はじめに
血圧は別名「サイレントキラー」と呼ばれていることを知っていますか?
そもそも普段から血圧を気にして生活することなんてしないですよね。どんなに血圧が高い状態を維持していても自覚症状さえなければ普通病院になんて行きません。ましてや仕事が忙しくて大変な人などは血圧が高いくらいでは自覚症状さえなければ病院なんて無縁でしょう。
サラリーマンであれば年1回の健康診断は必ず受けているはずです。
そこではしっかりと血圧を測定していますよね。自分の血圧がどのくらいか覚えていますか?もし高かった時その日以降生活を何か変えましたか?ほとんどの人は特に何もしていないはずです。だって痛くもかゆくもないのですから。
もし仮に原因不明の蕁麻疹がでて全身痒くて仕方がない時は病院受診しますよね。胃がキリキリ痛むときも必ず病院受診しますよね。この様に不快な症状を自覚して初めて人は病院受診を選択します。高血圧や糖尿病、高尿酸血症などの様に症状として何も出なければ残念ながら大多数の人は動きません。でも実はそれが最も危険な事なんです。今は良くても将来、脳梗塞や心筋梗塞などが現れてからでは手遅れになります。その時に後悔しても遅いんです。そんなサイレントキラーである血圧について皆さんと一緒に病識を高めていきましょう。
高血圧とは?
人の身体の中には全身くまなく血液が流れています。心臓から出た血液は全身をめぐってまた心臓に戻ります。その流れを作っているのが心臓です。
心臓がポンプの役割を果たし血液を全身へと押し出します。その時に心臓から押し出された血液が血管の内側に圧力をかけます。
心臓の収縮により動脈に流れ出た血液の圧力の値が最高に達したときの値が「最高血圧または収縮期血圧」と呼び、心臓の拡張により最低に達したときの値が「最低血圧または拡張期血圧」と呼びます。
この最高血圧/最低血圧がくり返し測定しても血圧が正常値よりも高い場合を高血圧と呼びます。
正確な数値として、病院受診し診察室で測定した最高血圧が140Hg以上、あるいは最低血圧が90Hg以上であれば高血圧と診断されます。
また高血圧には原因の分からない「本態性高血圧症」と原因がはっきりしている「二次性高血圧症」の2種類があります。
本記事では高血圧症のおよそ90%を占める本態性高血圧症に着目していきます。
血圧は何のためにある?
そもそも何のために血圧ってあるのでしょうか?血圧なんてものがなければ病院に行くことも薬を飲むこともなかったはずですよね。
なんとなく血圧計で血圧を測定すると、上が130、下が80などと言った数値が表示されます。どの様な意味があるのかを考えていきましょう。
まず最も大切なことですが、血液の働きを知っていますか?
私たちの体の中にすみずみに存在する血管の中を流れる血液は、全身をくまなく流れる時に私たちの身体に必要不可欠な酸素や栄養素を一緒に運んでくれるとても大切なものです。
この血液の流れを作っているのが心臓です。心臓が止まると人は死んでしまいます。この心臓がポンプの働きをすることで全身に血液を送ります。
その時に酸素や栄養素なども一緒に運んでくれるおかげで私たちは生きています。
心臓は拡張したり収縮したりする事によって血液を全身に送り出しますが、心臓から排出された血液が血管内壁に圧力をかけることで血圧が発生します。
その圧力の大きさを人は上の血圧や下の血圧などと呼んでいる正体になります。つまり血圧があることで全身に酸素が行き渡り私たちは生存する事ができているのです。
こんな人は高血圧に注意
高血圧は主として生活習慣に起因します。
まずは常日頃から塩分を多く摂取した食生活を送っている人。塩分を摂りすぎると塩分濃度を薄めるために体内の水分量が増えます。水分量が増えると血液量が増へ、そして血圧は上昇します。
次にK(カリウム)を多く含む果物や野菜の摂取が不足している人。体内の余分なナトリウムはカリウムと一緒に腎臓から排出されますが、カリウムが不足しているとナトリウムも十分に排出されません。
その結果血液中の塩分濃度が増加し血液量が増えて血圧は上昇します。
