モリデュスタットナトリウム

成分名

モリデュスタットナトリウム

適応症状

腎性貧血 など

簡易説明

「モリデュスタットナトリウム」は、低酸素誘導因子ープロリン水酸化酵素(HIF-PH)という物質の働きを阻害することで、低酸素誘導因子(HIF)によるエリスロポエチン(EPO)産生を誘導し、赤血球産生を促進させることで慢性腎臓病(CKD)などによる貧血(腎性貧血)を改善する薬で、腎性貧血の治療に用います。
日本では、バイエル薬品がマスーレッドの商品名で販売しています。
「モリデュスタットナトリウム」は、HIFの分解に関わるHIF-PHに対して阻害作用をあらわします。

処方可能な診療科目

内科/循環器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
マスーレッド錠5mg 44円/錠 (薬価)
マスーレッド錠12.5mg 92.9円/錠 (薬価)
マスーレッド錠25mg 163.8円/錠 (薬価)
マスーレッド錠75mg 403.6円/錠 (薬価)
*病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2021年4月認可

国内のジェネリック認可

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関連製品(先発薬)

マスーレッド錠5mg 【製薬メーカー:バイエル薬品】
マスーレッド錠12.5mg 【製薬メーカー:バイエル薬品】
マスーレッド錠25mg 【製薬メーカー:バイエル薬品】
マスーレッド錠75mg 【製薬メーカー:バイエル薬品】

関連製品(ジェネリック)

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効果・作用

「モリデュスタットナトリウム」は低酸素誘導因子ープロリン水酸化酵素(HIF-PH)という物質の働きを阻害することで、低酸素誘導因子(HIF)によるエリスロポエチン(EPO)産生を誘導して赤血球産生を促進させることで慢性腎臓病(CKD)などによる貧血(腎性貧血)を改善する薬です。
腎臓では赤血球の分化を促すエリスロポエチン(EPO)が産生されており、通常(健状態)では、ヘモグロビン濃度の低下に見合った量のEPOが産生されています。
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、なんらかの理由によって腎機能低下が続いている状態で、この状態では酸素濃度低下に応じたEPOが産生されなくなり、貧血(腎性貧血)が引き起こされます。
血液中には低酸素誘導因子(HIF:Hypoxia Inducible Factor)と呼ばれる酸素濃度の低下を感知する細胞内の酸素センサー的役割を果たしている物質がありますが、慢性腎臓病(CKD)の病態では、このHIFが関わるEPO産生誘導の仕組みがうまく働いていないため、EPO産生が低下します。
HIFは低酸素誘導因子ープロリン水酸化酵素(HIF-PH:Hypoxia Inducible Factor Prolyl Hydoxylase)と呼ばれる物質によって分解されるため、HIFーPHを阻害することができれば、EPO産生の誘導による造血(赤血球産生)が亢進され腎性貧血の改善が期待できます。
「モリデュスタットナトリウム」はHIF-PHを阻害する作用により、内因性のEPO産生を誘導し、赤血球産生を促すことで貧血(腎性貧血)を改善します。

使用方法

▼用法用量
[保存期慢性腎臓病患者]
・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合、成人にはモリデュスタットとして1回25mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与します。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減しますが、最高用量は1回200mgとします。
・赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合は、成人にはモリデュスタットとして1回25mg又は50mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与します。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減しますが、最高用量は1回200mgとします。

[透析患者]
成人にはモリデュスタットとして1回75mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与します。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減しますが、最高用量は1回200mgとします。

▼効能または効果に関連する注意
・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合の本剤投与開始の目安は、保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満、血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満とします。

副作用

重大な副作用
▼血栓塞栓症(0.3%)
脳梗塞(0.3%)、心筋梗塞(頻度不明)、シャント閉塞(頻度不明)等の血栓塞栓症があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

▼間質性肺疾患(0.5%)
初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)が認められた場合には、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施してください。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止して、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・鉄欠乏
・不眠症
・めまい(浮動性、回転性)
・眼出血、糖尿病網膜症
・結膜炎、眼瞼炎
・心のう液貯留
・高血圧
・血圧低下
・便秘、下痢、悪心、嘔吐、腹痛
・発疹、そう痒症
・浮腫

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

■妊婦又は妊娠している可能性のある女性
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないでください。ラットにおいて、臨床最大用量投与時の非結合型曝露量(AUCu)の1.2倍以上の曝露量で着床後死亡の増加、平均生存児数の減少、死産児の増加等が観察されています。また、臨床最大用量投与時の非結合型曝露量(AUCu)の7.3倍の曝露量で眼球奇形の発生率の増加が報告されています。

使用に注意が必要な方
■脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の患者、又はそれらの既往歴を有する患者
脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の患者、又はそれらの既往歴を有する患者は、本剤投与により血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがあります。観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■高血圧症を合併する患者
高血圧症を合併する患者は、血圧上昇があらわれるおそれがあります。観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■悪性腫瘍を合併する患者
悪性腫瘍を合併する患者は、本剤の血管新生亢進作用により悪性腫瘍を増悪させるおそれがあります。観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫、滲出性加齢黄斑変性症、網膜静脈閉塞症等を合併する患者
増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫、滲出性加齢黄斑変性症、網膜静脈閉塞症等を合併する患者は、本剤の血管新生亢進作用により網膜出血があらわれるおそれがあります。観察を十分に行い、慎重に投与してください。

■中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者
中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者は、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察してください。本剤25mgを中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)のある患者に単回投与した際、本剤のAUC(0-∞)及びCmaxが上昇しました。本剤では重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していません。

■生殖能を有する者
妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導してください。ラットにおいて、臨床最大用量投与時の非結合型曝露量(AUCu)の3.1倍の曝露量で着床後死亡の増加と生存胎児数減少が報告されています。

■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討してください。母動物(ラット)への投与で本剤は乳汁中へ移行することが報告されています。

■小児等
本剤では小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していません。

上記にあてはまる方は、モリデュスタットナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
モリデュスタットナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル、リトナビル、ロピナビル・リトナビルなど)
・チロシンキナーゼ阻害剤(ソラフェニブ、エルロチニブ、ニロチニブなど)
・トラニラスト
・多価陽イオン(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等)を含有する経口製剤

上記を使用している方は、モリデュスタットナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
モリデュスタットナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「モリデュスタットナトリウム」は子供でも使えますか?

「モリデュスタットナトリウム」は小児等を対象とした有効性や安全性を指標とした臨床試験は実施していません。

「モリデュスタットナトリウム」を使うにあたって気をつけることはありますか?

「モリデュスタットナトリウム」投与中に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれて、死亡に至るおそれがあることから、投与開始前に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の合併症及び既往歴の有無等を含めた血栓塞栓症のリスクを評価した上で、投与の可否を慎重に判断する必要があります。

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