淋病の原因や感染経路・淋病の症状や治療薬・予防法と注意点を解説

淋病の原因や感染経路・淋病の症状や治療薬・予防法と注意点を解説 淋病

淋病とは

淋病は、クラミジアに次いで日本で多いとされている性感染症です。性行為によって感染が広がっていきます。症状に気が付かずに放置していると男性、女性問わず不妊症の原因となることもあります。近年淋菌に感染する患者数は増加傾向にあり、日本で見てみると、20代に感染者が多いとされています。報告では女性の数が男性よりも少ないですが、女性は症状が出にくいため気が付いていないということも考えられています。

淋病の原因

淋菌という細菌に感染することで引き起こされます。淋菌は世界中に存在していて、近年増加傾向にあります。淋菌は非常に弱い菌のため、人間の粘膜から離れると数時間で感染力を失います。また、日の光や乾燥ですぐに死滅するため、基本的に直接的な接触(性行為や性行為に類似した行為)によって感染します。もし感染した場合は、2~7日間の潜伏期間のあとに、症状が出てきます。空気などから感染することは非常にまれであります。

淋病の症状

通常、感染したタイミングから2~7日ほどの潜伏期間を経て症状が出ます。男性と女性、そして感染した部位によって症状は異なっています。男性の場合、尿道炎のように明らかな症状が出ますが、女性の場合はあまり症状があらわれないこともあります。男性では症状を放置していくと、尿道炎や前立腺炎を引き起こしてしまい、不妊症の原因となるリスクもあります。

女性器に感染した場合

女性の場合、以下の例のような分泌物が出る場合もありますが、無症状であることがほとんどです。症状は出ていないものの、後々の不妊の原因につながる子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎といった疾患を引き起こしている場合もあります。

淋病が女性器に感染した場合の症状

  • 尿道がかゆくなる、尿道に違和感を覚える
  • 排尿する時に激しい痛みがある
  • 濁った尿のような分泌液が出る
  • 性器から黄白色の膿が出る
  • 尿道が熱っぽく感じる
  • ペニス全体が腫れ上がっている

のどに感染した場合

淋病のどに感染した場合の症状

  • 咳が出る
  • 痰が絡む
  • 発熱

目に感染した場合

淋病が目に感染した場合の症状

  • 目が充血する
  • 目ヤニが増える
  • 光がまぶしく感じるようになる

直腸・肛門に感染した場合

淋病が直腸・肛門に感染した場合の症状

  • 肛門にかゆみがでる
  • 肛門に痛みがある
  • 血便が出る
  • 下痢の頻度が増えた

淋病に似た症状を引き起こす性感染症で、クラミジアやマイコプラズマ、尿道炎などがあります。淋病は、クラミジアにも同時感染しているケースもありますので、少しでも症状に違和感を感じたり、気になることがあれば治療を開始していくことをお勧めしています。

淋病の感染経路

1回の性行為による感染確率は30%ほどといわれています。感染確率としてはかなり高いといえます。感染経路はクラミジアと同じ原因となています。

感染経路 原因となる行為
性器 膣性交とオーラルセックスによって感染します。
のど オーラルセックスによって感染します。
肛門 アナルセックスによって感染します。
目(結膜) 感染した液がついた手で目をこすることによって感染します。

淋病の検査

淋病にはいくつか検査の種類があります。以下の例の中でもPCR法が簡便ですぐに調べられるため、よく使用されている検査方法となります。それぞれの特徴を記載します。

検査方法 内容
酵素免疫法(EIA法) 菌が死んだ後でも菌がいたかどうかの検出が可能となっています。
液相ハイブリダイゼーション法 液相の中でrRNAを遊離させ、化学発光物質でマークを付けたDNAプローブを使ってハイブリダイゼーションを行います。ハイブリッドを分離剤に吸着させ、化学発光によって見つける方法です。液相ハイブリダイゼーション法とEIA法を組み合わせた方法が、保険適応の範囲内となっています。
PCR法 細菌の遺伝子を複製し、増やすことで菌を検出する方法です。検体を採ることも簡単で、かつ、非常に検出率が高い方法であるとされています。しかし、女性が生理中の場合、余計な血液中の遺伝子が検査を阻害する可能性があるため、できません。