続いて肥満体型傾の人。脂肪細胞から血圧を上げる物質が分泌され血圧を上昇させます。血液の量が増加する事で心臓にも負担をかけることにつながります。高血圧は主として生活習慣に起因します。
さらにストレスの多い環境で生活している人。
現代社会はストレス社会とは言いますがその中でも特に精神的なストレスが日常的にかかると交感神経の働きが活発になり心臓の収縮を強め心拍数も増加します。また血管も収縮させるため血圧は上昇します。
そして運動不足の人。運動不足は血液循環の悪化を招くことによって血圧を上昇させます。
最後に喫煙をする人。ニコチンが交感神経を刺激し血圧を上げるホルモンを分泌させて血管を収縮させます。
上記の項目に当てはまる人は高血圧に注意が必要です。これらの生活習慣を知らず知らずのうちに過ごしているといつの間にか血圧は上昇し高血圧症と診断を受けることにつながります。ですので一刻も早く生活習慣の見直しを行う必要があります。
高血圧の症状
高血圧は血圧の状態から三つのタイプに分類することができます。
一つ目が「持続性高血圧症」と呼ばれる病院でも家でも常に血圧が高いタイプ。
二つ目が「白衣高血圧症」と呼ばれる病院でのみ血圧が高いタイプ。
三つ目が「仮面高血圧症」と呼ばれる病院では正常な血圧でも家では高いタイプ。に分類されます。仮面高血圧症はさらに夜間高血圧、早朝高血圧、ストレス性高血圧に分類することができます。
この様にどのタイプなのかによって血圧の現れ方が変わってきます。
しかしこれらの高血圧症はタイプが異なっているからと言ってそれぞれに特徴のある症状が出るわけではありません。いづれの場合にも必ずどこかで測定したときには血圧は高い状態が続いています。
まずは毎日家庭で血圧を測定するようにしましょう。血圧を測定する場合は朝晩の1日2回、朝は起床後1時間以内に、夜は寝る前に血圧手帳を用いて記載していくようにしましょう。
血圧が高い状態が続く事で血管にも心臓にも各種臓器にもさまざまな負担をかけ影響が出てきます。
そんな時に現れる症状と言われれば容易に想像はつくはずです。まずはしっかりと症状を見極めれるようになりたいですね。
初期症状は?
一般的に高血圧症において血圧が基準値よりも高い状態だけでは自覚症状がほとんどない事が多い為、 初期に気づきにくい疾患の一つです。それゆえ、これが出たら初期症状ですと言ったはっきりしたものはありません。
それを踏まえた上で症状を上げるとするのであれば、まずは頭痛、次に眩暈とふらつき、そして息切れ、耳鳴り、視覚異常があります。
怖いのはこれら症状が全て高血圧症とのみ紐づいているわけではないという点です。
つまりこれら初期症状が出たときには別の疾患の可能性もあると言うことです。
ある日突然辛い頭痛が出た場合、高血圧症だと認識して病院を受診しますか?きっと薬局やドラッグストアで鎮痛剤を購入してその場を乗り切ろうとしませんか?誰しもが高血圧症をしっかりと認識せず初期症状を見逃しているのが現状です。
その結果健康診断で指摘されて病院受診し服薬が開始されるパターンが一般的です。血圧が高いからと言ってすぐにでも最悪の状況に陥る訳ではありません。血圧が高いだけで余命を宣告されることもありません。
だからこそ軽んじられる疾患になってしまいます。まずはそのような認識を改めることから始める必要があるのかもしれませんね。
危険な合併症とは?
高血圧症において危険な合併症は主に心臓、脳、腎臓、血管に発生します。部位別に疾患を見てみると、まず心臓においては「狭心症」・「心筋梗塞(しんきんこうそく)」・「心不全」を引き起こす要因となります。続いて脳では「脳出血」・「脳梗塞(のうこうそく)」・「認知症」が起こることがあります。そして腎臓では「腎硬化症(じんこうかしょう)」・「腎不全」の原因となります。最後に血管では「大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)」・「閉塞性動脈硬化症(へいそくどうみゃくこうかしょう)」が引き起こされます。
これら合併症は動脈硬化(どうみゃくこうか)が原因で生じることが分かっています。その動脈硬化は高血圧が原因であると知っていましたか?
