トレチノインとレチノールの違いとは?それぞれの効果や副作用など解説

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トレチノインとは?

トレチノインとは?画像

トレチノインは、ビタミンAの誘導体です。
ビタミンAは体内で働くため、活性型と呼ばれる形式に変わります。
活性型はいくつか種類があり、「レチノール」「レチナール」「トレチノイン(レチノイン酸)」の順に作用が強くなっていきます。
そのため、トレチノインはビタミンAの約100倍以上の効果があるとされており、「皮膚のターンオーバーを整える」「皮脂の分泌を抑制する」「シワやニキビなどの色素沈着を改善する」などの作用が期待されています。
トレチノインのみでも美容効果がありますが、肌を白くする「ハイドロキノン」と組み合わせたトレチノイン・ハイドロキノン併用療法として使用されることが一般的です。詳しい使い方を知りたい方は下記のコラムをお読みください。

レチノールとは?

レチノールとは?画像

レチノールとは、ビタミンAの一種でさまざまな美容効果が期待できる成分です。
化粧品によく配合されているため、一度は耳にしたことがある方も多いかもしれません。
ビタミンAは、油に溶けやすく「皮膚や粘膜を健康に維持する」「抵抗力を高める」「酸化を抑える」といった働きを持ちます。
ただし、体内で合成されないため、補充するためには食事やサプリメントなどから摂取する必要があります。
肌に良い影響をもたらすためには、レチノールが含まれている化粧品や美容液を使用することがおすすめです。

トレチノインとレチノールの違い

トレチノインとレチノールの違い画像

どちらもビタミンAがもととなっているトレチノインとレチノールですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

効果

レチノールとトレチノインの効果を比較すると、トレチノインはレチノールの約50~100倍の強さがあると考えられています。
レチノールやトレチノインは細胞を増やす作用を持っていますが、1.6倍の表皮肥厚を起こすために必要なトレチノイン濃度が0.025%であるのに対して、レチノールの濃度は約1.6%となっています。
60倍の差があることからも、トレチノインの方が圧倒的に強い効果を持つことが分かります。
トレチノインは効果が強いため、化粧品や医薬部外品への配合は認められていません。
医薬品として入手する必要があります。
一方、レチノールは化粧品や医薬部外品への配合が可能です。

治療できる症状

トレチノインの方が効果が高いため、例えば「にきび」のように同じ疾患であってもより重度の症状に使用することができます。
一方でレチノールは初期段階の皮膚症状に使用するケースが多いと考えられます。それぞれで治療できる症状について詳しくご紹介します。

― トレチノイン ―

にきび(尋常性ざ瘡)

にきびは皮脂が毛穴につまることで起こる慢性的な皮膚の炎症です。
炎症が悪化して重度の症状になっている方や、何度もニキビを繰り返してしまう方は通常のニキビ治療を行ってもなかなか改善しにくいという課題があります。
しかし、トレチノインは長期寛解が期待できるため、ニキビを繰り返す心配や重症化するリスクが少ないと考えられています。

シミ・肝斑(色素沈着)

トレチノインのシミへの作用画像

トレチノインは色素沈着したシミや肝斑などの改善にも期待できます。
多くのしみは、表皮の一番深い、基底層にメラニン色素が沈着してしまっています。
多くのドラックストアなどで販売されている美白剤は、メラニン色素を新しく作られにくくする働きはありますが、既にできてしまっているものを排出する作用はほとんどないとされています。
一方で、トレチノインは、メラニン色素を外に出す働きを持つため、既にあるシミも改善されるのです。
また、肌のターンオーバーが促進されるため新しくきれいな皮膚に置き換えられていきます。

小じわ・肌の老化(光老化)

加齢に伴って皮膚の老化が進んでいき、小じわが目立つようになります。
また、紫外線を浴びてしまうことで、皮膚がたるんでしまう「光老化」という現象も起こります。
トレチノインは、ターンオーバーを促進する作用に加えて、コラーゲン産生を促進する作用があるため、しわや光老化を改善する効果があります。

毛穴の開き、ざらつき

トレチノインは毛穴の開きやざらつきにも有効です。
毛穴に角栓が詰まってしまうと、毛穴が広がりたるんで見えたり、ざらざらして見えてしまいます。
トレチノインは、毛穴に詰まっている角栓を取り除く効果があり、使用してから1カ月~2カ月ほどはかかりますが、服用を続けていると毛穴の開きや黒ずみ・ざらつきが改善されます。

ニキビ跡(炎症後色素沈着)

ニキビ跡の皮膚に凹凸が残ることがありますが、これは炎症によって壊された真皮層が十分に回復されないことで起こります。
ただし、トレチノインは真皮層の線維芽細胞を活性化する作用、加えてコラーゲンの産生を促進する作用をもつため、肌の再生が期待できます。
一定期間服用を続ける必要はありますが、徐々に症状が薄くなっていきます。
ニキビ跡の治療でお悩みの方は、改善方法について下記のコラムで解説しておりますのでお読みください。

