スピロノラクトン

成分名

スピロノラクトン

適応症状

原発性アルドステロン症/高血圧症/心臓浮腫/腎性浮腫/肝性浮腫/特発性浮腫/悪性腫瘍に伴う浮腫/栄養失調性浮腫/腹水/FAGA(女性男性型脱毛症)/女性ニキビ

簡易説明

スピロノラクトンは、スピロ環構造とラクトン環構造を併せ持つ、カリウム保持性利尿薬(アルドステロン拮抗薬)です。
主な治療としては、心臓ほか、各種原因による浮腫の改善や、腹水、高血圧治療薬として使用されます。
単独で使用される事は少なく、ループ型利尿剤のフロセミドやクロロチアジドなどの利尿剤と併用される事が多い。
原発性アルドステロン症の治療では、第一選択薬となります。
女性ホルモン作用を併せ持っている事から、ニキビ治療薬や、FAGA(女性男性型脱毛症)治療薬としても利用されています。

処方可能な診療科目

内科/循環器科/皮膚科 など

健康保険の適応

症状によって健康保険適応
FAGA(女性男性型脱毛症)治療、ニキビ治療などは、健康保険適応外 全額自己負担

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,500円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:25mg約19.60円/50mg約41.20円(薬価)
顆粒の目安     :10%1g約86.50円(薬価)
薬代後発薬1錠の目安:25mg約5.60円~12.10円/50mg約6.30円(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

アルダクトンが1978年4月に販売開始

国内のジェネリック認可

ジェネリック有り

関連製品(先発薬)

アルダクトンA【製薬メーカー:ファイザー】

関連製品(ジェネリック)

▼スピロノラクトンのみ
スピロノラクトンタブレット/ハイレス

▼スピロノラクトン+フロセミド
ラシラクトン

効果・作用

▼スピロノラクトンの利尿作用
腎臓でろ過された原尿には体に必要な栄養が含まれていますが、その全てを尿として体外に排出してしまうのは問題があります。
その為、体内で原尿は血液中に再吸収されますが、その際に水も再吸収されます。
そして、その水と共に再吸収されるのが、ナトリウム(塩分)です。
塩分の多い食事をすると、体に水分が蓄積されむくむのはこの為です。
アルドステロンという物質がナトリウムの再吸収を促進して体内の水分量を増加させ血圧上昇やむくみを引き起こします。
尿管は近位尿細管、ヘレンループ、遠位尿細管、集合管の4つに別けられますが、スピロノラクトンが作用するのは、遠位尿細管です。
が存在しますが、この輸送体を阻害する事でナトリウムと一緒に水分の再吸収が抑えられ、尿量が増加します。
アルドステロンが作用する輸送体を阻害する事から、スピロノラクトンはアルドステロン拮抗薬と呼ばれています。
多くの利尿剤は水分やナトリウムを体外へ排出させるのと同時にカリウムも排出させてしまう為、副作用で低カリウム血症を引き起こす場合があります。
スピロノラクトンは、カリウムを保持したまま、水分やナトリウムを体外へ排出できる事から、カリウム保持利尿剤とも呼ばれています。
血液が停滞すると、血管内の血液量が増え、血圧が上昇し内蔵などの臓器に水分が貯まってしまい浮腫を引き起こします。
スピロノラクトンが余分な水分を体外へ排出する事で、血圧が下がりむくみが解消され、心臓などの負担を軽減する効果があります。

▼スピロノラクトンのFAGA(女性男性型脱毛症)作用
FAGA(女性男性型脱毛症)は、ジヒドロテストステロンと言われる男性ホルモンが、レセプター(受容体)と結びつく事で抜け毛を促進していると言われています。
スピロノラクトンは、ジヒドロテストステロンがレセプターとの結合を防ぐ事で、FAGA(女性男性型脱毛症)の進行を防ぎます。

▼スピロノラクトンのニキビへの作用
スピロノラクトンにある男性ホルモンの働きを抑える作用があります。
大人ニキビの原因である男性ホルモンの働きが抑えられるため、大人ニキビそのものが改善されます。

【スピロノラクトンの効果・作用まとめ】
①水とナトリウム(塩分)が同時に体内へ再吸収される。
②ナトリウムの再吸収を防ぐ事で、同時に尿量を増やし体外へ排出させる。
③スピロノラクトンは遠位尿細管はナトリウムの再吸収に関わる輸送体(Na-K交換系)の働きを阻害する。
④他の利尿剤と違い、カリウムは保持したまま、尿量を増加させる。
⑤余分な水分が体外へと排出される為、血圧が下がりむくみが改善し、心臓への負担が軽減します。
⑥ジヒドロテストステロンとレセプター結合を防ぎ、FAGA(女性男性型脱毛症)の進行を防ぎます。
⑦男性ホルモンが抑えられると、大人ニキビも改善する事が出来る。
スピロノラクトンは本来の利尿作用による、高血圧や浮腫改善の他にも、男性ホルモンを抑える作用から、FAGA(女性男性型脱毛症)や大人ニキビの治療にも用いられています。

