トリコモナスの原因や感染経路・症状や治療薬・予防法と注意点を解説

トリコモナス

トリコモナスとは

トリコモナスは、「原虫」の一種です。
この原虫は主に性行為を通じて感染する性感染症の一つです。別名「膣トリコモナス」とも呼ばれており、膣内や尿道、前立腺などの生殖器に寄生し感染症を引き起こします。主に女性の膣感染症(ちつかんせんしょう)の原因となります。この原虫の形は洋ナシ形で、鞭毛(べんもう)をもつため活発に運動するのが特徴です。
トリコモナスは顕微鏡で確認できる大きさの原虫で、長さはおよそ10~25μm程です。体の前には鞭毛が4本あり、これを使って活発に運動します。生殖は分裂によって行われ、酸素のある環境を好みます。
人間の体内では、主に膣内に寄生して増殖します。膣の正常菌叢を乱し、膣内環境の変化により感染症状が現れます。まれに尿道、子宮、卵管などに感染することもあります。免疫力が低下していると症状が重くなりやすい特徴があります。
世界保健機構(WHO)が2016年に15歳から49歳を対象とした調査報告によると、新規の性感染者患者数はトリコモナス感染症が1億5600万人と世界で一番流行している性感染症であると発表しました。

原虫って何?

原虫とは単細胞の微生物で、中学や高校の理科の教科書で学んだゾウリムシやアメーバも原虫と呼ばれるものの一種です。原虫は非常に小さく、肉眼では見えませんが、顕微鏡を使ってようやく観察することができます。
この微生物の仲間には、人や動物に寄生して病気を引き起こすものがあります。寄生虫ともよばれる原虫は、寄生された生物の体内で生活し、その栄養を奪ったり、生物に影響を与えたりします。これによって、寄生された生物はさまざまな症状を引き起こし、時には重篤な病気を発症することがあります。
例えば、マラリアと呼ばれる病気の原因となるのは、寄生虫であるマラリア原虫です。この原虫は、感染した蚊に刺されることで人に感染します。感染した人の体内で原虫は増殖してマラリアを引き起こします。他にも、原虫によって引き起こされる病気には多く存在します。

トリコモナスの原因

感染症の原因は「トリコモナス原虫」という寄生虫による感染です。
男性にも女性にもどちらでも感染します。
男性では無症状の場合が多く、女性では症状が強く出る傾向があります。その為正式な病名は「膣トリコモナス症」と呼ばれています。
この原虫は女性の腟内に生息し、腟粘膜細胞内のグリコーゲンを栄養源として利用しています。
通常、健康な腟内には乳酸菌が常在しており、グリコーゲンから乳酸を生成することで腟内のpHを酸性に保っています。これにより、腟内環境を整え、悪い菌の侵入や増殖を抑制しているのです。
ところが、このトリコモナスがグリコーゲンを奪うことにより、乳酸菌が減少することで、腟内環境が崩れてしまいます。その結果、嫌気性菌や大腸菌などの悪い菌が増え、黄色い膿様のおりもの、かゆみ、悪臭などの症状を引き起こします。
つまり、トリコモナス症の根本的な原因は、腟内フローラのバランスが崩れることにあります。腟内環境を守る乳酸菌を減らし、悪い菌の侵入を許してしまうことが、この症状の発生に深く関与していると言えます。
また膣内の菌叢のバランスが崩れた時に、体内にもともと常在していたトリコモナスが過剰増殖を起こすこともあります。免疫力低下などがリスク因子となり、感染症状が顕在化するケースも報告されています。
トリコモナス保有者の中には無症状の場合もあり、感染から症状が現れるまでの時間には個人差があると考えられています。ストレスなどによる抵抗力低下が引き金となって症状が現れることもあるでしょう。

トリコモナスの症状

トリコモナス感染症は、性行為やそれに準ずる行為を通じて広がる性感染症の一つで、男女ともに感染していても無症状であることが多いため、早期の検査と適切な治療が重要になります。
感染が見られた場合や性行為に関連する症状がある場合はもちろんのこと、少しでも感染する可能性がある場合は、医療機関での相談と検査が不可欠です。
トリコモナスに感染した場合の症状は男性と女性とでは全く症状がことなります。

