花粉の多い時期に発症する花粉皮膚炎とは?
花粉皮膚炎とは、花粉が皮膚に触れることで、赤いブツブツや皮膚のかゆみなどが起こる疾患です。
主に花粉が飛散する春頃に発生しやすい皮膚トラブルの一種です。
まぶたや首などの花粉が付着しやすい場所に症状があらわれやすいため、ひどい場合は生活に支障をきたすこともあります。
花粉皮膚炎の特徴と症状
花粉皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下することが原因で発症するとされています。
通常皮膚は、外部のウイルスから肌を守るための保護作用を持っていますが、肌の乾燥によって肌の細胞同士に隙間が生じると、外部からの刺激に対して肌が敏感になってしまいます。
そのため、肌が乾燥しやすく花粉が飛びやすい3~4月に症状が出やすいという特徴があります。
花粉皮膚炎の症状としては、主に皮膚のかゆみ、赤み、発疹、乾燥が挙げられます。特に顔や首、手の甲など花粉が付着しやすい箇所は、影響を受けやすい部位です。
かゆみが強いため、掻いてしまうと皮膚が損傷し、炎症が悪化することもあります。
花粉皮膚炎にかかりやすい人
アトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患を持っている人は、花粉皮膚炎にかかりやすいとされています。
皮膚がもともと過敏なため、肌も乾燥しやすく外部の刺激に敏感になりやすい傾向があります。
また、花粉の多い地域に住んでいたり、花粉が多い場所で働いている方なども曝露量が多くなるため、発症するリスクも高まっていきます。
花粉皮膚炎にかかりやすい具体的な像人
- 花粉症を持っている方
- アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患を持っている人
- 家族が花粉症や皮膚疾患を持っている方
- 花粉の多い地域に住んでいる方、花粉の多い場所で働いている方
花粉皮膚炎の治療方法について
花粉皮膚炎の具体的な作用機序は不明ですが、「皮膚の炎症を抑える薬」と「アレルギーを抑制する薬」が使用されます。
炎症を抑える塗薬
かぶれのような症状が出ている方は、塗り薬がおすすめです。4~5日ほど塗り続けていると炎症が治まってきます。
気になる部位に直接塗ることができるため、効果も実感しやすいというメリットがあります。
しかし、塗り薬は顔や目など敏感な場所には使用しにくいこともありますので注意が必要です。
市販薬
【代表的な市販の塗り薬①:リビメックスコーワクリーム】
ステロイド剤のクリームで患部に直接効果をもたらすことが可能です。
有効成分に、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルのみを含んでおり、シンプルです。ステロイドの強さとしてはミディアム(真ん中程度)です。
べたつき感が少なく、伸びがよいクリームとなっています。
商品名 | リビメックスコーワクリーム |
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有効成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
効果 | 湿疹、皮膚炎、かぶれ、虫さされ、かゆみ、あせも、じんましん |
用法用量 | 1日数回、適量を患部に塗ります |
メーカー | コーワ |
【代表的な市販の塗り薬②:コートf AT軟膏/クリーム】
炎症を抑える外用ステロイド「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル」だけではなく、かゆみや痛みを抑える「リドカイン」も配合しているため、腫れとかゆみを同時に抑制します。
また、患部についた細菌などを殺菌する「イソプロピルメチルフェノール」も含んでいます。軟膏とクリーム剤の2種類が発売されているため、ご自身の好みに合わせて選ぶことができます。
商品名 | コートf AT軟膏/クリーム |
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有効成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(合成副腎皮質ホルモン)1.5mg 、リドカイン10mg 、イソプロピルメチルフェノール1mg、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)5mg |
効果 | 湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、あせも、じんましん |
用法用量 | 1日数回、適量を患部に塗ります |
メーカー | 田辺三菱製薬 |
【代表的な市販の塗り薬③:イハダキュアロイド軟膏5g】
有効成分としてプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが含まれているため、肌の炎症を和らげます。
顔の使用することを想定し、テカリ・べたつきを抑えた設計で作られています。無香料で無着色となっており、顔以外の部位にも使用することができます。
商品名 | イハダキュアロイド軟膏5g |
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有効成分 | 1g中 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(1.5mg)、ジフェンヒドラミン(10mg)、イソプロピルメチルフェノール(1mg)、リドカイン(10mg)、トコフェロール酢酸エステル(5mg) |
効果 | 皮膚炎、湿疹、かゆみ、かぶれ、あせも、じんましん、虫さされ |
用法用量 | 1日数回、適量を患部に塗ります |
メーカー | 資生堂薬品 |
アレルギーを抑制する薬
花粉症の症状を引き起こす原因となっているヒスタミンを抑制することで、症状を抑えます。第1世代と第2世代がありますが、第2世代では眠気が出にくい薬剤が多いです。
市販薬
商品名 | アレジオン20 |
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有効成分 | エピナスチン塩酸塩20mg |
効果 | 花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず、鼻づまり、くしゃみ |
用法用量 | 15歳以上では、1回1錠を服用します。 |
メーカー | エスエス製薬 |
【代表的な市販のアレルギー治療薬②:クラリチンEX】
第二世代の抗ヒスタミン剤であるロラタジンを配合した薬剤です。
