クレンブテロール塩酸塩

成分名

クレンブテロール塩酸塩

適応症状

① 気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎による気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解

②腹圧性尿失禁

簡易説明

この薬は、気管支•気道拡張作用、抗アレルギー作用により、気管支喘息、慢性気管支炎による症状を抑え、呼吸を楽にします。また、膀胱平滑筋弛緩作用・膀胱内圧低下作用・外尿道括約筋の収縮作用により、尿失禁の症状を改善します。

先発品がスピロペント錠、後発品(ジェネリック)がクレンブテロール錠という名前で販売されています。ただし、スピロペント錠は在庫がなくなり次第販売中止するとのことです。

処方可能な診療科目

呼吸器内科、泌尿器科、一般内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

3割負担額
初診料846円+処方料150円++薬局での費用(調剤技術料+薬学管理料+医療材料料)1,000円+薬剤料約1,800円=約3,800円
※実際とは異なる場合があります。目安としてください。

厚生労働省による認可、または発売年月日

先発品 スピロペント錠10μg(帝人ファーマ株式会社)
製造販売承認年月日 2009年6月26日
薬価基準収載年月日 2009年9月25日
発売年月日      1986年6月19日

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

スピロペント錠10μg
※順次販売中止

関連製品(ジェネリック)

クレンブテロール錠10μg「ハラサワ」(日本ジェネリック•原沢製薬工業)
※旧名称トニール錠

効果・作用

クレンブテロール塩酸塩はβ₂受容体刺激薬という種類の薬です。

クレンブテロール塩酸塩の適応症状である気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎による気道閉塞性障害に対しては喘息の発作を予防することが重要です。クレンブテロール塩酸塩は1日2回の服用で長時間にわたって作用し、気管支の拡張を行うアドレナリンβ₂受容体に作用しやすい薬です。アドレナリンβ₂受容体に作用した後は気管支平滑筋を弛緩することで、呼吸を楽にできるようにします。

この薬は5歳以上の小児から服用が可能です。また、頓用として症状が出たときに服用することも可能です。ですが、頓用を繰り返す必要があるような症状が続くときは速やかに医師に相談し、適切な処置を受ける必要があります。

喘息治療薬には主に2種類の治療薬があります。1つ目は長期管理薬(コントローラー、LABA(Long Acting β2 Agonist:長時間作用性吸入β2刺激薬)とも呼ばれます)と呼ばれる喘息発作が起こらないように、長期間にわたって薬を使用していく薬があります。クレンブテロール塩酸塩は主にこちらの長期管理薬の目的で使用されます。2つ目は発作治療薬(リリーバー、SABA(Short Acting β2 Agonist:短時間作用型β2刺激薬)とも呼ばれます)と呼ばれる喘息発作が起こった時に気管支を素早く広げ、呼吸を楽にする薬です。クレンブテロール塩酸塩は発作治療薬としても使用することは不可能とはされていませんが、過度に頓用として利用し続けると心停止などの命に関わる症状が発生する可能性があるため注意が必要です。

腹圧性尿失禁は妊娠や出産(肛門挙筋が弱ってしまう原因)を経た中高年の女性に多い症状です。咳、くしゃみ、重いものを持ち上げるなど腹圧がかかった時に尿が漏れてしまう症状の病気です。クレンブテロール塩酸塩のβ₂受容体刺激作用により膀胱の筋肉が弛緩することにより、膀胱が柔らかくなり、より多くの尿をためることができるようになります。また、喘息等の発作をお持ちの方は、喘息の発作を抑えることにより、激しい咳などを抑え、腹圧性尿失禁の症状を軽減することも可能だと考えられます。

使用方法

① 気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎による気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
・大人
1回20μgを1日2回、朝、就寝前に服用してください。
頓用の場合は1回20μgを服用してください。
・5歳以上の小児
1回0.3μg/kgを1日2回、朝、就寝前に服用してください。
頓用の場合は1回0.3μg/kgを服用してください。

