トーシミドとは?

トーシミドとは私たちの身体の臓器である心臓や肝臓、腎臓が原因の「むくみ」に対して効果的に作用する医薬品です。
利尿薬の中でもとくに強い効果が期待できるループ系利尿薬と呼ばれる医薬品に分類されています。
トーシミドの有効成分は「トラセミド」と呼ばれ、日本で発売されている同効薬は以下の3種類です。
商品名 | ルプラック錠4mg/8mg | トラセミドOD錠4mg/8mg「TE」 | トラセミド錠4mg/8mg「KO」 |
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有効成分 | トラセミド | トラセミド | トラセミド |
メーカー | 田辺三菱製薬株式会社 | トーアエイヨー株式会社 | 寿製薬株式会社 |
分類 | 先発医薬品 | ジェネリック医薬品 | ジェネリック医薬品 |
医療用医薬品となるため、入手するためには病院を受診し医師の診察が必要となります。
しかし、当サイトメデマートでは、個人輸入という方法で購入することができます。
商品名 | トーシミド |
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有効成分 | トラセミド5mg/10mg/20mg/40mg/100mg |
メーカー | John Lee Pharma(ジョンリーファーマ) |
購入サイト | トーシミドの購入ページ |
利尿薬というと「尿が出やすくなる薬」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
実はそれ以上に重要な役割を担っています。
体内の余分な水分や塩分を排出することで、むくみを改善することはもちろんのこと、心臓や腎臓への負担を軽減する効果が期待できます。
とくに、トーシミドは従来の利尿薬と比べて、特筆すべきいくつかの特徴を持っています。
たとえば、服用後の効果の現れ方が速やかで、急激な利尿作用により比較的早く期待する効果を得ることができるのです。
また、食事の影響を受けにくいという特徴も持ち合わせています。
医療の現場においては、心不全や腎機能の低下によるむくみ、肝硬変による腹水などの症状がある方の治療に使用されることが多い医薬品です。
他の医薬品と組み合わせて使用されることも多く、総合的な治療計画の中で重要な役割を果たしています。
トーシミドの作用

トーシミドの作用と言えば主にむくみをとるイメージですが、実はそれだけではありません。体内の水分バランスを整える重要な役割を持っているのです。
この利尿薬がどのように働くのか、詳しく解説していきます。
トーシミドは、腎臓の中にある尿細管と呼ばれる部分の、とくに「ヘンレのループ」という個所に作用する「ループ系利尿薬」に分類される医薬品です。
トーシミドの作用機序
主な作用機序は、腎臓の尿細管でナトリウムの再吸収を抑制することにあります。
これにより、体内の余分な水分と塩分(ナトリウム)を尿として排出する働きを促進します。
しかしそれだけではありません。
もう少し細かい目で見ると、トーシミドは腎臓の尿細管に存在する「Na-K-2Cl共輸送体」と呼ばれるタンパク質の働きを阻害する作用があります。
このタンパク質は通常、ナトリウム、カリウム、塩素イオンを同時に細胞内に取り込む役割を担っています。
トーシミドがこの働きを抑えることで、ナトリウム、カリウム、塩素イオンと共に水分が尿として排出されやすくなるという訳です。
トーシミドの効能・効果
主な効能・効果は「心性浮腫(しんせいふしゅ)」「腎性浮腫(じんせいふしゅ)」「肝性浮腫(かんせいふしゅ)」になります。
具体的には以下のような効果を発揮します。
トーシミドの効能・効果
①心不全における体内の余分な水分の排出
②腎臓機能低下による浮腫(むくみ)の軽減
③肝硬変による腹水の改善
特筆すべき特徴として、トーシミドはもっとも利尿作用が強いループ系利尿薬になります。
同効薬であるラシックス(フロセミド)と比較すると、カリウムの排出が抑えられ、低カリウム血症の副作用が起こりにくい医薬品になります。
その他、脂質代謝や耐糖能へ与える影響も抑えられています。
そのため体重が減少するという副次的効果が得られます。
トーシミドの用量

