不安や恐怖がつきまとう強迫性障害とは?症状と診断・治療法を解説

不安や恐怖がつきまとう強迫性障害とは?症状と診断・治療法を解説 メンタルヘルスケア

強迫性障害とは

強迫性障害とはのイメージ画像

強迫性障害とは、強い不安にとらわれることで日常生活に支障をきたす疾患です。例えば「家のドアに鍵をかけたかどうかが気になり何度も家に戻って確認してしまう」「自分にウイルスがついていると不安になり、異常なまでに手を洗ってしまう」といったようなケースです。
ほどほどの心配であれば問題ありませんが、不安が大きくなり生活が不便になっている場合は「強迫性障害」かもしれません。
最近では、2024/2/20に芸人プラスマイナスの岩橋さん、2024/2/6に俳優の佐藤二朗さん、2023/12/27に歌手の道重さゆみさんなどの芸能人も患っていることを公表し、話題になっています。

強迫性障害の症状と診断

強迫性障害の症状

強迫性障害のメカニズム画像

強迫性障害は、不安が頭から離れない「強迫観念」とその不安から実際に行動に起こしてしまう「強迫行為」の2つの症状があります。症状は強迫観念と脅迫行為を繰り返すことで徐々に強まっていきます。
強迫観念は、心配事や不安が頭から離れず、そんなことは実際ありえないと思っても頭の中から取り除くことができません。結果、普通以上に物事にこだわり、強迫行為として行動に移してしまうのです。具体的な事例としては以下のようなものがあげられます。

強迫観念強迫行為
不潔恐怖細菌やウイルスが付着しているのではないかと過剰に心配になり、入浴や手洗いを繰り返す。
エレベーターのボタンやドアノブなど誰が触ったかわからないものは触れられない
数字恐怖自分にとって幸運な数字や不吉な数字にとらわれ、縁起をかつぐレベルを超えてこだわる
儀式恐怖自分で決めた手順通りに物事を行わないと恐ろしいことが起こる恐怖から、どんなタイミングでも自分で決めた順序で家事や仕事を行う
配置恐怖物の置き方にこだわりがあり、少しでもずれていたり、違う場所にあるだけで不安になる
確認恐怖鍵の締め忘れ、ガス栓、電気のスイッチをきったかどうかを過剰に確認してしまう
加害恐怖自分の行動が誰かに危害を加えてしまったかもしれないと過度に悩み、新聞やテレビに自分の名前が出ていないか確認したり、警察や周囲の人に聞いたりする

強迫性障害の診断

強迫性障害は、画像検査で見つけられるようなものではありません。そのため、症状のレベルや日常生活の様子などを聞き取り、状況を総合的に判断し診断していきます。
ただ、基準となる指標として「DSM-5」「ICD-10」というものがあります。
「DSM-5」とは、アメリカ精神医学会で使用されている診断基準で、強迫性障害の定義としては以下が記載されています。

DSM-5による強迫性障害の診断基準

  • 強迫観念や強迫行為のどちらか、または両方がある
  • 症状により時間が浪費していたり、日常生活に支障をきたしていたりする
  • 他の精神疾患や喫煙・飲酒の影響ではない

「ICD-10」とは、世界保健機構によって作られた疾病分類で、統計に基づき分類しています。
強迫性障害の定義としては以下が記載されています。

ICD-10による強迫性障害の診断基準

  • 強迫観念や強迫行為が少なくとも2週間以上続き、日常生活に影響を及ぼしている
  • 症状が苦痛であり、楽しいと感じない
  • 何度も強迫観念・強迫行為が繰り返される
  • 行為をしたくないと思っているのにもかかわらず、してしまう

強迫性障害セルフチェック

強迫性障害セルフチェックのイメージ画像

「強迫性障害かもしれない」と悩んでいる方はぜひ下記のチェックリストを実施してみてください。

強迫性障害のセルフチェック項目

  • 同じような思考や衝動が繰り返し起こり、それが自分にとってとても嫌なものである。結果、強い不安や苦しみが引き起こされることがある
  • 不安な思いや苦しみ、衝動を抑えようと、他の思考や行動を試してしまうことがある
  • このような強迫的な思考や衝動的な行動は、自分が心理的に生み出したものだと感じる
  • 反復行動や頭の中の行為は、自分の中で絶対に適用しないといけないルールに則っており、強迫的に行っていると感じている
  • 不安を抑えようと行動することで、苦痛が和らいだり、恐ろしい状況を回避できると考えている
  • 不安を抑えようとして試す行動や行為は、コントロールしようとしているものとは無関係である、もしくは過剰すぎると感じる

6つの項目に当てはまる数が多いほど、強迫性障害の可能性が高くなります。不安な方は専門医の受診が推奨されます。

強迫性障害はこんな方に多い

強迫性障害になりやすい人のイメージ画像

強迫性障害になりやすい方には特徴がありますのでご紹介します。

几帳面で完璧主義

几帳面な方は、細かいことにも気が付くため仕事などでもミスを起こさないよう確認しますが、この行為がエスカレートすると何度確認しても「本当に大丈夫だろうか?」という不安を生みます。
確認した行為に自信がなくなり何度も何度もチェックするという悪循環に陥ります。
また、几帳面な人は完璧主義であることも少なくありません。理想が高く、失敗しないように頑張りすぎてしまいます。
自分にも他人にも厳しすぎることから、知らない間に自分も人も追い込んでしまうかもしれません。