使用方法

▼高血圧症・むくみなど
1日に、スピロノラクトン50mg~100mgを目安に、水またはぬるま湯で服用して下さい。
年齢や症状によって、適宜増減して下さい。
※但し、原発性アルドステロン症の診断及び症状の改善のほかは、他剤と併用する事が多い。

▼FAGA(女性男性型脱毛症)
1日に、スピロノラクトン50mg~100mgを目安に、水またはぬるま湯で服用して下さい。
年齢や症状によって、適宜増減して下さい。

▼ニキビ
症状によって、スピロノラクトン100mg(朝50mg・夕50mg)又は、150mg(朝100mg・夕50mg)で開始します。
開始後、1ヶ月経過しても症状が改善されない時は、最大200mg(朝100mg・夕100mg)まで増量します。
新たなニキビができずに4週間程度経過したら、使用量を減量していきます。
開始後、減量できるまでの期間は、約2~3ヶ月です。
減量する場合、1ヶ月ごとに下記服用量を目安に減量します。
1日量を200mg(朝100mg・夕100mg)→150mg(朝100mg・夕50mg)→100mg(朝50mg・夕50mg)→50mg(朝50mg)

副作用

▼スピロノラクトンの副作用
▼内分泌(0.1~5%未満)
女性型乳房/乳房腫脹/性欲減退/陰萎/多毛/月経不順/無月経/閉経後の出血/音声低音化
▼内分泌(頻度不明)
乳房腫瘤/乳房痛
▼過敏症(0.1~5%未満)
発疹/蕁麻疹
▼過敏症(頻度不明)
そう痒
▼精神神経系(頻度不明)
めまい/頭痛/四肢しびれ感/神経過敏/うつ状態/不安感/精神錯乱/運動失調/傾眠
▼肝臓(頻度不明)
AST(GOT)上昇/ALT(GPT)上昇/γ-GTP上昇/Al-P上昇/LDH上昇/ビリルビン上昇
▼腎臓(頻度不明)
BUN上昇
▼消化器(0.1~5%未満)
食欲不振/悪心/嘔吐/口渇/下痢/便秘
▼血液(頻度不明)
白血球減少/血小板減少
▼その他(0.1~5%未満)
倦怠感/心悸亢進/発熱/肝斑
▼その他(頻度不明)
筋痙攣/脱毛など

スピロノラクトンには、副作用が起こる可能性があります。
副作用の出方は、個人差や服用量によっても違ってきます。
スピロノラクトンを安全に使用する為にも、医師や薬剤師に指示された用法・用量を守りましょう。
服用を中止する際も、医師に相談し問題ないか確認してから中止しましょう。

■スピロノラクトン副作用(重度)
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。

▼電解質異常
・高カリウム血症
・低ナトリウム血症
・代謝性アシドーシス など
▼急性腎不全
▼中毒性表皮壊死融解症
▼皮膚粘膜眼症候群
電解質異常に伴って、不整脈、全身倦怠感、脱力などを感じる事があります。

重篤な副作用の発生率は低いですが、異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

【スピロノラクトンの副作用まとめ】
・発生頻度は低いが、様々な副作用が起こる可能性がある
・まれに起こる重篤な副作用には、電解質異常や急性腎不全などがある
・異変を感じたら直ぐに医師の診察を受ける
用法用量を守り、医師の指示に従って正しく服用しましょう。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

▼スピロノラクトンが使用できない方

■スピロノラクトンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
添加物にアレルギーをお持ちの方は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

■無尿又は急性腎不全の方
腎機能を更に悪化させるおそれがあります。
また、腎からのカリウム排泄が低下しているため、高カリウム血症を誘発又は増悪させるおそれがあります。

■高カリウム血症の方
高カリウム血症を増悪させるおそれがあります。

■アジソン病の方
アジソン病では、アルドステロン分泌低下によりカリウム排泄障害となる為、高カリウム血症となるおそれがあります。

■禁忌薬、タクロリムス、エプレレノン又はミトタンを投与中の方
▼タクロリムス(プログラフ)・エプレレノン(セララ)
高カリウム血症が発現することがあり、相加・相乗作用により血清カリウム値が上昇します。
▼ミトタン(オペプリム)
ミトタンの作用を阻害してしまい、薬効をスピロノラクトンが阻害するとの報告があります。

▼スピロノラクトンの慎重投与が必要な方

■心疾患のある高齢者、重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある方
急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。

■重篤な腎障害のある方
急性腎不全(電解質異常を伴うことがある)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。

