ED治療薬の保険適用について

ED治療薬は、男性の勃起不全に使用される薬剤です。代表的な薬剤としては、「バイアグラ」や「シアリス」などがあります。
2022年2月に不妊治療に限って、ED治療薬が保険適用されることが決まりました。
実際に、2022年4月からED治療薬の保険適用が開始されています。 不妊治療は多額の費用がかかるため、費用面で不妊治療をあきらめなければならない人たちも一定数いました。
しかし、日本では現在少子化が進んでいる現状を踏まえ、不妊治療に対する費用負担を軽減することで、少子化に歯止めをかけることが目的です。
また、不妊治療の原因は多岐にわたりますが、男性のEDは性行為の数が減少し、パートナーとの関係性にも影響を与えてしまいます。
妊活しているカップルにとっては解決しなければならない非常に重要な観点です。
しかしEDは、自身で悩んでいてもなかなか解決されないケースが多いため、EDが疑われたら早めに医療機関に相談し、薬剤を服用していくことが大切です。
ED治療について詳しく知りたい方は以下のページからご覧いただけます。
保険適用される条件

不妊治療を目的とした場合にのみ、ED治療薬は保険適用されますが、処方にあたっては大きく7つのルールがあります。
ED治療薬が保険適用される7つの条件
5年以上の泌尿器科勤務
泌尿器科で5年以上の勤務経験がない医師がいない病院・クリニックでは処方してもらうことができません。
ただし、病院やクリニックの近くを探しても5年以上泌尿器科を経験している医師がいない場合は、医療機関の判断で処方される場合もあります。
他の医療機関との連携
もし患者が不妊治療で他の医療機関にかかっていて紹介を受けた場合は、紹介をした施設と必要な情報を共有しなければなりません。
産婦人科医師はED薬を処方できないため、注意が必要です。
勃起不全と診断された患者
処方が可能な患者は、*1EDガイドラインに則って勃起不全と診断が付けられた患者のみです。
本人の訴えのみや診断を受けていない人への投与はできません。 不妊治療でED治療薬を希望する場合は、あらかじめEDの診断が可能かどうかを病院に問い合わせると安心です。
処方患者かパートナーが半年以内にED治療を受けている
処方患者か、そのパートナーのどちらかが6カ月以内にED治療を受けていないと処方ができません。
つまり、「一般不妊治療管理料」か「生殖補助医療管理料」というED治療に必要な管理が確認できない人は対象外となります。
「タイミング法」という不妊治療を受けている方は自動的に対象となります。
もし、不妊治療を中断したとしても最後の受診が6カ月以内である場合は、問題ありません。
1回の処方は4錠まで
ED治療薬を不妊治療として使用する場合、処方の制限が決まっています。
1回の診療で4錠までしか処方ができません。
4錠は1か月分です。そのため、12月に薬をもらうことができなかった場合に、1月に2回分(8錠)もらうことはできません。
繰り返しの投与は半年を目安に
もし、ED治療薬を繰り返して患者に処方する場合は、半年を目安とします。
6カ月以上処方する場合には、継続する理由を書類に記載しなければならず、さらに1年以上継続して処方することはできません。
6か月という期間は一般的に不妊治療を実施し、妊娠が成立するだろうと考えられている期間です。
考慮の上設定されているので、薬剤の投与期間として守るように意識しましょう。
保険診療であることの記載
患者に医薬品を投与すると処方箋を発行します。
処方箋の備考欄に、保険診療でED治療薬を処方したことを記載しなければなりません。
もし、ご自身が処方してもらった処方箋の備考欄に記載がない場合は、早めに医療機関に申し出るようにしましょう。
保険適用されるED治療薬の種類
<保険適用されたED治療薬>
薬品名 | 成分名 | 効果効能 |
---|---|---|
バイアグラ錠25mg | シルデナフィルクエン酸塩 | 勃起不全の改善 服用後、約1時間で効果のピークを迎え、約6時間効果が持続 食事の影響を受けやすい |
バイアグラ錠50mg | ||
バイアグラODフィルム25mg | ||
バイアグラODフィルム50mg | ||
シアリス錠5mg | タダラフィル | 勃起不全の改善 服用後、約3時間で効果のピークを迎え、約24時間~36時間効果が持続 食事の影響を受けにくい |
シアリス錠10mg | ||
シアリス錠20mg |
不妊治療薬として保険適用されたのは6成分16品目でした。
このような中で、ED治療薬全てが今回の保険適用対象となるわけではありません。 ED治療薬の中でも「バイアグラ」、「バイアグラODフィルム」「シアリス」が不妊治療の薬剤として使用できます。その他のED治療薬である「レビトラ」は対象外です。
バイアグラとシアリスは、*2日本生殖医学会のガイドラインにおいて「レベルA」・「レベルB」と推奨度が高い薬剤となります。このような背景から、2剤が保険適用の対象となりました。