男性が感染した場合

一般的に自覚症状がないことが多いですが、感染者に寄生している原虫が性行為により前立腺や精のう、尿道に感染することがあります。初期症状としては尿道炎(にょうどうえん)や前立腺炎(ぜんりつせんえん)が見られ、これが放置されると精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)に進行する可能性があります。精巣上体の炎症は陰嚢(いんのう)の腫れや痛み、発熱などの症状を引き起こし、不妊症のリスクも考えられます。

女性が感染した場合

無症状のことが多く、感染者に寄生している原虫が膣分泌液を介して膣や子宮の入り口、尿道に感染します。感染により膀胱炎(ぼうこうえん)のような症状、膣炎(ちつえん)、子宮頚管炎(しきゅうけいかんえん)、卵管炎(らんかんえん)、腹膜炎(ふくまくえん)が発生する可能性があります。とくに代表的な症状として、膣分泌物の増加が見られます。その他、膣口周囲や外陰部の痒み、膣分泌物の異臭、膣分泌物が黄緑色になったり、泡立つなどの症状が現れます。膣分泌物量の増加と性質の変化が特徴的です。膣口周囲の発赤や腫れ、痒みも症状の一つです。外陰部の痒みとともに、性交時の痛みや排尿時の違和感を訴える人もいます。また、月経時の痛みも強くなる傾向にあります。特に妊娠中は膣の自浄作用(じじょうさよう)が低下するため、感染リスクが高まります。妊娠中に感染した場合、流産や早産のリスクが増加し、悪影響が及ぶ可能性があります。
感染が疑われる場合や症状が出た場合は、早めに医療機関での相談と検査を受けることが重要です。放置すると症状が悪化し、不妊症やその他の合併症のリスクが高まるため、健康管理に留意することが必要です。

トリコモナスの感染経路

主な感染経路は「性行為」です。膣、肛門、口などによる性行為を通じて感染します。
男女共通で言えることは、尿路感染の場合には尿によって排出される可能性があります。
性行為での感染リスクについては、コンドーム着用の有無や性行為の種類によって異なりますが、膣および肛門による性行為は感染リスクは高く、口での性行為では感染リスクが低いと考えられています。また短時間の接触ですら感染の危険性があるため、性行為をする時の予防策が重要となります。
感染経路をもう少し詳しく見てみると男性と女性とではで微妙な違いがあります。

1)男性が感染している場合

寄生虫 寄生部位 感染源 感染行為
膣トリコモナス原虫 精のうや前立腺 精液 性行為・オーラルセックス・キス

2)女性が感染している場合

寄生虫 寄生部位 感染源 感染行為
膣トリコモナス原虫 子宮の入り口や膣 膣分泌液 性行為・オーラルセックス・キス

特に妊娠中は「膣の自浄作用(膣内は酸性に保たれ、他の細菌が繁殖しないようになっています)」が低下するため、感染リスクが増加します。
更には、性玩具などを介しての感染も報告例があるため、注意が必要です。性玩具の共用は感染リスクが高まると考えられています。
そのほかにも、感染者との下着やタオルの共用、入浴施設での感染など、性行為以外の感染経路もまれながら存在します。家庭内感染は稀ではあるものの、母親から赤ちゃんへの母子感染の報告もあります。
とくに男性が感染した場合、原虫は前立腺や精のうなど、奥の方に潜んでいることが多く、症状が現れにい特徴があります。感染が発見されにくいことから、性病の中でもとくにピンポン感染(カップルで治療をしない限り、病気をうつしたり、もらったりすること)を起こしやすく、パートナーの感染が判明した場合、自分自身も70~80%の確率で感染していると考えて間違いありません。