こだわりが強い

こだわりが強い人も強迫性障害になりやすい傾向があります。こだわりが強いため、自分なりのルールや物事を行う手順がきっちりと決まっています。
思い通りにならないと不安になり、臨機応変に対応できなくなってしまいます。対応できなかったことからさらに不安になり、負のループに陥ります。

強迫性障害の治療法

強迫性障害の治療法のイメージ画像

薬物治療

強迫性障害には、主にセロトニンのバランスを調整する「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)」を使用していきます。強迫性障害の原因として、脳内神経伝達物質の1つであるセロトニンが関与しているのではないかと考えられています。
セロトニンは脳内の情報を伝達する役割を担っていますが、セロトニンのバランスが崩れることで情報伝達に不足が生じ、強迫性障害の発症につながるという仮説です。
そのため、セロトニンの量を調整するSSRIが最も効果的な薬剤と考えられています。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

<関連商品①>
●セルティマ【ジェイゾロフトジェネリック】

セルティマは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)抗うつ剤でジェイゾロフトのジェネリック医薬品です。抗うつ剤のゾロフトと効果も同じですが、価格は安く入手する事ができます。セルティマは、1日1回1錠の服用で有効な効果が見込めます。

商品名セルティマ【ジェイゾロフトジェネリック】
画像セルティマ【ジェイゾロフトジェネリック】
有効成分セルトラリン100mg 50mg 25mg
価格25mg:1錠あたり45円~
50mg:1錠あたり54円~
100mg:1錠あたり72円~
メーカーIntas Pharmaceuticals(インタスファーマ)
購入ページセルティマ【ジェイゾロフトジェネリック】の購入はこちら

<関連商品②>
●パキシル

パキシルは、SSRIに分類される抗うつ剤です。神経伝達物質である「セロトニン」を増やし、不安などの症状を改善する効果があります。強迫性障害以外にもうつ病やパニック障害にも適応を取得しています。

商品名パキシル
画像パキシル
有効成分パロキセチン20mg
価格20mg:1錠あたり160円~
メーカーGSK(グラクソ・スミスクライン)
購入ページパキシルの購入はこちら

<関連商品③>
●フルボキサミン

フルボキサミンは、ルボックス/デプロメールと同じ成分のジェネリック医薬品です。憂うつな気分、不安感、緊張感を和らげ、意欲を高めて気持ちを前向きにする薬剤です。
効果が比較的マイルドで使いやすく、抗うつ作用のほか、抗不安作用を持っており、社会不安障害や強迫性障害にも適応しています。

商品名フルボキサミン
画像フルボキサミン
有効成分フルボキサミン50mg
価格50mg:1箱あたり2700円~
メーカーNeuraxpharm Arzneimittel GmbH
購入ページフルボキサミンの購入はこちら

認知行動療法

強迫性障害を治していくために大切なこと

強迫性障害では、薬物療法のみでは十分な効果が得られないケースもあります。
そのため、疾患の症状に対する理解を促進し、間違った考え方をしていたら取り払い、疾患と向き合っていく「認知行動療法」が行われます。
認知行動療法の中でも、患者が強迫観念からくる不安に立ち向かい、強迫行為をしないで我慢する「曝露反応妨害法」が効果的であるとされています。
このような治療を続けていくことで、不安が出ても我慢することが繰り返され、症状がおさまっていきます。

強迫性障害に関するよくある質問

Q
強迫性障害は治りますか?
A

患者の症状や状態によって変わりますが、治療を行えば改善、人によっては完治が期待できる疾患です。
ただし、治療はすぐに行えるものではありません。
焦らずに、自分のペースで適切な治療を続けていくことで徐々に改善していきます。

Q
強迫性障害の方が発するサインはあるのでしょうか?
A

例えば、
「お風呂やトイレに入っている時間が長くなった」
「血液や排泄物を過剰に怖がるようになった」
「誰が触ったかわからないものに触れなくなった」
「トイレットペーパーやティッシュを大量に使用するようになった」

といったケースは、もしかしたら強迫性障害のサインかもしれません。何かの不安に駆られている可能性があります。
家族がこのような行動をしていたら、専門医の受診を勧めてあげましょう。

Q
強迫性障害の発症率はどのくらいでしょうか?
A

およそ2%といわれておりますので、100人に1~4名が生涯で経験する疾患です。
決して珍しい疾患ではありません。

最後に

強迫性障害は、特定の思考や行動の繰り返しや強迫観念によって日常生活が送れなくなる疾患です。
原因は様々なきっかけで発症しますが、原因を取り除いてもなかなか解決しにくいという特徴があります。
真面目で責任感が強いタイプがなりやすく、最近では多くの芸能人も患っていたことを公表しています。
決して珍しい疾患ではなく、放置しているとどんどん症状が悪化し、周囲から孤立してしまう可能性もあります。
強迫性障害かも?と思ったら早めに医療機関を受診し、治療を行っていきましょう。

出典

Japan Depression Center(JDC)一般社団法人日本うつ病センター
知ることからはじめよう こころの情報サイト 強迫性障害
メンタルヘルスNPO法人 生活の発見
タイトルとURLをコピーしました