高血圧とは血液が血管に必要以上の圧力をかけている状態です。
その結果血管の壁は引き延ばされて薄くなりますが、動脈の血管はこれを元に戻そうと働き、動脈の壁が厚くかたくなっていきます。これが動脈硬化ができるまでの過程になります。
合併症が危険だと言われる所以は死と隣り合わせだからです。高血圧症で死ぬことはありませんが高血圧症の合併症で死ぬことはあります。だからこそ高血圧の状態を放置しておくことが危険なんです。
高血圧の原因
ではなぜ人の血圧は高くなるのでしょうか。高血圧症の原因としては本態性高血圧と二次性高血圧があげられます。前者は原因がはっきりしていないものであり、後者は原因がはっきりしているものです。高血圧症の原因のうち最も多いものは本態性高血圧症になります。
本態性高血圧症は原因が特定できない、もしくはいくつかの原因が重なり合って血圧が高くなるケースがほとんどです。これには加齢による血管の老化なども含まれます。
二次性高血圧症は腎性高血圧症(じんせいこうけつあつしょう)、原発性アルドステロン症が原因となる内分泌性高血圧症、薬剤性の高血圧症などが該当します。
また血圧が高い状態が続き動脈硬化に陥った場合、血管が厚くかたくなることで血液が流れにくくなります。
心臓はそれに負けずに血液を流そうとして更に血圧は上昇します。この悪循環も高血圧症の原因と言われています。
高血圧の危険因子とは?
高血圧症の危険因子と呼ばれるものには様々な要因があります。
なかでもよく言われる要因として、塩分の摂りすぎ、喫煙、肥満、運動不足、多量の飲酒、ストレス、糖尿病、脂質異常症、遺伝的要因があります。
この中には努力すれば回避できるものもいくつか存在します。
例えば塩分の摂りすぎについては最大の危険因子であると言うことは間違いありません。減塩をうたう食品なども数多く販売されています。
日本では塩分摂取量の目標量を1日男性は7.5g未満、女性は6.5g未満としています。
しかしこれがなかなか難しく現状の平均は10gと高めを維持しています。確かに濃い味付けに慣れてしまっている人にとっては自分が塩分過多だという認識はないのかもしれません。
にもかかわらず減塩を進められてもなかなか実行することは難しいものです。逆に塩分を制限してしまうことでストレスを感じさせてしまうことにつながります。
ストレスもまた高血圧症の危険因子ときたものですから痛し痒しと言ったところでしょう。
しかし塩分を制限すれば血圧は低下することは分かっています。その為塩分制限にはある程度工夫も必要なのでしょう。
次にタバコです。喫煙もまた血圧を上昇させることを知っていますか?タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させる事で血圧は上昇します。
つまりタバコを吸っている人は禁煙することで血圧は低下すると言うことです。
タバコは周りへの悪影響を及ぼす事もある為、本気で禁煙を希望する方は禁煙補助薬などの力を借りて取り組むと良いでしょう。
最後に運動不足です。運動する事で一時的に血圧は上昇しますが長い目で見ると血圧は低下します。
適度な運動により筋肉に酸素や栄養素を運ぶため血管は拡張し血圧は低下します。
運動の目安として1週間に3回以上30分以上の有酸素運動が推奨されています。サラリーマンにとって運動することはなかなかに難しいことかもしれません。
しかし最初からあきらめてはいけません。毎日の生活サイクルを見直しルーティーンとして組み入れるように務めましょう。
高血圧の診断方法
高血圧には日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインに準拠した検査を行うことで診断を行なうことが一般的です。
問診を行い、血圧を測定し、各種検査を行います。問診については既往歴、家族歴、治療歴など現在と過去の健康状態の他、運動習慣・睡眠習慣・食習慣など生活習慣についての確認と、合併症等の確認のため自覚症状の有無の確認を行います。
続いてい血圧測定ですが、診察室血圧をまずは測定します。その上で、血圧手帳を渡して自宅での血圧も測定し記録して頂きます。
最後に各種検査を行い臓器の状態や合併症の有無などを調べます。健康診断の結果などがあればそちらも参考にします。
一般的には血液検査、尿検査、心電図、胸部レントゲン、血圧脈派検査、心臓超音波検査などを行います。これらは健康診断を受けていれば検査している項目です。
特に血液検査は高血圧症の合併症である脂質異常症や糖尿病の有無を確認できるため積極的に行います。
サラリーマンであれば会社が健康診断を受けさせなければならないため問題ありませんが個人事業主であったり主婦などは自分で病院受診し受けなければならないため色々な理由で受けない方がいます。
自分の為また家族の為にも必ず年1回は健康診断を受けるようにしましょう。
高血圧のガイドラインは?
