子宮筋腫とは

子宮筋腫とは子宮に出来る良性腫瘍のことをいい、命などに関わってくるものではなく30〜40代の女性の約4割にみられるともいわれており、女性にとって比較的身近な病気です。
卵巣から分泌されるエストロゲンの影響で大きくなり、閉経をすれば小さくなります。
無症状の方もいれば、筋腫の大きさや数、出来る場所によって様々な症状が現れることもあり、個人差が大きい病気とも言えます。
初潮前の幼少期や閉経後に発症することはまれであり、性成熟期から更年期の期間である「20代から50代」にみられる病気とされています。
主な症状
子宮筋腫の主な症状は「月経の出血量が多い(過多月経)」「貧血」「月経痛(月経困難症)」などがありますが、以下のように様々な症状を引き起こします。
▼よくある自覚症状一覧
- 過多月経・過長月経
- 不正出血
- 鉄欠乏性貧血(動悸・息切れ・めまい・疲れやすくなるなど)
- 月経痛(月経困難症)
- 腹痛
- 頻尿
- 便秘など
無症状でも要注意
子宮筋腫は小さいうちには自覚症状が無いケースが大半になり、気付かずに生活を送っている人も多く、別の病気の検査で発覚することが起きるほど無症状はよくあることです。
しかし、腫瘍が今後大きくなる可能性や体の不調、妊娠や出産に対しての影響もあるので無症状だとしても注意は必要ですので定期的な経過観察が必要です。
子宮筋腫の原因
子宮筋腫は多くの女性が罹る病気ではありますが、明確な原因はまだわかっていません。
しかし、女性ホルモンであるエストロゲンとの関わりが深く、子宮の筋層にある細胞の遺伝子変化などが関与しているのではないかと考えられています。
「性行為をしすぎると子宮筋腫になる」という話が出ることもありますが、それは間違いであり関係はありません。
年齢との関係
子宮筋腫は30代から50代に多いと言われています。
それは筋腫が女性ホルモンの影響を受けて増えたり大きくなったりするからです。
生理が来ていない幼児期や閉経後に問題が起こることは稀でありますので、性成熟期から更年期の期間である「20代から50代」にみられる病気とされています。
子宮筋腫と生理の関係

子宮筋腫が出来ると月経の痛みや量に大きな影響を与えます。
このような症状を放置してしまうと不妊の原因や貧血になってしまうので早めの診察が大切になります。
子宮筋腫が原因となる生理の症状
子宮筋腫が原因になる生理の症状は過長月経・過多月経があります。
過長月経や過多月経では、出血が7日以上続いたり、1〜3時間おきにナプキンやタンポンの交換が必要になるなど出血量が多くなります。
出血量が多いことにより鉄欠乏性貧血になっている場合もあるので注意が必要です。
また、日常生活に支障が出るほどの生理痛を月経困難症といい、子宮の収縮が強まることにより強い痛みが出たりレバー状の塊が出たりします。
月経以外に現れる症状
月経時以外で子宮筋腫があることにより出る症状には頻尿や腰痛があり、これらの症状は筋腫が大きくなることによって膀胱や下腹部を圧迫することで起ると言われています。
他にも不妊症の原因になることもありますが、すべての子宮筋腫が不妊につながるわけではありません。
出来る場所によって受精卵が着床しにくくなってしまい不妊の原因になってしまったり早産や流産の原因になってしまう場合もあります。
筋腫の場所による症状の違い
子宮筋腫は筋腫の出来る場所によって症状の出方が変わります。
出来る場所は主に3か所に分かれます。
粘膜下筋腫(子宮の内側)
子宮の内側に出来た筋腫「粘膜下筋腫」は経血の量が多くなり、強い生理痛やひどい貧血を起こすなど小さくても症状が強く出ることがあります。
子宮の内側に向かって成長することで子宮内膜を圧迫してしまい、子宮内膜が変形して受精卵が着床しにくくなり不妊の原因になりやすいと言われています。
漿膜下筋腫(子宮の外側)
子宮の外側に出来た筋腫「漿膜下筋腫」はお腹のしこりやふくらみなどの腹部腫瘤感や圧迫感が現れますが、腫瘍が大きくなるまでは無症状なことが多く発見されにくいタイプになります。
また、子宮本体からは離れていて細い茎で繋がっている「有茎性漿膜下筋腫」の場合もありますが、こちらは茎の部分がねじれてしまい痛みが出ることが稀に起こります。
この場合は子宮内部に影響が出ないので不妊の原因となることはほぼないと言われています。
筋層内筋腫(子宮の筋層)
子宮の筋層の中に出来る「筋層内筋腫」は過多月経や下腹部の痛み、粘膜下筋腫や漿膜下筋腫と同じ症状も出ることがあります。
この筋層内筋腫が子宮筋腫の中では最も多いタイプになります。
