成分名 |
A型ボツリヌス毒素 |
適応症状 |
A型ボツリヌス毒素は保険診療の対象として使用した場合では、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上下肢痙縮、更には2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、痙攣性発声障害、斜視、そして重度の原発性腋窩多汗症、既存治療で効果不十分若しくは既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、切迫性尿失禁及び頻尿、既存治療では効果不十分若しくは既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁に対して適応を持ちます。
一方、保険診療の対象外として使用した場合においては、65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺の治療に対して適応を持ちます。 |
簡易説明 |
A型ボツリヌス毒素は保険診療上の扱いとして対象となるボトックス注用50/100単位、また対象とならないボトックスビスタ注用50単位があります。前者は眼瞼痙攣や片側顔面痙攣などの治療に使用されています。後者はアンチエイジング医療として眉間の表情しわを改善する美容目的として50カ国以上で承認され、数百万人に使用されています。今回は保険診療の対象となるボトックス注用50/100単位を紹介していきます。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/形成外科/泌尿器科/眼科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:50単位1瓶約35,620円/100単位1瓶約63,590円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
ボトックス注用50単位は2008年10月6日に製造販売承認され、2008年12月18日に薬価基準収載、その後2009年2月23日発売となります。販売名変更に伴い2009年3月12日に製造販売承認し直し、2009年9月25日に再度薬価基準収載されました。
ボトックス注用100単位は1996年10月9日に製造販売承認され、1997年4月1日に薬価基準収載、その後1997年4月15日に発売となります。販売名変更に伴い2009年3月12日に製造販売承認し直し、2009年9月25日に再度薬価基準収載されました。
ボトックス注は1回の使用量が50単位未満である事がほとんどで、薬剤を余らせることが多く、自己負担金軽減目的の為に50単位が100単位よりも少し遅れて発売されました。 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ボトックス注用50/100単位【製薬メーカー:グラクソ・スミスクライン株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
【国内】
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
【海外】
Botox100IU【製薬メーカー:アラガン社】 |
海外での使用実績 |
アメリカではAllergan USA, Inc.(会社名)がBOTOX(商品名)を発売しています。またイギリスではAllergan Ltd(会社名)がBOTOX(商品名)を発売しています。ドイツではAllergan Deutschland(会社名)がBOTOX(商品名)を発売しています。フランスではAllergan France(会社名)がBOTOX(商品名)を発売しています。オーストラリアではAllergan Australia Pty Ltd(会社名)がBOTOX(商品名)を発売しています。 |
効果・作用 |
ボトックス注用50/100単位は眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上下肢痙縮、更には2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、痙攣性発声障害、斜視、そして重度の原発性腋窩多汗症、既存治療で効果不十分若しくは既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、切迫性尿失禁及び頻尿、既存治療では効果不十分若しくは既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁にたいして効果のある医薬品になります。
この薬は骨格筋弛緩剤と呼ばれるグループに属する注射薬になります。神経の末端で神経伝達を阻害する事によって筋肉を弛緩させたり、発汗を抑えたります。
その詳しい作用機序は、末梢の神経筋接合部において、神経終末内におけるアセチルコリンの放出を抑える事により神経筋伝達が遮断され、筋弛緩作用を示します。しかし神経筋伝達を阻害された神経は、軸索側部からの神経枝の新生により数カ月後には再び開通する事によって、筋弛緩作用は消退します。
エクリン汗腺は主にコリン作動性神経により調節されています。本薬剤はコリン作動性神経及び汗腺の接合部において、神経終末内におけるアセチルコリンの放出を抑制する事により神経伝達を遮断し、発汗を抑制すると考えられています。 |
使用方法 |
各適応症によって用法及び用量は異なってきます。今回は眼瞼痙攣に対して使用する場合の使用方法について解説します。
【眼瞼痙攣】
通常、成人に使用する場合には、A型ボツリヌス毒素として使用する部位毎に1.25~2.5単位を初回量として、片目毎に眼輪筋6部位の筋肉内に注射をします。また、眼輪筋の切除をした、手術を行った患者へA型ボツリヌス毒素を投与する場合には、筋電計を使用する事により、注意深く目標とする部位を同定しなければなりません。
