ディナゲスト(ジエノゲスト)とは?効果や副作用、低用量ピルとの違いを解説

ホルモン

ディナゲストとは

ディナゲストとは

ディナゲストの有効成分である「ジエノゲスト」は低用量ピルを改良した黄体ホルモン(女性ホルモンの一種)であり日本で開発された女性特有の疾患を治療する医薬品です。
2008年に「ディナゲスト錠1mg」として販売され、子宮内膜症の治療や、子宮腺筋症に伴う痛みの治療に使用されてきました。
2020年になると、低用量の「ディナゲスト錠0.5mg」が販売されました。
新たに月経困難症の治療に適応症を取得することで、より多くの女性が使用できるようになりました。
現在では「ジエノゲスト錠1mg/0.5mg」としてジェネリック医薬品も複数の製薬メーカーより販売されています。

低用量ピルといえば避妊目的で使用されるイメージが先行していますが、月経痛や月経不順の改善などにも使用されています。
一般的な低用量ピルとは、黄体ホルモンに卵胞ホルモンを加えることで排卵を抑える作用を強めた混合ホルモン製剤が使用されています。
この特性から、低用量ピルの大きな問題点として血栓症(けっせんしょう)のリスクがあげられ、使用できる方に制限がありました。
その点でディナゲストは黄体ホルモンのみの単独製剤であるため血栓症のリスクはほぼなく、より多くの女性が使用できるといったメリットがあります。
とくに子宮内膜症への効果が高いことが大きな違いと言えます。

ディナゲストが推奨される方

  • 重度の子宮内膜症の方
  • 強い月経痛でお悩みの方
  • 40歳以降で低用量ピルの代替治療を検討されている方
  • 血栓症のリスクが気になる方

ディナゲストは、とくに40歳以降の女性の治療選択肢として注目されています。
ただし、どの医薬品も個人によって効果や副作用は異なります。
医薬品の選択は、年齢や症状、生活スタイルなど、さまざまな要因を考慮して慎重に行う必要があります。
使用を検討される場合は、必ず医師に相談し、自分に合った治療法を選択することが重要です。

ディナゲストの効果

ディナゲストの効果画像

ディナゲストは有効成分であるジエノゲストの配合量によって使用される目的が異なります。

医薬品名使用目的
ディナゲスト錠0.5mg月経困難症
ディナゲスト錠1mg子宮内膜症、子宮腺筋症に伴う疼痛の改善

現在は「1mg」の方だけですがOD錠と言って口の中ですぐに崩壊する飲みやすい剤形も販売されています。
剤形の違いは効果に影響はしませんので使い勝手の良い方を選択すると良いでしょう。

ディナゲスト錠1mgの服用方法

通常、成人にはジエノゲストとして1日2mgを2回に分け、月経周期2~5日目より経口投与する。

ディナゲスト錠0.5mgの服用方法

通常、成人にはジエノゲストとして1日1mgを2回に分け、月経周期2~5日目より経口投与する。

飲み方は一緒にもかかわらず用量を変えただけで効果が異なることが分かります。
ただしディナゲスト錠1mgを割って使用すれば月経困難症の治療が安く済むと考える方もいるかもしれませんが日本ではその使い方は認められていません。
もし半分にして使用を考えている方には当サイトメデマートで販売している「プロベラジエノゲスト」を購入すると良いでしょう。
個人輸入という方法で簡単に購入できます。

商品名プロベラジエノゲスト
画像プロベラジエノゲスト画像
有効成分ジエノゲスト2mg
メーカーPolpharma(ポルファーマ)
購入ページプロベラジエノゲストの購入はこちら

子宮内膜症の進行を抑える

子宮内膜症とは?
本来子宮の中にあるべき内膜組織が、子宮以外の場所で成長してしまう病気です。
主に20~30代の女性に多く見られ、30~40歳頃に症状のピークを迎えることが知られています。

なぜこのような状態が起こるのでしょうか?
通常、子宮内膜は月経で自然に剥がれ落ちますが、何らかの理由でその組織が子宮外に移動し、そこで成長を始めてしまいます。
この異所性の内膜組織も、正常な子宮内膜と同じように女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて増殖します。

