喘息患者の新型コロナウイルス重症化の関連性
喘息は、気管支が慢性的に炎症を起こすことで、呼吸困難や喘鳴(ヒューヒューと呼吸する)などの症状が出る疾患です。
喘息の症状が悪化する原因は、ダニやカビなどのアレルゲンや冷たい空気、ストレスなどさまざまあげられますが、特に、風邪やインフルエンザ・新型コロナウイルスなどの感染症も喘息の症状をひどくさせるリスクとなります。
さまざまな感染症の中でも、2019年から世界中で猛威を振るった「新型コロナウイルス」ですが、実は喘息との関連性があると考えられています。
新型コロナウイルスの患者は、肺炎の合併が多いことがわかっています。
そのため、喘息の患者が新型コロナウイルスにかかると、新型コロナウイルスの症状が重症化し、呼吸不全が悪化するとされています。
新型コロナ感染に伴う喘息の悪化
喘息患者では、冒頭でも触れたとおり、空気の通り道である気道が炎症を起こしている状態です。
炎症が起こっているため、免疫機能も低下し、ウイルス感染を起こしやすい状態にあります。
このような中で、新型コロナウイルスなどのウイルスに感染すると、喘息の症状を悪化させる要因の1つとなります。
しかし、気道の炎症が落ち着いているとウイルスは侵入しにくくなるため、薬剤の服用や生活習慣の見直しをしっかり行い、喘息の症状をコントロールしていくことが大切です。
新型コロナウイルスが喘息患者に及ぼす影響
喘息の患者が新型コロナウイルスにかかると、喘息の症状も新型コロナウイルスの症状も悪化させてしまう可能性があることが分かりました。
そのため、喘息患者にとっては症状や治療に影響が及ぼされる可能性があります。
症状の悪化リスク
「新型コロナ感染に伴う喘息の悪化」のパートでも触れましたが、喘息を持っている方が新型コロナウイルスにかかると、喘鳴や呼吸困難などの喘息症状を悪化させてしまうことが想定されます。
まず、新型コロナウイルスにかかると肺炎を起こす可能性があります。
肺炎によって肺が傷つくと、空気を吸い込んでも肺が十分に膨らむことができなくなり、体の中に酸素を取り込みにくくなります。
結果、もともと呼吸が難しいとされていた喘息の症状は、より一層悪化してしまうのです。
このような症状は人によっては後遺症として、コロナウイルスが治った後も続く場合があります。
コロナウイルスが治癒した後も、喘息の症状は悪化し続けることとなりますので、注意が必要です。
薬剤の安定供給リスク
新型コロナウイルスと喘息の症状は互いに悪化させあうリスクとなりうる存在です。
このような中で新型コロナウイルスの流行や罹患が、喘息患者に与える影響は症状の悪化だけではありません。
新型コロナウイルスの流行によって、日々使っている喘息治療薬の供給が安定的にされないリスクも考えられます。
通常、喘息患者では「吸入ステロイド」という薬剤を吸い込むタイプの治療薬を使用して症状をコントロールしています。
しかし、吸入ステロイド薬の1つである「オルベスコ」が、コロナウイルスの症状改善に良いのではないかというデータが報告され、オルベスコの需要が供給を上回り、一時、出荷停止の制限がかけられました。
喘息患者にとっては、日々使用している薬剤が使えなくなるかもしれないという点で影響が出てしまうこともあります。
日常において注意すべき点
感染防止
ウイルス感染は、喘息の症状を悪化させてしまうため、まずはウイルスに感染しないよう、予防を徹底することが大切です。日常生活では、手洗いやうがいをこまめに行うことが大切です。
新型コロナウイルスは、目や口など粘膜から侵入するため、手で目をこすったり手でものを食べることは避けましょう。
帰宅した後だけではなく、食事の前にも石鹸を使ってよく手を洗うと安心です。手洗いは20秒以上かけると効果的であるとされています。
加えて、人が多い場所への外出は控えることも大切です。外に出るときには、マスクを着用することで感染率を低下させることができます。
人との会話はウイルスの飛沫が飛んでしまうので、マスクで防止することが期待できます。
薬剤での治療コントロールを継続する
ウイルス感染予防に加えて、毎日の症状をコントロールする薬剤治療の継続も大切です。
症状をコントロールすることは、感染した時の重症化を防げる可能性があります。
吸入ステロイド薬を使用するとウイルス感染しやすくなるという懸念が一時期話題になりましたが、全くそのようなデータはなく、治療を中断してしまう方が症状悪化・感染症にかかるリスクは上がってしまいます。
安心して現在の治療を続け、自己判断でやめないようにしましょう。
<関連商品①>
●モルヌビッド【モルヌピラビル】
