イソトレチノインとは
「イソトレチノイン」って何の薬か知っていますか?日本では未承認の医薬品のため知らない人の方が多いかもしれませんね。
イソトレチノインとは、ビタミンAの誘導体の一種です。ビタミンAには皮膚の細胞分裂を正常化させる作用があり、難治性のニキビに対して効果が期待できる薬として知られています。
一般的にニキビと言われるとおでこに出来る思春期のものと思われがちです。しかしイソトレチノインが使用されるのはニキビの中でも、頬やあごにできる慢性的なニキビで、大きな炎症や膿を伴う硬い結節が特徴です。
通常のニキビ治療では改善しにくい難治性のタイプに対して最も効果を発揮する治療薬と言えます。
もし仮に重症ではないけれどもニキビに悩まされているのであれば、まずは下記サイトを参考にしてみてはいかがでしょうか?
話は戻りますが「イソトレチノイン」は欧米各国では20年以上前から重症ニキビ治療薬として使用されてきた実績があり、「ロアキュタン」や「アキュテイン」などの商品名で販売されています。
非常に重度のニキビに対する第一選択薬として位置づけられています。
日本ではまだ認可されていませんが、今後の承認が期待される薬の一つです。
しかしイソトレチノインは難治性ニキビに対して有効性が高い一方で、副作用の可能性もある強力な薬といえます。適切な医師の管理下で使用することが大切です。
イソトレチノインの効果
それではイソトレチノインの効果について作用機序を踏まえ解説していきます。
イソトレチノインの作用機序は、皮脂分泌を抑え、皮膚の角化を正常化させることです。
これにより毛穴のつまりが改善され、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖が抑えられます。さらに抗炎症作用もあるため、重症の炎症性ニキビを減少させる効果があります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
イソトレチノインの効果
- 皮脂腺を縮小させ過剰分泌を抑制
イソトレチノインは皮脂腺自体を縮小させる効果があります。すると皮脂の過剰分泌が抑えられ、毛穴に皮脂がたまりにくくなります。これによってニキビの原因となるアクネ菌の増殖が防げます。 - 毛穴の詰まりを改善
角質の増殖が抑制され、毛穴の詰まりが解消されます。これにより皮脂の停滞がなくなり、炎症の原因が減少します。 - 免疫反応を正常化
イソトレチノインは免疫システムのバランスを整える作用もあります。これによってアクネ菌に対する過剰な免疫反応が抑制され、赤みや腫れなどの炎症症状が緩和されます。
以上の3つのメカニズムによって、イソトレチノインはニキビに総合的にアプローチし、ニキビからニキビ痕、開いた毛穴や黒ずみ、赤みまで、幅広い肌トラブルの改善が期待できる薬剤です。
ニキビ治療薬としての位置づけ
まずは日本におけるニキビ治療薬について解説していきます。
現在の主な治療法として、2008年に登場したアダパレンや2015年の過酸化ベンゾイル(BPOなどの面皰(めんぽう)に効果的な外用薬を基本に、ニキビの種類や状態に応じて抗菌薬の内服薬や外用薬を併用する方法が一般的です。
重症化したニキビには抗菌薬、軽症の面皰性ニキビには外用薬を主体に使い分けます。
適切な治療法の選択と継続により、完治をめざすことが可能です。セルフケアに限界を感じたら、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
次に国際的なニキビ治療ガイドラインについて見ていきます。
海外の皮膚科医から成る「グローバルアライアンス」が2003年に発表した重症ニキビの治療ガイドラインでは、イソトレチノインは第一選択の治療薬と位置づけられています。
長期使用実績がある難治性ニキビに対して高い有効性と安全性が認められているためです。
特にイソトレチノインは以下のような方におすすめです。
イソトレチノインがおすすめな方
- 保険治療で改善が不十分な方
- 全身的なニキビ治療を希望する方
- 再発を繰り返すニキビを治したい方
イソトレチノインは、重症もしくは難治性ニキビに対する根本的な治療薬として、国際的に確立された地位を獲得している薬剤です。
イソトレチノインの飲み方
まず基本的にイソトレチノインは日本未承認薬ですので服用する場合にはイソトレチノインを使用している医師のもとで処方してもらうか、もしくは個人輸入などで購入することも可能です。
商品名 | イソトロイン【イソトレチノイン】 | トレティヴァ【イソトレチノイン】 |
---|---|---|
画像 | ||
有効成分 | イソトレチノイン【10mg/20mg】 | イソトレチノイ【10mg/20mg/40mg】 |
価格 | 10mg:1錠あたり110円~ | 10mg:1錠あたり121円~ 20mg:1錠あたり162円~ 40mg:1錠あたり342円~ |
メーカー・ブランド | Cipla(シプラ) | Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ) |
