ポリスチレンスルホン酸カルシウム

成分名

ポリスチレンスルホン酸カルシウム

適応症状

急性及び慢性腎不全に伴う高カリウム血症 など

簡易説明

ポリスチレンスルホン酸カルシウムは、腸管内で薬剤に含まれる陽イオンをカリウムイオンと交換しカリウムイオンを排泄させて血液中のカリウム値を下げる薬で、急性及び慢性腎不全に伴う高カリウム血症の治療に用います。
一種のイオン交換樹脂で、カリウムを吸着すると同時にカルシウムを放出して体内に残すことから、カリウムの吸収が抑えられて血液中のカリウム分が減少します。
日本では興和が発売している先発薬のカリメートをはじめとする、一般的な散剤の他に顆粒やドライシロップ、液剤、ゼリーなども販売されています。

処方可能な診療科目

内科/循環器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:1gあたり約11.6円
薬代後発薬1錠の目安:1gあたり約11.6円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始:1975年10月【カリメート散】

国内のジェネリック認可

国内のジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

カリメート散、カリメートドライシロップ92.59%【製薬メーカー:興和】
カリメート経口液20%【製薬メーカー:興和】
カリエード散 【製薬メーカー:東洋製薬化成】
ポリスチレンスルホン酸Ca「NP」原末【製薬メーカー:ニプロ】
ポリスチレンスルホン酸Ca「杏林」原末【製薬メーカー:キョーリンリメディオ】
ポリスチレンスルホン酸Ca「フソー」原末【製薬メーカー:扶桑薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

ポリスチレンスルホン酸Ca顆粒89.29%分包5.6g「三和」
ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー20%分包25g「三和」
ポリスチレンスルホン酸Ca散96.7%分包5.17g<ハチ>

海外での使用実績

<カリメート散>
・韓国
1984年に承認、ALVOGEN KOREA社からKalimateという販売名で同年から発売開始しました。
・インドネシア
1988年に承認、DIPA社からKalimateという販売名で同年から発売開始しました。
・台湾
1994年に承認、宜泰貿易社(GI TAI)からKalimateという販売名で同年から発売開始しました。
・タイ
1991年に承認、MASU社からKalimateという販売名で同年から発売開始しました。
・マレーシア
2000年に承認、Pharmafote社からKalimateという販売名で同年から発売開始しました。
・フィリピン
2004年に承認、FVA社からKalimateという販売名で2005年から発売開始しました。
・ベトナム
2011年に承認、CPC1社からKalimateという販売名で同年から発売開始しました。
・中国
2010年に承認、興和製薬(中国)からCalcium Polystyrene Slufonate Powderという販売名で2011年から発売開始しました。
・ロシア
2015年に承認、R-PHARM社からKalimateという販売名で2016年から発売開始しました。

効果・作用

ポリスチレンスルホン酸カルシウムは、腸管内で薬剤に含まれる陽イオンをカリウムイオンと交換しカリウムイオンを排泄させて血液中のカリウム値を下げる薬です。
慢性腎臓病では、腎臓の機能低下により血液中のカリウム値が高くなりやすくなり、血液中のカリウム値が高い状態が続き高カリウム血症が引き起こされることで、筋力の低下、吐き気、しびれなどの症状あらわれて、場合によっては不整脈などを引き起こすことがあります。
ポリスチレンスルホン酸カルシウムは腸管内で本剤成分がもつ陽イオンと腸管内のカリウムイオンが交換されて、ポリスチレンスルホン酸樹脂としてそのまま糞便中に排泄されることで、腸管内カリウムイオンが体外へ排泄され、結果として血液中のカリウム値を下げる効果が期待できます。
◆同類薬との違い
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムという高カリウム血症に対して用いられる同類薬がありますが、カリウムと交換される対象が本剤のカルシウムイオンと違い、ナトリウムイオンが交換されカリウムを体外へ除去します。
本剤はカリウムと交換したカルシウム吸収によって高カルシウム血症が引き起こる恐れがあるため、血管石灰化を経た心血管疾患発症に注意する必要があります。