<関連商品①>
●BIHAKUEN トレチノインクリーム
BIHAKUEN(びはくえん)トレチノインクリームはシミ、シワ改善予防薬クリームです。それ以外にも、ニキビ治療薬としても使用することが可能です。最大限の効果を得る場合は、使用方法に従い正しい治療をする必要がございます。

商品名BIHAKUEN トレチノインクリーム
画像BIHAKUEN トレチノインクリーム
有効成分トレチノイン0.025%/0.05%/0.1%
メーカーCa Botana International Inc(CAボタナ・インターナショナル)
購入ページBIHAKUEN トレチノインクリームの購入はこちら

<関連商品②>
●エーレットジェル
エーレットジェルの主成分トレチノインは、ビタミンAの一種で「シミ」や「小ジワ」などのお肌のトラブルを改善する働きがあります。しみ・肝斑の原因とメラニンが多く存在するためターンオーバーにより角質に押し上げられ垢となり排出する効果があります。
トレチノインは、ニキビ・シミ・小ジワの治療医薬品としてFDAに認可されてている安全性の高い成分ですが、強い作用があるため日本では医療機関の処方となります。

商品名エーレットジェル
画像エーレットジェル
有効成分トレチノイン0.025%/0.05%/0.1%
メーカーMenarini Group(メナリーニグループ)
購入ページエーレットジェルの購入はこちら

<関連商品③>
●トレチヒール
トレチヒールはヒーリングファーマ社が開発したニキビ治療効果のある外用クリームです。主成分トレチノインは、ビタミンAの一種で「シミ」や「小ジワ」などのお肌のトラブルを改善する働きもあります。

商品名トレチヒール
画像トレチヒール
有効成分トレチノイン0.025%/0.05%
メーカーHealing Pharma(ヒーリングファーマ)
購入ページトレチヒールの購入はこちら

― レチノール ―

小じわ・細かいシワ

近年、レチノールが持つ保湿作用が注目されています。レチノールはヒアルロン酸の合成を促進する作用を持っています。ヒアルロン酸は肌を保湿するために不可欠な成分であるため、レチノールを使用することで肌に柔軟性が戻り、しわの改善に役立つと考えられています。

毛穴の開き

本来であれば古くなった角質は自然と体外に排出されますが、生活習慣が乱れたりストレスをため過ぎたりすると肌のターンオーバーにかかる期間が長くなります。詰まっていく角質も増えてしまうので毛穴が開いて見えます。しかし、レチノールはトレチノイン同様、ターンオーバーを促進する効果があるため、古い角栓が取り除かれていき、毛穴の開きが改善されます。

にきび(軽度)

にきびも毛穴に皮脂がつまることで起こりますが、レチノールは皮脂の分泌量を抑制する効果と肌のターンオーバーを促進する効果があります。毛穴のつまりを解消してくれるため、根本的な改善が期待できます。特に炎症がまだ起こっていない白ニキビや黒ニキビにおすすめです。稀に、ビタミンAに対する耐性が少ない方がレチノールを使用すると、「レチノイド反応(A反応)」と呼ばれる「ニキビが悪化してしまう」症状が起こる可能性があります。しかし、使用を続けていると徐々に慣れていきます。

くすみ・肌の色むら肌のざらつき、ごわつき

レチノールはターンオーバーを促進するため、余分な角質を肌から取り除いてくれます。加齢に伴い、肌のごわつきやざらつきにお悩みの方も増えますが、レチノールの使用を続けることで、め細かいなめらかな肌へと導いてくれます。
肌のターンオーバーが活発化すると、くすみの改善も期待できます。

<関連商品①>
●レチノールクリーム
レチノールクリームは、スワンソン社が製造・販売するフェイスクリームです。
有効成分のパルミチン酸レチノールを配合しており、肌の再生や修復をサポートします。
肌の保湿効果を高め、シワやシミの改善を期待でき、肌の乾燥やかゆみも予防してくれるとされています。昼夜どちらにも使えて、素早く肌になじみ肌を保護・保湿します。
この製品はパラベンフリーです。

商品名レチノールクリーム
画像レチノールクリーム
一般名パルミチン酸レチノール
メーカーSwanson(スワンソン)
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<関連商品②>
●アクティブレチノール
アクティブレチノールはレチノールを配合したエイジングケア美容液です。
肌再生のスペシャリストが集まり開発され、世界中の美容皮膚科でも採用されているブランド、ダーマシューティックの製品です。
レチノールが年齢と共に気になるシワ・肌のキメを改善し、肌の弾力性の低下や肌のくすみを防ぎます。セラミドが肌に潤いを与え、バリア機能として肌を保護し、ハリのあるきめ細やかな肌を保ちます。ビタミンCとビタミンEの組み合わせの相乗効果により、抗酸化作用で肌の老化予防や肌トラブルを防ぎます。さらに、高い保湿効果と素早い浸透力をもつパンテノールと、抗炎症作用を持つアラントインを配合しています。
この製品はパラベンフリーです。