URL | イソトロイン【イソトレチノイン】の購入はこちら | トレティヴァ【イソトレチノイン】の購入はこちら |
イソトレチノインの飲み方
- 初期量は1日1~2回、1回20mg錠から開始します。
- 効果に応じて、1日最大40mg錠まで増量されることがあります。
- 食事の後に飲むのが理想的です。食事と一緒に飲むことで効率的に体内に吸収されます。
- 時間帯は朝食後、夕食後など脂肪の多い食後がおすすめです。
- 治療期間は個人差がありますが、通常4~6ヶ月程度が目安となります。
医師の指示に沿って服用期間や回数を守ることが大切です。効果や副作用の確認のため、定期的な検査も欠かせません。
イソトレチノインの飲み方と治療期間
イソトレチノインの最大の特徴はニキビ治療後、服薬をやめてもニキビができにくい状態が続く場合が多いという点です。服用期間と服用量が多いほど服用後の効果持続期間が延長します。
そのため治療期間の目安が4~6ヶ月とされており、ニキビが完全に消失するまで続ける必要があります。
治療期間はあくまで目安であり、場合によっては8ヶ月使用する方もいます。
内服終了後、維持療法として外用治療が継続的に必要な場合があります。
以下の外用薬は保険適応で使用することが可能です。
商品名 | 有効成分 | 製造販売元 |
---|---|---|
ベピオゲル2.5%/ベピオローション2.5% | 過酸化ベンゾイル | マルホ株式会社 |
ディフェリンゲル0.1% | アダパレン | マルホ株式会社 |
エピデュオゲル | アダパレン・過酸化ベンゾイル | マルホ株式会社 |
まれですが、再度ニキビが悪化した際には追加でイソトレチノインを内服することもあります。
イソトレチノインがクリニックで処方される場合の金額
クリニックで処方される場合にかかる費用は保険診療と自由診療があります。
仮にイソトレチノインによる治療を希望する場合は自由診療となり以下の費用が必要です。
金額 | |
---|---|
初診料 | 2,200~3,300円 |
再診料 | 1,100円 |
血液検査 | 3,300円 |
尿検査 | 1,100円 |
イソトレチノイン内服薬:20mg | 30日分として 13,200~21,120円 |
イソトレチノイン内服薬:10mg | 30日分として 7,500~15,510円 |
自由診療ですので金額はクリニックによって多少前後することはありますのであくまで目安としてご判断ください。
つまり一番安いクリニックを受診した場合で計算した場合、
初診でイソトレチノイン内服薬20mg30日処方の場合:15,400円
再診でイソトレチノイン内服薬20mg30日処方の場合:14,300円
がかかることになります。血液検査や尿検査など検査項目を増やせばさらに追加されます。
6ヶ月服薬が必要と考えた場合出来るだけ安い価格のクリニックを受診したいものです。
イソトレチノイン注意すべき副作用
起こりやすい副作用
イソトレチノインの比較的起こりやすい副作用
- 皮膚や粘膜の乾燥、皮膚炎:対症療法で対応
- 唇の乾燥、炎症
- 鼻炎・鼻血;軽度のことが多い
- 目の乾燥
- 頭痛、めまい、吐き気
- 発疹、かゆみ、皮膚の剥脱
- 目の炎症(眼瞼炎、結膜炎)
- 筋肉痛、関節痛
- 倦怠感、疲労
- 血中コレステロール値の上昇
- 脱毛(抜け毛)
- 光線過敏症
日光暴露に対する過敏症が起こりやすくなるため、治療中と治療後1ヶ月間は日焼けを避ける必要があります。
重大な副作用
イソトレチノインの重大な副作用
- 流産や早産、死産、胎児奇形、胎児の先天異常
- 肝機能障害
- 視力障害
- 聴覚障害
- 重度の皮膚症状
- 潰瘍性大腸炎
- 目の炎症(眼瞼炎、結膜炎)
- クローン病
- アナフィラキシーショック
- スティーブンス・ジョンソン症候群
- 膵炎
- 精神疾患の誘発・悪化(鬱状態、精神病など)
- 皮膚粘膜眼症候群
- 早期発見のため、定期検査と症状の確認が大切です。
副作用のリスクと重症度は人によって異なります。
医師の管理下で、定期検査と症状の確認を怠らず、リスクの最小化をはかることが大切です。
イソトレチノインを服用する際に気を付けること
重大な副作用に流産や胎児奇形がある為、イソトレチノイン服用中及び服用終了後は必ず避妊してください。
女性は6ヶ月間、男性は2ヶ月間避妊が必要です。
服用中及び服用終了後の注意点
イソトレチノイン服用中及び服用終了後の注意点
- 妊娠中・妊娠可能な女性は服用不可
- 服用中/服用後6ヶ月間は献血不可
- 飲み忘れた場合は、2回分一度に服薬はせず、今回分は飛ばして次回分より再開
- 他の美容医療を受ける場合は事前確認が必要
- 日光暴露を避ける等、紫外線対策が重要
副作用リスクを最小限に留め安全に治療を受けるために、これらの注意事項を守ることが非常に大切です。医師の指示に必ず従うことを心がけましょう。ご不明な点があれば遠慮なく相談しましょう。
個人輸入をする際の注意点
イソトレチノインを個人輸入をする際の注意点