血圧を測定する際、測定する場所などによって呼び名が変ります。
病院または診療所などで測定する「診察室血圧」、また自宅で自分で測定する「家庭血圧」、特殊な機器を付けて15分から1時間毎に1日かけて測定する「24時間血圧」の3つがあります。
一般的には診察室血圧と家庭血圧が判断基準として使用されますが、特に高血圧の判定においては診察室血圧よりも家庭血圧の方を優先します。
高血圧のガイドラインにおいて、診察室血圧において140/90以上を高血圧とし、また家庭血圧においては135/85以上を高血圧と診断します。
しかし1回測定した結果が基準値を超えていたから直ちに高血圧と言われるわけではありません。診察室血圧の測定では、1日だけではなく別日にも行ない、数回の測定結果をもとに判定します。
そして上の血圧と下の血圧のどちらか一方でも140/90を超えれば高血圧と診断されます。
また家庭血圧で判定する場合、5日から7日の平均値を見て上の血圧と下の血圧のどちらか一方でも135/85を超えれば高血圧と診断されます。
それではどこまで血圧を下げればよいのでしょうか。
ガイドラインで規定されている一般的な治療の目標値として、75歳未満であれば診察室血圧で130/80未満を、75歳以上でも140/90未満を目指します。但し、現在合併している病気の状態などによって目標値は変化してきます。
高血圧症と診断されたもののうち、仮面高血圧及び持続性高血圧に関しては治療が必要です。
白衣高血圧に関しては定期的な血圧測定が必要とされています。
高血圧の治療法
血圧が高いと診断された場合数値によっては薬物療法以外では、食事や運動などの生活習慣を改善する方法をとることで高血圧の改善が認められます。
どの手段で治療していくかは主治医の判断によります。しかし高血圧の薬を服用し始めたら死ぬまで飲み続けなければならないと誤解している人がいますが実はやめることが可能です。
確かに血圧の薬は長期間服薬する必要があります。痛み止めなどと違い薬を飲んで血圧が下がったらと言ってすぐにやめていいものではありません。
逆に服薬をやめたことで血圧がもとに戻ってしまいまた服薬を開始するを繰り返して永遠と薬をやめることができない人も中にはいます。
自己判断での休薬は非常に危険ですので避けるようにしましょう。
食事療法
食事療法で大切なことはエネルギーや食塩の過剰摂取を避け、栄養バランスの良い食事を摂るようにすることです。その為にもまずは適正体重を維持する事が重要になります。
標準体重については身長(m)×身長(m)×22で求めることができます。肥満の場合は糖分や油脂の摂りすぎを見直す必要があります。
食事は主食・主菜・副菜をそろえて3食規則正しく摂りましょう。減塩については前述の通りです。油脂の制限も必要です。
動物性脂肪は血中コレステロールを増加させ、植物性脂肪や魚油などには減らす働きがあります。肉類に偏らず魚や豆腐なども取り入れるようにしましょう。
飲酒制限も高血圧の改善には必要です。飲酒については医師に相談するようにしましょう。
運動療法
厚生労働省では高血圧予防及び改善のために有酸素運動を1週間にほぼ毎日、30分以上行う様に勧めています。
ウォーキングや水泳、軽いジョギング、自転車など、全身運動が特に効果的とされています。
過度な運動は逆に血圧を上昇させる場合がある為注意が必要です。毎日続ける必要がある為無理のない範囲で行わなければなりません。
運動の強度としてはややきついと感じる程度がちょうどよいとされています。運動療法は血圧是正に即効性ありません。毎日繰り返すことで生活習慣を改善することが大切です。
そのことをよく理解する必要があります。と言うのも毎日運動しているのに血圧が全然下がらないと言ってやめるかたも中にはいるからです。
目的は血圧改善だけではなく肥満の改善や血液循環の改善などにより合併症予防に効果的です。従って継続する事が大切なのです。
薬物療法(処方薬・市販薬)
高血圧症治療を目的とする医薬品は多数販売されている為一部ご紹介いたします。
まずは病院への受診が必要な医療用医薬品です。高血圧治療の第一選択薬にはカルシウム拮抗薬であったりARB、ACEが選択されます。
高血圧の治療薬(処方薬・市販薬)