日本で使用されるトラセミドの用法・用量を添付文書より見ていきましょう。
トラセミドの用法・用量
通常、成人には、トラセミドとして、1日1回4~8mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
一般的な服用方法ですが、トーシミドも1日1回の服用が基本です。
利尿作用が強いため、夜寝る前に飲んでしまうと夜中に何度もトイレに起きてしまうため、通常は朝に服用することが多いです。
服用する方の身体状態や生活リズムに応じて服用のタイミングを調節するひつようがあります。
また、トーシミドの特徴的な点として、食事の影響を受けにくい医薬品であることが挙げられます。
つまり、食前でも食後でも、効果や副作用に大きな違いはありません。
服用量については、症状や体調によって変わります。
医師は以下のような要因を考慮して、適切な用量を決定します。
トラセミドの服用量の決定要因
- 年齢
- 体重
- 腎機能の状態
- 肝機能の状態
- 症状の程度
- 併用している医薬品
ここで、当サイトメデマートで販売されているトーシミドの用量を見てみましょう。
トーシミド錠「5mg」、「10mg」「20mg」「40mg」「100mg」と5規格の用量が販売されています。
日本で販売されているルプラックは「4mg」と「8mg」なのでだいぶ量に差があることが分かります。
このままではどう使用したらよいか迷いますよね。
同効薬で比較対象を見てみてみましょう。
ルプラックとトーシミドの比較
- フロセミド20mg→トーシミド5mg
- フロセミド40mg→トーシミド10mg
しかし、トーシミドを使用する上で20mg以上の用量はいつ誰が使用するのでしょうか?
体格の良い方、効果不十分な方と思われがちですが実は誰でも使用できる用量なのです。
どのように使用するのかは後ほどご紹介いたします。
たくさん尿を出すことはむくみが取れること以外に体重が落ちることが特徴です。
副次的な効果であり、適応外使用にはなりますがダイエット効果を期待して使用したいと思う方もいるかもしれませんね。
トーシミドの高用量にはさまざまな使い道がありますが、いきなり最大量を使用することは避けなければなりません。
効果が強いだけに使用には慎重にならなければなりません。
用量による効果の違い

トーシミドの効果は成分量が増えるほど効果も強くなります。効果の違いを、用量別に具体的に説明していきましょう。
少量の場合(5mg)
- 軽い尿意を感じる、むくみが少しずつ改善
1日の尿量が普段よりも若干増加しますのでむくみが軽度の方に適しています。
少量のトーシミドは血圧を下げる作用があることから高血圧治療薬として使われます。
低用量のため副作用が出にくいこともあり、高齢者や腎機能低下の方の開始用量として使用することが可能です。
効果の実感は穏やかです。
たとえば、足首のむくみが夕方に少し出る程度の方、血圧が高い方に適した用量です。
中用量の場合(10mg)
- 定期的な尿意を感じる、むくみの改善を実感できる、体重減少が見られやすい
1日の尿量が普段よりも大幅に増加しますので、中程度のむくみに効果的です。
心不全症状の安定している方によく使用されます。
心不全や腎障害などが原因となるむくみを改善するための量として適しています。
ただし低用量の使用で効果不十分な場合に増量していくことが必要です。
たとえば、靴がきつくなる程度のむくみがある方、むくみによる腫れが目に見えてわかる方に適した用量です。
高用量の場合(20mg~)
- 頻繁な排尿がある、むくみの改善が顕著、体重の変化が明確
1日の尿量が劇的に増加するため、重度のむくみに効果的です。
急性心不全や重症例に使用されます。
効果は強いですが、副作用にも注意が必要です。
たとえば、全身性の強いむくみがある方に適した用量です。
トーシミドは効果の現れ方にも特徴があります。
服用後約1時間で効果発現がみられ、利尿作用は6~8時間持続します。
用量が増えると、効果も副作用も強くなることが特徴です。
大切なポイントは、強い効果を得られる高用量が必ずしも良いわけではないということです。
その方の症状や体調に合わせて、最適な用量を見つけることが重要です。
これらの効果の違いは、あくまでも目安であり、個人差があることをご理解ください。
効果的な用量の選び方とポイント