眠気や集中力の低下も起こしにくく、さらに口の渇きなどの副作用も少ないとされています。
商品名 | クラリチンEX |
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有効成分 | ロラタジン100mg |
効果 | 花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず、鼻づまり、くしゃみ |
用法用量 | 15歳以上では、1回1錠食後に服用します。毎回同じ時間に服用してください |
メーカー | 大正製薬 |
【代表的な市販のアレルギー治療薬③:ナザールαAR0.1% (季節性アレルギー専用)】
鼻に直接ふきかけるタイプの薬剤です。季節性アレルギーによる症状改善が期待されており、1日2回の噴霧で3か月間使用できます。眠くなる成分は含まれていません。
商品名 | ナザールαAR0.1% (季節性アレルギー専用) |
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有効成分 | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル・0.1g 添加物として、セルロース、カルメロースNa、プロピレングリコール、グリセリン、ポリソルベート80、ベンザルコニウム塩化物、クエン酸、香料(l-メントールを含む)を含有します。 |
効果 | 花粉による季節性アレルギーの次のような症状の緩和:鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみ |
用法用量 | 18歳以上は1日2回朝と夕に、左右の鼻の穴の中に1回ずつ噴射します。最大4回ずつまで使用しても問題ありませんが、使用間隔は3時間はあけるようにします。 |
メーカー | 資生堂薬品 |
処方薬
●アレグラ
アレグラは、ヒスタミンを抑制することでアレルギー症状を緩和する薬剤です。
眠気がほとんど出ない点が特徴です。
花粉症にはもちろんですが、ダニやハウスダストが原因で発症する通年性のアレルギー性鼻炎にも効果を示します。
1日1回1錠を服用します。花粉症のピーク時期の1~2週間前から服用すると、症状軽減効果が強まることが期待されています。
商品名 | アレグラ |
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有効成分 | フェキソフェナジン 120mg 180mg |
価格 | 120mg:1錠あたり88円~ 180mg:1錠あたり93円~ |
メーカー | サノフィ |
購入ページ | アレグラの購入ページはこちら |
●ビラクステン【ビラノアジェネリック】
ビラクステンは、ビラノアという薬剤のジェネリック医薬品です。第2世代の抗ヒスタミン薬です。
1日1回服用することにより、眠気が起こりづらく、効果の速効性と持続性(24時間効果が続く)があるため使用しやすいことが特徴です。
商品名 | ビラクステン【ビラノアジェネリック】 |
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有効成分 | ビラスチン |
価格 | 1錠あたり157円~ |
メーカー | Laboratorios Vitoria(ラボラトリズ ヴィトリア) |
購入ページ | ビラクステン【ビラノアジェネリック】の購入ページはこちら |
●スマルティ【ルパフィンジェネリック】
スマルティは、ルパフィンのジェネリック医薬品です。
有効成分ルパタジンフマル酸塩は「抗ヒスタミン作用」に加えて、「抗PAF(血小板活性化因子)作用」を併せもつ、新しいタイプのアレルギー性疾患治療薬です。
服用後15分程で効果があらわれはじめ、20時間ほど効果が持続します。
商品名 | スマルティ |
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有効成分 | ルパタジンフマル酸塩 |
価格 | 10㎎:1錠あたり55円~ |
メーカー | Zydus Cadila(ザイダスキャディラ) |
購入ページ | スマルティの購入ページはこちら |
花粉皮膚炎の予防法
基本的な予防法は「花粉から肌を守ること」と「肌のバリア機能を低下させないこと」です。
花粉から肌を守ること
顔や首に花粉が付着しないよう心がけることが大切です。
例えば、マスクやつばの広い帽子、眼鏡などをつけると予防となります。それでも花粉が衣服やマスクに付着してしまうこともありますので、帰宅した後は必ず手洗いうがい、洗顔をしましょう。
髪の毛にも花粉が付着している可能性もありますので、外出した日はシャンプーを念入りに行うことも効果的です。
肌のバリア機能を低下させないこと
肌が乾燥すると、肌のバリア機能が低下してしまいます。そのため、洗顔後は念入りな保湿が大切です。
また、厚い化粧をしてしまうとその分洗顔も大変になり、物理的な刺激が増えます。
結果的に、肌のバリア機能低下につながってしまうことがありますので、刺激の強い化粧品の使用は避け、肌は基本的に保湿することを心がけましょう。
花粉皮膚炎に関するよくある質問
- Q花粉皮膚炎の症状を悪化させないために生活習慣で見直すべきことはありますか?
- A
規則正しい生活は、肌のバランスを整えてくれるため効果的です。
例えば、不規則な食生活や睡眠不足、ストレスや喫煙などの習慣がある方は症状を長引かせる原因にもなりますので、早めに改善をしていきましょう。
- Q特に気を付けるべき花粉はあるのでしょうか?
- A
日本は一年中、場所によって様々な花粉が飛んでいます。春はスギやヒノキで夏はイネ科、秋はブタクサ花粉などです。
その中でもスギ花粉は飛散量が多く、比較的長い期間飛んでいるため、皮膚に与える影響も大きいと考えられています。
ニュースで花粉の飛散情報などを見て事前に対策を行っておくと良いでしょう。
- Q花粉皮膚炎はどのように診断を付けるのでしょうか。
- A
花粉皮膚炎が疑われる場合、スクラッチパッチテストというものが行われます。
原因と考えられる花粉を肌につけ、皮膚に変化が起こらないかどうかを確認します。皮膚が赤くなったり、炎症を起こした場合には花粉皮膚炎と診断されます。
最後に
花粉皮膚炎は、花粉が肌に付着することで赤みや湿疹、ブツブツなどの症状が出る疾患です。
肌のバリア機能が低下することで発症してしまうため、まずは肌を守ることが大切です。
しかし、実際に症状が出ていてお悩みの方は、ステロイド剤の塗布やアレルギー薬の服用で症状が改善するかもしれません。
花粉時期の肌荒れを起こしている方は我慢しすぎずに、治療を検討していきましょう。
出典
ALLER-LAB 大正製薬製品サイト
MedicalNote 花粉皮膚炎