成分名 |
ビキサロマー |
適応症状 |
慢性腎臓病患者における高リン血症の改善など |
簡易説明 |
ビキサロマーは、消化管内で食物に含まれているリンを吸着することによって、体内への吸収を阻害します。血液中のリン濃度が低下することで高リン血症を改善するリン吸着薬です。
主に慢性腎臓病(CKD)における高リン血症の治療に使用され、アステラス製薬が「キックリン」として販売をしています。高リン血症の改善は動脈硬化や骨折などの予防にもつながり、リンとカルシウムの血清濃度を正常に保つことで、重い心血管系合併症を防ぐことにつながります。 |
処方可能な診療科目 |
内科/循環器科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:キックリンカプセル250mg 24.4円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
※慢性腎臓病で薬の処方の他に透析治療を受ける場合は、高額療養費の特例が適用される場合があります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2012年6月発売開始【キックリンカプセル250mg】 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
キックリン顆粒86.2% 【製薬メーカー:アステラス製薬】
キックリンカプセル250mg 【製薬メーカー:アステラス製薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
ビキサロマーは消化管内で食物に含まれているリンを吸着することによって、体内への吸収を阻害する効果がある、リン吸着薬です。腎臓の働きが落ちること、主に慢性腎臓病(CKD)の病態でリンの排泄が十分に行えず、血中にリンが溜まって引き起こされてしまうのが高リン血症です。この症状を改善するためにビキサロマーで血液のリン濃度を低下させ、血清濃度を正常に保ちます。慢性腎臓病が続いてしまうと引き起こされてしまう動脈硬化などを抑え、重大な心血管系合併症を防ぐことにも繋がります。
ビキサロマーは非吸収性のアミン機能性ポリマーであり、消化管内で食物に含まれるリン酸と結合・吸着し、糞中へとリン排泄を促進させます。結果的に、体内へのリン吸収が阻害され血清リン濃度が低下するという薬理となっています。
高リン血症治療薬は他にもありますが、炭酸カルシウム(カルタン)や炭酸ランタン(ホスレノール)などとは異なり、リン結合性ポリマーのリン吸着薬です。非吸収性であり、金属やカルシウムを含まないため、高カルシウム血症や金属の組織蓄積による毒性発現の心配がないとされています。血清カルシウム値が高いため、炭酸カルシウム製剤が使いにくい際に有用です。
◆セベラマーとの違い
同類薬のセベラマー(レナジェル、フォスブロック)と比べ膨潤が小さいため腹部膨張や便秘などの消化器系の副作用が抑えられています。胃腸障害でセベラマーが継続困難な際に代替できる可能性がございます。
セベラマーで心配とされる過塩素血症性の代謝性アシドーシスの懸念がないことが期待されています。また胆汁酸の吸着性が低く、ビタミンの吸収障害を起こす可能性も低いとされています。 |
使用方法 |
成人には、通常ビキサロマーとして1回500mgを開始用量とし、1日3回食直前に経口投与します。
その後、症状、血清リン濃度の変動などにより適宜増減しますが、最高用量は1日7,500mgとします。
◆使用上の注意
・使用開始時または用量変更時には、1~2週間後を目安として血清リン濃度の確認を行うことが望ましいとされています。
・透析患者の場合は、血清リン濃度が3.5~6.0mg/dLとなるように適宜増減して下さい。
・保存期慢性腎臓病患者の場合、投与量は血清リン濃度を基準値内に維持するよう適宜増減して下さい。増量幅はビキサロマーとして1回あたり500mgまでとします。 |
副作用 |
主な副作用
ビキサロマーには、副作用が起こる可能性があります。
ビキサロマーを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。
主な副作用は、
・便秘などの腹痛や腹部の不快感
その他の副作用
・硬便、腹部不快感、腹部膨満、悪心
・下痢、嘔吐、腹痛、胃炎、痔核、便潜血陽性
・そう痒症
・発疹
・血中副甲状腺ホルモン増加
・下肢静止不能症候群
・口渇、回転性めまい
重大な副作用
▼腸管穿孔、腸閉塞(いずれも頻度不明)
腸管穿孔、腸閉塞の病態を疑わせる高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には、速やかに投与を中止して、腹部の診察や画像検査(単純X線、超音波、CT等)を実施し、適切な処置を行ってください。
▼虚血性腸炎(1%未満)
病態が進行し腸管穿孔等の重篤な状態に至らぬよう、異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。
▼消化管出血、消化管潰瘍(各1%未満)
吐血、下血及び食道、胃、十二指腸、結腸、直腸等の潰瘍があらわれることがあります。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼便秘・便秘増悪(15%以上)
これらの症状があらわれた場合には本剤の減量又は休薬を考慮して、高度の場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼憩室炎(頻度不明)
病態が進行し腸管穿孔等の重篤な状態に至らぬよう、異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。
▼肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの著しい上昇を伴う肝機能障害の発現が報告されています。
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
■腸閉塞の患者
腸閉塞の患者は、非吸収性ポリマーのため、腸管穿孔を起こすおそれがあります。投与しないでください。
■ビキサロマーを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方キックリンカプセルは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼キックリンカプセルの有効成分
ビキサロマー
▼代表薬の添加物
・ヒプロメロース
・カラギーナン
・軽質無水ケイ酸
・ソルビタン脂肪酸エステル
使用に注意が必要な方 ■便秘のある患者
便秘のある患者は、症状が悪化した場合、腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■腸管狭窄のある患者
腸管狭窄のある患者は、非吸収性ポリマーのため、腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■腸管憩室のある患者
腸管憩室のある患者は、憩室部位に腸管穿孔を起こすおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■腹部手術歴のある患者
腹部手術歴のある患者は、腸管の癒着等が生じ、腸閉塞を起こすおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■痔疾患のある患者
痔疾患のある患者は、症状を悪化させるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■消化管潰瘍又はその既往歴のある患者
消化管潰瘍又はその既往歴のある患者は、症状を悪化又は再発させるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■重度の消化管運動障害を有する患者
重度の消化管運動障害を有する患者は、症状を悪化させるおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していません。
■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、消化器症状等の副作用の発現に注意してください。
上記にあてはまる方は、ビキサロマーを使用する事が出来ない可能性があります。 ビキサロマーを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・エナラプリル
・アトルバスタチン
・バルサルタン
・カンデサルタン シレキセチル
・テルミサルタン
・オルメサルタン メドキソミル
・イルベサルタン
・シプロフロキサシン
・甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシンなど)
上記を使用している方は、ビキサロマーを使用する事が出来ない可能性があります。 ビキサロマーを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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