むくみの原因は本当に水分?利尿剤が効くむくみ・効かないむくみを解説

利尿剤

むくみは多くの人が経験する一般的な症状ですが、その原因を正しく理解し、適切な対処をすることが非常に重要です。特に、単なる生活習慣の乱れによるものなのか、それとも治療が必要な病気が潜んでいるのかを見極めることが、健康を守る第一歩となります。
このコラムでは、「利尿剤」という治療法に焦点を当て、むくみのメカニズムと、利尿剤が有効なむくみとそうでないむくみの違いについて詳しく解説します。

むくみとは

私たちの体は、約60%が水分で構成されています。この水分は、細胞の中や外、血液として血管の中を巡り、生命活動を維持するために重要な役割を果たしています。
むくみ(浮腫)とは、この細胞外にある液が、何らかの原因で皮膚や皮膚の下で異常に増えてしまった状態を指します。

正常な状態とむくんでいる状態の違い画像

症状としては、皮膚を押したときにへこんだまま戻りにくい(圧痕を残す)状態があげられます。むくみと聞くと、水分をとりすぎたと感じる方もいらっしゃりますが、水分が過剰に溜まる原因は一つではありません。単に「水を飲みすぎた」という単純な理由から、心臓や腎臓、肝臓といった重要な臓器の病気が隠れている場合まで、その背景は非常に多様です。
むくみについて詳しく知りたい方は下記のコラムをお読みください。

利尿剤が効くむくみ

利尿剤が効くむくみ画像

むくみの中でも、特に体全体の水分量や塩分量(ナトリウム)の増加が主な原因となっている場合、利尿剤による治療が効果的です。
利尿剤は、腎臓に作用し、尿として体外に水分と塩分(ナトリウム)の排泄を促す薬です。これにより、体内の過剰な水分を減らし、むくみを改善します。
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画像トーシミドトールムクミトール画像
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心不全

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。心不全になると、このポンプ機能が低下し、血液を十分に送り出せなくなります。
すると、特に重力の影響で足などの末梢の血管に血液が滞り、血管内の圧力が高まります。この高まった圧力により、血管内の水分が押し出され、間質に漏れ出してむくみが生じます。
さらに、血液を十分に送り出せない状態が続くと、腎臓が血液量が少ないと勘違いし、水分と塩分を溜め込む方向に働き、体全体の水分量が増加してしまいます。
この場合、利尿剤を用いて過剰な体液を排泄することで、心臓の負担を軽減し、むくみを改善することが可能です。

腎不全

腎臓は、体内の老廃物や余分な水分、塩分をろ過し、尿として体外に排泄する「ろ過・排泄工場」のような役割を果たしています。
腎不全によりこの機能が低下すると、体内の水分と塩分を適切に排泄できなくなり、それらが体内に溜まってしまいます。
結果として、全身にむくみが生じます。腎臓の機能が低下しているため、利尿剤を使用しても効果が出にくい場合もありますが、病態に応じて利尿剤が水分・塩分排泄の補助として重要な役割を果たすことがあります。

肝硬変

肝臓は、血液中に含まれる重要なタンパク質の一つであるアルブミンを合成する役割を持っています。
アルブミンは、血管内に水分を引き留めておくための重要な力である膠質浸透圧を維持しています。肝硬変などにより肝機能が低下すると、アルブミンの合成能力が落ち、血中アルブミン濃度が低下します。
これにより浸透圧が下がり、血管内の水分が保持できなくなり、血管外へと漏れ出してむくみが生じます。特に腹水や下肢のむくみとして生じることが多いとされています。
この場合も、体内の水分貯留を抑えるために、利尿剤が治療に用いられます。

これらの病態によるむくみは、体液の異常な貯留が深く関わっており、利尿剤によって効果的に症状の改善が期待できます。しかし、これらの薬は電解質バランスの異常を引き起こす可能性もあるため、必ず医師の診断と指導のもとで使用していくことが推奨されます。

利尿剤がききにくいむくみ

利尿剤が効きにくいむくみ画像

長時間の立ち仕事や座り仕事

デスクワークや立ちっぱなしの仕事などで長時間同じ姿勢を続けると、重力の影響で足の静脈やリンパの流れが悪くなります。
特に足の静脈は、ふくらはぎの筋肉の収縮によって心臓に血液を戻していますが、この筋ポンプが働かないと、血液が下肢に滞りやすくなります。
これにより静脈内の圧力が高まり、結果として血管から水分が漏れ出してむくみとなります。この場合のむくみは、生活習慣や姿勢に起因する血流の物理的な停滞が主原因であり、体全体の水分量を減らす利尿剤の効果は限定的です。
運動やストレッチ、マッサージ、着圧ソックスの使用などが有効な対策となります。

静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の静脈にある「弁」が壊れることで、血液の逆流が起こり、足の静脈に血液が異常に溜まってしまう病気です。
血管内の圧力が慢性的に高くなるため、水分が血管外へ漏れ出してむくみが生じます。
このむくみも、体全体の水分過剰ではなく、局所の血流障害が原因であるため、利尿剤の根本的な治療効果は低いとされています。
根本的な治療としては、静脈瘤に対する専門的な処置が必要となります。