子宮内膜症の症状

  • 激しい月経痛
  • 慢性的な下腹部痛
  • 周辺臓器との癒着
  • 不妊症のリスク増加

とくに月経期間中は、異所性の内膜組織も出血を起こすため、からだの中で小さな出血が起きている状態となり、強い痛みの原因となります。
この病気は徐々に進行する可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。
気になる症状がある場合は、婦人科での検査をお勧めします。
現代ではさまざまな治療法が確立されており、適切な治療により症状の改善が期待できます。

子宮内膜症に対するディナゲストの効果

①女性ホルモンの分泌を抑制する作用

体内でのエストロゲン(女性ホルモン)の分泌を適度に抑えることで、子宮内膜症の原因となる異所性の内膜組織の増殖を防ぎます。

②痛みの軽減効果

子宮内膜が厚くなることを抑えることにより、月経時の痛みを和らげる効果があります。
これら2つの効果があることで子宮内膜症に悩まされずに通常通りの生活を送ることができるのです。

※ディナゲストは対症療法であり、完全な治癒をもたらすものではありません。
服薬を中止すると症状が再び現れる可能性が高いため、継続的な治療管理が必要です。

子宮腺筋症への効果

子宮腺筋症とは?
本来子宮の内側にある「子宮内膜」に似た組織が、子宮の筋肉組織の中に入り込んでしまう病気です。
子宮腺筋症は遺伝性ではありません。
とくに40代の女性に多く見られ、月経痛が強くなったり、生理の量が著しく増えたりする症状が特徴です。

子宮腺筋症の症状

  • 激しい月経痛
  • 月経量の増加
  • 不正出血
  • 月経以外での腹痛や腰痛
  • 不妊の可能性

子宮腺筋症の原因は、現時点では明確になっていません。
ただし、帝王切開や子宮内の手術を経験した方に多く見られることが分かっています。
また、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの影響で症状が進行することも判明しています。
放置すると子宮全体が大きくなったり、子宮筋腫を併発したりする可能性があるため、気になる症状がある場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。

子宮腺筋症に対するディナゲストの効果

①エストロゲンの分泌を抑制
②子宮内膜組織の増殖を直接的に抑制
③炎症反応を抑え、痛みを緩和

この3つの作用により、激しい月経痛の軽減、子宮内膜組織の増殖抑制、不正出血の改善、腰痛などの関連症状の緩和が期待できます。
特徴的なのは、従来の治療薬と比べて副作用が比較的少なく、長期使用が可能な点です。
投与初期には不正出血が起こることがあり、これは徐々に改善していく傾向にあります。
効果の現れ方には個人差があります。定期的な経過観察が必要です。

月経困難症の改善

月経困難症とは?
生理中やその前後に起こる強い痛みや不快な症状のことです。

月経困難症の症状

  • 激しい下腹部痛や腰痛
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 疲労感
  • イライラや憂うつ

月経困難症には大きく分けて2つのタイプがあります。

①機能性月経困難症(きのうせいげっけいこんなんしょう)

原因となる病気がないタイプです。
主に10代の若い女性に多く見られます。
プロスタグランジンという物質が子宮を過剰に収縮させることで痛みが生じます。

②器質性月経困難症(きしつせいげっけいこんなんしょう)

子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因で起こるタイプです。
従来は30代以降に多いとされていましたが、最近では若い世代でも増加傾向にあります。

以前は「年齢とともに軽くなる」と言われていましたが、現代では必ずしもそうとは限りません。
つらい症状がある場合は、我慢せずに早めに婦人科を受診することをおすすめします。
早期発見・早期治療が重要なので、月経痛で日常生活に支障がある場合は、積極的に病院を受診しましょう。

月経困難症に対するディナゲストの効果

①卵巣機能の抑制

私たちの体内では、エストロゲンというホルモンが子宮内膜を成長させています。
ディナゲストは、このホルモンの分泌を穏やかに抑えることで、子宮内膜の過剰な増殖を防ぎます。

②子宮内膜細胞の増殖抑制

直接的に子宮内膜の増殖をストップさせる効果もあります。
これにより、月経時の子宮内膜のはがれ落ちる量が減少し、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の放出も抑えられます。

「痛みの原因を根本から減らす」という考え方です。
市販の痛み止めが一時的な対症療法なのに対し、ディナゲストは原因に働きかけるため、より確実な効果が期待できます。
生理痛は我慢するものではありません。
適切な治療で、快適な毎日を過ごしましょう。