<淋病の検査関連商品>

●アイケア淋病検査キット
アイケア淋病検査キットは、自宅で手軽に淋病の検査ができる使い捨てタイプのキットです。検出の正確率は99%ほどといわれており、信頼性が高いことも特徴です。検査の結果が出るまで15~20分ほどとなっており、医療機関で検査を受けるよりも早く結果を知ることが可能です。

商品名 アイケア淋病検査キット
画像 アイケア淋病検査キット画像
有効成分 iCARE GONORRHEA RAPID SCREEN TEST
価格 1個あたり2980円~
メーカー JALイノベーション
購入ページ

淋病の治療薬

淋菌感染症には抗菌薬を投与して治療していきます。抗菌薬は種類が多数ありますが、いくつかの治療薬では耐性菌が出現しており、ペニシリン系の抗菌薬に関しては耐性株が90%、ニューキノロン系薬剤耐性株も70~80%ほどという報告もあります。
淋病の場合、点滴や注射、経口薬を用いて治療を行っていくケースが多いとされています。

淋病の治療薬:点滴

セフェム系

セフェム系の特徴

  • セフトリアキソン(一般名:セフトリアキソンナトリウム水和物)は急性気管支炎や肺炎などにも使用される薬剤で淋病にも効果を示す抗菌薬です。
  • セフトリアキソンの点滴投与は、淋菌感染症治療における第一選択薬となっています。
  • 先発品は「ロセフィン」で、すでに複数のジェネリック医薬品が発売されています。

セフィム系の注意点

  • ペニシリン系抗生物質に対して過敏症を起こしたことがある方は、同様の症状を起こす可能性があるため、注意が必要です。
  • 利尿薬と一緒に飲むと腎障害の症状を悪化させてしまう恐れがあるため、使用している人は飲み合わせには注意をしてください。

淋病の治療薬:飲み薬

第三世代経口セファロスポリン系

第三世代経口セファロスポリン系の特徴

  • セフィキシムは淋菌に対して、経口薬の中では最も強い効果を発揮するとされています。
  • 1回200mgを1日2回、3日間連続して投与します。

第三世代経口セファロスポリン系の注意点

  • 耐性菌がすでに出現しているため、効果が出にくい場合もあります。
  • 頭痛や下痢、吐き気などが副作用として報告されていますので、注意をしてください。

<第三世代経口セファロスポリン系関連商品>
●セフォプロックス
セフォプロックスは、セフポドキシムが有効成分として含まれた抗菌薬です。「バナン」のジェネリック医薬品です。作用機序としては、有効成分が細胞壁の合成を阻害することで殺菌作用を示し、症状を改善します。使用方法は1回1錠を1日2回食後に服用します。

商品名 セフォプロックス
画像 セフォプロックス画像
有効成分 セフポドキシム100mg
価格 100mg:1錠あたり106円~
メーカー Cipla(シプラ)
購入ページ

マクロライド系抗生物質

マクロライド系抗生物質の特徴

  • 好気性、嫌気性のグラム陽性球菌に効果があるとされています。
  • 細胞のタンパク質合成を阻害することで作用をしまします。

マクロライド系抗生物質の注意点

  • 消化管障害の副作用に注意が必要です。(エリスロマイシンは悪心や嘔吐、下痢などの消化管系の副作用を引き起こしますが、クラリスロマイシンやアジスロマイシンでは少ないとされています。)

<マクロライド系抗生物質関連商品①>
●アジー【ジスロマックジェネリック】
アジー【ジスロマックジェネリック】は、マクロライド系抗生物質のジスロマックのジェネリック医薬品です。治療期間が短い一方、効果が長続きすることが特徴です。500mgの場合、1日1回2錠を服用します。副作用として、腹痛や嘔吐、かゆみなどがありますので、異常があった場合には医療機関を受診してください。

