ED治療薬でも改善しない難治性EDとは?原因や治療方法の種類を解説

ED治療薬でも改善しない難治性EDとは?原因や治療方法の種類を解説 ED治療薬(勃起不全)

難治性EDとは

難治性EDのイメージ画像

難治性EDって聞いたことはありますか?とても重症な疾患を想像させる名前ですよね。
まず基本的に、勃起障害や勃起不全のことを英語で「Erectile Dysfunction」と言いますが、これを略して「ED」と呼んでいます。
こちらは多くの方が耳にした事のある言葉で、ざっくりとどんな症状なのかはイメージできているのではないでしょうか。
診療ガイドラインによると、EDの定義は「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、維持できない状態が持続または再発することとされています。
これには、完全に勃起できなくなった状態だけでなく、勃起してもすぐに萎えてしまったり、十分な硬さが得られない場合も含まれます。
日本ではED治療薬としてバイアグラ(シルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)・レビトラ(バルデナフィル)が発売されています。医師の診断を受け処方されるか、海外から個人輸入することで入手する事が可能です。

EDは男性にとって大変つらい病気です。誰にも相談することができず一人悩みを抱えて生活している人も多いのではないでしょうか。
恥ずかしい話題ではありますが、勃起障害は男性のQOLに大きな影響を及ぼします
早期発見と適切な治療で原因を改善することで、健康な性生活を取り戻す可能性が高まります。
EDについてもっと詳しく知りたいという方は以下のサイトで多くの記事が閲覧できます。

以上を踏まえた上で、「難治性ED」について見ていきましょう。
難治性EDとは、通常のEDとは異なり、ED治療薬であるバイアグラ(シルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)、レビトラ(バルデナフィル)を使用してもEDを解消できない状態を指します。
具体的には以下のような場合が該当します。

具体的な難治性EDの症状

  • 原因究明にもかかわらず、治療薬が効果的でない場合
  • 心理的要因、生活習慣、体質的要因などが複合的に関与している場合
  • 基礎疾患(糖尿病、高血圧、高脂血症など)の治療効果が不十分な場合
  • 血管性EDで治療薬が無効な場合
  • 神経障害、ホルモン異常などの器質的障害が強い場合

難治性EDへの対応としては、原因の追及を続けるとともに、性機能外来などの専門機関での評価が重要です。
複数の専門医の判断や最新の治療法を組み合わせてアプローチする必要があります。
患者さんのQOL改善のためにも、性的リハビリテーションやカウンセリングによるサポートを併用するケースも少なくありません。
難治性EDは簡単に治癒するものではありませんが、原因究明と適切な治療で改善の可能性があります。専門家チームとともに根気強く向き合うことが大切です。

難治性EDの原因

難治性EDの原因のイメージ画像

難治性EDの原因は複数ありますが、一般的には以下のような要因が考えられます。

一般的な難治性EDの要因

  • 精神的要因
    ストレスや不安、うつなど、精神的な要因がEDを引き起こす可能性があります。
    性的機能には心理的な要素も関与しており、これらの要因が勃起能力にマイナスの影響を与えることがあります。
  • 生活習慣
    喫煙、過度の飲酒、不健康な食生活、運動不足など、生活習慣がEDのリスクを高めることがあります。
    これらの要因が血管や神経系に悪影響を与え、勃起障害等の問題を引き起こす可能性があります。
  • 疾患や病気
    糖尿病、高血圧、動脈硬化、脳卒中、神経障害、ホルモンバランスの異常など、多くの疾患や病気がEDの原因となることがあります。
    これらの病気が勃起に関わる血管や神経に影響を与えることがあります。
  • 薬物や薬の副作用
    特定の薬物や薬の副作用としてEDが起こることがあります。
    例えば、抗うつ薬、抗不安薬、抗高血圧薬、抗てんかん薬などが挙げられます。
  • 外傷や手術
    陰茎の外傷や手術によって勃起機能に影響が出ることがあります。
    特に、陰茎の神経や血管に損傷が生じた場合にはEDのリスクが高まります。

