なぜ緊急避妊薬(アフターピル)の購入ルールが変わったの?

緊急避妊薬は、性行為から72時間以内に飲めば高い確率で妊娠を防げる効果が認められていますが、医師の処方箋がなければ入手することができませんでした。
そのため、土日や夜間などの医療機関が閉まっている時間帯に避妊失敗した場合、医療機関を受診するまでに時間がかかり、結果的に服用が間に合わなくなるケースが少なくありませんでした。
こうしたことから、よりアクセスを良くするべきではないかとの声が上がっており、2023年11月から一部の薬局では、医師の診察と処方箋なしでも緊急避妊薬を購入できる試験的な販売が始まっています。
緊急避妊薬(アフターピル)について詳しく知りたい方は下記のコラムで詳しく解説しております。
緊急避妊薬はどうやって買えるようになった?

処方箋有りで購入する場合は、医師の診察を受け薬剤を処方してもらいます。
一方で、処方箋なしで緊急避妊薬を購入する場合、年齢制限やルールが厳しく設定されています。購入できるのは16歳以上の女性に限られ、16~17歳の方は保護者の同伴と同意が必要になっています。年齢を満たしていることを確認したら、薬局へ行く前に、購入希望者本人が薬局に緊急避妊薬が売り切れていないか、値段、購入に行く時間など問い合わせを行わなければなりません。すべての薬局が対象ではなく、店舗は2024年10月末時点で全国339店舗となっています。
薬局と連絡が取れたら、身分証明書やお薬手帳など持ち物を持っていきます。薬局に到着したら、専門の薬剤師から薬の情報提供を受け、その場で服用します。
その後、アンケートへの回答・調査研究への参加同意などが求められます。
処方箋無しで緊急避妊薬を購入する方法について、より詳しく知りたい方は下記のコラムをお読みください。
「薬剤師の前で飲む」ってどういうこと?
緊急避妊薬の新ルールにおいて、最も注目されているのが「薬剤師の面前での服用」という点です。
この措置の目的の1つは、緊急避妊薬の転売や、本来の目的とは異なる不適切な使用を防止することです。
緊急避妊薬は、あくまで緊急時の避妊手段であり、継続的な避妊方法ではありません。しかし、処方箋なしで手軽に購入できるようになると、転売目的で購入する人が現れたり、本来の使用目的から外れた利用がされるリスクが考えられます。薬剤師が目の前で服用を確認することで、このような事態を防ぐことができます。
もう1つの目的は、効果を高めるためです。アフターピルは、早く服用すればするほど、妊娠を防ぐ効果が向上しますので、自宅に帰ってから服用するより有効性が高められる可能性があります。
服用する前に知っておきたい注意点

緊急避妊薬は、必要な時に助けとなる重要な薬ですが、服用する前に必ず知っておきたい注意点がいくつかあります。
薬の効果を高めるために早く服用する
緊急避妊薬は「100%妊娠を阻止する薬ではない」ということを理解しておくことが最も重要です。性交後72時間以内に服用した場合、妊娠を阻止できる確率は約85%とされています。
性交から時間が経てば経つほど効果は低下します。特に、性交後24時間以内に服用することが最も効果的だとされています。
副作用が出る可能性がある
緊急避妊薬の副作用として最もよく見られるのは、吐き気や頭痛、不正出血、乳房の張りなどです。
これらの症状は通常、一時的なもので、数日以内に治まります。しかし、激しい腹痛や重度の吐き気などが続く場合は、すぐにお近くの医療機関を受診してください。
継続的な避妊には不向きで性感染症は防げない
緊急避妊薬は、あくまで「緊急時」の避妊方法で最終手段です。継続的な避妊法として使うことは推奨されていません。服用後も妊娠を望まない場合は、コンドームや低用量ピルなど、他の避妊の確立の高い方法を検討する必要があります。
すでに緊急避妊薬が入手しやすい環境が整備されているアメリカでは、コンドーム着用率が減少したとのデータもあります。
コンドームを着用しないと、性感染症にかかるリスクが増加しますので、性感染症予防もしておく必要があります。
服用できない人もいる
緊急避妊薬は、特定の病気やアレルギーを持つ人には服用できない場合があります。例えば、肝機能障害のある方は、肝臓に負担がかかるため服用できません。
心臓に病気を抱えていた人は、ナトリウムまたは体液が貯まりやすくなるため、服用は推奨されません。また、授乳中の方はアフターピルを服用すると乳汁に移行してしまうので、服用は避けてください。
これからルールはどう変わっていくの?

