扁桃炎に抗生物質は効く?扁桃炎の種類と症状に合わせた治療薬

扁桃炎に抗生物質は効く?扁桃炎の種類と症状に合わせた治療薬 抗生物質

のどの奥に左右一対ある「扁桃」は、私たちを感染症から守ってくれる大切な器官です。
この扁桃に炎症が起きる「扁桃炎」は、多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
扁桃炎にもいくつかの種類があり、症状や経過が異なります。

扁桃炎の種類

扁桃炎の種類画像

急性扁桃炎と慢性扁桃炎

扁桃炎は大きく「急性」と「慢性」に分けられます。
急性扁桃炎は突然発症し、強い症状が現れますが、適切な対応で比較的短期間で改善します。
一方、慢性扁桃炎は長期間にわたり軽度の炎症が続く状態です。
一般的に扁桃炎と言えば急性扁桃炎の方をさします。

細菌性扁桃炎とウイルス性扁桃炎

急性扁桃炎はさらに「細菌性」と「ウイルス性」に分類されます。
これは炎症を引き起こす病原体の違いによるものです。
具体的にそれぞれの病原体について見ていきましょう。

①溶連菌性扁桃炎(ようれんきんせいへんとうえん):代表的な細菌性扁桃炎

細菌性扁桃炎の原因菌には、A群β溶血性連鎖球菌やインフルエンザ菌、肺炎球菌などがあります。
急性扁桃炎の中で最も代表的なのが「溶連菌性扁桃炎」です。
この炎症では高熱(38℃以上)が出ることが多く、のどの痛みも強いのが特徴です。
扁桃は赤く腫れ上がり、白や黄色の膿(うみ)が点々と付着していることもあります。
また、舌が赤くイチゴのように見える「いちご舌」や、首のリンパ節の腫れを伴うこともあります。
溶連菌性扁桃炎の特徴的な点として、咳やくしゃみなどの風邪症状があまり見られないことが挙げられます。
発症する年齢は幅広いですが、特に5~15歳の子どもに多く見られます。

②伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう):特徴的なウイルス性扁桃炎

ウイルス性扁桃炎にはインフルエンザウイルスやコロナウイルス、アデノウイルスにRSウイルスなど様々存在しますが、その中でも特徴的なのが「伝染性単核球症」です。
エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)によって引き起こされるこの炎症は、10代後半から20代の若年層に多く見られます。
伝染性単核球症では扁桃の腫れや白い膿の付着に加え、全身のだるさが強く現れます。
また、高熱が1週間以上続くことや、頸部だけでなく全身のリンパ節が腫れることも特徴です。
さらに、肝臓や脾臓が腫れる場合もあります。
症状が溶連菌性扁桃炎と似ていることもありますが、伝染性単核球症は経過が長く、全身症状がより強い傾向があります。
また、「疲れやすさ」が数週間から数ヶ月続くこともあるため、無理をせず十分な休養を取ることが大切です。

扁桃炎にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴的な症状を示します。
特に症状が強い場合や、高熱が続く場合は早めに病院を受診するようにしましょう。

扁桃炎の原因

扁桃炎の原因画像

扁桃炎の最も一般的な原因は、ウイルスや細菌による感染症です。
扁桃は外界からの異物を最初に迎え撃つ「門番」のような役割を持っているため、様々な病原体と接触します。

ウイルス性扁桃炎

風邪をひいたときに扁桃炎を併発した経験がある方も多いでしょう。これはウイルス感染が原因です。
特に以下のウイルスが代表的です。

①インフルエンザウイルス

冬に流行し、高熱や全身の倦怠感も伴います。
のどの痛みが強く、赤く腫れた扁桃が特徴です。

②アデノウイルス

「プール熱」の原因としても知られ、高熱と強いのどの痛みが特徴です。
扁桃に白い膿(うみ)が付くこともあります。
子どもに多い感染症です。

③EBウイルス

伝染性単核球症(俗に「キス病」)が原因で、扁桃炎に加えて、リンパ節の腫れや肝機能障害を引き起こすこともある感染症です。

細菌性扁桃炎

細菌が原因の場合は、より重症化しやすく、抗生物質による治療が必要になることが多いです。
主な原因菌は以下の通りです。

①溶血性連鎖球菌(溶連菌)