これらの要因が一つまたは複数組み合わさって難治性EDを引き起こすと考えられています。

難治性EDの治療方法

難治性EDの治療方法のイメージ画像

難治性EDの治療方法としてまず内服薬の治療では効果が見られないことからバイアグラ(シルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)・レビトラ(バルデナフィル)の投与はできません。
飲み薬が使用できない場合、他にどんな治療方法があるのでしょうか。
難治性EDの治療方法には、陰茎海綿体自己注射陰茎プロステーシス手術陰圧式勃起補助具の使用による治療法などがあります。
どんな方法で治療するのか一つ一つ具体的に解説していきます。

陰茎海綿体自己注射

陰茎海綿体自己注射療法は、難治性勃起障害(ED)の治療法の一つです。
血管拡張作用のあるプロスタグランジンE1という薬剤を、自分で陰茎の海綿体に注射することで勃起を促します
この治療法のメリットは、ED治療薬が効かない人でも効果が期待できることです。注射後30分程度で勃起が得られ、1時間程度持続します。
デメリットとしては、注射に慣れるまで練習が必要なことや、持続勃起症などの副作用が起きる可能性があることです。
日本ではまだ認可されていない治療法ですが、海外では有効性が認められています。医師の指導のもと、正しい注射方法と管理を学ぶことが大切です。陰圧式勃起補助具などで効果が不十分な場合に、陰茎プロステーシス手術に踏み切る前の選択肢として検討されます。
この治療法を受けるには、勃起障害の原因を明らかにし、生活習慣の改善や基礎疾患の治療を尽くしていることが必要です。副作用や合併症を防ぐため、医師と患者が十分なインフォームドコンセントを交わすことが欠かせません。

陰茎プロステーシス手術

難治性ED治療でお困りの方の、最終手段として陰茎プロステーシス手術があります。
ED治療薬が効かず、注射やポンプでも満足な結果が得られない、難治性EDに長年悩まされてきたという方に向いています。
プロステーシスとは、勃起可能な人工物です。手術で陰茎の海綿体に埋め込まれ、体内とつながることで、自然に近い勃起・収縮を可能にします。手術後は薬なしで性行為ができるようになるため、EDの根本的な解決になります。
メリットとしては、薬や注射に比べて永久的な効果があることです。海綿体を置換する侵襲的な手術のため合併症リスクも伴いますが、技術の進歩により安全性は高まっています。
ただしエビデンスレベルの高いデータから、この手術は原則EDの最後の治療法と位置づけられます。
すべての保存的治療が無効で、医師からも推奨された場合にお勧めされます。
また高額な自己負担が必要なことがデメリットの1つです。手術前には医師とよく相談しましょう。
治療方針を真剣に検討していること、合併症への対処についても確認しておきましょう。
特に糖尿病コントロール不良の方では感染リスクが高くなるため注意が必要となります。

陰圧式勃起補助具

難治性EDの患者に最初に選択される方法として、侵襲の少ない陰圧式勃起補助具があります。
国内で唯一認可されている「Vigor 2020は、陰茎を陰圧状態にすることで勃起をアシストする医療機器です。
使い方は簡単。まず、ポンプで器具内の空気を抜き、陰茎を挿入します。
次に空気を吸引し陰圧を高めることで、陰茎への血流を増加させます。30分程度の勃起が得られるため、その間に性行為が可能です。特殊リングにより血流をとどめて勃起維持を補助します。
利点は、即効性、反復使用による陰茎機能改善効果です。ED治療薬の効果不十分の場合にお勧めの治療法です。
一方で、リング装着による違和感や陰嚢の痛みや腫れなどの副作用、また使用時間の制限もある点に注意が必要です。
効果を最大限引き出すコツが大切です。医師の指示に従い、最適な使用方法を身につけましょう。
性生活の改善はもちろん、陰茎機能そのものを高める効果も期待できる治療法といえます。

難治性EDの保険適用について

保険適用外のイメージ画像

通常のED治療においては、2023年4月1日以降「勃起不全による男性不妊」に対し治療方法の1つとしてバイアグラ(シルデナフィル)などのED治療薬の使用が保険適用となりました。
しかし難治性EDの場合、ED治療薬の飲み薬では効果が得られません。
そのため、陰茎海綿体自己注射陰茎プロステーシス手術陰圧式勃起補助具などを治療方法として紹介しましたが、これらは保険適用ではないため全て自由診療、つまり全額自己負担での治療となります。
自由診療の場合の価格は病院・医院によって異なります。
もし治療を行う場合にはいくら治療費がかかるのかあらかじめ確認しておくことが大切です。
とくに陰茎プロステーシス手術においては90万前後に及ぶため色々な意味で覚悟が必要となります。

