頭痛の種類や治療法・すぐに病院受診が必要な危険な頭痛を解説

頭痛の種類や治療法・すぐに病院受診が必要な危険な頭痛を解説 痛み止め

頭痛の種類について

頭痛は名前の通り頭が痛くなる症状を指しています。大きく頭痛そのものが疾患となっている「一次性頭痛」と何らかの原因によって頭痛が引き起こされる「二次性頭痛」に分けられます。

一次性頭痛

一次性頭痛は病気に関連したものではなく、頭痛そのものが疾患です。頭痛以外に吐き気などの症状を伴う片頭痛や長時間のパソコン使用などによって起こる緊張型頭痛、一定の期間毎日頭痛が繰り返される群発頭痛などが該当します。

●緊張型頭痛
緊張型頭痛は一次性頭痛の中で最も多い頭痛の1つです。世界的にみると約40%の方が緊張型頭痛であるといわれています。緊張型頭痛は月に15日未満の中で繰り返す反復性と、月に15日以上の頭痛が3カ月以上続く慢性に分けられます。症状としては締めつけられるような痛みで非拍動性、両側に痛みがあらわれることが特徴的です。しかし、痛みの重症度は軽度~中等度ですので、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。

●片頭痛
片頭痛は比較的頻度の高い疾患で、日本人では成人のおよそ8.4%が片頭痛になっているというデータもあります。20~40代の女性に多く見られ、頭痛が起こる前に、「キラキラした光が見える」「回転性めまい」などの前兆症状が起こるとされています。前兆症状は個人差がありますが、5~60分ほど続き、その後頭痛が始まります。ほかにも、頭痛が起こる前に感じる気分の変化や眠気、集中力の低下など予兆が起こる場合もあります。症状としては、片側だけにおこる「ズキンズキン」「ドクンドクン」とした拍動性の痛みが繰り返されることが特徴的ですが、両側が痛むケースもあります。また、頭の痛みだけではなく、吐き気を感じる方も多く、階段の上り下りなどの日常生活の動作で悪化する傾向があります。そのため、仕事や学業などの日常生活に支障をきたすことが多いとされています。

●群発頭痛
群発頭痛は眼の周りから前頭部や側頭部にかけて、激しい頭の痛みが起こるものです。頭の痛みは数週間から数カ月の期間続きます。寝ているときや夜に頭痛が起こりやすく、頭の痛みと同時に眼の充血や鼻水、眼瞼下垂も一緒に起こることが特徴です。片頭痛は症状が出ているとき動けなくなる一方で、群発頭痛は症状が出ている間興奮しやすい傾向にあります。

二次性頭痛

二次性頭痛は、アルコールの飲みすぎによる二日酔いや脳腫瘍や髄膜炎やくも膜下出血など、何らかの原因があっておこる頭痛です。頭を強く打ったことによって起こる頭痛や高血圧に伴う頭痛も二次性頭痛に該当します。二次性頭痛は、脳腫瘍やくも膜下出血や脳出血など脳に関する疾患が隠れている可能性が高いでとされています。およそ9割は緊急性の低い頭痛とされていますが、残りの1割程度は見逃してはいけない緊急性が高い頭痛と考えられています。重症化を防ぐために、放置せずに治療していくことが大切になってきます。

頭痛の治療方法

薬物療法

基本的に一次性頭痛に対しては、薬物投与で痛みのコントロールをしていきます。ドラッグストアなどで手に入る市販薬と、処方箋が必要な処方薬があります。市販薬では主にNSAIDsと呼ばれる種類の鎮痛薬が使用されることが多い傾向にあります。処方薬においてもNSAIDsが処方されることもありますが、トリプタン製剤と呼ばれる頭痛治療薬も高い効果を期待して処方されることが多い傾向にあります。

市販薬

【非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)】

●ロキソニンSクイック 12錠
ロキソニンSクイックは、「ロキソプロフェンナトリウム水和物」が痛みや熱の原因を抑制することで鎮痛・解熱効果を発揮します。服用後錠剤が速やかに溶けます。錠剤の中に、胃の粘膜を保護する成分も含まれていますが、それでも胃の気持ち悪さなどの症状が出る場合、レバミピドを併用しても問題ありません。

商品名 ロキソニンSクイック 12錠
有効成分 ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mg(無水物として60mg)
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム100mg
効果 〇頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
〇悪寒・発熱時の解熱
用法用量 15歳以上は、1回1錠を1日2回まで服用します。空腹時はなるべく避けます。
メーカー 第一三共ヘルスケア

【アセトアミノフェン】

●カロナール
カロナールは、中枢神経に作用し、痛みを改善する解熱鎮痛薬です。痛み止めの効果に加えて、熱を下げる効果もあります。頭痛や歯痛、腰痛などによく使用されています。

商品名 カロナール
有効成分 アセトアミノフェン
効果 ○各種疾患及び症状における鎮痛
○下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
○小児科領域における解熱・鎮痛
用法用量 1回300〜1000mgを経口投与し、投与間隔は4〜6時間以上とします。
メーカー 久光製薬、あゆみ製薬など