- ノルバスク錠2.5mg/5mg/10mg:ヴィアトリス製薬株式会社
- アテレック錠5mg/10mg/20mg:EAファーマ株式会社
- アダラートCR錠10mg/20mg/40mg:バイエル薬品株式会社
- コニール錠2mg/4mg/8mg:協和キリン株式会社
- ヘルベッサー錠30mg/60mg:田辺三菱製薬株式会社
- フルイトラン錠1mg/2mg:シオノギファーマ株式会社
- セララ錠25mg/50mg/100mg:ヴィアトリス製薬株式会社
- アルダクトンA錠25mg/50mg:ファイザー株式会社
- ルプラック錠4mg/8mg:田辺三菱製薬株式会社
- ラシックス錠10mg/20mg/40mg:サノフィ株式会社
- サムスカ錠7.5mg/15mg/30mg:大塚製薬株式会社
- アジルバ錠10mg/20mg/40mg:武田薬品工業株式会社
- オルメテック錠5mg/10mg/20mg/40mg:第一三共株式会社
- ブロプレス錠2mg/4mg/8mg:武田テバ薬品株式会社
- ミカルディス錠20mg/40mg/80mg:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
- ディオバン錠20mg/40mg/80mg/160mg:ノバルティスファーマ株式会社
- ニューロタン錠25mg/50mg/100mg:オルガノン株式会社
- エンレスト錠50mg/100mg/200mg:ノバルティスファーマ株式会社
- ラジレス錠150mg:株式会社オーファンパシフィック
- タナトリル錠2.5mg/5mg:田辺三菱製薬株式会社
- レニベース錠2.5mg/5mg/10mg:オルガノン株式会社
- エースコール錠1mg/2mg/4mg:アルフレッサ ファーマ株式会社
- コバシル錠2mg/4mg:協和キリン株式会社
- ロンゲス錠5mg/10mg/20mg:共和薬品工業株式会社
- インデラル錠10mg:太陽ファルマ株式会社
- テノーミン錠25mg/50mg:太陽ファルマ株式会社
- メインテート錠2.5mg/5mg;田辺三菱製薬株式会社
- セロケン錠20mg/40mg:太陽ファルマ株式会社
- アーチスト:錠1.25mg/2.5mg/10mg:第一三共株式会社
続いて市販薬の紹介です。日本では市販薬として高血圧治療を目的とした医薬品は販売しておりません。
しかし海外に目を向けてみると個人輸入にて入手可能な高血圧治療薬がありますので一部ご紹介いたします。
商品名 | ノルバスク | アムロジピン |
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一般名 | アムロジピンベシル酸塩5mg・10mg | アムロジピンベシル酸塩10mg |
価格 | 1錠あたり80円~ | 1錠あたり78円 |
メーカー | Pfizer(ファイザー) | ブリストル・ラボラトリーズ社 |
購入ページ | ノルバスクの購入ページはこちら | アムロジピンの購入ページはこちら |
<②持続性アンジオテンシン変換酵素阻害剤関連商品>
商品名 | エナラプリル |
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一般名 | エナラプリルマレイン酸塩 2.5mg |
価格 | 1錠あたり14円~ |
メーカー | Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ) |
購入ページ | エナラプリルの購入ページはこちら |
<③利尿剤関連商品>
商品名 | トール【ルプラックジェネリック】 | トラプレス【トラセミドタブレット】 | ムクミトール | アクアザイド |
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一般名 | トラセミド5mg・10mg・20㎎ | トラセミド10mg・20mg・40mg | トラセミド5mg・10mg・20mg | ヒドロクロロチアジド |
価格 | 1錠あたり27円~ | 1錠あたり34円~ | 1錠あたり23円~ | 1錠あたり17円~ |