2025年8月、「医師の処方箋なしに薬局やドラッグストアで購入できるようにする方針」が専門家の会議で了承されました。つまり、現在一部の薬局で試験的に導入している市販化販売が全国に拡大する見込みがたったということになります。これからどのようにルールが変わっていくかを解説します。
対応している薬局
試験的な市販化が終わった後も、全ての薬局で緊急避妊薬が購入できるわけではありません。
緊急避妊薬を取り扱う薬局は、「新制度に対応した薬局」で、専門の研修を受けた薬剤師が常駐している必要があります。
事前に薬局のウェブサイトや、厚生労働省が公開しているリストなどで、取り扱いがあるかどうか確認するようにしましょう。
購入ルール
購入できる年齢に制限はなく、20歳未満の方が購入する場合でも親の同意は不要となります。
そして、店舗での対面販売のみで、薬剤師から薬の情報提供を受けたうえで、その場で服用することを義務づけられています。
薬剤の目の前で服用するルールについては、早く服用することで薬の効果がより高まることなどから引き続き設定されています。オンラインでの購入はできません。
適用時期
緊急避妊薬の処方箋無し販売は、専門家の了承を得ていますが、まだ試験的な段階にあります。
一般的に了承を得てから正式な承認を受けるまで3~4ヶ月ほどはかかるとされているため、2026年の春ごろには処方箋なしでも全国で緊急避妊薬が手に入るのではないかと予想されています。
利用者の声や運用状況を慎重に見極めながら、今後のあり方を検討していくことになっています。
事前に備えるには?購入や相談の方法
緊急避妊薬は、もしもの時に頼りになる薬ですが、いざという時に慌ててしまうと、適切な行動が取れないこともあります。日頃から、もしもの事態に備えておくことが大切です。
薬局で購入する場合
緊急避妊薬を取り扱う薬局は、すべての薬局ではありません。厚生労働省のウェブサイトや、各自治体のウェブサイトなどで、対応薬局のリストが公開されています。
事前に自宅や職場の近くにある薬局を調べておくことをお勧めします。また、薬局の営業時間や、薬剤師が常駐している時間帯も確認しておきましょう。特に、土日や夜間に対応している薬局は限られているため、事前に調べておくことが重要です。
医療機関で購入する場合
緊急避妊薬は、薬局での購入だけでなく、これまで通り医療機関を受診して処方してもらうことも可能です。
特に、服用に不安がある場合や、持病がある場合は、まずは医師に相談することが最も確実です。
産婦人科や、婦人科を受診することで、緊急避妊薬の処方だけでなく、今後の避妊方法についても相談することができます。
個人輸入で購入する場合
一部の医薬品の個人輸入は認められているため、自身で使用する場合には個人輸入で購入することも可能です。
医療機関を受診する時間がない方には適切な方法ですが、アフターピルをこれまで使用したことがない方や医師から説明を聞いた上で服用したい方は医療機関や薬局での購入がおすすめです。
アフターピルの違いや種類について詳しく知りたい方は下記のコラムをお読みください。
<関連商品①>
●ノルレボ
ノルレボは、「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンが配合された、アフターピル(緊急避妊薬)です。
性交後24時間以内の服用で約95%避妊可能な実証データがあり、72時間(3日)以内に服用することにより高い避妊効果が期待できます。
服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、もう1錠追加服用する必要がある為、複数個のご準備が推奨されています。
| 商品名 | ノルレボ |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | レボノルゲストレル1.5mg |
| 価格 | 1箱2860円~ |
| メーカー | Laboratoire HRA Pharma(エイチアールエーファーマ) |
| 購入ページ | ノルレボの購入はこちら |
<関連商品②>
●アイピル
アイピルもノルレボと同じく、「レボノルゲストレル」が配合されたアフターピル(緊急避妊薬)です。
性交後24時間以内の服用で約95%避妊可能な実証データがあり、72時間(3日)以内に服用することにより高い避妊効果が期待できます。服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、もう1錠追加服用する必要がある為、複数個のご準備が推奨されています。
| 商品名 | アイピル |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | レボノルゲストレル1.5mg |
| 価格 | 1箱770円~ |
| メーカー | Piramal Healthcare(ピラマルヘルスケア) |
| 購入ページ | アイピルの購入はこちら |
<関連商品③>
●エラワン
エラワン(緊急避妊薬)は性交後120時間以内の服用で約85%、72時間以内のエラワン服用で約95%避妊が可能なアフターピルです。
既に、妊娠反応が出ている方・妊娠中の方の中絶目的での使用できませんので、ご注意下さい。
従来品より、1錠で飲み忘れのリスクを減らし、使用の時間制約も伸びています。
女性が自身の体の事を考えて、常備する方が増えています。
| 商品名 | エラワン |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | ウリプリスタール酢酸エステル30mg |
| 価格 | 1箱あたり4,455円~ |
| メーカー | HRA Pharma(エイチアールエーファーマ) |
| 購入ページ | エラワンの購入はこちら |
<関連商品④>
●ジョセイ
ジョセイは、「ウリプリスタル酢酸エステル」という黄体ホルモンが配合された、アフターピル(緊急避妊薬)です。従来のアフターピルが3日以内の服用が必要でしたが、性交から3日(72時間)以内であれば95%、5日(120時間)以内であれば85%で避妊することが可能な最新の緊急避妊薬です。
服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、もう1錠追加服用する必要がある為、複数個のご準備が推奨されています。※最新のアフターピル、エラと同成分・同効果です。
| 商品名 | ジョセイ |
|---|---|
| 画像 | ![]() |
| 有効成分 | ウリプリスタール酢酸エステル 30mg |
| 価格 | 1箱あたり4,200円~ |
| メーカー | Biofarma(バイオファーマ) |
| 購入ページ | ジョセイの購入はこちら |
アフターピルに関するよくある質問