使用方法

[経口投与]
・成人1日15~30gを2~3回にわけ、その1回量を水30~50mLに懸濁して、経口投与します。なお、症状により適宜増減します。
[注腸投与]
成人1回30gを水または2%メチルセルロース溶液100mLに懸濁して注腸します。体温程度に加温した懸濁液を注腸し30分から1時間腸管内に放置します。液がもれてくるようであれば枕で臀部挙上するか、或いはしばらくの間膝胸位をとらせます。水または2%メチルセルロース溶液にかえて5%ブドウ糖溶液を用いてもよいです。

▼重要な基本的注意
・腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍があらわれることがあります。高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。
・本剤を経口投与するにあたっては、患者に排便状況を確認させ、便秘に引き続き腹痛、腹部膨満感、嘔吐等の症状があらわれた場合には、医師等に相談するよう指導してください。
・過量投与を防ぐため、規則的に血清カリウム値及び血清カルシウム値を測定しながら投与してください。また異常を認めた場合には、減量又は休薬等の適切な処置を行ってください。

副作用

重大な副作用
▼腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍(いずれも頻度不明)
腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍の病態を疑わせる高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止して、聴診、触診、画像診断等を実施し、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・発疹
・便秘(経口)
・悪心、嘔気、食欲不振、胃部不快感(経口)
・便秘(注腸)
・低カリウム血症(経口)
・低カリウム血症(注腸)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■腸閉塞の患者
腸閉塞の患者は腸管穿孔を起こすおそれがあります。投与しないでください。
■ポリスチレンスルホン酸カルシウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ポリスチレンスルホン酸Caは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ポリスチレンスルホン酸Caの有効成分
ポリスチレンスルホン酸カルシウム
▼カリメートの添加物
<カリメートドライシロップ92.59%>
・カルメロースNa
・アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)
・メチルセルロース
・ヒドロキシプロピルセルロース
<カリメート経口液20%>
・キサンタンガム
・ローカストビーンガム
・カラギーナン
・メチルセルロース
・粉末還元麦芽糖水アメ
・スクラロース
・ソルビン酸
・クエン酸Na水和物
・クエン酸水和物

使用に注意が必要な方
■便秘を起こしやすい患者
便秘を起こしやすい患者は、腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがあります。腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍があらわれることがあるので、高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。
■腸管狭窄のある患者
腸管狭窄のある患者は、腸閉塞、腸管穿孔を起こすおそれがあります。腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍があらわれることがあるので、高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。
■消化管潰瘍のある患者
消化管潰瘍のある患者は、症状を増悪させるおそれがあります。腸管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍があらわれることがあるので、高度の便秘、持続する腹痛、嘔吐、下血等の異常が認められた場合には、投与を中止して、適切な処置を行ってください。
■副甲状腺機能亢進症の患者
副甲状腺機能亢進症の患者は、イオン交換で血中カルシウム濃度が上昇するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■多発性骨髄腫の患者
多発性骨髄腫の患者は、イオン交換で血中カルシウム濃度が上昇するおそれがあります。このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。
■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、減量するなど注意して慎重に投与してください。

上記にあてはまる方は、ポリスチレンスルホン酸カルシウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ポリスチレンスルホン酸カルシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・ジギタリス剤(ジゴキシンなど)
・アルミニウム、マグネシウム又はカルシウムを含有する制酸剤又は緩下剤(乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化マグネシウム、沈降炭酸カルシウムなど)
・アルミニウム、マグネシウム又はカルシウムを含有する制酸剤又は緩下剤(乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化マグネシウム、沈降炭酸カルシウムなど)
・甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシンなど)

上記を使用している方は、ポリスチレンスルホン酸カルシウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ポリスチレンスルホン酸カルシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
副作用にもある便秘になりやすいのですが対策はありますか?

経口での服用は便秘になりやすい、副作用が報告されています。このような便秘を予防する目的でソルビトール溶液(糖類の一種)と併せて使用することがあります。

ゼリータイプの薬を使用する理由は何ですか?

ポリスチレンスルホン酸カルシウムはゼリー剤がありますが、水分制限をしている患者や通常の形状での使用ができない方を対象に利用されます。

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