メーカー | Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ) | Alniche Life Sciences Pvt. Ltd.(アルニッチ・ライフ・サイエンス) | Asle pharmaceuticals(アスレ) | Sun Pharma(サンファーマ) |
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<④β(ベータ)遮断薬関連商品>
商品名 | コンコール【メインテートジェネリック】 | ビセレクト【メインテートジェネリック】 |
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一般名 | ビソプロロールフマル酸塩 | アムロジピンベシル酸塩10mg |
価格 | 1錠あたり76円~ | 1錠あたり26円~ |
メーカー | Pfizer(ファイザー) | ブリストル・ラボラトリーズ社 |
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日常生活の注意点と予防法
高血圧症にならないためには毎日の生活の中で何に注意したら良いのでしょうか。
二次性高血圧症では原因がはっきりとしている為やれることは医師の指示通りしっかりと服薬を管理することでしょう。
本態性高血圧症では原因がはっきりしていないため出来ることと言えば生活習慣の改善です。大事なことは生活療法、食事療法、運動療法の三本の矢が重要になります。
食事療法と運動療法は前述しておりますのでここでは生活療法について解説していきます。
生活療法で大切なことは、「ストレスを避けること」ストレスがかかると心拍数が増えたり血管が収縮したりすることで血圧は上昇します。緊張もストレスの原因になります。
そして「十分な睡眠時間を確保すること」自分にとって最適な睡眠時間の確保ができないと疲労やストレスが溜まり血圧が上昇する事があります。しっかり疲れをとることが大切です。
最後に「毎日湯船につかって入浴すること」入浴する事で血管が拡張し血行が改善する事で血圧低下が期待できます。また疲労回復効果やストレスの解消にも効果的です。
こういった当たり前のことを当たり前とせず毎日を送ることで血圧の改善が見込めるものです。まずはもう一度自分の生活リズムを見つめなおしてみると良いでしょう。
高血圧のよくある質問(Q&A)
- Q高血圧症はよくサイレントキラーと言われていますがその理由はなんですか?また高血圧にならない為の注意点はありますか?
- A
サイレントキラーは「静かなる殺人者」、あるいは「忍び寄る殺人者」などと訳すことができます。高血圧は長期間放置しますと心臓や脳、腎臓に障害をきたし、最終的には心筋梗塞や脳卒中を起こします。かなりの期間は高血圧そのものによる症状は全くありません。
したがってある日突然、このような発作を起こし最悪の場合は死亡に至ります。
そのようなことからサイレントキラーとも呼ばれるわけです。高血圧にならない注意点ですが、若い頃からの生活習慣、たとえば減塩、肥満の予防(食べ過ぎに注意)、運動(よく歩く、できれば1日1万歩)、節酒、ストレスの解消、十分な睡眠などが大切です。
血圧が高めの人は家庭血圧の測定により日頃から血圧に関心を持つこと、医師による定期的な診察をおすすめします。
- Q高血圧は遺伝しますか?
- A
高血圧のうちおよそ90%占める本態性高血圧は複数の遺伝因子と環境因子が関与するもので糖尿病や脂質異常症などと同様、多因子疾患です。
遺伝子が係る程度(寄与度)は30%から70%といわれています。日本人では特に食塩に対して血圧が上がりやすいタイプの遺伝子を持っている人が多いといわれています。
いわゆる体質として遺伝しますので親族に高血圧の人がいるかたは高血圧にかかりやすいといえます。このような方はとくに減塩、肥満対策など生活習慣に気をつける必要が有ります。
きわめてまれな疾患として単一遺伝子の異常によっておこる遺伝性高血圧がありますが、この場合は家族性発症がみられ、小児期から非常に高い血圧値を示します。
- Q降圧薬は一生飲み続けなければなりませんか?