商品名 アジー【ジスロマックジェネリック】
画像 アジー【ジスロマックジェネリック】画像
有効成分 アジスロマイシン水和物
価格 500mg:1錠あたり566円~

1000mg:1錠あたり585円~

250mg:6錠あたり1700円~
メーカー Cipla(シプラ)
購入ページ

<マクロライド系抗生物質関連商品②>
●バイオマイシン
バイオマイシンは、クラリスロマイシンを有効成分として含んだクラリス・クラリシッドのジェネリック医薬品です。作用機序としては、たんぱく合成を阻害する事で殺菌し、感染症の症状を改善します。幅広い細菌に有効です。500mgの場合、1日1回服用となります。

商品名 バイオマイシン
画像 バイオマイシン【クラリスジェネリック】画像
有効成分 クラリスロマイシン250mg/500mg
価格 250mg:1錠あたり372円~

500mg:4錠あたり3200円~
メーカー German Remedies(ジャーマンレメディ)、Zydus
購入ページ

<マクロライド系抗生物質関連商品③>
●エリスロマイシンTC
エリスロマイシンTCは、マクロライド系抗生物質に分類され、グラム陽性・陰性、マイコプラズマなど幅広い菌に有効である医薬品です。成人以上の場合、1日800~1200mgを4~6回に分けて分割投与します。発疹や食欲不振、悪心などの消化管系の副作用には注意をしてください。異常があった場合には医療機関を受診してください。

商品名 エリスロマイシンTC
画像 エリスロマイシンTC画像
有効成分 エリスロマイシン200mg
価格 200mg:16錠あたり2000円~
メーカー Polfa Tarchomin S.A.
購入ページ

テトラサイクリン系抗生物質

テトラサイクリン系抗生物質の特徴

  • 細菌のタンパク質合成を阻害して最近の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわします。
  • 「ミノマイシン」「ビブラマイシン」「アクロマイシンV」「レダマイシン」などの商品があります。

テトラサイクリン系抗生物質の注意点

  • 吐き気や嘔吐、下痢などが起こる場合があります。
  • ミネラルを含んだ製剤や食べ物と一緒にとると、効果が弱まってしまう恐れがあります。

<テトラサイクリン系抗生物質関連商品①>
●モノドックス
モノドックスは、ビブラマイシンと呼ばれる薬剤のジェネリック医薬品です。テトラサイクリン系の抗生物質に分類され、ドキシサイクリン塩酸塩が有効成分となっています。幅広い菌に有効であり、副作用の発現リスクも同じテトラサイクリン系抗生物質の「ミノマイシン」と比較し少ないとされています。

商品名 モノドックス
画像 モノドックス画像
有効成分 ドキシサイクリン塩酸塩水和物
価格 100mg:1錠あたり155円~
メーカー DEVA Holding(ディーバ)
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<テトラサイクリン系抗生物質関連商品②>
●ディバイン
ディバインは、テトラサイクリン系抗生物質のミノマイシンのジェネリック医薬品です。ミノサイクリンはクラミジアやマイコプラズマ、淋菌などに有効であるとされております。作用機序としては、体に入った細菌を殺菌し、最近の数を減らすことで症状を改善します。

商品名 ディバイン
画像 ディバイン画像
有効成分 塩酸ミノサイクリン100mg
価格 100mg:1錠あたり144円~
メーカー Cipla(シプラ)
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ニューキノロン系抗生物質

ニューキノロン系抗生物質の特徴

  • 細胞の増殖に必要な酵素を阻害することで、殺菌的に作用を示します。
  • 薬剤によって抗菌作用の範囲は異なっていますが、尿路感染症や呼吸器感染症など幅広く使用されています。

ニューキノロン系抗生物質の注意点

  • 下痢や吐き気、食欲不振などの症状があらわれます。

<ニューキノロン系抗生物質関連商品①>
●エルクイン
エルクインは、クラビットという抗生物質のジェネリック医薬品です。濃度に依存して効果が発揮されるとされています。ニューキノロン系に分類され、性感染症の中でもクラミジアや淋病に効果が期待されています。服用も1日1回で簡便であることも特徴の1つです。