筋腫の大きさが小さいと痛みを含む自覚症状が出にくいですが、大きくなると不正出血、月経過多、妊娠中では早産や流産の原因になってしまう可能性もあります。
妊娠や出産への影響
子宮筋腫は生理だけでなく、妊娠中や出産時にも影響を与えることがあります。
妊娠中は筋腫が5cm以上の大きさだと早産や流産、胎位異常や胎児発育不全、腹痛・発熱、合併症などが起こる可能性が高くなります。
また、出産時では産道がふさがってしまう場合があるので帝王切開になる可能性の増加や子宮の収縮が不十分なことで分娩時・産後の出血が増えたり陣痛異常が起こる可能性が高くなります。
多くの場合、妊娠中は経過観察で対応しますが定期的な診察や安全な出産方法を相談することが大切になります。
子宮筋腫の治療方法

子宮筋腫の治療方法は主に「経過観察」「手術療法」「薬物療法」の3種類があります。
経過観察
筋腫が小さい場合や無症状や症状が軽い場合は経過観察になります。
経過観察では3ヶ月~6ヶ月に1回など定期的に血液検査や超音波検査をし、筋腫が大きくなっていないかや貧血の有無などを調べます。
手術療法
手術では「子宮筋腫核出術」と「子宮全摘出術」があり、子宮筋腫核出術は子宮筋腫だけを切除する方法で子宮全摘出術は子宮全体を摘出する方法になります。
子宮筋腫核出術
子宮筋腫核出術は子宮を全摘出するのが不安な方や将来妊娠を望んでいる方に向いている手術です。
妊娠の可能性を残すことが出来てどんな子宮筋腫にも適応できるメリットがありますが、子宮を残して筋腫だけを取り除くので小さな筋腫の芽まで取り除くことが出来なかったり子宮に残った筋腫が大きくなり新しい筋腫が出来て再治療が必要になる可能性が起こるというデメリットもあります。
方法としては、開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術などがあります。
子宮全摘出術
子宮全摘出術は妊娠を望まない方や子宮を残さなくていいという方に考えられる手術です。
筋腫の数の多さや大きさにより他の治療や筋腫核出術で効果がみられないと医師が判断した際にすすめられることもあります。
子宮筋腫の症状がなくなり子宮頸がんなどになる心配や再発の心配が無くなるメリットがありますが、今後妊娠が出来なくなることや精神的な喪失感などのデメリットがあります。
また、子宮筋腫の治療の為に行われる場合、基本的には卵巣を残すことになるので女性ホルモンの分泌には影響がないとされています。
方法としては開腹手術、腟式子宮全摘術、腹腔鏡下子宮全摘術などがあります。
薬物療法
薬物療法では低用量ピルや消炎鎮痛剤を使用する「対症療法」と女性ホルモン剤を投与する「ホルモン療法」があります。
対症療法
対症療法は筋腫を小さくする方法ではありませんが生理痛などの痛み、貧血、過多月経や不正出血などの諸症状を改善・緩和する方法です。
使用する薬は低用量ピル、消炎鎮痛剤、止血剤、鉄剤、漢方などがあります。
ホルモン療法
ホルモン療法は女性ホルモンの分泌を抑えて一時的に閉経状態にすることで筋腫を小さくする方法で、GnRHアナログ製剤という女性ホルモンを減少させる薬を使用します。
筋腫を小さくして手術の難易度を下げる目的や過多月経による貧血の改善、閉経が近い年齢の方に対しての症状を改善させながら自然閉経まで待つ逃げ込み療法として行われます。
GnRHアナログ製剤にはGnRHアゴニストという皮下注射剤と点鼻薬、経口剤がありますが、女性ホルモンが減少するので更年期障害に似た症状や長期的な投与によって骨粗鬆症という副作用のリスクがある為に原則6ヶ月が上限として連続投与が行われます。
薬物療法に使われる薬としてルナベルという低用量ピルやレルミナというGnRHアナログ製剤があります。
ルナベルは主に月経困難症や子宮内膜症の治療に使われる低用量ピルになり、LDという低用量とULDという超低用量があり、避妊目的では処方されない薬で女性ホルモンを少ない量で安定させることにより頭痛や下腹部やイライラを落ち着かせる作用があります。
また、子宮内膜が増えるのを防ぐ作用があるので出血量の軽減や痛みの緩和も期待出来ます。
レルミナは2019年に登場した子宮筋腫によって起こる症状の改善をしてくれるGnRHアナログ製剤の内服薬で服用を開始してから数週間〜1ヶ月程度で女性ホルモンを閉経レベルまで減少させ無月経と筋腫の縮小の効果が期待出来ます。
内服薬なので服用しやすいというメリットがありますが副作用として不正出血、骨粗鬆症のリスクが上がる、更年期障害と似たような症状が出たりする可能性があります。