効果は通常3~4カ月間持続すると言われてますが、症状再発の場合には再投与する事ができます。ただし、投与間隔は8週以上開ける必要があります。また、再投与する際には、初回使用した投与量の倍量を用いる事ができますが、副作用が強く発現した場合には、適宜減量する事により投与を行います。そして、1カ月間の累積として45単位を超える投与は避ける事と条件が付されています。 |
副作用 |
重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー、血清病(0.01%)
2)眼障害(0.34%)
3)嚥下障害(0.75%)、呼吸障害(0.03%)
4)痙攣発作(0.01%未満)
5)尿閉(0.05%)
6)尿路感染(0.06%)
その他の副作用
過剰な筋弛緩作用、眼、皮膚、注射部位、血液、呼吸器、消化器、精神神経系、骨格筋、泌尿器、その他の副作用が報告されています。
発生頻度は以下の通りです。
1)過剰な筋弛緩作用
兎眼、閉瞼不全、局所性筋力低下(頸部筋脱力、口角下垂等)、眼瞼下垂、顔面麻痺(0.5~2%未満)
眼瞼内反、筋力低下(0.5%未満)
眼瞼外反(頻度不明)
2)眼
流涙(0.5~2%未満)
眼の乾燥感、複視、眼脂、角膜糜爛、霧視(感)、眼痛、角膜炎、結膜炎、視力低下、羞明、斜視、眼運動障害、眼の刺激(0.5%未満)
眼球後出血、眼の貫通性外傷、ホームズ・アディー瞳孔、硝子体出血(頻度不明)
3)皮膚
掻痒感、発疹、脱毛(睫毛眉毛脱落を含む)、皮膚炎、多形紅斑(0.5%未満)
乾癬様皮疹、皮膚の異臭、斑状出血、皮下結節(頻度不明)
4)注射部位
注射部ひきつり感、注射部出血斑注、注射部腫脹、注射部疼痛、注射部熱感、近隣筋の疼痛及び緊張亢進、注射部不快感、注射部感染、注射部位過敏反応(0.5%未満)
気胸(頻度不明)
5)血液
白血球減少、血小板減少(0.5%未満)
6)呼吸器
呼吸不全、肺炎、感冒様症状、発声障害、咳嗽、誤嚥(0.5%未満)
上気道性喘鳴(頻度不明)
7)消化器
嚥下障害(0.5~5%未満)
食欲不振、嘔吐、嘔気、口内乾燥、便秘、下痢、腹痛(0.5%未満)
レッチング(頻度不明)
8)精神神経系
頭痛、感覚鈍麻、眩暈、失神、感覚異常、傾眠、神経根障害、不眠症(0.5%未満)
不器用、運動低下(頻度不明)
9)骨格筋
筋緊張亢進、四肢痛、筋痛、筋痙縮、関節痛(0.5%未満)
弾発指、滑液包炎(頻度不明)
10)泌尿器
排尿困難、残尿量増加、頻尿(0.5%未満)
細菌尿、膀胱憩室、尿失禁(頻度不明)
11)その他
肝機能検査値異常、脱力(感)、倦怠(感)、挫傷、CK上昇、発熱、耳鳴、発汗、転倒構語障害、ほてり、歩行障害、ウイルス感染、疼痛、関節脱臼(0.5%未満)
聴力低下、耳感染、脱神経性萎縮/筋肉萎縮、起立性低血圧、疲労(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 効能共通
1)全身性の神経筋接合部の障害を持つ患者
2)妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦
3)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■A型ボツリヌス毒素を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ボトックス注用50/100単位はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ボトックス注用50/100単位の有効成分
A型ボツリヌス毒素
▼代表薬の添加物
・塩化ナトリウム、人血清アルブミン
また、製造工程において、ウシ(心臓、血液、乳、骨格筋、膵臓)、ヒツジ(血液)及びブタ(血液、膵臓、胃、皮膚)由来成分を使用しています。
痙性斜頸
4)高度の呼吸機能障害のある患者
過活動膀胱、神経因性膀胱
5)尿路感染症を有する患者及び導尿を日常的に実施していない尿閉を有する患者
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴のある患者
効能共通
1.1慢性の呼吸器障害のある患者
1.2重篤な筋力低下あるいは萎縮がある患者
1.3閉塞隅角緑内障のある患者又はその素因(狭隅角等)のある患者
1.4神経学的障害のある患者
神経因性膀胱
1.5自律神経異常反射を来しやすい背景を有する患者
2)生殖能を有する者
3)妊婦
4)授乳婦
5)小児等
6)高齢者
上記にあてはまる方は、A型ボツリヌス毒素を使用する事が出来ない可能性があります。 A型ボツリヌス毒素を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)筋弛緩剤としてツボクラリン塩化物塩酸塩水和物、ダントロレンナトリウム水和物等が挙げられます。
2)筋弛緩作用を有する薬剤としてスペクチノマイシン塩酸塩水和物、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等)、テトラサイクリン系抗生物質、ポリペプチド系抗生物質(ポリミキシンB硫酸塩等)、リンコマイシン系抗生物質、抗痙縮剤(バクロフェン等)、ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬(ジアゼパム、エチゾラム等)、抗コリン剤(ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等)、ベンザミド系薬剤(チアプリド塩酸塩、スルピリド等)が挙げられます。
いづれの場合においても筋弛緩作用の増強、及び抗コリン作用による嚥下障害の増強が報告されています。
3)他のボツリヌス毒素製剤
過剰な筋弛緩が現れる事があります。
上記を使用している方は、A型ボツリヌス毒素を使用する事が出来ない可能性があります。 A型ボツリヌス毒素を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬は報告されていません
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【グラクソ・スミスクライン株式会社】
患者向け医薬品ガイド 【PMDA】 |
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