難治性EDに関するよくある質問

Q
ED治療薬を飲んでも効果が得られない場合は難治性EDとなりますか?
A

ED治療薬の効果が得られないからと言って一概に難治性EDと結論づけることはできません。
ED薬が効かなかった原因として、性的刺激がなかった、飲酒していた、内服時間の不適、食後に飲んだ、用量が少ない、薬の副作用など様々な理由が考えられます。
まずは使用方法が適切であったかどうかをチェックする必要があります。
それでも効果が得られなければ難治性EDを疑うことになります。

Q
難治性EDの治療にはどのような方法がありますか?
A

ED薬で十分な効果が得られない場合、次のステップとして以下のような治療法があります。
・陰圧式勃起補助具(バキュームデバイス)
陰茎に陰圧をかけることで血流を促し、勃起を補助する器具です。
・陰茎へのプロスタグランジンE1注射
血管拡張作用があるプロスタグランジンE1を陰茎に注入する治療法です。効果発現が早く、数十分間の勃起が得られます。
・男性ホルモン補充療法
テストステロン値が低い場合に補充することで、性機能改善が期待できる場合があります。
・陰茎形成術
陰茎の形状を改善することで勃起機能を高める外科的治療です。
このなかでも、プロスタグランジンE1の陰茎への注射はED薬無効時の第一選択肢と位置づけられています。効果の発現が早く、前立腺がん術後や糖尿病性のEDでも有用な治療法です。
適切な症例選択と使用方法の指導により、通常の性行為が可能となることが期待できる治療といえます。

Q
EDの診断にはどのようなものがありますか?
A

A3.EDを訴える患者さんにとって、症状の原因を特定することが治療への第一歩です。主な診断のポイントを整理します。
● 問診票(IIEF-5やEHS)による症状と重症度の評価
5つあるいはそれ以下の簡単な設問で点数化し、EDの程度を判断します。
● 性機能に関する詳細な問診
過去の性生活での経験、性交時の状況などを尋ねます。
● 全身疾患・生活習慣病・服用薬の有無の確認
EDの原因疾患のスクリーニングが目的です。
● 血液検査
血糖値やテストステロンなどホルモン値を測定します。
● 夜間勃起の有無の確認
器質的なEDの診断に有用な特殊検査です。
これらの診断の流れを理解することで、EDへの理解が深まり、適切な治療選択の一助となります。気軽に専門医に相談しましょう。

Q
EDが関係する疾患には何がありますか?
A

EDの背景にある動脈硬化は、心臓病や脳卒中などの危険因子です。勃起障害は生活の質を下げるだけでなく、体の警告灯でもあります。
勃起には正常な血管の拡張・収縮が不可欠ですが、動脈硬化が進むと血管が硬くなり機能が低下します。太さの細い陰茎の血管が最初にダメージを受けるため、EDが心血管イベントの前兆になるのです。
実際に、メタボリックシンドロームの人の半数以上がEDを有するとの報告があります。血管老化で勃起力が衰えたら、次は心臓や脳への影響が懸念されます。

まとめ

難治性EDまとめ

ED治療薬を使用しても効果が得られない難治性EDに悩む方も少なくありません。
代表的な原因として、動脈硬化に伴う血管性ED、糖尿病などによる神経障害である神経性ED、脳・心理面での要因による心因性EDなどが挙げられます。
難治性EDに対しては、血管拡張作用を有するプロスタグランジンE1の陰茎海綿体への注射、陰茎の海綿体に埋め込む人工物によって勃起を補助する陰茎プロステーシス手術、陰圧装置により勃起をアシストする陰圧式勃起補助具などの治療法があります。
いずれにしても難治性EDの治療には専門医の診断と管理が必要不可欠です。
原因や病状に応じた適切な治療法の選択と指導が行われることで、満足な性生活の回復も可能となります。前向きな対応と粘り強い治療が大切です。

出典

ED診療ガイドライン[第3版]
不妊治療に関する支援について(厚生労働省)
勃起力の低下(日本泌尿器科学会)
タイトルとURLをコピーしました