- A
高血圧は生涯治療だといわれていますが、これは必ずしも生涯お薬を飲み続けることではありません。
確かにそのように必要な方もおられますが、生活習慣の改善や定期的な血圧のチェックも含めて生涯治療が必要なわけで、たとえば、定年によりストレスが減って血圧が正常化する方もおられますし、減塩や減量、運動療法が成功し血圧が下がることもよくあります。
このような場合は降圧薬は不要となります。また、夏期は血圧が正常になる人もおられます。
大事なことは、家庭血圧の測定値、定期的な受診により、主治医の先生に降圧薬の減量や中止を決めていただくことです。
中止したあとも定期的に経過を見ていただくことが大切で、もし血圧が再度上がるようでしたら、降圧薬を再開します。
- Q成人の血圧の分類と高血圧の程度はどう解釈されていますか?
- A
血圧は心臓病(心不全や心筋梗塞など)、脳卒中、腎臓病の原因となりこれらの疾患の危険因子です。血圧は高くなるに従いこれら合併症のリスク度が上がります。
疫学調査の結果、140/90mmHgぐらいから、明らかに危険度が増します。したがって140/90mmHg(どちらか一方または両方が高ければ)以上を高血圧と定義しています。
理想は120/80mmHg未満の至適血圧で、正常血圧の中でも高めの方では合併症の可能性は高くなります、130/85mmHg以上(140/90mmHg未満)は正常高値血圧とされ、注意が必要です。
高血圧をさらに3段階に分類し,140~159/90~99mmHg(I度高血圧)、160~179/100~109mmHg(II度高血圧)、180~/110~mmHg(III度高血圧)と分類し血圧が高くなるほど重症となります。
- Q家庭での血圧測定の際に注意点はありますか?
- A
原則として朝(起床後一時間以内、排尿後、朝食前,出きれば椅子にすわって1~2分安静後、脚は組まない状態)と晩(夕食前或いは就寝前と決めた時間に測定する、入浴後や飲酒後は一時的に血圧が下がりますので避けること)の2回測定する。
1機会に2回測定し、その平均値をその時の値とします。ただし測定値は全て記録して主治医にみていただくこと。
マンシェット(上腕に巻くゴム嚢)や手首の場合は血圧計が心臓と同じ高さになるようにすること。
測定期間はできるだけ長期間が望ましいです。普通1週間の平均値(朝および晩、別々に計算します)を診断にもちいます。
このようにして求められた家庭血圧の値は、外来よりも一般に低めです。家庭血圧の基準値は135/85mmHg以上を高血圧としています。
外来診察室の血圧が140/90mmHg未満でも家庭血圧が135/85mmHg以上の場合は仮面高血圧と呼ばれ、きちっとした管理が必要となります。
まとめ
高血圧の患者数は日本で推定3500万人から4000万人、高血圧症予備軍を含めると5500万人いると言われています。日本の人口が1億2330万人ですのでほぼ2人に1人は高血圧症を患っていると言うことになります。これは本当に驚きの数字です。
高血圧症は自覚症状がありません。だからこそ気づいた時点ではすでに手遅れの状態になっている場合も少なくありません。そうならない為にも毎年健康診断を受けることが大切です。
皆さんは健康診断しっかり受けていますか?特に自営業の人であったり個人事業主の人、また主婦や学生さんなどは自ら足を運んで受けに行かなければなりません。
お金がかかるからとか、時間がないからとか行かない理由を探して後回しにしていると気づかないうちに大変なことになっているかもしれません。
高血圧の治療において食事・運動療法が最も大切な治療法の一つです。
日本人はとくに濃い味を好むため塩分の摂りすぎになっています。それをいまさら改善する事がどんなに大変なことかわかる人にはわかるはずです。運動もしかりです。
運動する習慣のない人に突然運動しろと言われても強い意志がなければできるはずもありません。まずはしっかり自分の病気を向き合う事が必要なのではないでしょうか。
高い血圧を改善することはなかなか一筋縄ではいきません。
もし仮に薬に頼ったとしても長い年月服薬することになります。でもそれらは将来脳卒中とか心筋梗塞、腎不全などにならないために行う大切な行動だと言うことを忘れてはいけません。健康で豊かな暮らしを過ごす為にも日々の行動の一つ一つの積み重ねが大切になってきます。
血圧が高くない人も一度生活習慣を見直してみることは必要ではないでしょうか。将来の自分を想像して今と変わらない健康を届けてあげましょう。
出典
一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子
高血圧治療ガイドライン2019