トリコモナスの検査

トリコモナスの検査方法は各種ありますのでご紹介いたします。
まずは、「微生物学的検査法」による検査です。膣分泌物や尿道分泌物に対して微生物検査が行われます。標本を作製し、顕微鏡観察する方法が基本となります。トリコモナスの活発な運動性が特徴で、鞭毛(べんもう)を確認できれば診断できます。
検体をスライドガラスに塗抹後、生理食塩水を加えて標本を作製し、顕微鏡で観察します。染色処理を施すことで鞭毛や細胞内構造を鮮明に観察することができます。しかし、明らかにトリコモナスの症状を呈しながら、顕微鏡では確認できない場合原虫が少数で見逃されている可能性があります。診断率は60~70%と言われています。この場合「培養検査」による検査をします。特殊培地を用いてトリコモナスを培養し、増殖を確認する方法ですがこちらの検査方法は、特殊培地が必要であり、一般細菌とは異なる検査準備が必要となります。
最近では核酸増幅法(かくさんぞうふくほう)の導入により、「PCR検査」や「トリコモナス核酸同定(TMA)法」による遺伝子検出が可能となりました。これらの検査は短時間で高い検出感度を得られるため、精度の高い検査法といえます。TMA法とは、Target Mediated Amplificationの頭文字をとった核酸増幅法のことです。従来のPCR法では、1つの細胞に1個しかないDNAの遺伝子をターゲットにして増幅させていました。しかしTMA法は、数千個も存在しているrRNAの遺伝子をターゲットにします。
TMA法を簡単に解説しますと、まずターゲットとなるrRNAに、DNA合成酵素を結合させます。そして、連続的にDNAの合成と分解を繰り返すことで、RNAを増幅させていきます。TMA法では、非常にたくさん存在するrRNAをターゲットにすることで、感度と精度が飛躍的に向上します。従来のPCR法と比較して、感度は1000倍以上、精度も格段に高い核酸増幅法なのです。
感染症の診断など、高い検出感度と精度が求められる場合にTMA法が利用されています。一般的なPCR法では検出限界であったウイルスなども、TMA法なら正確に検出できるのが強みです。
また「血液検査」では、トリコモナスに対する抗体価を測定する方法も用いられます。IgG抗体の有意の上昇は、感染の裏づけになりますが確定診断とまではいきません。

トリコモナスの治療法

トリコモナスの標準的な治療は、「メトロニダゾール」などの抗原虫薬の内服です。現在使用できる医薬品は多くは存在していません。選択肢としては病院を受診し処方してもらうか又は個人輸入で購入するかの2択になります。病院へ行く時間が作れない人にとって個人輸入で医薬品が入手できるのは嬉しいですよね。どの様な医薬品が販売されているのかご紹介致します。

「医療用医薬品」

  • フラジール内服錠250mg:製造販売元(シオノギファーマ株式会社)
  • フラジール膣錠250mg:製造販売元(富士製薬工業株式会社)
  • チニダゾール錠200mg/500mg「F」:製造販売元(富士製薬工業株式会社)
  • チニダゾール膣錠200mg「F」:製造販売元(富士製薬工業株式会社)

「個人輸入で購入の出来る医薬品」

  • フラジール:製薬メーカー(Sanofi Aventis)
  • ヴァギシン:製薬メーカー(Charoen Bhaesaj)

<関連商品>

商品名 フラジール ヴァギシン
画像 フラジール マーベロン
一般名 メトロニダゾール ナイスタチン・クロラムフェニコール・ジヨードヒドロキシキン
価格 1錠あたり112円 1錠あたり520円
メーカー Sanofi Aventis Charoen Bhaesaj
購入ページ

原則としてパートナーと同時に治療することが大切であり、また治療中の性交渉は避ける必要があります。
メトロニダゾールは5-ニトロイミダゾール系の抗原虫薬で、トリコモナスに対する第一選択薬として用いられます。フラジールには経口薬と膣錠があります。経口薬は性器だけでなく、前立腺や卵管などに感染が奥に進んでしまった場合にも有効です。通常、1回250mgを1日2回10日間の服用が基本治療法です。膣錠は妊娠初期であったり直りが悪い場合、再発を繰り返すなどの場合に使用されます。特に難治例や再発例に至っては経口薬と併用することもあります。膣錠の場合には1回250mgを1日1回膣内に挿入10~14日間の使用が基本治療法です。
アルコールとの併用は禁忌であるため、この期間中は飲酒を避ける必要があります。
体質によってメトロニダゾールにアレルギーのある方は代わりにチニダゾールの内服薬又は膣錠で治療します。重症例では注射によるメトロニダゾールの投与も考慮されます。
女性は再発を繰り返したり治りにくいようであれば薬を使用しながら膣洗浄も行って原虫を洗い流すこともあります。
治療期間中は性行為を避け、治療終了後一定期間はコンドーム使用を心がける必要があります。トリコモナスは自然治癒することはありません。また免疫がつくこともありません。放置せずに適切な処置しましょう。