モルヌビッド(Molnuvid)は、モルヌピラビルのジェネリック医薬品です。経口で服用が可能で、症状を改善するデータも認められていることから、世界的には主に自宅療養の際に使用されている薬剤となっています。先発薬と同じ成分、同じ成分量、同じ錠数で販売しておりますので、服用方法も先発品を同じとなっています。
商品名 | モルヌビッド【モルヌピラビル】 |
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有効成分 | モルヌピラビル |
価格 | 200mg:1錠あたり263円~ |
メーカー | Healing Pharma(ヒーリングファーマ) |
購入ページ | モルヌビッド【モルヌピラビル】の購入ページはこちら |
<新型コロナウイルス治療薬関連商品②>
●ブロムヘキシン
ブロムヘキシンは、ビソルボンのジェネリック医薬品で、痰を改善させるときに使用する薬剤です。痰が絡んでしまう症状に対して、痰の切れを良くして排出しやすくしてくれます。風邪にはもちろんですが、コロナウイルスやインフルエンザの治療・後遺症などで喉に痰が詰まっている、咳が止まらなくて苦しいという方などに使用されています。
商品名 | ブロムヘキシン |
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有効成分 | ブロムヘキシン塩酸塩8mg |
価格 | 8mg:1錠あたり39円~ |
メーカー | Ipca Laboratories(アイピーシーエー ラボ) |
購入ページ | ブロムヘキシンの購入ページはこちら |
<新型コロナウイルス治療薬関連商品③>
●アレックス 咳止めトローチ【デキストロメトルファン】
アレックス 咳止めトローチ【デキストロメトルファン】は、風邪、インフルエンザ、コロナウイルスなどによって引き起こされる咳を和らげる薬剤です。鎮咳成分であるデキストロメトルファンが咳中枢に働くことで、つらい咳を抑えます。1回1錠をかまずに、ゆっくり口の中で溶かしながら服用します。
商品名 | アレックス 咳止めトローチ【デキストロメトルファン】 |
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有効成分 | デキストロメトルファン5mg |
価格 | 5mg:1錠あたり44円~ |
メーカー | Glenmark Pharma(グレンマーク・ファーマ) |
購入ページ | アレックス 咳止めトローチ【デキストロメトルファン】の購入ページはこちら |
喘息と新型コロナウイルスに関するよくある質問
- Q喘息患者が新型コロナウイルスにかかった場合、喘息の治療はどうしたらよいでしょうか?
- A
基本的に、喘息の治療はやめずに治療継続します。治療を途中でやめることは、喘息発作の症状悪化や重症化をきたす可能性が高いとされています。喘息患者の中にはコロナウイルスの流行によって、病院への受診を控え、薬剤が切れたままそのままにされている方もいますが、薬がきれないようすることが大切です。
原則治療は続けますが、全身ステロイド薬の投与に関しては必要最低限にとどめるようにしてください。
- Q喘息治療薬を使用していることで、新型コロナウイルスにかかりにくくなったというデータはあるのでしょうか?
- A
モンテカルストを使用している高齢者の方が、内服していなかった高齢者に比べて、新型コロナの感染率と重症化率が低かったという報告が出ています。ただし、既に新型コロナウイルスにかかった後に吸入ステロイド薬での治療を実施した場合では、特段の有効性はなかったようです。
- Q喘息治療薬である吸入ステロイドを使用していると新型コロナウイルスにかかりやすくなるのでしょうか?
- A
吸入ステロイドを使用していることで、新型コロナウイルスにかかりやすいというデータはありません。
- Q新型コロナウイルスの流行期に咳が続いている場合は、コロナウイルスにかかったということでしょうか?
- A
咳だけの症状で新型コロナウイルスを判別するのは難しく、咳以外の症状も出ているかがポイントになります。一方で3週間以上咳が続く場合は、アレルギーが関係している可能性があるので、お近くの医療機関を受診してください。
最後に
喘息は、ウイルスに感染することで症状が悪化してしまう可能性がある疾患です。ただし、薬剤をしっかりと服用し、症状のコントロールをすることで、ウイルスが侵入しにくい身体づくりが可能です。同時に、感染予防対策として手洗い・うがい・マスクの着用などを心がけると安心して過ごせるかもしれません。
出典
ぜん息外来.jp アストラゼネカ株式会社
National Library of Medicine
新型コロナウイルス感染における気管支喘息患者への対応 Q&A