商品名 エルクイン
画像 エルクイン画像
有効成分 レボフロキサシン【250mg/500mg/750mg】
価格 250mg:1錠あたり85円~
500mg:1錠あたり162円~
750mg:1錠あたり324円~
メーカー Cipla(シプラ)
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<ニューキノロン系抗生物質関連商品②>
●レボクイン
レボクインは、クラビットのジェネリック医薬品です。抗菌作用が強く、クラミジアや淋病に有効です。性感染症以外にも、喉頭炎や扁桃炎にも効果があるとされています。

商品名 レボクイン
有効成分 レボフロキサシン【250mg/500mg】
価格 250mg:10錠あたり1280円~
500mg:10錠あたり1450円~
メーカー Cipla(シプラ)
購入ページ

<ニューキノロン系抗生物質関連商品③>
●シプロックス
シプロックスは、ニューキノロン系の薬剤で、淋菌、中耳炎、膀胱炎などに使用されている薬剤です。セフェム系・ペニシリン系などほかの種類で耐性があり、治療効果がなかった方などは本剤での治療効果が期待されています。感染症の治療に使用する場合、1日2~3錠を服用します。

商品名 シプロックス
画像 シプロックス画像
有効成分 シプロフロキサシン塩酸塩水和物【250mg/500mg】
価格 250mg:1錠あたり45円~
500mg:1錠あたり90円~
メーカー Cipla(シプラ)
購入ページ

淋病の治療薬:注射

アミノグリコシド系

アミノグリコシド系の特徴

  • スペクチノマイシンは保険適応の範囲内であり、淋菌の症状改善に使用されています。
  • 先発薬は「トロビシン」で、1回の投与での有効性が認められています。

アミノグリコシド系の注意点

  • のどの感染に対しては、スぺクチノマイシン1回投与の有効性は低いとされています。そのため、のどの感染に対しては、セフトリアキソンがよく使用されます。

淋病の予防法

淋病には、残念ながら予防接種などで事前の予防薬などはありません。そのため、日々の生活で感染しないよう気を付けることが大切です。また、淋菌は一度かかって治った後も再びかかってしまうことがあります。淋病の感染をいち早く防ぐための予防法の一例をご紹介します。

淋菌感染症の予防法

  • 不特定多数との性行為は避ける
  • 性行為の際はコンドームをつける
  • パートナーの感染が疑われたら一緒に検査を受ける
  • 定期的に性病検査を受ける

淋病感染症の注意点

最近は治療薬が効かない菌が増えている

近年、問題となっているのは、淋菌が抗菌薬に耐性を付けてしまっている点です。その結果、治療薬を投与しても効果がなくなっているということが起こります。抗菌薬の耐性化が進むと、今後淋菌になっても治療薬がないということも起こりえます。治療薬を服用した後2週間以上経過してから再び検査を行い、しっかりと菌が陰性になっているかどうかを確認し、治療を終えましょう。

症状の放置には注意!

症状を放置していると、男性では精巣上体炎や尿道炎、女性では子宮頚管炎などの病気になり、不妊を引き起こしてしまう恐れがあります。女性は症状に乏しいため、受診率も男性と比較して少ない現状があります。発見されておらず、実は淋菌感染症だったということもありますので、症状には出ていないときでも定期的に検査をするとよいでしょう。

他の性感染症には注意

淋菌感染症の患者の20~30%は性器クラミジア感染症を合併しているという報告もあります。淋菌の検査と同時にほかの性感染症の検査もできますので、一緒に行うなどして感染を広げない工夫が大切です。

最後に

淋菌感染症は、世界でも日本でも感染者が非常に多い性感染症の1つです。症状は出ていない間に悪化している場合も想定されますので、いち早く病気に気づいていち早く病気を治療していくことが大切です。少しでも当てはまる症状があったり、不安な行為のあとには恥ずかしがらずに治療を進めていきましょう。

よくある質問

出典

【参考元:日本性感染症学会誌 性感染症 診断・治療 ガイドライン2016】
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