トーシミド(トラセミド)の効果を最大限に引き出すためには、適切な用量選びが重要です。
しかし日本と海外では承認されている用量が大きく異なることをご存知でしょうか?
日本では保険診療で4~8mgの使用に限られていますが、海外では症状に応じて最大100mgまで使用することが可能です。
ここでは、トーシミドを使用する方にとって最も効果的な用量の選び方を症状別にご紹介します。
心不全でお悩みの方
心不全からくるむくみの場合、余分な水分を排出して心臓への負担を減らすため、トラセミドとして10~20mgから開始し、効果を見ながら最大100mgまで増やすことが可能です。
心臓に負担がかかっている状態を改善することで、症状の緩和が期待できます。
腎臓機能が低下している方
腎機能障害からくるむくみの場合、トラセミドとして20mgから開始して段階的に調整していきます。
心不全同様こちらも最大100mgまで増やすことが可能です。
腎機能が低下していても、適切な量を使用することで効果的な治療ができます。
肝硬変による腹水の方
肝硬変からくる腹水の場合、より慎重な投与が必要とされ、5~10mgという少量からスタートします。
他の利尿薬と組み合わせながら、トラセミドとして最大40mgまでの使用が推奨されています。
肝臓が弱っている方はとくに注意深く経過を見ながら、慎重に量を調整していかなければなりません。
高血圧の治療
高血圧の治療目的で使用する場合、5mgから始めて効果が不十分な場合は10mgまで増量します。
それでも血圧が下がりにくい場合は、増量せずに他の降圧薬を追加する方法がとられます。
複数の薬剤を組み合わせることで、より効果的な血圧コントロールが可能です。
このように、海外では患者さんの症状や状態に合わせて、きめ細かな用量調整が可能です。
ただし、個人輸入した場合には保険適用外となるため注意が必要です。
しかしトーシミドはジェネリック医薬品であるため安価で入手できるというメリットもあります。
どの症状の場合でも、急激な増量は避け、体調の変化を注意深く観察しながら少量から開始して徐々に増量していくことが重要です。
過剰用量のリスクに注意

トーシミド(トラセミド)は効果が高い反面、使い方を誤ると深刻な副作用を引き起こす可能性があります。
ここからは過剰な用量による危険な状態について3点ご紹介します。
①急激な体液バランスの崩れ
過剰な利尿作用により、短時間で大量の水分が失われると、めまい、ふらつき、極度の口の渇き、血圧低下、血栓塞栓症、意識障害(重症例)といったような症状が現れることがあります。
②電解質異常のリスク
とくに注意が必要なのが電解質バランスの乱れです。
利尿作用でナトリウム・カリウム・マグネシウムが失われてしまうと以下のような症状が現れます。
ナトリウムが低下すると、頭痛、吐き気、けいれんの症状が見られます。
カリウムが低下すると、不整脈、筋力低下が見られます。
マグネシウムが低下すると、不整脈、筋けいれんが見られます。
③腎機能への影響
過剰な排尿作用は腎機能への影響が見られます。
急性腎障害(きゅうせいじんしょうがい)、尿酸値上昇、腎血流量低下といった症状が続くと腎機能障害の悪化を引き起こし、将来的に人工透析が必要になることがあります。
とくに注意が必要な方として、75歳以上の高齢者、腎機能低下患者、肝機能障害のある方、糖尿病患者、他の利尿薬を併用している人などが該当します。
トーシミドは効果的な治療薬ですが、適切な使用が不可欠です。
過剰投与のリスクを理解することは、トーシミドを使用する上で最も重要です。
トーシミドの力を最大限に活かすためにも、正しい知識と適切な使用を心がけましょう。
まとめ

トーシミドは、心不全や腎臓病、肝硬変が原因となる浮腫(むくみ)・腹水の治療に使用される重要な利尿薬です。
トーシミドの最大の特徴は、用量によって効果が調整できることです。
量を増やすとそれに合わせて効果も増強します。
ただし、効果が強力なため、決して自己判断で用量を変更しないよう注意しましょう。
効果的な治療のためのポイントは以下の3つです。
効果的な治療のためのポイント
①必ず医師の指示通りの用量を守って服用を継続すること
②毎日決まった時間に服用すること
③定期的に検査を行うようにすること
また、急な体重減少、めまいやふらつき、極度の喉の渇き、尿量の大幅な変化といった症状が出た場合は要注意です。
直ちに使用を中止するようにしましょう。
トーシミドは、適切な用量で使用すれば、むくみの改善に効果的な医薬品です。
しかし、過剰な使用は得られる効果と同じくらい危険を伴います。
不安な点があれば、必ず医師または薬剤師に相談しましょう。
安全で効果的な治療をするためにも、正しい知識を持ち、用法・用量を守って使用することが大切です。
出典
ルプラック錠4mg/8mg添付文書
ルプラック錠4mg/8mgインタビューフォーム
トラセミド錠4mg/8mg「KO」インタビューフォーム