子宮内膜症の手術後の再発予防

子宮内膜症の手術を受けた方の多くが気になるのが「再発」の問題です。
せっかく手術で治療しても、その後の対策を怠ると再び症状が現れる可能性があります。
子宮内膜症は、手術で目に見える病変を取り除いても、顕微鏡レベルの小さな病変が残っている可能性があります。
これらがふたたび時間とともに大きくなり、再発につながることがあるのです。

商品名無治療患者低用量ピル使用群ディナゲスト使用群
検査人数83人32人27人
再発した人数12人3人1人
割合14%9%4%

この結果から、ディナゲストによる治療が最も再発率が低いことがわかりました。

また再発した患者の内11人は再発直後からディナゲストの使用を開始しました。
7人は2年間治療継続し、4人は完全に治ったと報告されています。
手術後の再発予防には、ディナゲストが効果的な選択肢の一つと言えます。
ただし、薬の使用については、個人の状況や希望(妊娠予定など)に応じて、必ず医師と相談の上で決めることが大切です。

※研究結果参考サイト

Dienogest therapy during the early stages of recurrence of endometrioma might be an alternative therapeutic option to avoid repeat surgeries
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29992672/

ディナゲストの副作用と注意点

ディナゲストの副作用

ディナゲストにはどのような副作用があり、どう対処したらよいか服用する前にある程度は知っておく必要があります。
ディナゲストの服用は長期間に渡ります。
そのため服用する際の注意点についても理解しておかなければなりません。
一緒に服用してはいけない医薬品や飲み忘れたときの対処法などについて解説していきます。

副作用

重大な副作用とは?
最も注意が必要な副作用として、ディナゲスト投与後に重度の不正出血があらわれ、重度の貧血に至ることがあると報告されています。
出血量が酷い場合は血液検査を行うようにしましょう。
またアナフィラキシーの発生も報告されています。
呼吸困難やじんま疹、全身の痒みがあらわれることがあります。
アナフィラキシー症状は非常に危険ですので直ちに医師の診断を受けましょう。
いずれも発生頻度は不明です。

その他の副作用とその特徴

不正出血(94.6%)

最も多く報告されている副作用は、不正出血(94.6%)です。
とくに服用開始から3ヶ月程度は、予期せぬタイミングでの出血が起こりやすい時期です。
これはディナゲストの作用によって起こる正常な反応であり、多くの場合、時間とともに落ち着いていきます。

ほてり、頭痛や吐き気

服用開始時に比較的よく見られますが、徐々に体が薬に慣れていくことで改善することが多いとされています。
また、むくみや体重増加を経験する方もいます。
これは女性ホルモンの影響による水分貯留が原因と考えられています。
適度な運動や食事管理で、ある程度は予防できる可能性があります。

副作用への対処法

軽度の副作用に関しては、以下のような対策が効果的です。

不正出血

生理用品の携帯と交換

頭痛

十分な休息と水分摂取

むくみ

適度な運動と塩分制限

吐き気

食事時間の調整と少量頻回摂取

ディナゲストによる副作用は、個人差が大きく、すべての方に同じように現れるわけではありません。
多くの場合、時間とともに症状は落ち着いていきます。

服用する際の注意点

①服用する時間

服用時間は医師の指示のもと毎日決まった時間に服用することが大切です。
もし万が一飲み忘れてしまった場合には、気づいたときにすぐに1錠服用してください。
ただし、次の服用時間が近い場合は、2錠分をまとめて服用せず、1錠だけ服用するようにしましょう。

②食事の影響

食事の有無に関わらず服用できますが、胃への負担を減らすため、食後に服用することをおすすめします。

③相互作用

他の医薬品を飲んでいる場合には相互作用に注意が必要です。
とくに、エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗生剤と併用することで作用が強まる可能性があるため併用薬がある場合にはあらかじめ医師に伝えておきましょう。

④不正出血

服用中に予期せぬ出血が起こることがありますが、その量や期間には個人差があります。
大量の出血が続いたり、急に大量の出血があった場合は、貧血になるリスクがあるため、すぐに医師に相談しましょう。
とくに子宮腺筋症や子宮筋腫がある方は、貧血になりやすい傾向があることがわかっています。