- Qアフターピルはいつ飲めば良いのでしょうか?
- A
性交後72時間以内が効果的とされています。特に、24時間以内に服用すれば、より高い効果が期待できます。時間が経てば経つほど効果は低下するため、できるだけ早く服用することが重要です。
- Qアフターピルは何度も飲んで大丈夫でしょうか?
- A
緊急避妊薬は、緊急時の避妊手段であり、継続的な避妊方法ではありません。頻繁に服用すると、生理周期が乱れたり、副作用のリスクが高まる可能性があります。継続的な避妊を望む場合は、医師や薬剤師と相談し、低用量ピルなどの他の避妊方法を検討しましょう。
最後に
これまでは医師の処方箋がなければ手に入らなかった緊急避妊薬が、一定の条件を満たせば、よりアクセスしやすい薬局で購入できるようになりました。
しかし、この制度は、単に薬を手軽に手に入れるだけでなく、利用者の安全を確保し、適切な使用を促すための様々なルールが設けられています。特に「薬剤師の面前での服用」というルールは、薬の転売や不適切な利用を防ぐための重要な措置です。
緊急避妊薬は、あくまで緊急時の避妊手段であり、継続的な避妊法ではありません。もしもの時に備え、事前に対応薬局を調べておくこと、また、服用する際には薬剤師の説明をよく聞き、正しい知識を持って利用することが重要です。
出典
緊急避妊薬一部薬局で試験販売information
ツルハドラック-緊急避妊薬の取り扱いについて
「緊急避妊薬」医師の処方箋なくても薬局などで販売へ【Q&A】