トリコモナスの予防法

トリコモナス感染症は性感染症の一つであり、感染を予防するためには適切な知識と行動が求められます。以下に、性行為を通じた感染症を予防するための具体的な方法をご紹介します。

1)コンドームを使用すること
性行為の際には、必ずコンドームを使用しましょう。コンドームは性感染症の予防に非常に効果的であり、感染リスクを大幅に低減します。正しい使用方法を守り、適切なコンドームを選ぶことで、トリコモナス感染のリスクを軽減できます。

2)不特定多数の相手との性行為は避けましょう
感染症のリスクは不特定多数の相手との性行為が増えるほど高まります。安全な性行為を維持するためには、信頼できるパートナーとの関係を築くことが重要です。安心して性行為ができる状況を整えるようにしましょう。2) 不特定多数の相手との性行為は避けましょう
感染症のリスクは不特定多数の相手との性行為が増えるほど高まります。安全な性行為を維持するためには、信頼できるパートナーとの関係を築くことが重要です。安心して性行為ができる状況を整えるようにしましょう。

3)感染症症状のある相手との性行為は避けましょう
トリコモナス感染の症状がある相手との性行為は避けるべきです。感染者との性行為は感染リスクが高まりますので、症状が見られる場合は医師の診断を受け、適切な治療が行われるまで性行為を控えるべきです。

4)性行為後には排尿すること
性行為の直後に排尿することで、尿道に残留している原虫が流れ落ち、感染を予防できるとされています。排尿により、尿道から感染が広がるリスクを低減させることが期待されます。

5)定期的に健康診断を受けること
定期的な健康診断や性感染症検査を受けることも、早期発見と治療につながります。定期的な検査は、感染の早期発見と予防のために重要です。医師の指示に従い、定期的な健康診断を受けましょう。
以上の予防策を実践することで、トリコモナス感染のリスクを低減し、健康な生活を維持できます。性感染症への正確な知識と健康的な行動は、自身の健康だけでなく、パートナーや社会全体の健康にも寄与します。

よくある質問(Q&A)

まとめ

トリコモナスまとめ

  • 男性は無症状の場合が多い
  • 女性は症状が強く出る傾向
  • 感染経路は主に性行為、稀に共用しているものからも感染例あり
  • 自然治癒することはなく適切な治療が必要
  • 完治するにはパートナーと同時に治療を開始する

トリコモナスは、主に性行為を通じて感染する原虫による病気です。寄生虫であるトリコモナスが、膣や尿道、前立腺などに感染することで起こります。
代表的な症状は、女性の場合、膣分泌物の量が増えたり色が変化するなどの膣の異常です。男性の場合は、精液や尿の性状の変化や、排尿時の痛みなどが現れます。症状の程度には個人差があります。そのほとんどは無症状であることの方が多いとされています。
感染経路は性行為が主で、コンドームを使用しない膣性交や肛門性交などで感染することが多いのが特徴です。検査では、「PCR検査」や「トリコモナス核酸同定(TMA)法」によるトリコモナスの遺伝子検出が可能です。これらの核酸増幅検査は短時間で高い検出感度を得られるため、精度の高い検査法となります。
治療には抗原虫薬と呼ばれるメトロニダゾールなどの内服及び膣錠が有効で、パートナーも同時に治療することが大切です。治療期間中は飲酒を控え、性行為も避ける必要があります。予防にはコンドームの使用が重要で、不特定多数の相手との性行為は避けることが必要です。定期的な検査も感染早期発見につながります。トリコモナスは治る病気ですが、知識を深め、検査と治療を受けることが大切です。性行為感染症と呼ばれる疾患は決して恥ずかしい疾患ではありません。放置する事でもっと症状は悪化してきます。病院に行きたくないのであれば個人輸入で購入の出来る医薬品を使用することでも治療は可能です。様々な選択肢がありますのでパートナーと一緒にしっかりと考え治療をしましょう。

参考にした文献およびサイト

【参考元:MSDマニュアル家庭版(トリコモナス膣炎)】【参考元:MSDマニュアルプロフェッショナル版(トリコモナス症)】【参考元:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 フラジール内服錠250mg】【参考元:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 フラジール膣錠250mg】【参考元:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 チニダゾール錠200mg/500mg「F」】【参考元:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 チニダゾール膣錠200mg「F」】
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