扁桃炎の代表的な原因菌で、学校や保育園で集団感染することが多いです。
適切な治療をしないとリウマチ熱や腎炎などの合併症のリスクがあります。
扁桃に黄白色の膿点が見られることが特徴です。

②黄色ブドウ球菌

皮膚にも常在する菌ですが、扁桃に感染すると強い炎症を起こします。
抗生物質への耐性菌(MRSA)も問題になっています。

③肺炎球菌

のどの痛みだけでなく、中耳炎や副鼻腔炎、肺炎などを併発することもあります。
高齢者や免疫力の低下した方では重症化しやすいため注意が必要です。

扁桃炎は単に感染だけが原因ではありません。
疲労やストレス、喫煙、過度の飲酒などで免疫力が低下すると発症リスクが高まります。
また、アレルギー体質の方は、アレルゲンへの反応として扁桃が炎症を起こすこともあります。

扁桃炎の感染経路

扁桃炎を引き起こす病原体(ウイルスや細菌)は、主に3つの経路で私たちの体に侵入します。
それぞれの感染経路について、日常生活に即した具体例とともに詳しく解説します。

扁桃炎の感染経路画像

飛沫感染

飛沫感染は扁桃炎の最も一般的な感染経路です。
感染した人がくしゃみや咳をすると、唾液や鼻水の微細な粒子(飛沫:ひまつ)が空気中に放出されます。
この飛沫の大きさは0.5~5ミクロンほどで、肉眼では見ることができません。
一回のくしゃみで約2万個もの飛沫が、秒速10~30メートルという速さで飛び散っていきます。
これらの飛沫は通常、1~2メートルの範囲内に落下しますが、特に小さな粒子は空気中に漂い続けることもあります。

電車内や教室、会議室など密閉された空間では、この飛沫を吸い込む可能性が大幅に高まります。
特に注意すべきなのは、大声で話していても飛沫を多く発生させるという点です。
カラオケや応援などの「声の大きい活動」の後に扁桃炎が流行ることがあるのは、このためです。
レストランでの会話中や、オフィスでの打ち合わせなど、マスクを外す機会が多い場面では特に感染リスクが高まります。
また、症状が現れる1~2日前から既に感染力を持っていることも、飛沫感染が広がりやすい理由の一つです。

接触感染

接触感染は「手を介した感染経路」です。
この経路が厄介なのは、私たち自身が気づかないうちに感染を広げてしまう点にあります。
実際の流れを追ってみましょう。

①感染者がくしゃみや咳をした手でドアノブやエレベーターのボタンに触れる

②そこに付着した病原体は、環境によっては数時間から数日間生存します

③次に別の人がそれに触れると、病原体が手に移ります

④その手で目をこすったり、鼻をさわったり、食べ物を口に運んだりすると感染してしまいます

特に注意したいのは共用物です。
オフィスのコピー機のボタン、学校の教材、家庭内のリモコンやスイッチなど、多くの人が触れるものには病原体が潜んでいる可能性があります。
溶連菌などの細菌性扁桃炎の原因菌は、乾燥した環境でも数時間から数日間生存することが可能です。

アデノウイルスのような扁桃炎を引き起こすウイルスの中には、プラスチック表面で7日以上も感染力を保つものもあります。
また、スマートフォンの画面には便座の10倍の細菌が付着しているという研究結果もあり、頻繁に触れる物の清潔さにも注意が必要です。

経口感染

経口感染は「口から直接取り込む感染経路」で、特に子どもたちに多く見られます。
病原体が付着した食品や飲料を摂取することで感染します。
例えば、「感染者が調理に関わった食品(特に加熱していないもの)」「汚染された水や不衛生な環境で処理された食品」「感染者の使用した食器や箸」「コップなどの共用物」「おもちゃや指などをなめる習慣のある子ども」などがあります。