いずれの場合も年齢、症状によって医師、薬剤師の助言のもと適宜増減してください。また、頓用を繰り返さなければならない状況の時は速やかに医師の診察を受けてください。

②腹圧性尿失禁
1回20μgを1日2回、朝、夕に服用してください。
年齢、症状によって医師、薬剤師の助言のもと適宜増減してください。ただし、1日60μgを上限としてください。

●服用する上での注意事項
この薬には重篤な副作用が発現する可能性があります。医師、薬剤師からの指示は必ず守り、自己判断で服用を中止したりしないでください。また、ご不明な点があれば、医師、薬剤師に必ずご相談ください。

・クレンブテロール塩酸塩は吸入ステロイド薬等の代替薬ではありません。医師の指示なくこの薬や一緒に飲んでいる他の喘息治療薬の服用量を増やしたり、減らしたりしないでください。

・気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫の急性増悪に対してはこの薬ではなく発作治療薬(SABA、リリーバー、短時間作動型吸入β₂刺激剤)を服用してください。また、小児などの場合は監督者が観察行いながら適切な薬を服用させてください。

・用法。用量通り正しく使用しても効果が現れない場合は医師にご相談の上投与を中止してください。

・過度に使用を続けた場合、不整脈や場合によっては心停止を引き起こす可能性がありますので十分に注意してください。

・頓用を繰り返さなければならない症状の時は速やかに医師の診察を受けてください。

・腹圧性尿失禁以外の尿失禁には使用しないでください。

副作用

主な副作用
過敏症 、 発疹 、 そう痒 、 振戦 、 筋痙直 、 頭痛 、 四肢しびれ感 、 興奮 、 不眠 、 眩暈 、 眠気

重大な副作用
重篤な血清カリウム値低下 、 血清カリウム値低下作用が増強 、 心リズムに及ぼす作用を増強

その他の副作用
動悸 、 頻脈 、 不整脈 、 血圧上昇 、 嘔気 、 食欲不振 、 腹痛 、 下痢 、 便秘 、 口渇 、 胸やけ 、 AST上昇 、 ALT上昇 、 排尿障害 、 全身倦怠感 、 浮腫 、 ほてり

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
(1)下部尿路が閉塞している患者[下部尿路の閉塞を増悪させるおそれがある。]
(2)本剤に対して過敏症の既往歴のある患者

使用に注意が必要な方
(1) 甲状腺機能亢進症の患者[症状が増悪するおそれがある。]
(2) 高血圧症の患者[血圧が上昇することがある。]
(3) 心疾患のある患者[動悸、不整脈等があらわれることがある。]
(4) 糖尿病の患者[症状が増悪するおそれがある。]
(5) 高齢者

上記にあてはまる方は、クレンブテロール塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
クレンブテロール塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・カテコールアミン製剤
 -アドレナリン
 -イソプロテレノール

・キサンチン誘導体
 -テオフィリン
 -アミノフィリン水和物
 -ジプロフィリン など

・ステロイド剤
 -ベタメタゾン
 -プレドニゾロン
 -ヒドロコルチゾン
 -コハク酸エステルナトリウム など

・利尿剤
 -フロセミド など

上記を使用している方は、クレンブテロール塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
クレンブテロール塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
該当なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ダイエットに効くと聞いたのですが。

海外の臨床研究で筋肉量を増やし脂肪燃焼のサポートをすることが分かったというような記事がありました。ですが、クレンブテロールは副作用が強く起こることもあり、心臓にかける負担も大きくなることからダイエット目的で服用することは危険であるとの見解もあるようです。

妊娠中・授乳中ですが服用してもいいですか?

動物実験の結果、妊娠後期の投与で分娩遅延を起こす可能性、胎盤通過性、乳汁への移行性が報告されているため、治療上やむを得ず服用しなければならない時を除き、服用は避けるべきでしょう。なお4歳以下の小児に対する安全性は確立していません。

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