⑤長期服用の場合

定期的な検査が必要です。
1年を超える服用については、医師が必要と判断した場合のみ継続し、血液検査や骨密度検査などを定期的に受けることが推奨されています。

⑥精神面への影響

更年期障害のような症状やうつ症状が現れることがあるため、気分の変化を感じたら、遠慮なくご相談ください。

このように、ディナゲストは効果が期待できる医薬品ですが、安全に服用するためには、医師との密接なコミュニケーションと定期的な検査が欠かせません。

ディナゲストに関するよくある質問

ディナゲストに関するよくある質問画像
Q
ディナゲストを服用すると肌が綺麗になりますか?
A

ディナゲストには、直接的な美肌効果はありません。
ディナゲストは黄体ホルモン作用を持つため、理論的には皮脂分泌を増やす可能性があり、むしろニキビができやすくなる可能性も考えられます。
もし肌質改善が主な目的であれば、低用量ピルの方が適している可能性があります。
低用量ピルには卵胞ホルモンが含まれており、皮脂分泌を抑制し肌質改善が期待できるためです。
ただし、これらの医薬品は医師による処方が必要で、肌質改善だけを目的とした使用は推奨されません。肌のお悩みがある場合は、まず皮膚科の専門医に相談することをおすすめします。

Q
ディナゲストを服用すると太りますか?
A

ディナゲストは直接的に太る作用を持った医薬品ではありません。
ただし、服用中に体重が増える方もいらっしゃるのは事実です。
その理由として、黄体ホルモン作用により、体内の水分保持が増えることで、一時的な体重増加(むくみ)が起こる可能性があります。
また、食欲が増進する方もいらっしゃいます。
体重の変化には個人差が大きく、変化がない方も多くいらっしゃいます。
気になる方は、規則正しい食生活を心がけ、適度な運動を継続しましょう。
むくみが気になる場合は軽い運動や足を高くして寝るなどの対策をとると良いでしょう。

Q
ディナゲストを服用すると不正出血する理由は何ですか?
A

不正出血は、ディナゲストを服用される方の約8~9割が経験する一般的な副作用です。
ではなぜ起こるのでしょうか?
ディナゲストには子宮内膜を薄くする作用があります。
その過程で子宮内膜が不安定になり、予期せぬ出血(不正出血)が起こることがあるのです。
これは薬が効いている証拠でもあり、多くの場合、服用を継続していくうちに徐々に改善されていきます。
ただし、出血量が多い、出血が長期間続く、強い腹痛を伴うなどの場合には医師に相談が必要です。
あくまでも気になる症状がある場合は、自己判断しないことが大切です。

まとめ

ディナゲストは、子宮内膜症や子宮腺筋症、月経困難症の治療に使用される医療用の医薬品です。
主に黄体ホルモン作用により、子宮内膜の増殖を抑え、症状の改善が期待できます。
ディナゲストの効果には、子宮内膜症の進行抑制、月経痛などの痛みの軽減、手術後の再発予防、子宮腺筋症への症状改善が認められます。
一方で、知っておくべき副作用として不正出血(とくに服用初期)があります。
ホルモンバランスの変化による体調変化やむくみ、体重変化の可能性についても気を付けなければなりません。
これらの副作用は個人差が大きく、すべての方に現れるわけではありません。
多くの場合、服用を継続することで症状は安定していきます。
服用にあたっての重要な注意点は、必ず医師の指示に従って服用することが大切です。
自己判断で服用を中止しないこと、気になる症状がある場合は早めに相談すること、定期的な通院と経過観察が必要になります。
ディナゲストは、つらい症状の改善に効果を発揮する一方で、適切な使用と管理が必要な医薬品になります。
不安なことがあれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
なお、妊娠を希望する方は、必ず主治医と相談の上で服用を検討してください。

出典

ディナゲスト錠0.5mg添付文書
ディナゲスト錠1mg添付文書
Dienogest therapy during the early stages of recurrence of endometrioma might be an alternative therapeutic option to avoid repeat surgeries
ディナゲスト錠1mgインタビューフォーム
日本産婦人科学会(子宮内膜症)
日本内分泌学会(子宮腺筋症)
日本産婦人科学会(月経困難症)
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