リンパ浮腫

リンパ浮腫は、リンパ管が損傷したり、詰まったりすることで、老廃物や水分を含むリンパ液の流れが悪くなり、組織にリンパ液が異常に溜まって生じるむくみです。
手術によるリンパ節の切除や放射線治療などが原因で起こる続発性リンパ浮腫や、先天的な原因による原発性リンパ浮腫があります。
リンパ浮腫によって溜まるのは、主に高タンパク質のリンパ液であり、体内の水分・塩分バランスの異常ではないため、利尿剤はほとんど効果がありません。
リンパ浮腫の治療では、複合的理学療法(圧迫療法、マッサージ、運動、スキンケア)が中心となります。

これらのむくみは、水分が増加しているのではなく、「局所的な流れの停滞」や「局所的な圧力の上昇」が原因です。
そのため、全身の水分量を減らす利尿剤を使用しても、根本的な改善には繋がりにくいのです。
これらの場合は、原因に応じた物理的な治療(運動、マッサージ、圧迫)や、血流・リンパ流の改善を目的とした専門的な治療が必要となります。

むくみを見分けるポイント

むくみを見分けるポイント画像

むくみの原因を見極めることは、適切な対処法を選択するために不可欠です。
以下に、むくみがどのようなタイミングで強くなるか、体のどの部分に出るかといった、セルフチェックで役立つポイントをまとめます。

朝に強いむくみ

通常、健康な人のむくみは、日中の活動や重力の影響で夕方に強くなる傾向があります。
ところが、朝起きたとき(特に顔や手の指)に強いむくみを感じる場合は、体全体の水分バランスをコントロールする臓器の機能低下が疑われます。
腎臓の機能が低下していると、夜間も十分に水分を排泄できず、朝にむくみが残ります。また、心臓の機能が低下している場合も、寝ている間に体全体に水分が再配分されるため、顔などがむくむことがあります。

夕方に強いむくみ

日中の活動や長時間同じ姿勢でいることによる重力の影響や、筋ポンプ作用の不足で血液やリンパ液が下肢に滞ることで生じるむくみです。
これは、健康な人でも起こり得る生理的なむくみであり、前述したような長時間の立ち仕事や座り仕事による生活習慣由来のものが多く、一時的なものであれば、休息やマッサージ、足を高くして寝るなどの対処で改善することがほとんどです。

片足だけのむくみ

むくみが両足均等ではなく、片足だけに強く出ている場合は、その足の静脈やリンパ管に何らかの局所的な異常(閉塞や損傷など)が起きている可能性があります。
具体的には、深部静脈血栓症(DVT)のように血管が詰まっている場合や、蜂窩織炎(細菌感染)による炎症、リンパ浮腫などが考えられます。
深部静脈血栓症は命に関わることもあるため、片足の急なむくみや痛み、熱感を伴う場合は、緊急性が高いため直ちに医療機関を受診する必要があります。

むくみが日常的に続く場合や、急激に悪化する場合、または上記のような「朝のむくみ」や「片足だけのむくみ」など、いつもと違うパターンが見られる場合は、自己判断せずに内科や循環器科、腎臓内科、またはかかりつけ医に相談し、むくみの原因を特定するための検査を受けることが大切です。

むくみに関するよくある質問

アフターピルに関するよくある質問
Q
むくみが気になります。水分摂取を控えるべきでしょうか?
A

一概には言えません。 確かに過度な水分摂取はむくみの原因になることもありますが、むくみの原因が病気(心不全、腎不全など)にある場合、水分制限が必要になることがあります。
しかし、体に必要な水分量を極端に控えることは、かえって脱水症状を引き起こしたり、血栓ができやすくなったりするリスクもあります。特に原因が生活習慣によるものであれば、水分摂取を控えるよりも、塩分(ナトリウム)の摂取を控える方が効果的です。
また、デスクワークなどで滞りが原因であれば、適度な水分摂取はむしろ血液の粘度を下げる助けになります。
自己判断で水分を極端に控えるのではなく、医師に相談し、適切な水分・塩分管理の指導を受けることが重要です。

Q
立ち仕事で夕方に足がむくみます。家でできる対処法は?
A

「流れ」を良くする対処法が効果的です。 立ち仕事によるむくみは、重力で血液が下肢に滞ることが主な原因です。帰宅後は以下の対策を試みてください。

  • 足を心臓より高くして休息
    仰向けになり、クッションなどで足を15〜30cmほど高くして寝ると、重力で滞った血液やリンパ液の戻りが促進されます。
  • ふくらはぎのマッサージ
    足首から膝の裏に向かって、優しくマッサージすることで、血流やリンパの流れを助けます。
  • ストレッチや軽い運動
    ふくらはぎの筋肉を動かすことで、筋ポンプ作用を促します。足首の曲げ伸ばしだけでも効果があります。
  • 着圧ソックスの活用
    日中の仕事中や、夜間に使用することで、外側から圧力をかけ、静脈血やリンパ液のうっ滞を防ぎます。

最後に

むくみは、単純に「水分のとりすぎ」ではないことが多く、その原因には全身の水分・塩分過剰と、局所的な血流・リンパ流の停滞の二種類があります。
このため、利尿剤が効くむくみと効かないむくみがあるという点を理解することが重要です。心不全や腎不全などによる水分過剰が原因であれば利尿剤が有効ですが、立ち仕事や静脈瘤などによる流れの滞りが原因の場合は、運動やマッサージといった物理的対策が中心となります。
最も大切なのは、自己判断で薬を使うのではなく、正確な原因を見極めることです。むくみの裏に隠れた重篤な病態を見逃さないためにも、適切な診断と治療を受けることが必要です。

出典

益田市医師会 むくみ(浮腫)とは何?
健康サイトbyアリナミン製薬 むくみ
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