 高齢者でも簡単に使用できる

貼り薬のデメリット

  • 剥がれやすい
  • 人によってはかぶれが起こる

座薬のメリット・デメリット

座薬は、肛門や膣から挿入する医薬品のことで、便秘や痔の治療などによく使用されています。
座薬のメリットとしては、飲み薬と比較して薬の吸収が早く、効果がすぐに発現することがあげられます。
また、吐き気があるような疾患や飲み込む力が弱い高齢者など口から飲むことが難しい場合でも使用できます。
副作用に関しては、胃を通らないため、気持ち悪さや腹痛などの副作用が出にくくなります。食事の影響を受けにくいことも特徴の1つです。
座薬のデメリットとしては、排泄があった場合に薬剤の効果が出るかはっきりしない点、薬剤の投与量の調整がしにくい点、1日に何回も使用する薬剤は適していない点があげられます。

座薬のメリット

  • 座薬のメリット
  • 口から服用できない人でも使用ができる
  • 食事の影響を受けにくい
  • 胃に関連する副作用は出にくい

座薬のデメリット

  • 薬が吸収されるまでは排泄行為を我慢した方がよい点
  • 投与量の調節はしにくい
  • 1日に何回も使用する薬剤は負担が大きい

ホルモン補充療法での形状における違い

ホルモン補充療法は、エストロゲンの減少によって引き起こされる更年期障害などの治療で使用されます。
ホルモン補充療法には、塗るタイプや飲むタイプ、貼るタイプなどさまざまな種類のお薬が出てきておりますので、ご自身の生活習慣や、症状、改善したい効果や有効性と安全性のバランスなどを考慮したうえで選んでいきましょう。

エストロゲン補充(卵胞ホルモン補充療法)の効果

ホルモン補充療法の中で、代表的なものにエストロゲン補充療法があります。
更年期障害では、子宮を手術などで摘出している方はエストロゲンのみ、子宮がある方には、エストロゲンにプラスして黄体ホルモンを一緒に投与していきます。そのため、エストロゲン補充は多くのタイミングで使用されることのあるホルモンです。
エストロゲン補充の効果としては、乱れていた自律神経が整うことで、ほてりや発汗、のぼせなどの症状の改善が期待されています。
加えて、最近では、高脂血症や骨粗しょう症の予防効果があることや更年期にホルモン補充療法を開始した人では心臓や血管の病気リスクが低くなるという報告もでてきています。

錠剤のメリット・デメリット

エストロゲンを補充する飲み薬(錠剤)で代表的な薬剤として「プレマリン」があげられます。
プレマリンは更年期障害の症状を改善する医薬品で、冷えや動悸、イライラ感などに効果があるとされています。1日数回飲むだけで症状の改善が期待できます。
錠剤のため、薬剤特有の苦みなども少なく、服用しやすいというメリットがあります。
一方で、水と一緒に毎日服用しないといけないため、飲み忘れには注意してください。
プレマリンには「プレモン」というジェネリック医薬品も出ています。ジェネリック医薬品では、価格も先発品より安く治療が可能ですので、気になった方は以下の詳細ページよりご覧ください。

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塗るタイプのメリット・デメリット

エストロゲン補充は、塗るタイプの薬剤もあります。「オエストロジェル」というジェルタイプの薬剤は、1日1回、手首や、肩などに塗るだけのため、塗り忘れも少なく、安心感も期待できます。
また、気になるところに塗るだけであるため、他の部位への副作用リスクを減らすことができます。
一方で、夏は汗などで落ちやすいこと、衣服で塗った薬剤が取れやすいことはデメリットです。
ただし、ジェルのため、クリームタイプとは異なり比較的べったりとはしにくいため、もし気になる方は以下の詳細ページよりご覧ください。

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貼るタイプのメリット・デメリット

貼るタイプのエストロゲン補充薬としては「クリマラパッチ」があります。肌に貼るパッチ剤のため、肝臓や胃など臓器への負担は少ない利点があります。
副作用も比較的少ないといわれています。加えて簡単に貼ることができ、貼り忘れることも少ないとされています。
一方ではがれやすいため、汗が出やすい夏や、動きが激しい日にはとれていないかのチェックが必要です。
気になった方は以下の詳細ページよりご覧ください。

膣座薬(膣錠)のメリット・デメリット

エストロゲン補充薬には、座薬「ヴァギフェム」もあります。膣から挿入するタイプの医薬品で、1日1回の挿入のみで治療が可能です。
メリットとしては、胃に関連する副作用が出にくい点と、吐き気などの症状に悩まれている場合でも薬を口から飲む必要がない点です。
デメリットとしては、1日1回でも挿入の負担が発生する点、塗り薬のように投与量の調節がしにくい点です。
ですが、この「ヴァギフェム」の場合、1日1回の挿入は2週間目までであり、その後は週2回1回ずつ挿入すればよいため、負担は減っていきます。
もし気になる場合は、以下の詳細ページよりご覧ください。

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医薬品の形状に関するよくある質問

医薬品の形状に関するよくある質問
Q
貼り薬はいつも同じ場所に貼ることが効果的なのでしょうか
A

貼り薬には2つのタイプがあり、1つはケガをした部位に直接貼るタイプのもの、もう1つは患部ではない場所に貼るタイプのものです。
前者の、痛みや腫れが起きている部位に直接貼る場合はずっと同じ場所に貼った方が効果的ですが、後者のタイプの場合は、必ずしも同じ場所に貼り続ける必要はありません。
むしろ、ずっと同じ場所に貼ると皮膚のかぶれを起こしやすくなるため、少しずつ場所を変えて貼るのがよいでしょう。

Q
座薬(膣錠)を使用する際に気を付けることはありますか?
A

まずは、使用前に手をしっかり洗うことを心がけましょう。陰部はデリケートなゾーンですので、菌が入りやすくもあります。清潔な状態で薬剤を扱いましょう。
また、濡れたまま薬剤に触れると薬剤が吸湿して崩壊してしまうこともありますので、薬剤を持つ前には必ず乾かしましょう。
そして、薬はとがった方から膣内に入れて、深く挿入します。挿入した後30分ほどは激しい運動は避けましょう。

Q
膣錠を飲んでしまった場合はどうしたらよいでしょうか?
A

膣錠は飲むことを想定して作られていません。
もし、誤って飲み込んでしまった場合は、すぐにお近くの医療機関を受診しましょう。

Q
貼付剤が1日1回の使用だけで、長く効果があるのはなぜでしょうか?
A

有効成分が徐々に皮膚に放出するよう作られているためです。

Q
夜寝る前に貼るタイプの薬を貼って、朝起きたら剥がれていました。この場合はどうしたらよいでしょうか?
A

一度剥がれてしまった貼り薬を再び使用することは避けましょう。
12時間ほど、貼れていたら新しい貼り薬は不要と考えられていますが、12時間経過する前にはがれてしまった場合には新しいものを貼りなおしましょう。

最後に

本日は女性ホルモン剤における、飲み薬、塗り薬、貼り薬、座薬の違いをご紹介しました。
それぞれ効果の出方や副作用の頻度、飲みやすさなどメリットやデメリットがあります。
どれが一番かを決めることはできませんので、ご自身の症状や生活習慣、症状に合わせて選んでいきましょう。

出典

一般社団法人 枚方市薬剤師会 薬Q&A 薬の形状について
一般社団法人 宮崎県薬剤師会 軟膏剤について
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