<アセトアミノフェン系関連商品①>

●サラ【カロナール・ジェネリック】
サラは、代表的な解熱沈ずう剤の1つでカロナールのジェネリック医薬品となります。比較的穏やかな効果があらわれるため、高齢者や子供にも使用することができます。

商品名 サラ【カロナール・ジェネリック】
画像 サラ【カロナール・ジェネリック】画像
有効成分 アセトアミノフェン500mg
価格 500mg:1錠あたり18円~
メーカー Thai Nakorn patana Co.,Ltd(タイナコーンパトナ)
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処方薬

【非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)】

●ボルタレン
ボルタレンは、NSAIDsに分類される薬剤で抗炎症作用と熱を下げる作用、鎮痛作用が認められています。錠剤やスプレータイプ、テープタイプなど様々な種類が出ていますので、ご自身にあった方法で痛みの症状改善ができます。

商品名 ボルタレン
有効成分 ジクロフェナクナトリウム
効果 ○下記の疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛
○手術ならびに抜歯後の鎮痛・消炎
○下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
用法用量 1日量75〜100mgとし原則として3回に分け経口投与します。空腹時の投与は避けます。
メーカー 久光製薬、ノバルティスファーマなど

<非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)系関連商品①>

●ボルタレンファスト
ボルタレンファストは、鎮痛作用と抗炎症作用がある医薬品です。服用後素早く効果を発揮し、けがによる炎症や頭痛、神経痛などを抑制します。剤形はパウダー状となっています。

商品名 ボルタレンファスト
画像 ボルタレンファスト画像
有効成分 ジクロフェナクナトリウム50mg
価格 50mg:1錠あたり119円~
メーカー Novartis(ノバルティス)社
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【トリプタン製剤】

●マクサルト
マクサルトは、エーザイが開発した薬剤で、早く効果が出ることが特徴の頭痛治療薬です。持続時間も比較的短いです。水不要で服用できる剤形もあり、子供にも使用ができます。ただし、予防薬のプロプラノロールとは併用禁忌となっています。

商品名 マクサルト
有効成分 リザトリプタン
効果 片頭痛
用法用量 1回10mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
メーカー エーザイ

<トリプタン製剤系関連商品①>

●リザクト【マクサルトジェネリック】
リザクトは、マクサルトのジェネリック医薬品です。

商品名 リザクト【マクサルトジェネリック】
画像 リザクト【マクサルトジェネリック】画像
有効成分 リザトリプタン安息香酸 10mg
価格 5mg:1個あたり145 円~
10mg:1個あたり188 円~
メーカー Cipla(シプラ)
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●スマトリプタン
スマトリプタンは、トリプタン製剤の中でも一番最初に開発された薬剤で錠剤以外にも点鼻薬・注射タイプもあります。妊娠中も禁忌に設定されていないため、妊婦の頭痛治療薬としても使用が可能です。

商品名 スマトリプタン
有効成分 スマトリプタンコハク酸塩
効果 片頭痛
用法用量 1回50mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与します。
メーカー グラクソ・スミスクライン

<トリプタン製剤系関連商品②>

●イミグラン
イミグランは、片頭痛に使用する薬剤です。即効性と強い鎮痛作用が期待されています。服用後効果発現までの時間が15分ほどのため、頭痛が起こってから素早く有効性があらわれます。副作用としては動悸や無気力などが報告されています。

商品名 イミグラン
画像 イミグラン画像
有効成分 スマトリプタン50mg
価格 50mg:1個あたり800 円~
メーカー GSK(グラクソ・スミスクライン)
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【レイボー】

●レイボー
レイボーは、イーライリリーによって開発された新しい作用機序を持つ頭痛治療薬です。セロトニン1F受容体に選択的に結合し、片頭痛発作を起こす物質の放出を抑制することで効果を発揮します。血管収縮への影響が少ないとされているため、これまでトリプタン系の頭痛治療薬が使用できなかった方におすすめの薬剤です。

商品名 レイボー
有効成分 ラスミジタンコハク酸塩錠
効果 片頭痛
用法用量 1回100mgを片頭痛発作時に経口投与します。
メーカー イーライリリー株式会社

行動療法

薬物療法以外でも、頭痛の治療方法はあります。非薬物療法の代表的なものの1つに行動療法があります。認知行動療法は、患者さんが頭痛に対して持っている考えを治療対象として、もっと別の認知はないかと一緒に考えていく治療です。薬物療法の禁忌となる方や、妊娠などで薬の治療を避けたい方、これまで薬物を使用しすぎて薬物乱用頭痛の経験がある方におすすめです。また、薬物療法と組み合わせることで高い効果が得られることもあります。