保険適用されるED治療薬の費用目安

ED治療薬が保険適用された場合、3割負担となります。
以下の表は、1カ月服用した時の費用負担を示しています。バイアグラもシアリスも世界中で長い間使用されている薬剤であるため、処方実績が多く、安心して投与できます。
バイアグラよりもシアリスの方が効果持続時間が長く、副作用の発現も低くなっています。
バイアグラは、世界で初めて開発されたED治療薬であるため、多くの方に愛用されています。
費用が気になる方は、バイアグラやシアリスのジェネリック医薬品もありますが、保険適用の範囲からは除外されています。
薬剤の特徴 | 自由診療費用 | 保険適用費用 | |
---|---|---|---|
バイアグラ | 世界で初めてのED治療薬 服用1時間で効果発現 | 7000円 | 2000円 |
バイアグラOD | 舌で溶けるので水なしで服用可能 | 7000円 | 2000円 |
シアリス | 効果が36時間持続する バイアグラより副作用が軽減 | 7500円 | 2000円 |
EDの治療に関するよくある質問

- Q日本生殖医学会ガイドラインの不妊治療推奨度レベルA、レベルBとはなんでしょうか?
- A
レベルAは体外受精やEDといった勃起障害によって起こる男性不妊に対して、薬物治療として推奨される内容となります。
レベルBは2回連続して流産した女性に対して流産を起こさないように実施する着床検査や射精障害に対する抗うつ剤の治療を目的として推奨される内容となります。
- Q「不妊治療」と偽って薬剤を入手した場合どうなりますか?
- A
不妊治療と偽って薬剤を処方してもらった場合、定期的にくる医療費のお知らせから、家族にバレてしまう可能性もあります。
家族にバレる以外にも、証拠としてずっと残ってしまうものになるので、医療費用返還通知書などで過去の行いが明るみになるリスクも考えられます。
嘘をついて処方をもらうのは避けましょう。
- Q不妊治療を対象に適用となる薬剤はED治療薬以外にどのようなものがあるのですか?
- A
ED治療薬以外は、「ガニレスト」という早い排卵を防止する薬剤や、「レコベル」と呼ばれる卵巣の刺激を調節する薬剤などが含まれています。
どの薬剤も保険適用外で使用するとなると自己負担額が高くなってしまう薬剤であるため、保険適用されたことで不妊治療を受けているカップルや夫婦にとっては不妊治療を受けやすくなりました。
- QED治療薬は妊娠に影響はないのでしょうか?
- A
ED治療薬は今回のコラムでもご紹介した通り、不妊治療に使用されています。
妊娠した子供への影響については特段報告されているものはありません。
一方でED治療薬を使用することで不妊が改善されることは大いにありますので、あまり心配しすぎなくて問題ありません。
最後に
ED治療薬は、勃起でお悩みの症状を改善する薬剤です。勃起状態を改善するだけではなく、不妊治療薬としても使用されており、今回2022年4月から保険適用としても認められました。
保険適用されると、不妊治療に対する自己負担額が軽減されるため、不妊治療を実施する夫婦やカップルなどが増えることが期待されています。
ただし、誰でも保険適用がきくわけではなく、一定の条件を満たした人が保険適用を受けられますので気になる方は一度チェックしてみてください。
出典
不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
*1 ED診療ガイドライン
*2 生殖医療ガイドライン|一般財団法人 日本生殖医学会