ポリスチレンスルホン酸ナトリウム

成分名

ポリスチレンスルホン酸ナトリウム

適応症状

急性および慢性腎不全による高カリウム血症

簡易説明

ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、腸管内で薬剤に含まれる陽イオンをカリウムイオンと交換しカリウムイオンを排泄させて血液中のカリウム値を下げる薬で、急性および慢性腎不全による高カリウム血症の治療に用います。
腎臓の働きが悪くなるとカリウムを十分に排泄できなくなり、その結果、血液中のカリウムが増えてることで、息切れ、手足のしびれ、不安感といった症状や不整脈を起こすことがあります。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、一種のイオン交換樹脂で、カリウムを吸着すると同時に、ナトリウムを放出し体内に残すことから、カリウムの吸収が抑えられて血液中のカリウム分が減少します。
日本では、鳥居薬品がケイキサレートの商品名で販売しており、また、扶桑薬品工業が ポリスチレンスルホン酸Naの名前で販売しています。

処方可能な診療科目

内科/循環器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:1g約12.9円
シロップあたりの目安:1g約11.7円
薬代後発薬1錠の目安:1g約11円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始:1971年5月【ケイキサレート散】

国内のジェネリック認可

国内のジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ケイキサレート散 【製薬メーカー:鳥居薬品】
ケイキサレートドライシロップ76%【製薬メーカー:鳥居薬品】

関連製品(ジェネリック)

ポリスチレンスルホン酸Na「フソー」原末【製薬メーカー:扶桑薬品工業】

海外での使用実績

・米国(アメリカ)
FDA(米食品医薬品局)1958年6月に承認されました。
・英国(イギリス)
Sanofi-Aventis (Sanofi)が「Resonium A」の商品名で1989年から発売開始しました。

効果・作用

ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、腸管内で薬剤に含まれる陽イオンをカリウムイオンと交換しカリウムイオンを排泄させて血中のカリウム値を下げる薬です。
慢性腎臓病では腎臓の機能低下により血中のカリウム値が高くなりやすなり、その高い状態が続くことで高カリウム血症が引き起こされます。その結果、筋力の低下や吐き気、痺れなどが症状としてあらわれ、場合によっては不整脈などを引き起こす原因となります。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムは吸収されず、胃腸管を通過する際に胃液の陽イオンと交換しますが、下部結腸においてカリウムイオン濃度は高く最も多く交換されるという作用を持っています。
本剤は陽イオン交換樹脂のナトリウム型で、腸管内、特に結腸において樹脂のナトリウムの一部はカリウムに置換されて、樹脂が糞便または浣腸剤と共に排泄させる際、カリウムは体内から除去されます。
これらの作用によって血中のカリウム値を下げる効果が期待できます。
FDAが2017年に発表した情報によると、一般的な経口薬の有効性低下を回避するために、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの単独服用を推奨されています。
他の薬剤と同時に経口投与されると、成分が結合して吸収を抑制し有効性を低下させうる可能性があります。同薬の服用は、他の経口薬と3時間以上間隔を空ける、または胃麻痺などで胃排出遅延の考えられる患者の場合は6時間以上間隔を空けるべきと言われています。

使用方法

<内服>
通常、成人1日量30gとして2〜3回に分けて、その1回量を水50〜150mLに懸濁し、経口投与します。
<注腸>
通常、成人1回30gを水または2%メチルセルロース溶液100mLに懸濁して注腸します。
※内服でも注腸でも症状に応じて適宜増減します。
▼重要な基本注意点
過量投与を防ぐために血清カリウム値及び血清ナトリウム値を測定しながら投与してください。

副作用

重大な副作用
▼心不全誘発(頻度不明)
心不全誘発するおそれがあります。ナトリウム摂取を制限するなど十分に注意してください。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
▼腸穿孔、腸潰瘍、腸壊死(いずれも頻度不明)
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを水またはソルビトール溶液に懸濁し、経口投与した場合に、小腸の穿孔・粘膜壊死、大腸潰瘍、結腸壊死等があらわれたとの報告があります。本剤の経口投与により、激しい腹痛又は下痢、嘔吐等があらわれた場合には本剤の投与を中止して、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・浮腫
・血圧上昇
・低カルシウム血症
・低カリウム血症
・下痢、悪心、嘔吐、便秘
・胃部不快感(経口)、食欲不振(経口)
・腹痛(経口)
・眩暈、倦怠感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ポリスチレンスルホン酸Naは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ポリスチレンスルホン酸Naの有効成分
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム

使用に注意が必要な方
■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討してください。
■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、減量するなど注意して慎重に投与してください。

併用禁忌薬

併用注意薬
▼以下の薬剤はジギタリス中毒の症状(食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、不整脈、頻脈、高度の徐脈、視覚異常、眩暈、頭痛、失見当識、錯乱など)の増強があらわれることがあります。併用する際には血清カリウム値の観察を十分に行い、慎重に投与してください。また、血清カリウム値低下に伴う上記症状の出現時には、減量又は投与を中止してください。
「ポリスチレンスルホン酸ナトリウム」により血清カリウム値が低下するとジギタリス製剤が心筋Na+-K+ATPaseに結合しやすくなり、ジギタリス製剤の効果が強く発現します。
・ジギタリス製剤
・ジギトキシン
・ジゴキシン
・ラナトシドC 等

▼以下の薬剤は併用により全身性アルカローシスなどの症状があらわれたとの報告があります。含有陽イオンと結合して、本剤のカリウム交換能が低下し、腸管内に分泌された重炭酸ナトリウムが再吸収されます。
・アルミニウム、マグネシウム又はカルシウムを含有する制酸剤又は緩下剤
・ケイ酸アルミニウム
・水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム
・スクラルファート水和物
・沈降炭酸カルシウム 等

▼下記薬剤の効果が減弱することがあります。服用時間をずらすなど注意してください。「ポリスチレンスルホン酸ナトリウム」が消化管内で左記薬剤を吸着することにより、これらの薬剤の吸収を阻害すると考えられます。
・甲状腺ホルモン製剤
・レボチロキシン 等

上記を使用している方は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はございません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
販売しているポリスチレンスルホン酸ナトリウムの薬はどのような特徴がありますか?

黄褐色の粉末で、匂いや味は特にありません。性質として、水、エタノール、アセトン、ジエチルエーテルにほとんど解けないというのがあります。

高カリウム血症で用いられるカリメート(ポリスチレンスルホン酸カルシウム)との違いは何ですか?

どちらも陽イオン交換樹脂で、糞便中に排泄されることでカリウムを除外し、血中カリウム値を低下させます。カリメートと異なる点として、カルシウム塩の使用はないためポリスチレンスルホン酸ナトリウムは高カルシウム血症でも使用できますが、ナトリウムによる心不全の発現及び悪化、浮腫や高血圧の恐れが出てくるため患者の状態によって選択されます。

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