頭痛の日常生活に与える影響と予防法

頭痛はひどくなると日常生活に支障をきたす場合もあります。集中力が低下し、仕事のミスが増えたり、寝込んでしまったりします。仕事や家事、学業に与える影響は大きいと考えられます。そのため、頭痛がなるべく起こらないよう予防をすることが大切です。予防方法は難しくはないため、積極的に日常の生活に取り入れていきましょう。

片頭痛の予防法

  • 疲れを感じたらすぐに休みを取る
  • 血糖値の低下が片頭痛を誘発することもあるので、食事を抜かない
  • 食事内容のバランスを見直す
  • 寝不足や寝すぎを避ける
  • アルコール(特にワイン)の飲みすぎに注意する

緊張型頭痛の予防法

  • 血行を良くしてリラックスする
  • 正しい姿勢を心がける
  • 長時間同じ姿勢でいるときは筋肉が固まらないようストレッチを適度に行う
  • 湯船にゆっくりつかる

群発頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛の予防法

  • 痛みを誘発するアルコールを控える
  • 発作が起こる時期の前に予防薬を服用する

すぐに病院に行った方が良い危険な頭痛

二次性頭痛は、何らかの原因によって発症する頭痛ですが、中には早く病院を受診しないと悪化し、命の危険を脅かす疾患が隠れているケースもあります。アルコールの飲みすぎや薬の服用など思い当たることがなく、突然頭痛を発症した場合は、大きな病気の可能性もありますので、早めに病院に相談しましょう。早めに病院に行った方がよいとされている危険な頭痛を代表的な疾患とともにご紹介します。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳を覆う膜と脳の空間にあるくも膜に存在する血管がきれることで起こります。前兆症状として、血圧の急激な上昇や下降、激しい頭痛があらわれます。二次性頭痛の代表的な疾患ともいわれており、これまで感じたことのないほどの激しい頭痛を自覚します。吐き気も伴い、意識が遠のくほどの痛みを感じることもあります。ただしなかには、出血が少量のため、軽めの頭痛で発症する場合もあります。この段階で病気を見つけられれば、その後の血管の再破裂を避けることができるため、気になった場合には早めの検査が必要です。

髄膜炎

髄膜炎は脳やせき髄の表面を覆う髄膜に細菌やウイルスが感染し、炎症を生じる疾患です。熱や頭痛などの通常の風邪に似た症状が起こるため、非常に気が付きにくいです。髄膜炎となった場合には、入院が必要となってきます。

脳出血

脳出血は脳の血管が切れて出血を起こす疾患です。くも膜下出血と同じように突然激しい頭の痛みを感じることが特徴です。出血を起こす場所によって、出てくる症状は異なり、一例として意識障害や言語障害、半身まひなどがあらわれます。高血圧によって血管が切れるため、治療としては血圧を下げる治療が必要となります。ただし、出血がひどい場合は手術も必要になることもありますので、激しい頭痛が起こった場合には、病院を受診しましょう。

脳腫瘍

脳腫瘍は、頭の中で腫瘍が大きくなることで頭蓋骨を圧迫します。そのため頭痛を引き起こすとされています。頭痛が起こりやすいタイミングは朝とされておりますが、起床して少し時間が経過すると頭痛が改善します。そのため、症状を我慢してしまう人もいますが、そのまま放置していると腫瘍が起こっている場所によっては言語障害やまひなどを起こす可能性もあります。朝起きた時の頭痛にも注意する必要があります。また、脳腫瘍では、痛みが徐々に強くなっていく傾向がありますので、このような場合にも注意が必要です。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は、頭の外傷1~3カ月ほどの中で、頭蓋骨と脳の間に血液がゆっくりとたまっていく疾患です。たまった血液が脳を圧迫するため、頭の痛みを引き起こすことがあります。頭痛以外にも手足のまひや認知症に似た症状が起こるケースもありますが、血腫が大きかった場合、手術も必要になっていきます。そのため、わずかな頭痛でも手足のまひなどの症状も気になる場合には、我慢しすぎずに病院を受診しましょう。頭の打撲がきっかけで発症することが多いため、頭痛発祥の2~3か月以内に頭をぶつけた覚えがないかどうか、記憶をたどることが病気の発見のために有効であるとされています。

頭痛に関するよくある質問

最後に

頭痛は、人口の40%の方が悩まされている幅広い疾患です。一昔前までは頭痛を治す薬はなかったため長い間そのままにしている方が多かったようですが、今は頭痛の症状が大幅に改善する治療薬なども開発されています。治療薬だけでなく予防薬も発売されているため、頭痛で日常生活に支障をきたす場合は、我慢しすぎずに治療薬を服用していきましょう。しかし、頭痛の中には激しい痛みを伴い、その裏側には脳腫瘍や脳出血など大きな疾患が隠れているケースもありますので、脳の病気が疑われる場合には病院を受診しましょう。

出典

【参考元:一般社団法人 日本頭痛学会 頭痛について知る】【参考元:くすりと健康の情報局by第一三共ヘルスケア 頭痛の原因】
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