■減塩療法をおこなっている方
水分・電解質が欠乏し、脱水症状や低ナトリウム血症等があらわれやすくなります。

■高齢者の方
高齢者の方には次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与する必要があります。
①高齢者の方の急激な利尿は、血漿量の減少を来し、脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神等を起こすことがあります。
②特に心疾患等で浮腫のある高齢者の方は、急激な利尿は急速な血漿量の減少と血液濃縮を来し、脳梗塞等の血栓塞栓症を誘発するおそれがあります。
③高齢者の方には、脳梗塞等が起こる可能性があるため、過度の降圧は好ましくないとされています。
④高齢者の方には、腎機能又は肝機能が低下していることが多いため、高カリウム血症が起こりやすい。

■妊婦または授乳中、妊娠している可能性がある女性の方
妊婦又は授乳中の方への投与に関しては、安全性の確立がされていないため、妊婦又は妊娠している可能性がある場合、治療上の有益性が危険性を上回ると判断した場合のみ投与とし、基本的に使用は避けて下さい。

■肝臓病や肝機能障害をおもちの方
高カリウム血症を起こすことがあります。

■乳児の方
乳児は電解質バランスがくずれやすいため、注意が必要です。

■連用される方
連用する場合、高カリウム血症などの電解質異常が起こる場合がありますので、注意が必要です。

【スピロノラクトンの使用に注意が必要な方、使用が出来ない方まとめ】
▼スピロノラクトンが使用できない方
・スピロノラクトンや医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
・無尿又は急性腎不全の方
・高カリウム血症の方
・アジソン病の方
・禁忌薬、タクロリムス、エプレレノン又はミトタンを投与中の方
▼スピロノラクトンの慎重投与が必要な方
・心疾患のある高齢者、重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある方
・重篤な腎障害のある方
・減塩療法をおこなっている方
・高齢者の方
・妊婦または授乳中、妊娠している可能性がある女性の方
・肝臓病や肝機能障害をおもちの方
・乳児の方
・連用される方
上記にあてはまる方は、スピロノラクトンを使用する事が出来ない可能性があります。
スピロノラクトンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

▼併用禁忌薬
下記薬剤との併用は出来ません。
・タクロリムス
・エプレレノン
・ミトタン

▼併用注意薬
下記薬剤と併用すると、薬剤の効果を低下させたり、強めたりする恐れがあります。
下記の医薬品と併用する場合は、事前に医師に相談して下さい。

▼降圧作用を増強する恐れがある為、注意が必要
■降圧剤
・ACE阻害剤
・カルシウム拮抗剤
・β-遮断剤
・利尿降圧剤 など

▼高カリウム血症を誘発することがあるので、腎障害、高齢者の方に注意が必要
■カリウム製剤
・塩化カリウム
・グルコン酸カリウム
・アスパラギン酸カリウム など
■ACE阻害剤
・カプトプリル
・エナラプリル
・リシノプリル など
■アンジオテンシンII受容体拮抗剤
・ロサルタンカリウム
・カンデサルタンシレキセチル
・バルサルタン など
■アリスキレン
■カリウム保持性利尿剤
・トリアムテレン
・カンレノ酸カリウム
■シクロスポリン
■ドロスピレノン

▼ノルエピネフリンの血管反応性を低下させる恐れがある為、麻酔施行する方に注意が必要
■ノルエピネフリン

▼乳酸ナトリウムのアルカリ化作用を減弱することがある為、注意が必要
■乳酸ナトリウム

▼代謝性アシドーシスを起こす恐れがある為、注意が必要
■塩化アンモニウム
■コレスチラミン

▼血中ジゴキシン及びメチルジゴキシン濃度が上昇する恐れがある為、注意が必要
■ジゴキシン
■メチルジゴキシン

▼ジギトキシンの作用を増強又は減弱する恐れがある為、注意が必要
■ジギトキシン

▼利尿剤又はACE阻害剤との併用により、リチウム中毒を起こす恐れがある為、注意が必要
■リチウム製剤
■炭酸リチウム

▼ジギトキシンの作用を増強又は減弱する恐れがある為、注意が必要
■ジギトキシン

▼カリウム保持性利尿剤との併用により、その降圧作用の減弱、腎機能障害患者における重度の高カリウム血症の恐れがある為、注意が必要
■非ステロイド性消炎鎮痛剤
・インドメタシン など

よくある質問
スピロノラクトンは何故女性の薄毛治療に効果があるのですか?

スピロノラクトンは、男性ホルモンのジヒドロテストステロンがレセプターと結合する事を阻害することで、薄毛改善効果が見込めます。

どの位の期間使用すればニキビ改善の効果を得られますか?

目安として3ヶ月程度、と言われています。
あらたなニキビができなくなってきたら、徐々に薬剤を減らしていきましょう。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。