トラセミドを服用すると痩せるの?

トラセミドを服用すると、一時的に体重が減ることがあります。
ただしこれは脂肪が減ったわけではなく、体内の余分な水分が排出された結果です。
トラセミドはむくみ治療用の利尿薬であり、ダイエット薬ではありません。
「利尿薬」とは尿を出すことでむくみを改善する薬です。
一般的に健康な成人における尿量は1日に1~1.5Lと言われています。
単純に排泄される尿量だけ見ると1日に1~1.5Kg体重が減少していることになります。
利尿剤は、飲むことで余分な水分を尿として出した分だけ体重が減るという現象がダイエットであると見る人がいます。
ですが、「体重が減る=ダイエット効果」ではありません。
そもそも利尿薬には、作用する部位によって4種類に分類されます。
その中でもトラセミドは「ループ利尿薬」と呼ばれる最も利尿作用の強い薬に属します。
本来、心不全や腎臓病、肝硬変などによる体内の余分な水分を排出するために使用されます。
またトラセミドによる水分排出は、時に電解質バランスの乱れを引き起こすことがあります。
特にカリウム値の低下(低カリウム血症)に注意が必要です。
過度な脱水や血圧低下などの副作用も起こりえます。
そのため、自己判断でトラセミドを服用することは注意が必要です。
トラセミドは適切な治療目的で使用されれば大変有用な薬ですが、ダイエット目的では使用すべきではないことを覚えておきましょう。
▼メデマート取り扱い商品
メデマートでは、以下の商品を取り扱っています。
いずれも有効成分トラセミドの配合量が異なるため、ご自身に合った強さの商品をお選びいただけます。
| 商品名 | トーシミド | トール | ムクミトール |
|---|---|---|---|
| 画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
| 有効成分 | トラセミド5mg/10mg/20mg/40mg/100mg | トラセミド5mg/10mg/20mg | トラセミド5㎎/10㎎/20㎎ |
| メーカー | John Lee Pharma(ジョンリーファーマ) | Intas Pharmaceuticals(インタスファーマ) | Asle pharmaceuticals(アスレ) |
| 購入サイト | トーシミドの購入ページ | トールの購入ページ | ムクミトールの購入ページ |
体重が減るメカニズム
トラセミドを服用すると体重が減少するのはどのようなメカニズムが根幹にあるのでしょうか。
実際どの程度体重を落とすことができるのかも興味深いところです。
水分排出のメカニズムと体重変化

私たちの体は、ナトリウム(塩分)を調整して水分バランスを保っています。
トラセミドは腎臓でナトリウムの再吸収を抑え、余分な水分と一緒に尿として排出します。
その結果、むくみが改善され、体重が一時的に減ります。
利尿剤の詳細については当サイトメデマートの別コラムにて紹介されています。
むくみの程度別にみる体重減少の目安

トラセミドはむくみの程度に応じて用量を調整して使用されます。
一般的にむくみは軽度・中等度・重度に分けられます。
①軽度のむくみの場合
一般的に体重が2~3kg増えると足首の付近からむくみ始めます。
②中等度のむくみの場合
5kg以上増えるとむくみが全身に広がるといわれています。
③重度のむくみの場合
原因によっては、数日で10kg前後変動する場合もあります。
体の中で増えた水分量はそのまま体重増加につながります。
トラセミドはむくみによる増えた水分による体重を元に戻します。
一般的には軽度のむくみで2〜3kg程度の減少が期待できます。
臨床試験では、トラセミド錠4mgを投与された患者で1日あたり尿量が500〜600mL増加し、体重減少は1〜3kg程度でした。
1).臨床医薬 10巻suppl-5号(臨床医薬研究協会) | 医学文献検索サービス メディカルオンライン
ただし、急激な水分排出は脱水や電解質バランスの乱れを引き起こす可能性があります。
特に高齢者は注意が必要です。体重減少の程度は個人差が大きく、基礎疾患や腎機能、服用量によって変動します。
医師の指示に従い、定期的な検査を受けることが大切です。
痩せた体重はもとに戻るの?
トラセミドで減った体重は、あくまで水分量の変化によるもので、脂肪は減っていません。そのため、服用をやめると体重は元に戻ります。