子宮筋腫以外にも子宮内膜症の治療でも使われる薬になります。
<関連商品①>
・トリキュラー
トリキュラーは国内の産婦人科で一番処方されているピルで「第二世代のピル」です。
黄体ホルモンと卵胞ホルモンが配合されていて、排卵を引き起こすホルモンの分泌を抑制します。
21錠の実薬の女性ホルモン配合量が生理周期に合わせて調整されている3相性という種類のピルになります。
主な副作用:吐き気、不正出血、食欲不振、腹痛など
| 商品名 | トリキュラー |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 一般名 | エチニルエストラジオール0.03mg/レボノルゲストレル0.05mg |
| メーカー | Bayer(バイエル)/Zydus Healthcare(ザイダス ヘルスケア) |
| 購入ページ | トリキュラーの購入はこちら |
<関連商品②>
・マーベロン
マーベロンは国内の産婦人科で処方されているピルで「第三世代のピル」です。
トリキュラーと同じで黄体ホルモンと卵胞ホルモンが配合されていますが、21錠の実薬の女性ホルモン配合量が全て一定になっている1相性という種類のピルになります。
主な副作用:吐き気、不正出血、食欲不振、腹痛など
| 商品名 | マーベロン |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | エチニルエストラジオール0.03mg/デソゲストレル0.15mg |
| メーカー | MSD(メルクアンドカンパニー)/Organon(オルガノン) |
| 販売ページ | マーベロンの購入はこちら |
<関連商品③>
・マレフェMTF
天然の黄体ホルモンに近い作用を持つ代表的な合成黄体ホルモン薬です。
黄体ホルモンを補うことによってホルモンバランスの乱れによっておきる様々な症状を改善してくれます。
主な副作用:吐き気や嘔吐、腹痛、腹部膨満、悪寒、発疹など
| 商品名 | マレフェMTF |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | メドロキシプロゲステロン酢酸エステル10㎎ |
| メーカー | West-Coast Pharmaceutical Works Ltd(ウエストコースト) |
| 販売ページ | マレフェMTFの購入はこちら |
<関連商品④>
・プレモン
更年期障害の治療などで処方されるプレマリンのジェネリック医薬品で卵胞ホルモンが含有されています。
閉経後に体内で女性ホルモンを作れなくなることによって発症する更年期障害の様々な症状を改善し、女性ホルモンを安定させてくれます。
主な副作用:乳房痛・乳房緊満感、不正出血、吐き気など
| 商品名 | プレモン |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | 結合型エストロゲン0.625mg/1.25mg |
| メーカー | West-Coast Pharmaceutical Works Ltd(ウエストコースト) |
| 購入サイト | プレモンの購入ページ |
その他治療法
他にも治療方法として以下のようなものもあります。
子宮動脈塞栓術(UAE)
子宮動脈という子宮筋腫に栄養を与えている血流を止めて筋腫を壊死させることで筋腫を小さくしたり症状の改善を目的とするカテーテルを使った手術法です。
局所麻酔で出来るので傷が残りにくいことから体に負担が少ない治療法とされていますが、再発の可能性があったり将来妊娠・出産を望んでいる方には適用できないなどのデメリットもあります。
集束超音波治療(FUS)
MRIで子宮の位置を確認しながら体の外から高エネルギーの超音波を照射して熱で筋腫を壊死や小さくするメスを使わない手術法です。
切らないので体への負担が少なく入院期間が短いというメリットがありますが、筋腫の大きさや数によって適応できなかったり将来妊娠・出産を望んでいる方には適応できないデメリットがあります。
子宮鏡下手術
子宮鏡を使って子宮筋腫を切除する手術法です。
膣から子宮鏡を入れてモニターを見ながら先端の電気メスで切除をするのでお腹を切らずに手術が出来るのと将来妊娠・出産を望む方にも適応出来るメリットがあります。
しかし粘膜下筋腫以外のものには適応出来なかったり、筋腫が大きい場合には数回に分けて手術をすることもあるというデメリットがあります。
よくある質問

- Q子宮筋腫は癌になりますか?