「アキュテイン及びそのジェネリック医薬品については、数量に関係なく、医師の処方せんまたは指示書に基づき必要な手続きを行わない限り、個人輸入することはできません。」
注意する医薬品名一覧
- アキュテインカプセル20mg/40mg
- ロアキュテインカプセル20mg/40mg
- ソトレットカプセル20mg/40mg
- アムネスティームカプセル10mg/20mg/40mg
- クララビスカプセル10mg/20mg/40mg
- イソトロインカプセル20mg
- アクノティンカプセル10mg/20mg
重篤な副作用のリスクがあり、医師の管理が必須の薬です。
胎児への危険性があるため、妊娠中・妊娠可能な女性が使用することは絶対に避けてください。
専門家による定期検査なしで使用することは危険です。
処方せんなしで販売される場合がありますが、これは法律違反ですし、安全性が保証されていません。
イソトレチノインは医師の管理下でない個人輸入は決して行わないでください。
イソトレチノインが服用出来ない方
服用できない方
イソトレチノインが服用できない方
- 15歳未満の女性、18歳未満の男性
- 妊娠可能な女性、妊娠・授乳中の女性
- 成長期にある身長が伸びている青少年
以下の条件に当てはまる可能性がある方
- テトラサイクリン系抗生物質内服中の方
- 同系統薬剤のアレルギー歴のある方
- 肝機能障害のある方
- うつ病など精神疾患のある方
- ビタミンA過剰症の方
- ステロイド薬内服中の方
「アキュテイン及びそのジェネリック医薬品については、数量に関係なく、医師の処方せんまたは指示書に基づき必要な手続きを行わない限り、個人輸入することはできません。」
イソトレチノインに関するよくある質問
- Qイソトレチノインの効果は服用後いつから実感できますか?
- A
早ければ1ヶ月後から皮脂分泌の減少を実感できる方がいます。
ただし、効果を実感する平均的な期間は2~3ヶ月程度であることが多いです。効果発現には個人差があり、1ヶ月以内に効果を感じられない場合もあります。
少なくとも2~3ヶ月は内服を継続し、その後も医師の指示に沿ってください。イソトレチノインは重篤な副作用リスクもある強力な薬剤です。
効果の出現には個人差があることを理解したうえで、医師の管理下で治療を継続することが大切です。
- Qイソトレチノインの効果が出にくい人はいますか?
- A
重度なニキビや炎症の少ない「面皰」タイプの人は比較的効果が出にくい場合があります。中には遺伝的な要因で効きにくい体質の人もいます。同じ投与量でも体内吸収率の違いが影響する場合があります。
判断材料として、皮膚や唇の乾燥・剥脱などの副作用の強さで薬の体内動態を推測します。
また、副作用が弱く出ている場合であれば、血中濃度が低く効きにくい可能性があります。
適度な副作用発現は治療効果と相関があるため、医師が血中濃度や量の調整に活用できる重要な指標となります。効果が出ていない場合は遠慮なく医師に相談するようにしましょう。
- Qニキビは何かを受診したらよいですか?
- A
にきびを治療するには、まず皮膚科を受診することが大切です。
にきびは毛穴に関係する慢性的な皮膚の病気で、根本的な原因は皮膚のトラブルです。そのため、皮膚科の先生がにきびの診断と治療を専門的に行うことができます。
皮膚科でにきびの原因やタイプを確認し、それに応じた適切な治療方針を立てます。保湿ケアや薬物療法、レーザー治療などのオプションがあります。生活習慣の改善も重要なファクターです。
ただし、ホルモンバランスの乱れがにきびの背景にある場合は、婦人科や内分泌内科を受診することも考えられます。不正出血や多毛症を伴う成人女性のにきびでは、ホルモン検査や治療が必要になることがあります。
いずれにしろ、まずは皮膚科でにきびをチェックし、必要に応じて他科の診察も考えるのが賢明です。担当医とよく相談しながら、自分に合った治療を選択していきましょう。
まとめ
イソトレチノインまとめ
イソトレチノインは、重度のニキビに対して処方される効果の高い薬です。
効果が高い反面、副作用のリスクもある強力な薬剤であるため、医師の管理下での使用が必須です。個人輸入することはおすすめできません。
イソトレチノインを使用する場合、定期的な血液検査や女性なら妊娠検査が行われます。また、使用期間中及び終了後も、口渇、乾燥、目の炎症などの症状に注意が必要です。
効果、副作用共に強力な薬剤であるイソトレチノインを適切に使いこなすには、皮膚科の医師と連携し、指示に沿って使用することが大切です。個人判断での利用は控えましょう。
医師の管理下でこの薬を活用することで、重度のニキビを改善できる可能性が高くなります。
出典
尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017
診療ガイドライン(尋常性痤瘡治療ガイドライン)
令和時代のニキビ治療
厚生労働省(アキュテインに関する注意喚起について)
アキュテイン(ACCUTANE)に関する一般使用者向け情報