利尿作用のピーク時間と体重変化
トラセミドは強力な利尿薬で、服用後30分程度から効果が現れ始めます。服用後1時間程度で利尿作用のピークが現れます。
その後薬の効果は6~8時間持続します。つまり薬の効果は半日も持ちません。
トラセミドの効果が持続している時間だけ尿量が増えます。増えた尿量はそのまま体重減少につながります。
しかし薬の効果が切れた後は、減少した体重は水分を補給することで元に戻ってきます。
もし朝服用した場合、その日の夕方には体重が戻り始める準備をしているということになります。
体重が元に戻るメカニズム
体重が元に戻る主な理由は、私たちの身体が常に恒常性(体が状態を一定に保とうとする働き)を保とうとするからです。
水分バランスを一定に保つため、失われた水分を取り戻そうとする仕組みが働きます。
具体的には次のようなプロセスで体重は戻っていきます。
体重が戻る時間の目安
利尿剤の効果が切れた後、体重が完全に元に戻るまでの時間は個人差があります。
トラセミドは服用後10時間もすればほぼ利尿薬としての効果を失います。
利尿効果が失われればその時点から体は恒常性を保つため速やかに元に戻ろうとします。
特に食事や水分摂取のパターンによって、この回復速度は大きく変わります。
塩分を多く含む食事を摂ると、体は水分を保持しようとするため、体重の回復が早まることもあります。
体重変化の目安
トラセミドを服用すると、通常2日目から1~2%程度の体重減少が始まります。
服用を続けると6日目頃には約3%の体重減少が確認されています。
1).臨床医薬 10巻suppl-5号(臨床医薬研究協会) | 医学文献検索サービス メディカルオンライン
これは余分な水分が排出された結果です。
例えば60kgの方なら、服用2日目で0.6kg~1.2kg程度の減少、6日目には約1.8kgの減少が期待できるでしょう。
ただし、この変化には個人差があります。
食事の塩分量や水分摂取量、そもそもの体内水分量によって、効果の表れ方は異なります。
また、減少するのは主に体内の余分な水分なので、脂肪が減るわけではありません。
トラセミドによる体重変化を正確に把握したい場合は、毎朝同じ条件で測定するのがおすすめです。
起床後、トイレを済ませてから、食事前に測ると良いでしょう。
また、服用前の体重をきちんと記録しておくことで、変化がわかりやすくなります。
体重の減少が思わしくない場合や、急激に減少した場合は自己判断せず、処方した医師に相談してください。
日々の体重記録は、薬の効き目を確認するだけでなく、体調管理にも役立ちますので、継続的な記録をおすすめします。
トラセミドに関するよくある質問

- Qトラセミドで脂肪は減るの?
- A
減りません。
トラセミドは利尿剤であり、脂肪を減らす効果はありません。
体重が減ったように感じるのは、単に体内の余分な水分が排出されているだけです。
この減少は一時的なもので、水分を摂取すれば元に戻ります。
ダイエット目的での利用は医学的に推奨されておりません。
むしろ電解質バランス(体内の塩分やミネラルのバランス)の乱れなど健康リスクを伴うことがあります。
- Q体重が減ったらダイエットになる?
- A
利尿薬での体重減少はダイエットになりません。
減るのは体内の水分だけで、脂肪は減りません。
水を飲めばすぐに元の体重に戻ります。
健康的な減量には適切な食事と運動が基本です。
- Q服用をやめたらすぐ戻る?
- A
トラセミド服用で減った体重は、やめればほぼ確実に戻ります。
これは単に体内の水分が排出されただけだからです。
服用中止後24時間以内に水分摂取や塩分摂取、通常の食事を摂ることで多くの場合元の体重に戻ります。
まとめ
トラセミド(ルプラック)は強力な利尿薬です。
体内の余分な水分を排出することで体重が一時的に減少します。
トラセミドによる体重減少は通常1~3kg程度で、むくみの重症度によって変わります。
ただし、これは脂肪の減少ではなく、あくまで水分の排出によるものです。
利尿作用のピークは服用後1時間程度で、その後6~8時間効果は持続します。
重要なのは、こうして減った体重は服用中止後24時間以内にほぼ元に戻るということです。
通常の水分摂取や塩分摂取、食事摂取により、体は自然と水分バランスを取り戻そうとします。
特に塩分を含む食事をとると、体内の水分保持が促進され、より早く体重が戻ることもあります。
ダイエット目的でのトラセミドの使用は医学的に推奨されていません。
一時的な体重減少は見た目の変化をもたらすかもしれませんが、脂肪量に変化はありません。
不適切な使用は電解質バランスの乱れや脱水などの健康被害を招く恐れがあります。
むくみでお悩みの方は、トラセミドなどの利尿薬を自己判断で使用せず、必ず医師の指示に従いましょう。
健康的な体重管理には、バランスの取れた食事と適度な運動が基本です。
出典
ルプラック錠4mg/8mg添付文書
ルプラック錠4mg/8mgインタビューフォーム
1).ループ利尿薬GJ-1090(Torasemide)の各種浮腫性疾患に対する臨床効果―至適用量の検討―