- A
子宮筋腫は良性腫瘍ですので悪性腫瘍である癌になることはありません。
- Q手術は必須ですか?
- A
必ず必須な訳ではありません。
無症状の場合や生活に支障が出る場合、または筋腫が小さい場合は手術ではなく経過観察という選択肢もあります。
ただし、その際も定期的な検査はするようにしましょう。
- Qどんな人がなりやすいですか?
- A
30代から40代の人、初潮が早かった人、妊娠・出産の経験がなかったり少ない人、肥満や高血圧・飲酒習慣など生活習慣のリスクがある人がなりやすいとされています。
エストロゲンの分泌期間が長くなることで子宮筋腫になるリスクが高くなると考えられているので上記のような場合が子宮筋腫になりやすい特徴とされています。
- Qどのような検査をしますか?
- A
主な検査は婦人科の内診と超音波検査になります。
内診では筋腫の大きさや形、痛みなどを確認し、超音波検査で正確な筋腫の数や位置や大きさを確認します。
この二つの検査で腫瘍が大きかった場合や手術を考えている場合には追加でMRI検査をします。
MRI検査では超音波検査より細かく筋腫の大きさや場所、状態を確認します。
- Q子宮筋腫に似た病気はありますか?
- A
子宮筋腫に似ている病気には「子宮内膜症」「子宮肉腫」「子宮腺筋症」などがあります。
・子宮内膜症
子宮の内側にしかないはずの子宮内膜の一部が子宮の外側(卵巣など)で増殖してしまう病気です。
月経の度に出血をし炎症や癒着が起こり強い月経痛が起こり20代から40代の幅広い年齢層にみられる病気です。
また、卵巣に子宮内膜組織があるとチョコレート嚢腫と呼ばれる嚢胞ができることもあり重症化すると月経時以外でも下腹部痛や腰痛や薬の効かない程の痛みが起こる場合もあります。・子宮肉腫
子宮筋層内出来る悪性腫瘍のことで子宮筋層や子宮内膜の間質と呼ばれる場所に発生します。
子宮ガンなどに比べて非常に稀な病気であり、子宮筋腫と似て初期には特に症状が無いことが多いです。
腫瘍が急速に大きくなり閉経後も成長を続け、他の臓器にも転移することもある命にかかわる病気になるので早めの受診が大切になります。・子宮腺筋症
子宮内膜に似た組織が筋層内に潜り込み増殖し、その部分で月経の周期に合わせて出血を繰り返す病気で出産経験のある30代後半から40代に多くみられる病気です。
強い月経痛が月経開始前から終わりまで続くことがあり、進行すると月経時以外でも痛みが続くことがあり過多月経や下腹部痛も子宮腺筋症の典型的な症状です。
まとめ
子宮筋腫は女性に多い良性腫瘍ですが、症状や生活への影響は人によって大きく異なります。
過多月経や強い生理痛などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
また、症状の程度や年齢、妊娠希望の有無などによって治療方法は異なるため、医師と相談しながら自分に合った治療を選びましょう。
参考元
子宮筋腫note
公益社団法人 日本産科婦人科学会
公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会
ルカレディースクリニック(レルミナの特徴)