商品名アクティブレチノール
画像アクティブレチノール
有効成分レチノール/セラミド/ビタミンC/ビタミンE/パンテノール/アラントイン
メーカーDERMACEUTIC(ダーマシューティック)
購入ページアクティブレチノールの購入はこちら

副作用

トレチノインやレチノールは、人間の体内に存在する成分のため副作用が起こる率は低いとされていますが、最も起こりやすいものとして「レチノイド反応」があります。
レチノイド反応は、ビタミンAに肌が反応することで起こる赤みや皮むけ、乾燥などの症状です。
一見、悪い症状のようにも思えますが肌のターンオーバーが促進されている証拠でもあります。
使用を続けていくことで症状は治まっていきますが、もし数週間しても肌の赤みが改善しない場合は、使用を中止したうえでお近くの医療機関を受診してください。
このレチノイド反応は、トレチノイン・レチノールどちらにも発現しますが、レチノールの方が作用が弱いため副作用も弱い傾向があります。トレチノインは濃度が高いほど副作用リスクも高まりますので、初めて使う方は低い濃度から慣らしていくという使い方もおすすめです。

使用期間

レチノールは基本的に化粧品に含まれているものを使用することがほとんどです。
この場合、お肌の状態を見ながらとなりますが、問題がなければ制限なく使い続けていただいて大丈夫です。
しかし、医療機関で処方されたレチノールについては、濃度が高い可能性があるため、製品の推奨される使用期間に合わせてください。
一方でトレチノインは、レチノールよりも作用が強いため使用期間に注意が必要です。
基本的には2カ月までにとどめておきましょう。
それ以上使用してしまうと、表皮が薄くなり血管が透けてしまう「赤ら顔」となってしまう可能性があります。
また、トレチノインは長く使用を続けていると効果が得られにくくなる耐性が生じるリスクも指摘されています。自己判断で長期的に使用するのは避けましょう。

トレチノイン・レチノールはどこで買える?

トレチノイン・レチノールはどこで買える?画像

市販(ドラッグストアなど)

トレチノインはドラッグストアなどでは市販されておりません。
アメリカではニキビの治療薬として承認を得ていますが、日本では未承認の薬剤となるためです。
一方、レチノールを含む化粧品については、ドラッグストアやamazonなどのネットショッピングで購入することができます。
トレチノインを始める前にまずはレチノールから試してみたいという方は、ドラッグストアで購入すると良いでしょう。

クリニック

レチノール・トレチノインともにクリニックで購入することができます。
レチノールについては、成分として含まれている美容液や化粧品の中でも高濃度の商品が取り扱われていることが多いです。また、トレチノインについてもレチノールと同じくクリニックを受診し、医師の処方箋をもらえば購入することができます。
ドラッグストアの商品で効果を実感できなかった方や肌症状を早めに改善したい方などはクリニックでの購入がおすすめです。ただし、薬剤費用や受診費用などがかかってしまうため、処方に際して医師に症状を相談したうえで使用を検討したい方に適していると考えられます。

個人輸入

レチノール・トレチノインともに個人輸入で購入することができます。クリニックと異なる点は、受診なしで薬剤が購入できる点です。
初診料、通院費用がかからないため、金額を抑えたうえで治療を行いたい方におすすめです。すでに何回かトレチノインやレチノールの使用経験がある方が適していると考えられます。
トレチノインの購入方法については、下記のコラムでも詳しく解説しておりますので気になる方は参考にしてください。

よくある質問

Q
トレチノインやレチノールを使用する際の注意点はありますか?
A

レチノールもトレチノインも肌のターンオーバーを促進する作用があります。そのため、肌が乾燥しやすくなる方もいるため、保湿は十分行いましょう。皮膚のターンオーバーが早まるということは、バリア機能も低下している可能性があるため、外に出るときは紫外線対策をしっかりとすることも忘れないようにしましょう。

最後に

レチノール・トレチノインは肌のターンオーバーを促進し、皮膚症状を改善してくれる成分です。加齢に伴って毛穴の開きやくすみ、シワなど様々な症状で悩む女性は少なくありません。気になる部位に塗るだけでこれらの症状改善効果が期待できるレチノール・トレチノインは女性の大きな味方です。特にトレチノインはレチノールの約100倍の作用を持つため、効果も高いとされています。その分、副作用も強く出てしまうため注意が必要ですが、「にきび」「くすみ」「シワ」「シミ」「毛穴の開き」など皮膚の症状でお悩みの方は一度試してみてはいかがでしょうか。

出典

Kang S, (1995) “Application of retinol to human skin in vivo induces epidermal hyperplasia and cellular retinoid binding proteins characteristic of retinoic acid but without measurable retinoic acid levels or irritation.” J Invest Dermatol. 1995 Oct;105(4):549-56. PMID: 7561157
自治医科大学 形成外科学講座
レチノールは毛穴にも効果あり?効果と正しい使い方を解説

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