特に注意したいのは「見えない共有」です。
例えば、食卓でしようする食器や、テーブルに出されたお菓子など、多くの人が触れるものからも感染することがあります。
扁桃炎の原因となるウイルスや細菌の中には、酸性の環境(胃液など)でも生存できるものがあり、少量でも感染を引き起こすことがあります。
一部の病原体は冷蔵庫内でも増殖可能で、保存食品を介した感染も報告されています。
扁桃炎の原因となるアデノウイルスなどは、加熱や消毒に強いものもあり、通常の調理過程では完全に死滅しないことがあります。
特に生ものや半調理食品には注意が必要です。

感染経路を知って効果的に対策を

これら3つの感染経路を理解することで、扁桃炎だけでなく多くの感染症から身を守ることができます。
特に季節の変わり目や免疫力が低下しているときは、感染経路を意識した行動を心がけましょう。

扁桃炎の治療法

扁桃炎には様々な種類があり、その原因や症状によって治療法が大きく異なります。
急性扁桃炎と慢性扁桃炎では、そもそもアプローチが違います。
急性の場合、ウイルス性なら解熱鎮痛剤での対症療法が中心ですが、細菌性(特に溶連菌感染)なら抗生物質が必要です。
この見極めが重要で、見た目だけでは判断できないため、医師の診察が欠かせません。

また症状の重さも治療法を左右します。
軽度なら自宅療養で十分なケースもあり、高熱や激しい痛みがあれば点滴治療が必要になることもあります。

子どもと大人でも対応が変わりますし、繰り返す慢性扁桃炎では手術の選択肢も出てきます。
「たかが喉の痛み」と市販薬に頼りすぎると、合併症のリスクも出てきます。
違和感を感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診し、自分の扁桃炎のタイプに合った治療を受けることが、早期回復への近道です。
扁桃炎の治療は、症状と種類に合わせた適切な対応が必要です。

薬・抗生物質(溶連菌性扁桃炎)

溶連菌性扁桃炎の第一選択薬は、古くから使われているペニシリン系抗生物質です。
中でもアモキシシリンは、溶連菌に対する殺菌力が高く、10日間の服用でしっかりと効果を発揮します。
比較的安価で安全性も確立されており、子どもから大人まで幅広く使用されています。

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商品名ザイロモックスカンピシリン
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有効成分アモキシシリン250mg/500mgアンピシリンナトリウム250mg/500mg
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一方、短期間の服用で済むことから人によっては、セフェム系抗生物質が処方される場合があります。
セフェム系抗生物質には4つの世代(第一~第四世代)があり、新しいグループになるほど、より多くの種類の細菌に効果を発揮するようになっています。
「溶連菌」には主に第一・第二世代のセファレキシンなどが用いられ、合併症を防ぐためにも7日間しっかり服用します。

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商品名セフォプロックス
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有効成分セフポドキシムプロキセチル100mg
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治療期間中は、症状が改善しても最後まで服用することが大切です。
「もう治ったから」と自己判断で中止すると、菌が完全に排除されず、再発や合併症のリスクが高まります。
溶連菌性扁桃炎の治療は、ただ抗生物質を処方すれば良いわけではありません。
患者さんの年齢、アレルギー歴、他の薬との相互作用、さらには服薬コンプライアンスなども考慮して、最適な抗生物質を選択することが治療成功の鍵となります。

対症療法が中心(ウイルス性扁桃炎 扁桃炎全般)

特に知っておきたいのは、扁桃炎の7割程度を占めるといわれるウイルス性扁桃炎には、抗生物質が効かないという事実です。
ウイルスは細菌とは全く異なる構造をしているため、細菌には効果を発揮する抗生物質であっても、ウイルスには全くと言っていいほど効果が見らえません。
「とりあえず抗生物質を出してほしい」と要望される方もいますが、効果がないどころか、耐性菌を増やすリスクでしかありません。
では、ウイルス性扁桃炎を含む多くの扁桃炎はどう対処したらよいのでしょうか?
答えは「対症療法」です。
これは病気の原因を直接治療するのではなく、つらい症状を和らげる治療法になります。
具体的には以下の通りです。

①痛みと熱への対策

アセトアミノフェンやロキソプロフェンなどの解熱鎮痛薬で不快感を軽減します。
のどの痛みにはトラネキサム酸も効果的です。

②咳や痰の対策

咳にはデキストロメトルファンやチペピジン、痰にはカルボシステインやアンブロキソール塩酸塩などを使用することで症状を和らげることができます。

③十分な水分補給

喉が痛くても水分は必須です。
常温の水やハーブティー、スープなどで脱水を防ぎます。

④のど飴やスプレー

のどの乾燥や刺激を防ぎ、一時的な痛みの緩和に役立ちます。

⑤十分な休息

免疫力を高め、回復を早めるために、睡眠と休養を十分にとりましょう。

病院に行くのが大変、待ち時間がつらいなどあれば当サイトメデマートを利用して対症療法の医薬品を購入しても良いでしょう。

症状のどの痛み鎮痛・解熱
商品名トラネキサヒールサラムルヒノールDMR-20
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注意したいのは、高熱が続く、呼吸困難がある、水分摂取が難しいといった症状がある場合は、すぐに病院を受診することです。
特に子どもは急速に症状が悪化することもあるので油断は禁物です。
また、「風邪だから」と自己判断せず、溶連菌などによる細菌性扁桃炎の可能性も考慮して医師の診察を受けるようにしましょう。

扁桃炎と抗生物質に関するよくある質問

花粉症に関するよくある質問画像
Q
扁桃炎には必ず抗生物質が必要ですか?
A

扁桃炎には必ずしも抗生物質が必要という訳ではありません。
中には2次感染予防のために処方されるケースもありますが、そもそも原因がウイルスの場合には抗生物質は効果がありません。
細菌感染症、特に溶連菌などの感染の場合に対して抗生物質が必要となります。

Q
扁桃炎の治療に使用される抗生物質にはどのような種類がありますか?
A

扁桃炎治療で使われる抗生物質は主に3種類あります。
溶連菌感染に効果的なペニシリン系(アモキシシリンなど)、幅広い細菌に対応するセフェム系(フロモックスなど)、そしてペニシリンアレルギーの方に処方されるマクロライド系です。
ただし、菌の種類によって効果的な薬剤が異なるため、医師の診断に基づいた選択が重要です。

Q
溶連菌の場合、抗生物質は必ず飲み切らなければいけないのですか?
A

溶連菌感染症の場合、抗生物質は必ず医師の指示通りに最後まで飲み切るべきです。
症状が良くなっても、体内に菌が残っていることがあり、途中で服用をやめると再発や腎炎・リウマチ熱などの重い合併症を引き起こすリスクが高まります。
また、中途半端な服用は耐性菌を生み出す原因にもなりますので完治のためにも全量服用が大切です。

まとめ

扁桃炎と一言で言っても、その原因は溶連菌などの細菌によるものとインフルエンザウイルスなどによるものがあり、治療法も大きく異なります。
最も重要なのは「何が原因か」を見極めることなんです。
細菌性、特に溶連菌による扁桃炎には抗生物質が効果的です。
アモキシシリンなどのペニシリン系やセフェム系抗生物質が処方され、きちんと服用すれば約10日で改善します。

一方、ウイルス性扁桃炎には抗生物質は全く効きません。
こちらは解熱鎮痛剤でつらい症状を和らげながら、体の免疫力で自然治癒を待つ対症療法が基本となります。
忘れてはいけないのは、喉の痛みだけで判断せず、必ず医師の診断を受けることです。
似たような症状でも原因が違えば治療法も変わります。
また処方された抗生物質は、症状が良くなっても指示された日数をきちんと飲み切ることが大切です。
中途半端な服用は耐性菌を増やす原因にもなります。
扁桃炎にかかりにくくするには、手洗い・うがいの徹底と、飛沫感染・接触感染に注意することが大切です。

のどの痛みが続くときは自己判断せず、早めに病院を受診して適切な治療を受けましょう。
適切な治療法と生活上の注意点を守れば、つらい扁桃炎も速やかに回復することができます。

出典

MSDマニュアルプロフェッショナル(扁桃咽頭炎)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
MSDマニュアル家庭版(伝染性単核球症)
MSDマニュアル家庭版(扁桃とアデノイドの腫れ)
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